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第三章 結婚に向けて
29.女王の提案
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結婚などの式典は、身分の高いものを優先して、低いものがその後になる因習があった。女王のローズとリュリュ、セイリュウ領のサナとレンの結婚の時期は重なっていたので、ローズとリュリュの結婚式が終わるまで、サナとレンは結婚を控えて待っていた。
ツムギとイサギは双子なので同じ日に18歳になって、成人する。当然、女王のダリアと結婚するツムギが優先されて、テンロウ領の領主の息子のエドヴァルドとセイリュウ領の領主の従弟のイサギは結婚を待たねばならないはずだった。
結婚資金はマンドラゴラの品評会で稼いでいたので、自分たちで結婚式を開く予定だったイサギとエドヴァルドに、ローズとダリアの双子の姉妹から相談があったのは、年の始めのエドヴァルドの誕生日の頃だった。
結婚には準備期間がいるので、手配を始めようとしていたエドヴァルドとイサギに、ローズとダリアは提案してくれた。
「イサギはリュリュの命の恩人で、ラウリの命の恩人でもある」
「ツムギ様のお兄様でもありますから、結婚式は合同で致しませんか?」
一国の女王と結婚式を合同でできるなど、イサギは予想してもいなかった。
双子なので誕生日は同じ。同じ日に結婚できるのならばそれ以上に嬉しいことはないし、招かれる賓客の中に入っているのはセイリュウ領、テンロウ領、コウエン領の領主と、モウコ領は次期領主夫妻で、イサギとエドヴァルドの招きたいひとたちと重なってもいる。
「女王はんと合同結婚式やなんて、ええんですやろか?」
「私とダリア女王従兄妹同士ですし、イサギさんとツムギさんは双子の兄妹ですし、順当ではないかと思われますよ」
「わたくしの我が儘でもあるのです。ツムギさんが孤立しないように」
女性同士で結婚するダリアとツムギは、後ろ指さされることがあるかもしれない。陰口程度は覚悟しているだろうが、一人で結婚式に臨むよりも、イサギが一緒の方がツムギも心強いし、イサギの方もツムギが一緒でダリア女王とローズ女王に認められての結婚式だと示せるほうが心強い。
「それでええやろか?」
「私は構わないと思います」
「ほな、よろしくお願いします」
頭を下げて、イサギはエドヴァルドとセイリュウ領に戻った。待っていたナホに、王都で結婚式を挙げると告げると、青い目を見開いて驚く。
「わたし、もらったワンピースがもうはいらないんだけど、なにをきたらいい?」
「ナホさんと、イサギさんと、私で、お揃いで衣装を誂えに行きましょう」
「ナホちゃん、センスいいから、選んでくれるか?」
ナホはまだ成長するかもしれないので、大きめのサイズで採寸をして、デザインを選んでいると、もじもじとナホがシャツの裾を揉んでいるのに気付いた。こういうときは言いたいことがあるのだと分かっているので、話し出すまで待つ。
「ドレスじゃなくて、おズボンでもいい?」
「俺たちみたいな恰好がしたいんか?」
「ツムギさんも、おズボンだってきいたの」
可愛いふわふわのドレスよりも、スーツのようなかっちりとした格好をしたいというナホの気持ちを尊重して、ハーフパンツのナホの身体に合ったスーツを誂えてもらうことにした。
かっこいいだけでなく、可愛さもあるチェックのスーツを選ぶと、ナホの表情が明るくなる。本当に着たいものを着て、イサギとエドヴァルドの結婚式に出られるのが嬉しいようだ。
「イサギおとうちゃんは、このいろ」
「シャンパンピンク!? 可愛い色やなぁ。俺に似合うやろか」
「エドおとうさんは、こっち」
「ミッドナイトブルーですね」
布を合わせてみると、真っ白ではなくほんのりと光沢のあるピンク色のタキシードは、イサギの茶色の髪と目を明るく見せた。ミッドナイトブルーのタキシードは、エドヴァルドの長身を締まって見せる。
「かっこええ……」
「イサギさんも素敵ですよ」
衣装が決まると、サイズを合わせて何度か仮縫いに行かなければいけなかった。
魔術学校では春からイサギは5年生になる。卒業の年は6年生なのでまだ一年以上あるが、成績は優秀で、ラウリの命を救った件で実力も認められていた。
「王都ではもっと細かな研究過程まで勉強できるけれど、イサギは行かないの?」
研究過程は更に2年から6年勉強することになる。研究過程を終えているクリスティアンは、イサギに進学を勧めたが、どうしてもエドヴァルドとナホを置いて王都で勉強する気にはならなかった。
「俺はセイリュウ領で暮らしたい。魔術学校を出たら、サナちゃんの御屋敷で正式に薬草学者として雇ってもらうわ」
畑の管理人として雇ってもらっているよりも給料も高くなるし、研究のために畑を使うことも薬剤を使うことも許される身分になる。そうなればできることも多くなるし、セイリュウ領の他の薬草畑の管理にも口出しすることができるようになる。
セイリュウ領の役人として働くことがイサギの望みで、王都で更なる研究を進めることも、王宮に使えることも、考えてはいなかった。
「それがイサギさんのやりたいことなら、私は応援するだけです」
「兄さんが結婚したら、次は僕の番だよ」
「ジェーンさんはプロポーズを受けてくれたのですか?」
プロポーズに関して、テンロウ領の両親に話を通して地盤は固めていたのに、本人に何も言わなくて受けてもらえなかった大失態を犯したクリスティアンだったが、その後根気強く口説き続けて、遂に了承を得た。
テンロウ領の兄弟も順番に結婚することになるようだ。
結婚式までの準備期間も学校は変わらずあるので、通っているイサギに、ヨータとマユリとジュドーが「少し早いけれど」とお祝いをくれた。女王と合同の結婚式なので、残念ながらヨータもマユリもジュドーも結婚式に招くことができない。
「全員で作ったアクセサリーケースや」
「イサギくんは魔術具を身に着けとるっちゃろ。寝るときには外すやろうけん」
「エドさんのとお揃いよ」
木の枠にガラスがはめ込んであって、中身が見えるアクセサリーケースは、魔術がかけられていることが一目で分かった。持ち主以外が開けられない、持ち出せないようになっている。
「こんなすごいの、ええんか?」
「俺が枠を作ったんや」
「それに、俺がガラスを嵌めて、装飾を施した」
「私が魔術をかけたの。すごく難しかったけど、勉強になったわ」
手作りのアクセサリーケースは心がこもっていて、嬉しい結婚祝いだった。結婚してもまだ一年は学校に通わなければいけないのは変わらない。
「卒業したら、俺は魔法騎士団に入団するから、卒業まではしっかり勉強教えてや」
「俺は、レン様の工房で働かんかって言われとるとよ。ちょっと早いけど、内定が出てる状態かな」
「私は、実家の近所の薬草畑で働くんだからね!」
卒業しても、魔法騎士団に入るヨータとレンの工房で働くジュドーとは頻繁に領主のお屋敷で会えそうだし、マユリに関しては、領主の管轄の薬草畑を任されることになれば、上司と部下になる。
王都でのことがあって多少自信はつけたが、根本が臆病なイサギからしてみれば、知り合いがそばにいるのは心強かった。
「そのためにも、ヨータをしっかり卒業させなあかんな」
「それが一番の問題よね」
「落第して俺らがいなくなったら、ヨータ卒業できると思えんけんね」
「なんか、俺の評価が酷いけど、よろしくねっ!」
マユリとジュドーと真剣にヨータを卒業させることを考えてしまうイサギだった。彼らのおかげで、イサギもツムギがいなくても学校に通えた。残りの一年以上も、問題なくやっていけそうである。
友達ができる未来など考えたことはなかったが、できてみるといない未来はもう考えられない。
「エドさん、ただいまー! ナホちゃん、良い子にしてたかー? 悪い子でも可愛いけど」
「いいこにしてたわよっ!」
衣装が出来上がる日で、家で待っていてくれたエドヴァルドとナホの元に帰ると、ナホが飛び付いてくる。抱き上げたナホは重くなっていたが、エドヴァルドがふとイサギと並んだ。
「イサギさん、背が伸びましたね」
「え? そうやろか?」
「ほら、私と15センチくらいしか変わらないんじゃないですか?」
並んで玄関の姿見に映してみれば、再会した頃はエドヴァルドの肩くらいまでしかなかった背丈が、頭半分程度の差に縮まっている。
「もしかして、俺から、キスが、できる!?」
「イサギさんったら、ナホさんが聞いてますよ?」
「けっこんするんだから、キスしてもいいんじゃないの?」
「な、ナホちゃん! そんな、恥ずかしい!」
真っ赤になって座り込んだイサギを、ナホは撫でてくれていた。
シャンパンピンクのタキシードには狼の横顔の付いた青いカフスボタン、ミッドナイトブルーのタキシードには同じカメオのラペルピン。
結婚の準備は滞りなく進んでいた。
ツムギとイサギは双子なので同じ日に18歳になって、成人する。当然、女王のダリアと結婚するツムギが優先されて、テンロウ領の領主の息子のエドヴァルドとセイリュウ領の領主の従弟のイサギは結婚を待たねばならないはずだった。
結婚資金はマンドラゴラの品評会で稼いでいたので、自分たちで結婚式を開く予定だったイサギとエドヴァルドに、ローズとダリアの双子の姉妹から相談があったのは、年の始めのエドヴァルドの誕生日の頃だった。
結婚には準備期間がいるので、手配を始めようとしていたエドヴァルドとイサギに、ローズとダリアは提案してくれた。
「イサギはリュリュの命の恩人で、ラウリの命の恩人でもある」
「ツムギ様のお兄様でもありますから、結婚式は合同で致しませんか?」
一国の女王と結婚式を合同でできるなど、イサギは予想してもいなかった。
双子なので誕生日は同じ。同じ日に結婚できるのならばそれ以上に嬉しいことはないし、招かれる賓客の中に入っているのはセイリュウ領、テンロウ領、コウエン領の領主と、モウコ領は次期領主夫妻で、イサギとエドヴァルドの招きたいひとたちと重なってもいる。
「女王はんと合同結婚式やなんて、ええんですやろか?」
「私とダリア女王従兄妹同士ですし、イサギさんとツムギさんは双子の兄妹ですし、順当ではないかと思われますよ」
「わたくしの我が儘でもあるのです。ツムギさんが孤立しないように」
女性同士で結婚するダリアとツムギは、後ろ指さされることがあるかもしれない。陰口程度は覚悟しているだろうが、一人で結婚式に臨むよりも、イサギが一緒の方がツムギも心強いし、イサギの方もツムギが一緒でダリア女王とローズ女王に認められての結婚式だと示せるほうが心強い。
「それでええやろか?」
「私は構わないと思います」
「ほな、よろしくお願いします」
頭を下げて、イサギはエドヴァルドとセイリュウ領に戻った。待っていたナホに、王都で結婚式を挙げると告げると、青い目を見開いて驚く。
「わたし、もらったワンピースがもうはいらないんだけど、なにをきたらいい?」
「ナホさんと、イサギさんと、私で、お揃いで衣装を誂えに行きましょう」
「ナホちゃん、センスいいから、選んでくれるか?」
ナホはまだ成長するかもしれないので、大きめのサイズで採寸をして、デザインを選んでいると、もじもじとナホがシャツの裾を揉んでいるのに気付いた。こういうときは言いたいことがあるのだと分かっているので、話し出すまで待つ。
「ドレスじゃなくて、おズボンでもいい?」
「俺たちみたいな恰好がしたいんか?」
「ツムギさんも、おズボンだってきいたの」
可愛いふわふわのドレスよりも、スーツのようなかっちりとした格好をしたいというナホの気持ちを尊重して、ハーフパンツのナホの身体に合ったスーツを誂えてもらうことにした。
かっこいいだけでなく、可愛さもあるチェックのスーツを選ぶと、ナホの表情が明るくなる。本当に着たいものを着て、イサギとエドヴァルドの結婚式に出られるのが嬉しいようだ。
「イサギおとうちゃんは、このいろ」
「シャンパンピンク!? 可愛い色やなぁ。俺に似合うやろか」
「エドおとうさんは、こっち」
「ミッドナイトブルーですね」
布を合わせてみると、真っ白ではなくほんのりと光沢のあるピンク色のタキシードは、イサギの茶色の髪と目を明るく見せた。ミッドナイトブルーのタキシードは、エドヴァルドの長身を締まって見せる。
「かっこええ……」
「イサギさんも素敵ですよ」
衣装が決まると、サイズを合わせて何度か仮縫いに行かなければいけなかった。
魔術学校では春からイサギは5年生になる。卒業の年は6年生なのでまだ一年以上あるが、成績は優秀で、ラウリの命を救った件で実力も認められていた。
「王都ではもっと細かな研究過程まで勉強できるけれど、イサギは行かないの?」
研究過程は更に2年から6年勉強することになる。研究過程を終えているクリスティアンは、イサギに進学を勧めたが、どうしてもエドヴァルドとナホを置いて王都で勉強する気にはならなかった。
「俺はセイリュウ領で暮らしたい。魔術学校を出たら、サナちゃんの御屋敷で正式に薬草学者として雇ってもらうわ」
畑の管理人として雇ってもらっているよりも給料も高くなるし、研究のために畑を使うことも薬剤を使うことも許される身分になる。そうなればできることも多くなるし、セイリュウ領の他の薬草畑の管理にも口出しすることができるようになる。
セイリュウ領の役人として働くことがイサギの望みで、王都で更なる研究を進めることも、王宮に使えることも、考えてはいなかった。
「それがイサギさんのやりたいことなら、私は応援するだけです」
「兄さんが結婚したら、次は僕の番だよ」
「ジェーンさんはプロポーズを受けてくれたのですか?」
プロポーズに関して、テンロウ領の両親に話を通して地盤は固めていたのに、本人に何も言わなくて受けてもらえなかった大失態を犯したクリスティアンだったが、その後根気強く口説き続けて、遂に了承を得た。
テンロウ領の兄弟も順番に結婚することになるようだ。
結婚式までの準備期間も学校は変わらずあるので、通っているイサギに、ヨータとマユリとジュドーが「少し早いけれど」とお祝いをくれた。女王と合同の結婚式なので、残念ながらヨータもマユリもジュドーも結婚式に招くことができない。
「全員で作ったアクセサリーケースや」
「イサギくんは魔術具を身に着けとるっちゃろ。寝るときには外すやろうけん」
「エドさんのとお揃いよ」
木の枠にガラスがはめ込んであって、中身が見えるアクセサリーケースは、魔術がかけられていることが一目で分かった。持ち主以外が開けられない、持ち出せないようになっている。
「こんなすごいの、ええんか?」
「俺が枠を作ったんや」
「それに、俺がガラスを嵌めて、装飾を施した」
「私が魔術をかけたの。すごく難しかったけど、勉強になったわ」
手作りのアクセサリーケースは心がこもっていて、嬉しい結婚祝いだった。結婚してもまだ一年は学校に通わなければいけないのは変わらない。
「卒業したら、俺は魔法騎士団に入団するから、卒業まではしっかり勉強教えてや」
「俺は、レン様の工房で働かんかって言われとるとよ。ちょっと早いけど、内定が出てる状態かな」
「私は、実家の近所の薬草畑で働くんだからね!」
卒業しても、魔法騎士団に入るヨータとレンの工房で働くジュドーとは頻繁に領主のお屋敷で会えそうだし、マユリに関しては、領主の管轄の薬草畑を任されることになれば、上司と部下になる。
王都でのことがあって多少自信はつけたが、根本が臆病なイサギからしてみれば、知り合いがそばにいるのは心強かった。
「そのためにも、ヨータをしっかり卒業させなあかんな」
「それが一番の問題よね」
「落第して俺らがいなくなったら、ヨータ卒業できると思えんけんね」
「なんか、俺の評価が酷いけど、よろしくねっ!」
マユリとジュドーと真剣にヨータを卒業させることを考えてしまうイサギだった。彼らのおかげで、イサギもツムギがいなくても学校に通えた。残りの一年以上も、問題なくやっていけそうである。
友達ができる未来など考えたことはなかったが、できてみるといない未来はもう考えられない。
「エドさん、ただいまー! ナホちゃん、良い子にしてたかー? 悪い子でも可愛いけど」
「いいこにしてたわよっ!」
衣装が出来上がる日で、家で待っていてくれたエドヴァルドとナホの元に帰ると、ナホが飛び付いてくる。抱き上げたナホは重くなっていたが、エドヴァルドがふとイサギと並んだ。
「イサギさん、背が伸びましたね」
「え? そうやろか?」
「ほら、私と15センチくらいしか変わらないんじゃないですか?」
並んで玄関の姿見に映してみれば、再会した頃はエドヴァルドの肩くらいまでしかなかった背丈が、頭半分程度の差に縮まっている。
「もしかして、俺から、キスが、できる!?」
「イサギさんったら、ナホさんが聞いてますよ?」
「けっこんするんだから、キスしてもいいんじゃないの?」
「な、ナホちゃん! そんな、恥ずかしい!」
真っ赤になって座り込んだイサギを、ナホは撫でてくれていた。
シャンパンピンクのタキシードには狼の横顔の付いた青いカフスボタン、ミッドナイトブルーのタキシードには同じカメオのラペルピン。
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