2 / 10
本編
2.孤独の王
しおりを挟む
その国の王は孤独だった。
前の国王が崩御したとき、戦に明け暮れていた兄たちはみんな戦死して、たった一人、幼かった彼、ジャファルが王位につかされた。他に王の血を引く男子が残されていなかったので、選択権はなかった。
幼い頃に王位につかされたジャファルが、自分の性に気付いたのは、12歳のときだった。初めての発情期に、ジャファルは混乱した。
王はアルファで優秀でなければいけない。
帝王学を修め、優秀であることには間違いなく、戦争を嫌い、平和な国づくりをしようとしていたジャファルを、戦乱に疲れ切った国民は指示していた。乾いた大地が多いが、ジャファルが即位してから用水路建築に力を入れたため、国は農業も盛んになって、食べるものに困らないようになった。その上、元々地下資源が豊富にあったので、国はますます豊かになっていた。
オメガだと分かったところで、今更ジャファルを王位から退けることはできない。齢12歳にして、ジャファルは国民に圧倒的に支持される賢王だったのだ。
発情期と共に来た精通に、ジャファルの周囲は俄かに騒がしくなった。前の王の後宮はジャファルが幼かったので閉じられていたが、貴族や周辺諸国から美しい女性、それにオメガが集ってジャファルの後宮に入ることを望んで来た。
世間的にはジャファルはアルファの賢王でなければいけなかった。だが、真実は、受け入れた女性もオメガも抱くことのできない、オメガの王なのだ。
決して漏らしてはいけない事実を抱えて、ジャファルは孤独に王位にいた。
毎日のように後宮には美しい女性やオメガが送り込まれてくる。誰も抱くことができないジャファルは、それとなく彼女らを自分の部下と結ばれるように仕組んだり、手を付けていないことを告げて他の貴族に渡したりしていたが、後継を望まれるようになって、それも難しくなっていた。
彼女たちではジャファルを満たすことはできない。男性なのだから抱けるのではないかと試したこともあった。しかし、ジャファルの中心は全く反応しなかった。
「我が君がまだ若いとはいえ、後継者は必要です。どうなさるおつもりですか?」
「姉のところの息子が優秀と聞いているが」
「我が君の子を全国民が望んでいるのです」
無理なのだから養子でも構わないとジャファルは割り切っているのに、周囲は許してくれない。12歳で初めての発情期を迎えてから、10年間も必死に隠し通した。主治医と側近の数名しか、ジャファルがオメガだということは知らない。血の繋がった姉たちにすら明かしてはいない。
優秀なアルファとして血を残して欲しいと切望する周囲の気持ちも分からなくはないのだが、ジャファルはどうしても抱く方に回る自分を想像できなかった。
後宮の一番奥、誰も入れない部屋を作らせて、発情期の間はそこに籠る。自分の指で後孔に触れて慰めても、ひとときの満足すら得られない現状に、ジャファルは焦れていた。
長身で屈強な体付きのジャファルを、誰がオメガと思うだろう。フェロモンも漏れない体質のようで、周囲のアルファにも気付かれていないが、誰でもいいから縋り付いてでも身体を慰めて欲しい夜を、一人孤独に耐えて来た。
青葉萌える国から、新しくオメガが後宮に入ると知らされた日、ジャファルは若干の身体の火照りに気付いていた。そろそろ発情期が来る。発情期はジャファルにとっては苦しいだけのもので、憂鬱な気分だった。
執務を終えて、今日からしばらく後宮に籠ることを告げ、新しいオメガに会いに行く。
一枚の布を巻き付けてドレスのようにしたそのオメガは、ルカという名前だった。零れ落ちそうな美しい緑の瞳に、輝く金色の髪、滑らかな白い肌。緊張しているのか、頬が紅潮しているのが、愛らしい美少女のオメガ。
それなのに、彼女を見た瞬間、ずくんと胎が疼いた。
欲しくて堪らない。
彼女には与えられるはずのないもの。けれど、満たされたくて堪らないもの。
