12 / 47
一章 セラフィナ誕生
12.アルベルトの誕生日とリヴィアとのお茶会
しおりを挟む
ラファエルお兄様のお誕生日のお茶会から、アルベルト様には会えずにいる。アルベルト様もお誕生日なのでお茶会の準備をしていて、当然そのお茶会にはわたくしは参加できないのだった。
アルベルト様の十二歳を祝いたい。
アルベルト様が生まれた日をわたくしがベルンハルト公爵家にお仕えするようになってから、毎年祝っていた。
お茶会は開かれるのだが、アルベルト様はそういう場を煩わしいと思っていたようで、後日わたくしとお茶の時間に祝うのが毎年恒例になっていた。
アルベルト様に差し上げられるようなプレゼントは持っていなかったので、わたくしは庭師に頼んで花束を作ってもらった。庭師は毎年春薔薇を用意してくれて、アルベルト様はそれをとても喜んでくれた。
アルベルト様のお誕生日のお茶会が終わってから、わたくしはやっとアルベルト様に会えるようになった。その日、わたくしは乳母の手を引っ張っていた。
「おとと、いくー!」
「セラフィナ殿下、お散歩に行きたいのですね。お着替えをして、帽子をかぶって参りましょう」
「あい!」
わたくしの外に行きたい気持ちは通じたようだ。
次は花の確保だったが、わたくしが庭に出ても庭師を見つけることができない。わたくしは乳母に身振り手振りを加えて説明した。
「おはな、ほちー! おはな、ちょきちょき!」
「花を切ってほしいのですか? 茎が少し危ないかもしれません」
「ほちーの!」
一生懸命説明すると、乳母も理解してくれたようだった。
庭師を呼んで命じる。
「セラフィナ殿下が持てる花で、持ったまま転んでも危なくないものを切ってください」
「心得ました」
庭師が切ってくれたのはネモフィラの花だった。きれいな青い色でわたくしは嬉しくなる。
「かーいーねー」
「セラフィナ殿下がこんなにもお喋りをしている! 皇帝陛下と皇后陛下とラファエル殿下にお伝えしないと!」
乳母はわたくしの話したことを記録していたようだった。
わたくしはネモフィラの花を握って離さず、ずっと持っていた。少し萎れてきてしまったが、手を放すと花瓶に入れられてわたくしの手の届かないところに置かれてしまいそうなので、必死で持っていた。
アルベルト様とユリウス様とラファエルお兄様がやってくると、わたくしはアルベルト様に駆け寄って少し萎れたネモフィラの花を差し出した。
「アルたま、おめめと」
「わたしにですか?」
「アルベルトの誕生日のお茶会に行けないって話をしていたから、アルベルトが誕生日だということを覚えていたんじゃないか。さすがセラフィナ、賢いな」
一歳七か月にしては賢すぎるかもしれないと思っていたが、アルベルト様にお花をプレゼントしたい気持ちは我慢できなかったので、わたくしはアルベルト様に怪しまれようともお花は手渡した。
「亡くなったわたしのメイドが、毎年花をプレゼントしてくれて……それを思い出しました。ありがとうございます、セラフィナ殿下」
クラリッサのことを思い出させて悲しい気持ちにさせてしまうかもしれないとも思ったが、アルベルト様は少し萎れたネモフィラの花を持って微笑んでいた。クラリッサのことはアルベルト様の中で整理がついたのだろうか。
わたくしは最近、よく考えるようになった。
わたくしはもうクラリッサには戻れない。
わたくしはいつまでもクラリッサだったころのことを思い出して、振り返って、後悔していてはいけないのではないだろうか。
お父様もお母様もラファエルお兄様も、わたくしをかわいがってくれている。溺愛していると言っても過言ではない。それは、わたくしが皇女セラフィナであるからだ。
わたくしはクラリッサだったころのことを忘れて、皇女セラフィナとして生きていかなければいけないのではないだろうか。
アルベルト様のことは気にかけているが、それもクラリッサとしてではなく、皇女セラフィナとしてできることをやっていった方がいいのではないか。
わたくしはこれまで前世を振り返りすぎていたのかもしれない。
今の幸福を受け止められていなかったのかもしれない。
わたくしはお父様とお母様とラファエルお兄様の愛情に感謝して、皇女セラフィナとしての人生を歩んでいくべきなのかもしれないと思い始めていた。
そのためにも、わたくしには友人が必要だ。
アルマンドール公爵家とのお茶会の日は、近付いて来ていた。
アルマンドール公爵家とのお茶会の日、わたくしは動きやすいワンピース姿でレギンスをはいてティールームに行った。
アルマンドール公爵家の一家は揃っていた。
「娘のアンリエットと、息子のニコと、娘のリヴィアです」
