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三章 甥の誕生と六年目まで
12.結婚記念日の小旅行の始まり
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龍王の足を運ぶ土地には水の加護が強く与えられて、その年は実りが多くなる。その年だけでなくしばらくの間は水の加護が増えるので、龍王の旅行は慈善事業として推奨されていた。
龍王が獣人の国との国境に旅行に出かけると決めたとき、宰相も四大臣家の大臣たちも大喜びしていた。
「龍王陛下が魔術を使えるようになられてから、移転の魔術で以て移動されるので、国民は龍王陛下の威光を浴びることなく過ごしておりました。今回の旅行は移転の魔術なしで馬車で国土を踏みながら行かれるとのこと。行く先々で龍王陛下は歓迎されることでしょう」
宰相の嬉しそうな顔を見ると、龍王が国土を踏みながら移動することの大切さを感じさせる。龍王の隣りに座っていたヨシュアは急ぎ馬車を準備し、旅程を決める宰相と四大臣家の大臣たちを見詰めていた。
結婚記念日の小旅行ということで、旅行には結婚記念日から出発することになっていた。
ドラゴンの世話をしているジャックには少しの間留守にすることを伝え、護衛とドラゴンの世話の手伝いにマンドラゴラを置いていくと、マンドラゴラがきびきびと動いてドラゴンの世話を手伝っていた。
ドラゴンは数日ヨシュアが来なくなるので、その分の魔力を上げていると、何か察したのか、ぴいぴい鳴きながらヨシュアの手に顔をすりつけてきていた。
「ドラゴン様にとっては王配陛下がお母上、龍王陛下がお父上のような感覚なのだと思います。いないと不安なのでしょう」
ジャックに言われてそんなものかと思っていたが、行かないわけにはいかないので、ヨシュアはドラゴンのことはジャックとマンドラゴラと子睿の養父母に頼んで出発の仕度をした。
衣装などはネイサンが揃えてくれるが、それも玉を賜ってから新しく作られた豪奢なものばかりで、その重さを考えると憂鬱になる。
人前に出るのだからそれなりに豪華な格好はしておかねば王配としての威厳を保てないと分かっているのだが、動きにくい衣装はあまり好ましくなかった。
十頭引きの巨大な馬車は、座り心地のよい椅子といつでも休める寝台が設置されている。
野営することになってもヨシュアと龍王はこの寝台で休めばいい。
魔術騎士団で野営には慣れているが、寝台のある馬車で休むなんてことはせず、外の地面の上に焚火を囲んで休んだり、余裕があるときには天幕を張ったりしていたが、龍王の馬車の居心地の良さには勝てなかった。
馬車自体も美しく飾られて、龍王のものだとすぐに分かるようになっている。
「国道に出ましたら、龍王陛下と王配陛下の馬車が通るときには交通規制がされております。お二人の馬車以外のものが通ることはないので、安心して行ってらっしゃいませ」
政務は宰相に任せて馬車に乗り込む龍王とヨシュアに、宰相が頭を下げて見送る。
大きな馬車とそれを取り巻く護衛の魔術騎士団と近衛兵、それだけが広い国道を走っていた。
国道といっても踏み固められた土の道なので、馬車はそれなりに揺れる。揺れる馬車の中でネイサンがヨシュアと龍王にお茶を入れてくれていた。
お茶が零れないように気を付けながら飲んでいると、干した果物が茶菓子として出される。ねっとりと味の濃い果物は甘くて美味しかった。
「今回の旅にデボラが同行できませんことをお許しください」
ネイサンが謝っているが、ヨシュアはデボラが同行できない理由を聞いたとき、生まれる前から知っているネイサンの手を握って大喜びしたのだ。
デボラはネイサンの子どもを妊娠しているという。
ネイサンも魔術師なので長命で、デボラも同じく魔術師なので長命で、どちらもヨシュアと同じ年だが子どもができることはあり得ない話ではなかった。ヨシュア自身も両親が三百歳を超えてからの子どもなので、その年齢でも子どもができることは明らかだ。