逃げるように部屋から出て早足で奥の部屋に閉じこもり、誰も来ないように命じた。部屋に来る途中に、月の形の耳飾りを片方落としたことに気付かないくらい、ジャファルはひっ迫していた。
寝台の上で衣服を脱ぎ捨て、部屋中に充満する吐きそうなくらい甘い自分のフェロモンに辟易しながら、後孔に触れる。指で周囲をなぞって、一本指を差し込み、ぐちぐちと掻き回しても、全然足りない。指を増やして、掻き回し、抜き差ししても、満足感がない。
熱い内壁は指ではないものを求めて、ぐにぐにと蠢いている。
前に触れて扱いて精を吐きだしても、全く欲は治まることがない。
「たすけて……」
枕に顔を埋めて、尻だけ高く上げて、指を抜き差ししているジャファルの耳に、小さな金属音が聞こえた。振り返ると、僅かに開いた扉の前に、誰か立っている。
「そなたは……ルカ?」
「ご、ごめんなさい……」
震えて怯えているルカに、説明して口止めしなければいけない。理性では分かっているが、本能は全く別のことをしていた。部屋の中に引きずり込んだルカを、寝台の上に押し倒す。布を剥がして、ジャファルは自分が勘違いしていたことに気付いた。
平たい胸に、股間の立派で逞しいもの。
ルカは少女ではなく、少年だった。
オメガとは明らかに違う、反応した中心に、こくりと喉が鳴る。
「おゆるしを……」
「これが……」
「え?」
あぁ、とため息を吐き、ジャファルはルカの中心に頬ずりした。
「これが、欲しい」
理性を失った発情期のオメガのフェロモンに、アルファは逆らえないという。反応しているということは、ルカはアルファなのだろう。本能だけでそこに舌を這わせて、ジャファルはうっとりと喉の奥までそれを咥えた。
「あぁっ!?」
きゅっと喉で締めると、ルカの愛らしい唇から声変わりもまだの少女のような声が漏れる。軽く歯を立てながら、口で根元から先端まで滑らせて扱いて行けば、弾けそうにルカの中心が硬く勃ち上がる。
口を外して、腰に跨る頃には、ルカは完全に蕩け切った顔で、ジャファルに身を任せていた。切っ先を後孔に宛がって、ゆっくりと腰を落としていくと、ごりごりと内壁を擦り上げながら、ルカの中心がみっしりとジャファルの中を埋めていく。
「うぐっ! あぁっ!」
「ひぁっ! なにか、クるっ!」
奥まで飲み込んで締め付けると、ルカが体の下で泣き声を上げた。
ずっと欲しかったものがやっともらえた歓喜に、ジャファルの身体は容赦なくルカを責め立てる。腰を振り立て、ぐちゅぐちゅと内壁で締め付けると、突如ルカの中心が弾けた。
奥までたっぷりと注がれる白濁に、ジャファルは仰け反って快感に耐える。
「あつい……あぁ、悦いっ……!」
「あっ……ごめんなさ……ぼく、おうさまの、なかに……」
泣き出してしまったルカは、まだ自分がアルファと気付いていないようだった。これだけ愛らしい容貌なのだから、オメガと間違われて後宮に連れて来られたのだろう。
「私だけを見て、私だけを感じていろ」
「ひぁっ!?」
まだ足りないとばかりに腰を振り立てると、泣きながらもジャファルの中でルカの中心が芯を持つ。フェロモンに反応したのだろうが、これだけ立派なものを持っているルカが、オメガのはずがない。
接合部から泡立った白濁が逆流してくるまで、ジャファルはルカを搾り取った。
たっぷりと満たされて、発情期の熱も僅かに治まって来ると、ジャファルは寝台の上で意識を失っているルカを見下ろして、青ざめていた。
ルカはオメガだと言われてここに連れて来られて、後宮で王に抱かれるつもりだった。それなのに、自分がしてしまった行為は真逆である。
実は自分がオメガで、ルカがアルファで、自分はずっと抱かれることを求めていて、10年も発情期の熟れた体を持て余していた。そんなことを無垢な少年に言えるだろうか。
「ん……王様?」
「飲み物を持って来させよう。湯浴みも……」