「初めまして、ニコです」
「はじまめちて」
アルマンドール公爵に紹介されて、初対面のニコ様とリヴィア嬢が挨拶をする。
リヴィア嬢はアンリエット嬢が言っていた通りに利発そうな幼女だった。
ニコ様は六歳くらいで、笑顔でわたくしを見ている。
「お姉様が言っていた、ラファエル殿下のお誕生日のお茶会で出会った愛らしい女の子とは、セラフィナ殿下だったのですね」
「そうなのですよ。リヴィアのお友達にぴったりだと思いませんか」
「リヴィアと並んだらとてもかわいいと思います」
ニコ様も兄バカのようだった。
わたくしは床の上に降ろされて、ティールームの端でリヴィア嬢と顔を会わせる。リヴィア嬢はわたくしを見た瞬間、にっこり笑って、わたくしの髪を撫でた。
「かーいーね」
その笑顔がものすごくかわいい。
アンリエット嬢と同じストロベリーブロンドの髪は少しふわふわしているが、それは幼児特有のものでもう少し大きくなれば真っすぐになるだろう。リヴィア嬢は目の色は明るい空色だった。
「かーいー」
「こえ、あげう」
「あいがちょ」
リヴィア嬢がわたくしに差し出したのはかわいいウサギのぬいぐるみだった。わたくしはぬいぐるみはクマしか持っていなかったので嬉しくて抱き締めてしまう。
「アルマンドール公爵領は縫製が盛んで、ぬいぐるみも作っているのですよ」
「とてもかわいいですね」
「セラフィナが喜んでいる。アルマンドール公爵、ありがとう」
「喜んでいただけたら幸いです」
お父様とアルマンドール公爵は微笑みながらわたくしたちを見ている。
積み木が用意されていたので、ルカ様のことを思い出して警戒しつつ近寄ると、リヴィア嬢は積み木を積み上げて、わたくしに手招きする。
「どーんちて、いーよー?」
「いーの?」
「あい!」
積み木を倒す許可を得たわたくしが積み木を倒すと、リヴィア嬢は楽しそうにきゃらきゃらと笑う。その笑い声もかわいくて、わたくしはリヴィア嬢に夢中になってしまいそうだった。
二歳になるとこれだけ遊べるようになるのかもしれない。リヴィア嬢が女の子だというのもよかったのかもしれない。
リヴィア嬢は絵本を差し出されても、破ることなく丁寧に扱って、アンリエット嬢に持って行っていた。
「ねぇね、ちて」
「はいはい、ねぇねが読みましょうね。セラフィナ殿下もご一緒にどうぞ」
「ここ、どーじょ」
リヴィア嬢が自分の横の絨毯の上をぽんぽんと叩いて招いてくれるのに、わたくしもリヴィア嬢と一緒に床に座って絵本を聞く。アンリエット嬢は絵本を読むのも上手だった。
絵本が終わると、リヴィア嬢は手を叩いて喜び、指を一本立てる。
「もっかい」
「もう一回読みますか」
「あい」
二歳の女の子はこんなにも穏やかなのか。
わたくしはリヴィア嬢と過ごすのが心地よかった。
わたくしがリヴィア嬢と打ち解けているのを見て、お父様とお母様はアルマンドール公爵夫妻に話を持ち掛けていた。
「セラフィナがもう少し大きくなったら、リヴィア嬢はぜひ学友に」
「お願いしますわ」
「そんな栄誉をいただけるとは」
「喜んでお受けいたします」
リヴィア嬢とは気が合いそうなので学友になれるのは嬉しいと思う。
絵本が終わると、わたくしとリヴィア嬢は席に戻されて、ほぼ牛乳の薄いミルクティーとお茶菓子を食べた。
セラフィナ、一歳七か月。
初めて友達ができた瞬間だった。
アルベルト様の十二歳を祝いたい。
アルベルト様が生まれた日をわたくしがベルンハルト公爵家にお仕えするようになってから、毎年祝っていた。
お茶会は開かれるのだが、アルベルト様はそういう場を煩わしいと思っていたようで、後日わたくしとお茶の時間に祝うのが毎年恒例になっていた。
アルベルト様に差し上げられるようなプレゼントは持っていなかったので、わたくしは庭師に頼んで花束を作ってもらった。庭師は毎年春薔薇を用意してくれて、アルベルト様はそれをとても喜んでくれた。
アルベルト様のお誕生日のお茶会が終わってから、わたくしはやっとアルベルト様に会えるようになった。その日、わたくしは乳母の手を引っ張っていた。
「おとと、いくー!」
「セラフィナ殿下、お散歩に行きたいのですね。お着替えをして、帽子をかぶって参りましょう」
「あい!」
わたくしの外に行きたい気持ちは通じたようだ。
次は花の確保だったが、わたくしが庭に出ても庭師を見つけることができない。わたくしは乳母に身振り手振りを加えて説明した。
「おはな、ほちー! おはな、ちょきちょき!」
「花を切ってほしいのですか? 茎が少し危ないかもしれません」
「ほちーの!」
一生懸命説明すると、乳母も理解してくれたようだった。
庭師を呼んで命じる。
