龍王陛下は最強魔術師の王配を溺愛する

秋月真鳥

文字の大きさ
103 / 150
四章 結婚十年目

13.ヨシュアの記憶が戻って

しおりを挟む
 王配の体調不良が治って、公の場に出られるようになったことを志龍王国のみならず周辺諸国までも喜び、お祭り騒ぎになっていた。
 まだ回復してすぐなのでヨシュアに無理をさせないように龍王は報せだけ出して、ヨシュアには青陵殿で静かに過ごしてもらっていた、一か月以上も青陵殿に閉じ込められることになったヨシュアはすぐにでも動きたそうにしていたが、呪術師に狙われた経験もあって龍王の言う通り大人しくしてくれていた。

 ヨシュアが記憶がない間も体は交わしていたが、躊躇いがちにだったし、週に一度程度で遠慮もしていた。
 政務を終えて青陵殿に戻ってきた龍王がヨシュアに抱き着いて押し倒そうとするのを、ヨシュアが片手で龍王を抑えて止める。

「夕餉が先だ。湯あみもしないと」
「ヨシュアが足りないのです。ヨシュアに触れたい」
「おれに記憶がない間にちょっと痩せただろ? 食べないとだめだ」

 心配で食が細くなっていたのもお見通しで龍王は黙るしかない。
 夕餉が準備されて食べ始めると、ヨシュアが龍王の皿にあれもこれもと取り分けてくれる。取り分けられるのも久しぶりで龍王は大人しく食べていた。
 貝柱と青菜をあんかけで煮たものも、具材と炊いたもち米も、卵と茸の汁も、海老の甘辛煮も、豚肉を甘辛く煮たものも全部美味しい。黙々と食べるヨシュアもいつも通りだが、それが安心する。

「ヨシュアの記憶がなくなって、わたしとヨシュアが積み上げてきたものがなくなったようでつらかったのです。でも、ヨシュアは動揺せずにわたしを受け入れてくれたから、記憶がもし万が一戻らなくても、また同じ十年をすごす覚悟ができました」
「そんなことを思わせて悪かった。今後はもっと気を付けるようにするよ」
「ヨシュアは何も悪くないのです。悪いのはヨシュアに呪術師をけしかけた元グドリャナ王国です」

 そのグドリャナ王国も、協力していたと思われるジルキン王国も、戦争が起き、内乱が勃発して易姓革命となって、上層部は処刑されて、今は国の立て直しが行われている。

「グドリャナ王国はバザロフ王国に、ジルキン王国はラーピン王国に変わるそうです」
「変わったところでこれから十年は志龍王国に入国禁止だ」

 王朝が代替わりしても、龍王はそれだけでは二国を許さなかった。
 二国には今後十年、志龍王国に入国禁止を言い渡してあった。
 食糧支援は続けるので、それくらいの罰で済んでよかったと思ってほしいものだ。本当ならば二国が滅びるまで国交断絶というのも龍王は考えていた。瘦せた土地しか持たない二国は、志龍王国からの食糧支援が途絶えれば国民は飢えて死んでいくしかない。死ぬ前に国民は国を逃げ出して、守るべき国民を失った王朝は消え失せるだけだっただろうが。

「ヨシュアが言ったからそれくらいの罰で許したのです」
「星宇には王配を寵愛するあまり他国を滅ぼすような王になってほしくなかった」

 龍王は即位から三百年になるまで志龍王国を治め、その後にヨシュアと二人で旅に出ると決めていた。決められた三百年までにはまだ二百八十五年もある。それだけの長い期間を王として生きるのだから、慈悲の心を持ってほしいというヨシュアの気持ちも当然だった。
 二国の上層部は腐っていたかもしれないが、国民は無関係だ。無関係の国民まで苦しめることをヨシュアはよしとしなかった。

 それを龍王のためというのだから、ヨシュアの男気に龍王は惚れ直す。他の誰のためでもなく龍王の評価が地に落ちないようにヨシュアは気を配ってくれている。

 夕餉を食べ終わると龍王とヨシュアは湯殿に行った。
 宝石や刺繍で飾られた衣装を脱ぎ、裸になると、ヨシュアも脱いで裸になっている。血管が透けるような白い肌に淡い色合いの胸の飾りがぽつりと色づいていて、それだけで龍王は下半身に高ぶりを覚える。
 すぐにでも押し倒したい気持ちを抑えていると、ヨシュアが龍王の髪を洗ってくれる。まっすぐな黒髪は降ろすと背中まであって、泡立てるのも大変そうだが、ヨシュアは手際よく洗ってくれた。
 下半身が反応しているのは見られているのでもう気にしないが、ヨシュアの下半身を見ると色の薄い中心が力なく垂れていて、興奮は見られない。
 どちらかと言えばヨシュアは性欲が強い方ではない。龍王は龍族なのでどうしても性欲が強くなってしまうのだが、ヨシュアはそれを受け止めてくれているだけである。
 何度か聞いたが、前ではあまり達することがなくて、中で達しているというのだから男性としてのヨシュアはあまり役に立たないのだと龍王は理解していた。

 髪を洗ってもらって、ヨシュアの中心に手を伸ばそうとすると避けられる。

「星宇、そういうことはしなくていいから」
「ヨシュアは触られたくないのですか?」
「そこはおれにとっては必要な場所じゃないから」

 逆に膝の上に抱き上げられて中心を柔く握られてしまった。手でこすり上げられると、龍王の息が荒くなる。

「ヨシュア、触れたい……」
「いいよ」

 自分だけ高められるのを切なく思った龍王が熱い息を吐くと、体を回転させられてヨシュアと向かい合うようにして膝に抱かれる。胸に手を置いて柔らかな胸筋を揉み、胸の飾りに吸い付くと、ヨシュアも甘い声を上げる。

「ふっ……星宇……」
「あぁっ! ヨシュア! 出るっ!」

 先端に甘く爪を立てられて龍王はあっけなく吐精していた。どくどくと吐き出された白濁がヨシュアの腹と胸を汚す。どろりと白濁が流れ落ちる白い肌に龍王は興奮を覚えていた。

 湯で体を流してヨシュアと龍王は湯船に入って息を整える。湯船の中に入ってもヨシュアに抱き着いて離れられないのは、龍王がようやくヨシュアが記憶を取り戻してくれた安堵感があってのことだった。

「ヨシュア、愛しています」
「おれも愛しているよ、星宇」

 やっと聞くことのできた、「おれ」という一人称で、敬語もなく返される愛の言葉。
 ヨシュアの首に腕を回して龍王はその肩口に顔を埋めて感動していた。

 寝間着に着替えてヨシュアの部屋に戻ると、ヨシュアがひと払いをしてイザークとシオンだけを部屋に残らせた。寝台に上がって、天幕も閉めてしまうと、薄暗い中ヨシュアが結界の魔術を使って音も姿も寝台の外側には伝わらないようにする。
 口付けを交わしながらヨシュアを寝台の上に押し倒した龍王は、ヨシュアの白い体に口付けを落としていく。
 首筋に、鎖骨に、胸に、腹筋に、太ももに。
 少し吸い上げただけで赤い痕が残るヨシュアの体は、征服欲を掻き立てる。
 足を広げさせて、何度もの性交でぷっくりとして完全に性器になっている後ろに舌を這わせようとすると、頭を押さえられて止められた。

「そこはだめだ。汚い」
「ヨシュアの体に汚いところなんてありません。さっき湯殿できれいに洗ってくれていたでしょう?」
「だめだ。そこを舐めるなら、続きはしない」

 許されていることがあまりにも少なすぎる。
 龍王はヨシュアの体ならどこにでも触りたいし、舐めたいのだが、ヨシュアは自分の性器に触れさせることを嫌がるし、後孔は舐めさせてもらえない。
 舌で舐め溶かしてそこを拡げていくのも悪くはないと思うのに、ヨシュアは体をずり上げてそこに触れさせない体勢になった。

 こうなると龍王ではどうしようもなくなる。
 龍王も龍族なので力は強いのだが、鍛え上げているヨシュアには敵わないのだ。抵抗されてしまうとそれ以上進めなくなる。

「分かりました。それは今回は我慢します」

 いつかはやり遂げてみせるが。

 とりあえずは諦めて香油を垂らした指をヨシュアの後孔に触れさせると、それは受け入れてくれる。手の平で温められた香油の甘い匂いが寝台に広がって、ヨシュアの匂いと混じって龍王を高ぶらせる。
 慎重に指を増やしていくと、ヨシュアが龍王の指に添えて自分の指を後孔に差し込む。

「はっ……あぁっ!」
「ヨシュア……」
「そんなに丁寧にしなくても、おれは壊れないよ?」

 くすりと笑われて指を引き抜いたヨシュアが龍王を両腕を開いて招く。

「もういいよ、おいで?」

 この「おいで」と言われるのがどれだけ龍王を興奮させるのかヨシュアは知っているのだろうか。
 ぐっと腰を進めると先端部分はきつくなかなか入らなかったが、一番太いところを超えると後はゆっくりとヨシュアの中に包まれていく。
 龍王の中心もかなりの質量と長さがあるので、全部納めるとヨシュアの奥にこつんと当たる。
 息を整えていると、龍王の額から顎を伝って、汗が一筋ヨシュアの胸に落ちた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...