この部屋には誰も入れないので、湯浴みを手伝うものもいないと気付いて、ジャファルはルカの細い体を抱き上げた。折れそうなほど華奢な体で、自分のような屈強な男を抱いて、ルカは嫌ではなかっただろうか。
立ち上がると、後孔からとろりとルカの残滓が伝い落ちる。
それを乱暴に拭いて、ジャファルはルカを抱き締めたまま、湯船に浸かった。
「あの……僕、初めてで……な、なにが起きたのか……」
「初めてとは?」
「まだ、精通も来てなくて……」
精通も来ていないルカを発情期のフェロモンで誘って、無理やりに乗っかって搾り取ってしまった。
ぐしゃぐしゃのシーツを取り換えて、寝台にルカを寝かせながら、ジャファルは天井を仰ぎ見ていた。
「失礼が、なかったでしょうか?」
フェロモンに浮かされて流されてしまっただけのルカだが、後宮にいるのだから、ジャファルの好きにしていいはずではある。初めて見たときから美しく心惹かれる少女だとは思っていたが、ルカの方がジャファルをどう思うか。こんな厳つい男がルカの中心を欲しがって、強請って、腰を振ったことに、嫌悪感を抱いていないか。
「これから毎晩、この部屋に来るように」
命令はできても、心を問うことはできない。
「はい」
か細い声で答えるルカの顔を、ジャファルは直視できなかった。
前の国王が崩御したとき、戦に明け暮れていた兄たちはみんな戦死して、たった一人、幼かった彼、ジャファルが王位につかされた。他に王の血を引く男子が残されていなかったので、選択権はなかった。
幼い頃に王位につかされたジャファルが、自分の性に気付いたのは、12歳のときだった。初めての発情期に、ジャファルは混乱した。
王はアルファで優秀でなければいけない。
帝王学を修め、優秀であることには間違いなく、戦争を嫌い、平和な国づくりをしようとしていたジャファルを、戦乱に疲れ切った国民は指示していた。乾いた大地が多いが、ジャファルが即位してから用水路建築に力を入れたため、国は農業も盛んになって、食べるものに困らないようになった。その上、元々地下資源が豊富にあったので、国はますます豊かになっていた。
オメガだと分かったところで、今更ジャファルを王位から退けることはできない。齢12歳にして、ジャファルは国民に圧倒的に支持される賢王だったのだ。
発情期と共に来た精通に、ジャファルの周囲は俄かに騒がしくなった。前の王の後宮はジャファルが幼かったので閉じられていたが、貴族や周辺諸国から美しい女性、それにオメガが集ってジャファルの後宮に入ることを望んで来た。
世間的にはジャファルはアルファの賢王でなければいけなかった。だが、真実は、受け入れた女性もオメガも抱くことのできない、オメガの王なのだ。
決して漏らしてはいけない事実を抱えて、ジャファルは孤独に王位にいた。
毎日のように後宮には美しい女性やオメガが送り込まれてくる。誰も抱くことができないジャファルは、それとなく彼女らを自分の部下と結ばれるように仕組んだり、手を付けていないことを告げて他の貴族に渡したりしていたが、後継を望まれるようになって、それも難しくなっていた。
彼女たちではジャファルを満たすことはできない。男性なのだから抱けるのではないかと試したこともあった。しかし、ジャファルの中心は全く反応しなかった。
「我が君がまだ若いとはいえ、後継者は必要です。どうなさるおつもりですか?」
「姉のところの息子が優秀と聞いているが」
「我が君の子を全国民が望んでいるのです」
無理なのだから養子でも構わないとジャファルは割り切っているのに、周囲は許してくれない。12歳で初めての発情期を迎えてから、10年間も必死に隠し通した。主治医と側近の数名しか、ジャファルがオメガだということは知らない。血の繋がった姉たちにすら明かしてはいない。
優秀なアルファとして血を残して欲しいと切望する周囲の気持ちも分からなくはないのだが、ジャファルはどうしても抱く方に回る自分を想像できなかった。
後宮の一番奥、誰も入れない部屋を作らせて、発情期の間はそこに籠る。自分の指で後孔に触れて慰めても、ひとときの満足すら得られない現状に、ジャファルは焦れていた。
長身で屈強な体付きのジャファルを、誰がオメガと思うだろう。フェロモンも漏れない体質のようで、周囲のアルファにも気付かれていないが、誰でもいいから縋り付いてでも身体を慰めて欲しい夜を、一人孤独に耐えて来た。
青葉萌える国から、新しくオメガが後宮に入ると知らされた日、ジャファルは若干の身体の火照りに気付いていた。そろそろ発情期が来る。発情期はジャファルにとっては苦しいだけのもので、憂鬱な気分だった。
執務を終えて、今日からしばらく後宮に籠ることを告げ、新しいオメガに会いに行く。
一枚の布を巻き付けてドレスのようにしたそのオメガは、ルカという名前だった。零れ落ちそうな美しい緑の瞳に、輝く金色の髪、滑らかな白い肌。緊張しているのか、頬が紅潮しているのが、愛らしい美少女のオメガ。
それなのに、彼女を見た瞬間、ずくんと胎が疼いた。
欲しくて堪らない。
彼女には与えられるはずのないもの。けれど、満たされたくて堪らないもの。
逃げるように部屋から出て早足で奥の部屋に閉じこもり、誰も来ないように命じた。部屋に来る途中に、月の形の耳飾りを片方落としたことに気付かないくらい、ジャファルはひっ迫していた。
寝台の上で衣服を脱ぎ捨て、部屋中に充満する吐きそうなくらい甘い自分のフェロモンに辟易しながら、後孔に触れる。指で周囲をなぞって、一本指を差し込み、ぐちぐちと掻き回しても、全然足りない。指を増やして、掻き回し、抜き差ししても、満足感がない。
熱い内壁は指ではないものを求めて、ぐにぐにと蠢いている。
前に触れて扱いて精を吐きだしても、全く欲は治まることがない。
「たすけて……」
枕に顔を埋めて、尻だけ高く上げて、指を抜き差ししているジャファルの耳に、小さな金属音が聞こえた。振り返ると、僅かに開いた扉の前に、誰か立っている。
「そなたは……ルカ?」
「ご、ごめんなさい……」
震えて怯えているルカに、説明して口止めしなければいけない。理性では分かっているが、本能は全く別のことをしていた。部屋の中に引きずり込んだルカを、寝台の上に押し倒す。布を剥がして、ジャファルは自分が勘違いしていたことに気付いた。
平たい胸に、股間の立派で逞しいもの。
ルカは少女ではなく、少年だった。
オメガとは明らかに違う、反応した中心に、こくりと喉が鳴る。
「おゆるしを……」
「これが……」
「え?」
あぁ、とため息を吐き、ジャファルはルカの中心に頬ずりした。
「これが、欲しい」
理性を失った発情期のオメガのフェロモンに、アルファは逆らえないという。反応しているということは、ルカはアルファなのだろう。本能だけでそこに舌を這わせて、ジャファルはうっとりと喉の奥までそれを咥えた。
「あぁっ!?」
きゅっと喉で締めると、ルカの愛らしい唇から声変わりもまだの少女のような声が漏れる。軽く歯を立てながら、口で根元から先端まで滑らせて扱いて行けば、弾けそうにルカの中心が硬く勃ち上がる。
口を外して、腰に跨る頃には、ルカは完全に蕩け切った顔で、ジャファルに身を任せていた。切っ先を後孔に宛がって、ゆっくりと腰を落としていくと、ごりごりと内壁を擦り上げながら、ルカの中心がみっしりとジャファルの中を埋めていく。
「うぐっ! あぁっ!」
「ひぁっ! なにか、クるっ!」
奥まで飲み込んで締め付けると、ルカが体の下で泣き声を上げた。
ずっと欲しかったものがやっともらえた歓喜に、ジャファルの身体は容赦なくルカを責め立てる。腰を振り立て、ぐちゅぐちゅと内壁で締め付けると、突如ルカの中心が弾けた。
奥までたっぷりと注がれる白濁に、ジャファルは仰け反って快感に耐える。
「あつい……あぁ、悦いっ……!」
「あっ……ごめんなさ……ぼく、おうさまの、なかに……」
泣き出してしまったルカは、まだ自分がアルファと気付いていないようだった。これだけ愛らしい容貌なのだから、オメガと間違われて後宮に連れて来られたのだろう。
「私だけを見て、私だけを感じていろ」
「ひぁっ!?」
まだ足りないとばかりに腰を振り立てると、泣きながらもジャファルの中でルカの中心が芯を持つ。フェロモンに反応したのだろうが、これだけ立派なものを持っているルカが、オメガのはずがない。
接合部から泡立った白濁が逆流してくるまで、ジャファルはルカを搾り取った。
たっぷりと満たされて、発情期の熱も僅かに治まって来ると、ジャファルは寝台の上で意識を失っているルカを見下ろして、青ざめていた。
ルカはオメガだと言われてここに連れて来られて、後宮で王に抱かれるつもりだった。それなのに、自分がしてしまった行為は真逆である。
実は自分がオメガで、ルカがアルファで、自分はずっと抱かれることを求めていて、10年も発情期の熟れた体を持て余していた。そんなことを無垢な少年に言えるだろうか。
「ん……王様?」
「飲み物を持って来させよう。湯浴みも……」
この部屋には誰も入れないので、湯浴みを手伝うものもいないと気付いて、ジャファルはルカの細い体を抱き上げた。折れそうなほど華奢な体で、自分のような屈強な男を抱いて、ルカは嫌ではなかっただろうか。
立ち上がると、後孔からとろりとルカの残滓が伝い落ちる。
それを乱暴に拭いて、ジャファルはルカを抱き締めたまま、湯船に浸かった。
「あの……僕、初めてで……な、なにが起きたのか……」
「初めてとは?」
「まだ、精通も来てなくて……」
精通も来ていないルカを発情期のフェロモンで誘って、無理やりに乗っかって搾り取ってしまった。
ぐしゃぐしゃのシーツを取り換えて、寝台にルカを寝かせながら、ジャファルは天井を仰ぎ見ていた。
「失礼が、なかったでしょうか?」
フェロモンに浮かされて流されてしまっただけのルカだが、後宮にいるのだから、ジャファルの好きにしていいはずではある。初めて見たときから美しく心惹かれる少女だとは思っていたが、ルカの方がジャファルをどう思うか。こんな厳つい男がルカの中心を欲しがって、強請って、腰を振ったことに、嫌悪感を抱いていないか。
「これから毎晩、この部屋に来るように」
命令はできても、心を問うことはできない。
「はい」
か細い声で答えるルカの顔を、ジャファルは直視できなかった。
12
あなたにおすすめの小説
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
事故つがいΩとうなじを噛み続けるαの話。
叶崎みお
BL
噛んでも意味がないのに──。
雪弥はΩだが、ヒート事故によってフェロモンが上手く機能しておらず、発情期もなければ大好きな恋人のαとつがいにもなれない。欠陥品の自分では恋人にふさわしくないのでは、と思い悩むが恋人と別れることもできなくて──
Ωを長年一途に想い続けている年下α × ヒート事故によりフェロモンが上手く機能していないΩの話です。
受けにはヒート事故で一度だけ攻め以外と関係を持った過去があります。(その時の記憶は曖昧で、詳しい描写はありませんが念のため)
じれじれのち、いつもの通りハピエンです。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
こちらの作品は他サイト様にも投稿しております。
その運命に跪く時
みこと
BL
上位アルファの家系に生まれた孝太郎はオメガ嫌いの両親の影響でオメガが大嫌いだった。
フェロモンを振り撒く卑猥なオメガ…。そう思って生きてきたのに。
大学で弘海と出会って、自分の中の何かが変わっていく。でもそんな自分を受け入れられない孝太郎は…。
『運命はいつもその手の中に』の孝太郎と弘海のスピンオフです。
後半はただイチャイチャしてるだけです。
あなたが生まれてきた理由
万里
BL