「セラフィナ殿下が持てる花で、持ったまま転んでも危なくないものを切ってください」
「心得ました」
庭師が切ってくれたのはネモフィラの花だった。きれいな青い色でわたくしは嬉しくなる。
「かーいーねー」
「セラフィナ殿下がこんなにもお喋りをしている! 皇帝陛下と皇后陛下とラファエル殿下にお伝えしないと!」
乳母はわたくしの話したことを記録していたようだった。
わたくしはネモフィラの花を握って離さず、ずっと持っていた。少し萎れてきてしまったが、手を放すと花瓶に入れられてわたくしの手の届かないところに置かれてしまいそうなので、必死で持っていた。
アルベルト様とユリウス様とラファエルお兄様がやってくると、わたくしはアルベルト様に駆け寄って少し萎れたネモフィラの花を差し出した。
「アルたま、おめめと」
「わたしにですか?」
「アルベルトの誕生日のお茶会に行けないって話をしていたから、アルベルトが誕生日だということを覚えていたんじゃないか。さすがセラフィナ、賢いな」
一歳七か月にしては賢すぎるかもしれないと思っていたが、アルベルト様にお花をプレゼントしたい気持ちは我慢できなかったので、わたくしはアルベルト様に怪しまれようともお花は手渡した。
「亡くなったわたしのメイドが、毎年花をプレゼントしてくれて……それを思い出しました。ありがとうございます、セラフィナ殿下」
クラリッサのことを思い出させて悲しい気持ちにさせてしまうかもしれないとも思ったが、アルベルト様は少し萎れたネモフィラの花を持って微笑んでいた。クラリッサのことはアルベルト様の中で整理がついたのだろうか。
わたくしは最近、よく考えるようになった。
わたくしはもうクラリッサには戻れない。
わたくしはいつまでもクラリッサだったころのことを思い出して、振り返って、後悔していてはいけないのではないだろうか。
お父様もお母様もラファエルお兄様も、わたくしをかわいがってくれている。溺愛していると言っても過言ではない。それは、わたくしが皇女セラフィナであるからだ。
わたくしはクラリッサだったころのことを忘れて、皇女セラフィナとして生きていかなければいけないのではないだろうか。
アルベルト様のことは気にかけているが、それもクラリッサとしてではなく、皇女セラフィナとしてできることをやっていった方がいいのではないか。
わたくしはこれまで前世を振り返りすぎていたのかもしれない。
今の幸福を受け止められていなかったのかもしれない。
わたくしはお父様とお母様とラファエルお兄様の愛情に感謝して、皇女セラフィナとしての人生を歩んでいくべきなのかもしれないと思い始めていた。
そのためにも、わたくしには友人が必要だ。
アルマンドール公爵家とのお茶会の日は、近付いて来ていた。
アルマンドール公爵家とのお茶会の日、わたくしは動きやすいワンピース姿でレギンスをはいてティールームに行った。
アルマンドール公爵家の一家は揃っていた。
「娘のアンリエットと、息子のニコと、娘のリヴィアです」
「初めまして、ニコです」
「はじまめちて」
アルマンドール公爵に紹介されて、初対面のニコ様とリヴィア嬢が挨拶をする。
リヴィア嬢はアンリエット嬢が言っていた通りに利発そうな幼女だった。
ニコ様は六歳くらいで、笑顔でわたくしを見ている。
「お姉様が言っていた、ラファエル殿下のお誕生日のお茶会で出会った愛らしい女の子とは、セラフィナ殿下だったのですね」
「そうなのですよ。リヴィアのお友達にぴったりだと思いませんか」
「リヴィアと並んだらとてもかわいいと思います」
ニコ様も兄バカのようだった。
わたくしは床の上に降ろされて、ティールームの端でリヴィア嬢と顔を会わせる。リヴィア嬢はわたくしを見た瞬間、にっこり笑って、わたくしの髪を撫でた。
「かーいーね」
その笑顔がものすごくかわいい。
アンリエット嬢と同じストロベリーブロンドの髪は少しふわふわしているが、それは幼児特有のものでもう少し大きくなれば真っすぐになるだろう。リヴィア嬢は目の色は明るい空色だった。
「かーいー」
「こえ、あげう」
「あいがちょ」
リヴィア嬢がわたくしに差し出したのはかわいいウサギのぬいぐるみだった。わたくしはぬいぐるみはクマしか持っていなかったので嬉しくて抱き締めてしまう。
「アルマンドール公爵領は縫製が盛んで、ぬいぐるみも作っているのですよ」
「とてもかわいいですね」
「セラフィナが喜んでいる。アルマンドール公爵、ありがとう」
「喜んでいただけたら幸いです」
お父様とアルマンドール公爵は微笑みながらわたくしたちを見ている。
積み木が用意されていたので、ルカ様のことを思い出して警戒しつつ近寄ると、リヴィア嬢は積み木を積み上げて、わたくしに手招きする。
「どーんちて、いーよー?」
「いーの?」
「あい!」
積み木を倒す許可を得たわたくしが積み木を倒すと、リヴィア嬢は楽しそうにきゃらきゃらと笑う。その笑い声もかわいくて、わたくしはリヴィア嬢に夢中になってしまいそうだった。
二歳になるとこれだけ遊べるようになるのかもしれない。リヴィア嬢が女の子だというのもよかったのかもしれない。
リヴィア嬢は絵本を差し出されても、破ることなく丁寧に扱って、アンリエット嬢に持って行っていた。
「ねぇね、ちて」
「はいはい、ねぇねが読みましょうね。セラフィナ殿下もご一緒にどうぞ」
「ここ、どーじょ」
リヴィア嬢が自分の横の絨毯の上をぽんぽんと叩いて招いてくれるのに、わたくしもリヴィア嬢と一緒に床に座って絵本を聞く。アンリエット嬢は絵本を読むのも上手だった。
絵本が終わると、リヴィア嬢は手を叩いて喜び、指を一本立てる。
「もっかい」
「もう一回読みますか」
「あい」
二歳の女の子はこんなにも穏やかなのか。
わたくしはリヴィア嬢と過ごすのが心地よかった。
わたくしがリヴィア嬢と打ち解けているのを見て、お父様とお母様はアルマンドール公爵夫妻に話を持ち掛けていた。
「セラフィナがもう少し大きくなったら、リヴィア嬢はぜひ学友に」
「お願いしますわ」
「そんな栄誉をいただけるとは」
「喜んでお受けいたします」
リヴィア嬢とは気が合いそうなので学友になれるのは嬉しいと思う。
絵本が終わると、わたくしとリヴィア嬢は席に戻されて、ほぼ牛乳の薄いミルクティーとお茶菓子を食べた。
セラフィナ、一歳七か月。
初めて友達ができた瞬間だった。
414
あなたにおすすめの小説
婚約者が私のことをゴリラと言っていたので、距離を置くことにしました
相馬香子
恋愛
ある日、クローネは婚約者であるレアルと彼の友人たちの会話を盗み聞きしてしまう。
――男らしい? ゴリラ?
クローネに対するレアルの言葉にショックを受けた彼女は、レアルに絶交を突きつけるのだった。
デリカシーゼロ男と男装女子の織り成す、勘違い系ラブコメディです。
「私が愛するのは王妃のみだ、君を愛することはない」私だって会ったばかりの人を愛したりしませんけど。
下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…結構逞しい性格を持ち合わせている。
レティシアは貧乏な男爵家の長女。実家の男爵家に少しでも貢献するために、国王陛下の側妃となる。しかし国王陛下は王妃殿下を溺愛しており、レティシアに失礼な態度をとってきた!レティシアはそれに対して、一言言い返す。それに対する国王陛下の反応は?
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
知らぬはヒロインだけ
ネコフク
恋愛
「クエス様好きです!」婚約者が隣にいるのに告白する令嬢に唖然とするシスティアとクエスフィール。
告白してきた令嬢アリサは見目の良い高位貴族の子息ばかり粉をかけて回っていると有名な人物だった。
しかも「イベント」「システム」など訳が分からない事を言っているらしい。
そう、アリサは転生者。ここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っている。
しかし彼女は知らない。他にも転生者がいることを。
※不定期連載です。毎日投稿する時もあれば日が開く事もあります。
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
7歳の侯爵夫人
凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。
自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。
どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。
目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。
王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー?
見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。
23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる