龍王陛下は最強魔術師の王配を溺愛する

秋月真鳥

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五章 在位百周年

20.二人きりで結婚記念日のやり直しを

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 龍王とヨシュアは青陵殿の寝台の上で、部屋には魔術騎士二人だけを護衛に置いて、結界の魔術を張って、厳重に音も姿も漏れないようにしてからしか体を交わしたことはない。
 湯殿で口付けたり、体に触れたり、じゃれ合うことはあるのだが、最終的な一線は超えない。
 ヨシュアとしては護衛に見られるのも、侍従に見られるのも、声を聞かれるのも、王族としては仕方がないことだという諦めがあるが、龍王はそうではないのだ。龍王と初めて体を交わすときにも、控えているものに声が漏れないように、姿が見えないようにするためにはどうすればいいか、ラバン王国の国王であるマシューに相談したくらいなのである。

 元々龍王は毒見をされた食事はあまり食べられなかったり、警護の兵士がいるとよく眠れなかったり、王族として生きるにはかなり生きづらい性質だった。
 閨でもその精神は発揮されて、ヨシュアと体を交わしている間は絶対に見られたくない、声も聞かれたくないという信念を貫き通していた。
 それなのに、巡行に出向いたときに湯殿でヨシュアが手や口で龍王を慰めるのは平気なのだから基準がよく分からない。

 それでも、龍王なりのこだわりがあるらしかった。

 結婚百周年の宴が終わって、何もせずに眠った翌朝、日が昇る前に起きて来た龍王とヨシュアは水の加護の祈りを捧げた。
 椅子に二人で座って毎朝水の加護の祈りを捧げるのだが、その日は祈りが終わると龍王はヨシュアの膝の上に跨ってきて、ヨシュアに口付けた。軽い触れ合うだけの口付けではなくて、深い舌を絡ませる口付けにヨシュアは龍王の胸を軽く押して抵抗する。

「ヨシュア……寝台に戻りましょう」
「星宇、んっ……待って。朝餉が終わってからにしよう」
「待てません。昨日はヨシュアを抱かないで眠ってしまったんですから」
「星宇、落ち着いて。腹が減ってはなんとやらって言うだろ?」

 空腹のまま行為に入りたくなくて自己主張するヨシュアに、龍王は渋々膝から降りて横に座って朝餉を運び込ませた。
 朝餉はいつも粥を食べている。様々なもので出汁を取った粥には、海鮮が入っていたり、野菜が刻み込まれていたり、鶏肉が解して入れてあったりして、毎日味が工夫されていて飽きることがない。
 刻んだ搾菜ザーサイを入れたり、漬物を入れたり、揚げパンを入れたりすることで、味や食感にも変化が出てまた楽しい。

 朝餉を終えると、ギデオンに茶を入れてもらって一休みして、歯磨きをしてから寝台に戻る。
 龍王が求めているのならば、執務が休みならばヨシュアは朝からでも抱かれることには抵抗はなかった。

 部屋にはアイザックとイザヤだけを護衛として残して、他のものは退出してもらって、寝台の天蓋の幕を閉めて寝台の中に結界の魔術をかける。これで外に姿が見えなくなったし、音も聞こえなくなったはずだ。

 入念にヨシュアが結界を張っている間も、龍王の手はヨシュアの肌を這い、寝間着を脱がしていく。
 首筋に吸い付かれて、鎖骨を甘噛みされて、胸を揉まれて、ヨシュアは龍王の髪に指を差し入れる。
 胸の飾りを舌で突かれて、舐められて、座れると、じんと痺れるような快感が下腹にまで伝わってくる。
 執拗に胸に触れて来る龍王に、ヨシュアは寝間着の上から龍王の中心を柔く握った。もう兆しているそこは、寝間着が窮屈なほどに大きくなっている。

「星宇、脱いで?」
「ヨシュアも脱いでください」

 中途半端に脱がされた寝間着を脱ぎ捨て、下着も脱ぐと、龍王も寝間着と下着を脱ぎ捨てていた。下着を脱ぐとそそり立つ中心が先端から雫を零しているのが分かる。

「星宇、膝立ちになって?」
「はい?」

 促されて不思議そうに膝立ちになった龍王に、ヨシュアは胸の肉を手で寄せて龍王の中心を挟み込んだ。胸から飛び出す先端に舌を這わせながらずりずりと胸の肉で中心を扱き上げると、龍王が興奮してきているのが分かる。

 龍の本性になったときに、中に入れるのはどうしても無理だったので、胸にこすりつけて慰めたことがあったが、人間の姿でも龍王はそれをされるのはかなり好きなようだった。ヨシュアが胸の肉で扱くだけでなく、龍王も無意識だろうが腰を動かしてヨシュアの胸に中心をこすり付けている。
 胸の間から先端が出てくるたびに舌で愛撫しながらこすり上げていくと、龍王の中心が弾けそうなくらい質量を増してくる。

「ヨシュア……中で出したい、です」

 限界が近いのだろう。息を詰めて言う龍王に、ヨシュアは中心を胸から解放して、後孔に指を這わせた。香油を垂らして指を中に飲み込ませると、龍王がヨシュアの体を倒してくる。
 抵抗せずに布団に倒れると、龍王がヨシュアの脚の間に顔を挟んできた。

「星宇、ダメだ。汚い」
「ヨシュアはいつもきれいにしてくれているでしょう? ヨシュアに汚いところなんてありません」

 石鹸でも洗っているし、魔術でも清潔にしているのだが、その場所はどうしても排泄孔ということもあって汚い印象が拭えない。
 臀部の肉をかき分けて、舌を伸ばしてそこに触れようとする龍王の頭を押さえて抵抗すると、龍王が不満そうに眉根を寄せる。

「ヨシュアはわたしのものを舐めるし、口にも含むのに、どうしてわたしはヨシュアのここを舐めてはいけないのですか?」
「それとこれとは話が別だ」
「結婚して百年も経つではないですか。もうそろそろヨシュアはわたしに体の全てを預けてくれてもいいのではないですか?」

 拗ねるように言われてヨシュアは言葉に詰まってしまう。
 どちらかといえば性行為はヨシュアが主導になって行うことが多かった。後孔を慣らすのも、龍王がやりたがったら任せるが、基本的にはヨシュアが自分でやっている。龍王の手を煩わせたくないという気持ちもあったし、龍王には気持ちのいいことだけをさせてやりたいという年上の配慮のようなものもあったかもしれない。
 それに関して龍王がずっと不満に思っていたのならば、ヨシュアも態度を改めた方がいいのかもしれない。

「分かったよ。でも、前の方は触れてほしくない」

 妖精という種族で性欲が非常に薄いヨシュアの中心はほとんど反応しない。反応しない中心を触られるのはあまり好きではないので、それは辞退したが、ヨシュアは龍王の好きにさせることにした。

 拗ねた顔を一瞬で喜色に染めて、足の間に顔を寄せた龍王が後孔に舌を這わせる。ぬるりと舌が入ってくる感覚に、ヨシュアは脚を広げたまま、龍王の顔を挟み込んでしまわないように耐える。

 ぬくぬくと舌を出し入れする龍王はヨシュアの後孔に、舌と指を差し入れて拡げていった。
 生暖かい舌が出入りする感覚は、初めてのもので、ヨシュアは龍王の舌と指を締め付けてしまう。

「んっ……星宇、もういいから」
「もうすこし」

 唾液と香油が混じって滑るそこに舌をぎりぎりまで伸ばして差し込んで、龍王は満足した顔でやっとヨシュアを解放した。

 舌と指で拓かれたそこに、龍王のそそり立つ先端が宛がわれる。昨日は交わっていないので、その分龍王は溜まっている様子だった。
 ゆっくりと内壁を擦りながら中に挿入されて、ヨシュアは龍王の中心を強く締め付ける。

「ふぁっ……ヨシュア、きつい……」
「星宇、出していいよ?」
「くっ……」

 必死に耐えながら奥まで突き入れた龍王が、息を整えている。龍王の額からこぼれた汗が、ヨシュアの胸に落ちて砕けた。

「ヨシュア、愛しています」
「おれも愛してるよ、星宇」

 口付けを交わしながら龍王がゆっくりと動き出す。
 奥まで突かれて龍王を締め付けるヨシュアに、龍王は何度かヨシュアの中を貪り、最奥に精を吐き出した。
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