まだ妊娠初期だが大事を取ってデボラは小旅行には同行せず、このまま出産まで休みをもらうことになっていた。
「王族のどなたかの出産と近ければ乳母の役目も担えるのですが」
「デボラは乳母になりたがっているのか?」
「王族のお子様の乳母になれることはとても光栄ですからね」
デボラは王族の乳母の座を狙っているという。梓晴は俊宇を産んでからまだ第二子の兆しはないし、子睿はまだ麗夏と婚約期間で結婚していないので子どもができるはずもない。デボラの要望はあるが、乳母になることは恐らく難しいだろう。
「おれと星宇の間には子どもはできないからな」
「王配陛下は男性でいらっしゃいますからね」
しみじみと呟くと、ネイサンがその通りだと頷いていた。
男性でも子どもを産めるようにするような魔法薬がラバン王国で開発された時期もあったらしいのだが、それは禁忌として開発を止められて、今では製造方法も分からない。その薬があったとしても、龍王は子種がないのでヨシュアが孕むということはあり得なかった。
「星宇が子種がないと判断した医者は腕は確かなのか?」
「確かだと思いますよ。長く王宮医を務めたものでした。わたしがかかった病は命を落とすか、落とさなくても子種をなくすものと言われていました。頑丈な龍族がかかる珍しい病だったのです」
龍族は頑丈で病にもかかりにくく、毒も効きにくいというが、龍王は幼いころに病にかかって生死の境を彷徨っているし、毒殺されかけて死にかけている。特に龍王の体が弱いというわけでもないのだろうが、龍族にだけかかる死ぬか子種をなくす病や、龍族にだけ効きやすい毒があるのだと龍王は教えてくれた。
「龍殺草と呼ばれる草の毒は、他の者には全く害を及ぼしませんが、龍族の血が濃ければ濃いほど強く効く毒なのです。平民は龍族の血がそれほど濃くないので、龍殺草の毒もほとんど効きませんが、わたしのように龍族の血が濃いとほんの少し混ぜただけで命を落とすほどに効き目を表します」
特殊な毒が使われたため、龍族の血が薄い毒見薬では見つけきれずに、龍王はその毒を口にしてしまったのだという。それ以降龍王は特に警戒されて、龍族の血が薄いもの、濃いものと数人の毒見を経てやっと食事ができるようになったらしい。
「それは大変だっただろう」
「龍殺草自体、文献に残っているくらいの古い記録しかなくて、叔父夫婦がそれを手に入れられたのが不思議なくらいです」
大昔には使われていたが、その後栽培することも採取することも禁じられ、長い時間の中で忘れられて、誰も知らなかった龍殺草を龍王の叔父夫婦は古い文献から見つけ出して、どうにかして手に入れて龍王の食事に混ぜたのだ。
絶対に龍王を殺して自分の息子を龍王にしようという執念がそうさせたのだろう。
「星宇が死ななくてよかった」
「わたしは幼いころに二度も死にかけているのでした。毒見が多くなったり、わたしの周りの警護が厳重だったりしても仕方がなかったのですね」
それで王族にあまり向いていない龍王が食事を取れなくなったり、眠れなくなったりして苦しんだことはヨシュアも知っている。
今はヨシュアと共にいて、魔術も使えるようになって自分で毒の有無も調べられるようになり、身を守る手段も増えたので警護も毒見もほとんど必要なくなった。そのおかげで龍王は健康で幸せそうにしている。
「ヨシュア、旅行中は人目があるし、湯も思うように使えないので、お預けですね」
残念そうに言う龍王にヨシュアは苦笑する。
「昨日もたっぷり愛し合ったのに、足りてないのか?」
「昨日は昨日です。今日は今日で愛し合いたいのです」
毎日のように体を交わしても龍王とヨシュアは全く飽きることがない。それどころか、もっと求めあってしまう。
お互いに体の相性がいいのもあるが、ヨシュアの方が体力があって龍王の満足するまで付き合えるというのが大きいのだろう。龍王は龍族というだけあって閨での精力が有り余っている。
それを全部受け止めて、龍王が果てるまで付き合えるのはヨシュアくらいだろう。
「青陵殿に戻るまでは我慢してもらわないと」
「ヨシュアがこんなにそばにいるのに」
ぴったりとくっついてヨシュアの胸に触れる龍王の黒髪を、ヨシュアは優しく撫でた。
龍王が獣人の国との国境に旅行に出かけると決めたとき、宰相も四大臣家の大臣たちも大喜びしていた。
「龍王陛下が魔術を使えるようになられてから、移転の魔術で以て移動されるので、国民は龍王陛下の威光を浴びることなく過ごしておりました。今回の旅行は移転の魔術なしで馬車で国土を踏みながら行かれるとのこと。行く先々で龍王陛下は歓迎されることでしょう」
宰相の嬉しそうな顔を見ると、龍王が国土を踏みながら移動することの大切さを感じさせる。龍王の隣りに座っていたヨシュアは急ぎ馬車を準備し、旅程を決める宰相と四大臣家の大臣たちを見詰めていた。
結婚記念日の小旅行ということで、旅行には結婚記念日から出発することになっていた。
ドラゴンの世話をしているジャックには少しの間留守にすることを伝え、護衛とドラゴンの世話の手伝いにマンドラゴラを置いていくと、マンドラゴラがきびきびと動いてドラゴンの世話を手伝っていた。
ドラゴンは数日ヨシュアが来なくなるので、その分の魔力を上げていると、何か察したのか、ぴいぴい鳴きながらヨシュアの手に顔をすりつけてきていた。
「ドラゴン様にとっては王配陛下がお母上、龍王陛下がお父上のような感覚なのだと思います。いないと不安なのでしょう」
ジャックに言われてそんなものかと思っていたが、行かないわけにはいかないので、ヨシュアはドラゴンのことはジャックとマンドラゴラと子睿の養父母に頼んで出発の仕度をした。
衣装などはネイサンが揃えてくれるが、それも玉を賜ってから新しく作られた豪奢なものばかりで、その重さを考えると憂鬱になる。
人前に出るのだからそれなりに豪華な格好はしておかねば王配としての威厳を保てないと分かっているのだが、動きにくい衣装はあまり好ましくなかった。
十頭引きの巨大な馬車は、座り心地のよい椅子といつでも休める寝台が設置されている。
野営することになってもヨシュアと龍王はこの寝台で休めばいい。
魔術騎士団で野営には慣れているが、寝台のある馬車で休むなんてことはせず、外の地面の上に焚火を囲んで休んだり、余裕があるときには天幕を張ったりしていたが、龍王の馬車の居心地の良さには勝てなかった。
馬車自体も美しく飾られて、龍王のものだとすぐに分かるようになっている。
「国道に出ましたら、龍王陛下と王配陛下の馬車が通るときには交通規制がされております。お二人の馬車以外のものが通ることはないので、安心して行ってらっしゃいませ」
政務は宰相に任せて馬車に乗り込む龍王とヨシュアに、宰相が頭を下げて見送る。
大きな馬車とそれを取り巻く護衛の魔術騎士団と近衛兵、それだけが広い国道を走っていた。
国道といっても踏み固められた土の道なので、馬車はそれなりに揺れる。揺れる馬車の中でネイサンがヨシュアと龍王にお茶を入れてくれていた。
お茶が零れないように気を付けながら飲んでいると、干した果物が茶菓子として出される。ねっとりと味の濃い果物は甘くて美味しかった。
「今回の旅にデボラが同行できませんことをお許しください」
ネイサンが謝っているが、ヨシュアはデボラが同行できない理由を聞いたとき、生まれる前から知っているネイサンの手を握って大喜びしたのだ。
デボラはネイサンの子どもを妊娠しているという。
ネイサンも魔術師なので長命で、デボラも同じく魔術師なので長命で、どちらもヨシュアと同じ年だが子どもができることはあり得ない話ではなかった。ヨシュア自身も両親が三百歳を超えてからの子どもなので、その年齢でも子どもができることは明らかだ。
まだ妊娠初期だが大事を取ってデボラは小旅行には同行せず、このまま出産まで休みをもらうことになっていた。
「王族のどなたかの出産と近ければ乳母の役目も担えるのですが」
「デボラは乳母になりたがっているのか?」
「王族のお子様の乳母になれることはとても光栄ですからね」
デボラは王族の乳母の座を狙っているという。梓晴は俊宇を産んでからまだ第二子の兆しはないし、子睿はまだ麗夏と婚約期間で結婚していないので子どもができるはずもない。デボラの要望はあるが、乳母になることは恐らく難しいだろう。
「おれと星宇の間には子どもはできないからな」
「王配陛下は男性でいらっしゃいますからね」
しみじみと呟くと、ネイサンがその通りだと頷いていた。
男性でも子どもを産めるようにするような魔法薬がラバン王国で開発された時期もあったらしいのだが、それは禁忌として開発を止められて、今では製造方法も分からない。その薬があったとしても、龍王は子種がないのでヨシュアが孕むということはあり得なかった。
「星宇が子種がないと判断した医者は腕は確かなのか?」
「確かだと思いますよ。長く王宮医を務めたものでした。わたしがかかった病は命を落とすか、落とさなくても子種をなくすものと言われていました。頑丈な龍族がかかる珍しい病だったのです」
龍族は頑丈で病にもかかりにくく、毒も効きにくいというが、龍王は幼いころに病にかかって生死の境を彷徨っているし、毒殺されかけて死にかけている。特に龍王の体が弱いというわけでもないのだろうが、龍族にだけかかる死ぬか子種をなくす病や、龍族にだけ効きやすい毒があるのだと龍王は教えてくれた。
「龍殺草と呼ばれる草の毒は、他の者には全く害を及ぼしませんが、龍族の血が濃ければ濃いほど強く効く毒なのです。平民は龍族の血がそれほど濃くないので、龍殺草の毒もほとんど効きませんが、わたしのように龍族の血が濃いとほんの少し混ぜただけで命を落とすほどに効き目を表します」
特殊な毒が使われたため、龍族の血が薄い毒見薬では見つけきれずに、龍王はその毒を口にしてしまったのだという。それ以降龍王は特に警戒されて、龍族の血が薄いもの、濃いものと数人の毒見を経てやっと食事ができるようになったらしい。
「それは大変だっただろう」
「龍殺草自体、文献に残っているくらいの古い記録しかなくて、叔父夫婦がそれを手に入れられたのが不思議なくらいです」
大昔には使われていたが、その後栽培することも採取することも禁じられ、長い時間の中で忘れられて、誰も知らなかった龍殺草を龍王の叔父夫婦は古い文献から見つけ出して、どうにかして手に入れて龍王の食事に混ぜたのだ。
絶対に龍王を殺して自分の息子を龍王にしようという執念がそうさせたのだろう。
「星宇が死ななくてよかった」
「わたしは幼いころに二度も死にかけているのでした。毒見が多くなったり、わたしの周りの警護が厳重だったりしても仕方がなかったのですね」
それで王族にあまり向いていない龍王が食事を取れなくなったり、眠れなくなったりして苦しんだことはヨシュアも知っている。
今はヨシュアと共にいて、魔術も使えるようになって自分で毒の有無も調べられるようになり、身を守る手段も増えたので警護も毒見もほとんど必要なくなった。そのおかげで龍王は健康で幸せそうにしている。
「ヨシュア、旅行中は人目があるし、湯も思うように使えないので、お預けですね」
残念そうに言う龍王にヨシュアは苦笑する。
「昨日もたっぷり愛し合ったのに、足りてないのか?」
「昨日は昨日です。今日は今日で愛し合いたいのです」
毎日のように体を交わしても龍王とヨシュアは全く飽きることがない。それどころか、もっと求めあってしまう。
お互いに体の相性がいいのもあるが、ヨシュアの方が体力があって龍王の満足するまで付き合えるというのが大きいのだろう。龍王は龍族というだけあって閨での精力が有り余っている。
それを全部受け止めて、龍王が果てるまで付き合えるのはヨシュアくらいだろう。
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ぴったりとくっついてヨシュアの胸に触れる龍王の黒髪を、ヨシュアは優しく撫でた。
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