28歳の学校用務員・保科宗一(Ω)は、母の勧めでお見合いに臨む。 顔に残る傷痕と、男性のΩという希少な性質から、恋愛に縁がなく、自分が誰かに好かれることなど考えたこともなかった。
ところが、料亭の一室で待っていたのは、同じ職場の公民教師・新田功史朗(α)だった。 穏やかで物静かな新田は、宗一の境遇を受け止め、驚くことなく「付き合ってみないか」と提案する。
戸惑いながらも、宗一はその言葉に心を動かされる。
発情期アルファ王子にクッキーをどうぞ
小池 月
BL
リーベント国第五王子ロイは庶民出身の第二公妾の母を持つ貧乏王子。リーベント国は農業が盛んで豊かな国。平和だが貴族や王族の権力争いが絶え間ない。ロイと母は、貴族出身の正妃と第一公妾、その王子王女たちに蔑まれて過ごしていた。ロイの唯一の支えは、いつか国を脱出し母と小さな洋菓子店を開き暮らすこと。ある日、ロイが隣国アドレアに友好のため人質となることが決定される。国王の決定には逆らえず母をリーベントに残しロイは出国する。
一方アドレア国では、第一王子ディモンがロイを自分のオメガだと認識したためにロイをアドレアに呼んでいた。現在強国のアドレアは、百年前は貧困の国だった。当時の国王が神に救いを求め、卓越した能力を持つアルファを神から授かることで急激な発展を実現した国。神の力を持つアルファには獣の発情期と呼ばれる一定の期間がある。その間は、自分の番のオメガと過ごすことで癒される。アルファやオメガの存在は国外には出せない秘密事項。ロイに全てを打ち明けられないまま、ディモン(ディー)とロイは運命に惹かれるように恋仲になっていく。
ロイがアドレアに来て二年が過ぎた。ロイは得意の洋菓子でお金稼ぎをしながら、ディーに守られ幸せに過ごしていた。そんな中、リーベントからロイの母危篤の知らせが入る。ロイは急いで帰国するが、すでに母は毒殺されていた。自身も命を狙われアドレアに逃避しようとするが、弓矢で射られ殺されかける。生死をさ迷い記憶喪失になるロイ。アドレア国辺境地集落に拾われ、シロと呼ばれ何とか生きて行く。
ディーの必死の捜索により辺境地でロイが見つかる。生きていたことを喜び、アドレア主城でのロイとの生活を再開するディー。徐々に記憶を取り戻すロイだが、殺されかけた記憶が戻りパニックになる。ディーは慈しむような愛でロイを包み込み、ロイを癒す。
ロイが落ち着いた頃、リーベント国への友好訪問をする二人。ディーとリーベント国王は、王室腐敗を明るみにして大掛かりな粛清をする。これでロイと幸せになれる道が開けたと安堵する中、信頼していた親代わりの執事にロイが刺される。実はロイの母を殺害したのもこの執事だった。裏切りに心を閉ざすロイ。この状態ではアルファの発情期に耐えられないと思い、発情期を一人で過ごす決意をするディー。アルファの発情期にオメガが居なければアルファは狂う。ディーは死を覚悟するが、運命を共にしようと言うロイの言葉を受け入れ、獣の発情期を共にする。狂ったような性交のなかにロイの愛を感じ癒されるディー。これからの人生をロイと過ごせる幸福を噛みしめ、ロイを守るために尽くすことを心に誓う。
オメガバース 悲しい運命なら僕はいらない
潮 雨花
BL
魂の番に捨てられたオメガの氷見華月は、魂の番と死別した幼馴染でアルファの如月帝一と共に暮らしている。
いずれはこの人の番になるのだろう……華月はそう思っていた。
そんなある日、帝一の弟であり華月を捨てたアルファ・如月皇司の婚約が知らされる。
一度は想い合っていた皇司の婚約に、華月は――。
たとえ想い合っていても、魂の番であったとしても、それは悲しい運命の始まりかもしれない。
アルファで茶道の家元の次期当主と、オメガで華道の家元で蔑まれてきた青年の、切ないブルジョア・ラブ・ストーリー
【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる