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後日談
王の正妃
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後宮で王の寵愛を受けるものが現れた。
周囲は俄かに色めきだった。
国の平和と豊かさを願い、切磋琢磨する良き王ではあったが、後宮の誰かに手を付けたという噂がない。それどころか、後宮に来たものをそれとなく部下や貴族に譲り渡している。
後継者が生まれていないので、焦る周囲のものは後宮に次々と美姫やオメガを投入するが、王の関心を買うことができない。焦燥感のままにいた王が22歳の日に、15歳の美しい金髪のオメガの少年が後宮に連れて来られた。美少女のような愛らしい顔立ちのオメガを王は気に入り、来た日から後宮の奥の王の寝所に連れ込んで出さなくなった。
「多少お若いのが気になるが、その方に正妃となっていただくのはいかがでしょう?」
忠臣から進言されて、王はそのことに気付く。後宮内にも序列がある。正妃が一番上で、それから王の子どもを産んだ妃たち、そして、王の手のついた妃たち、一番下は王の手のついていない妃たちだ。
「私は彼のもの以外求めてはおらぬ」
「後継者がお生まれになったら、正妃一人に絞られても構いません」
「後継者、か」
とりあえずは王の寵愛している相手との繋がりを強固にしておくこと。忠臣の進言に王は考えていたようだった。
主治医は王の秘密を知っている。
検診を受けたときに、まだ妊娠していないことは確かめていたが、発情期に今後も度々身体を交わすのであれば、王であるジャファルは若いオメガなのだから妊娠してもおかしくはない。
「妊娠初期は悪阻の酷さにもよりますが、体調不良で隠せましょう。中期以降のお腹が出て来る辺りをどうするか、ですね」
「私と彼のものの間の赤ん坊が……」
後継者はいらない、どうしても必要ならば姉たちのところから優秀な子どもを養子に貰うつもりでいたジャファルだが、実際にルカに出会い、愛し合うようになると、その子が産みたいと思わずにはいられない。オメガとしてアルファのルカに愛されているのだ、できた子どもは健康に産みたい。
「中期から後期は後宮にお篭りになって、正妃様の様子が心配でたまらないということにすれば、ある程度はしのげましょうか」
どこまで隠し通せるものなのか。ジャファルは自分がオメガだと公表しても良かったが、主治医はそれを良くは思っていない。アルファではない王だと知れれば、度重なる戦で屈服させて黙らせてきた周辺諸国から、ジャファルが狙われる要因にもなりかねない。オメガだから王の資格なしとして、他の王が立てばせっかく平和に治めているこの国が、どうなってしまうか分からない。
アルファを誘うフェロモンを出す淫魔のように思われているオメガは、王であってはならないのだ。
その意識改革もしていかねばならないと、ジャファルは感じていた。
「正妃となったら、彼のものも共に国の視察に連れて行こう」
「妃を後宮から出すおつもりですか?」
「私がひと時も離れぬ」
これからのことを話していると、ふと主治医がジャファルに「失礼いたします」と顔を近づけて来た。内密の話でもあるのかと身構えていると、匂いを嗅がれていることに気付く。
「恐れながら、フェロモンの香りが無くなっております。彼の君と番になられましたか?」
「いや、何も……」
正妃となるルカは控えめで、ジャファルのうなじを噛んだりしない。それどころか胸に触れるのが好きなのだが、そのときですら許可を取って、おずおずと触れる。あの初々しさがたまらなく可愛いのだが、番になるような行為は行ったことがなかった。
「『運命の番』というのをご存じで?」
「『運命の番』……私と彼のものが!?」
声が大きくなってしまったが、内容としてはアルファであるジャファルがオメガであるルカと『運命の番』だったと言っているようにしか周囲には聞こえないので、心配はなかった。
王と正妃は『運命の番』。
その噂も瞬く間に王宮中に広がった。
ジャファルの寵愛を受けるようになってから、ルカの住居は王の寝室に変わっていた。広い部屋に広い寝台、大理石の風呂場と手洗いに、机もあれば、豪華なテーブルセットもある。庭も広くて散歩できるほどで、高い塀で囲まれているが圧迫感は全くなかった。
「この部屋は自分の部屋だと思って、使いやすいようにして構わない」
夜に眠るときにしか現れないジャファルと、ジャファルを待つ間ずっとこの部屋にいるルカでは、滞在時間が違う。ルカのためにジャファルはこの部屋をどう改造しても構わないと言ってくれたが、ルカがお願いしたのは、子猫を二匹飼うことだけだった。
庭を走り回ってじゃれて遊んでいる子猫たちに目を細めて、ベンチで冷たいレモン水を飲みながら休む。布を巻き付けて肩の部分をブローチで留めた着こなしも、ジャファルは気に入ってくれていた。
後宮に来てからもう一月以上、ルカは幸福の中にいた。
「ルカ、庭にいたのか」
珍しく昼間にやってきたジャファルに、ルカはレモン水の入ったグラスを置いて、その分厚い胸に飛び込む。抱き締められてジャファルの瑞々しい甘い香りを胸いっぱいに吸い込むと、ルカはうっとりとジャファルに抱き締められて部屋の中に戻った。
「そなたを正妃とすることが決まった」
「僕が、ジャファル様の正式なお妃さまですか?」
「この後宮で一番の権力を持つものになる。これからは後宮にひとを入れるのは、そなたの許可がいるようになる」
正妃とはそういうものなのだと教えられて、ルカは突然与えられた権力に恐れ多く震えてしまう。
「僕で務まるでしょうか?」
「跡継ぎが産まれたら、そなた一人だけにして、後宮自体を解体しても構わないと思っている」
この後宮でジャファルを抱くことができるのは、ルカただ一人。ジャファルが夜を共にするのはルカだけだ。実質的に後宮にはルカ以外必要ないということが分かっていても、ルカはその申し出を喜びだけで受け入れるわけにはいかなかった。
ルカはアルファ。ジャファルがオメガ。子どもを孕み、産むのはジャファルの方なのだ。
「僕には子どもが産めません」
「それは、私が産む。何より、私たちは『運命の番』だったのだよ」
『運命の番』。
自然と惹かれ合って、うなじを噛まずとも身体を交わしただけで、オメガのフェロモンはアルファにしか作用しなくなり、アルファはそのオメガのフェロモンしか感じなくなると言われるそれだと言われて、ルカは妙に納得してしまった。
「初めて会った日から、甘い香りのする美しい方だと思っておりました。僕の運命だったのですね」
「私もルカを初めて見たときに、少女だと思っていたのに胸が騒いでならなかった」
部屋のソファでジャファルの膝の上に抱き上げられながら話を聞いて、ルカも心を決めた。運命の導きならば、それに従わない理由がない。
「正妃の件、頑張ります。子どももジャファル様が誰にも気付かれず産めるようにどんなことでもします」
頬に手を添えられて口付けられ、ルカはうっとりと目を閉じた。
「愛しいルカ、生涯共に生きてくれるか?」
「愛するジャファル様。ずっとお傍に置いてください」
抱き締め合い、二人は愛を確かめ合った。
青いタイルで装飾された神殿で、ジャファルとルカは結婚式を挙げた。
王が正妃を持つことに、国中が浮かれて賑やかになっていた。
顔を隠したルカと白い衣を纏ったジャファルの二人で、神の前に愛を誓った。
王はもう、孤独ではない。
周囲は俄かに色めきだった。
国の平和と豊かさを願い、切磋琢磨する良き王ではあったが、後宮の誰かに手を付けたという噂がない。それどころか、後宮に来たものをそれとなく部下や貴族に譲り渡している。
後継者が生まれていないので、焦る周囲のものは後宮に次々と美姫やオメガを投入するが、王の関心を買うことができない。焦燥感のままにいた王が22歳の日に、15歳の美しい金髪のオメガの少年が後宮に連れて来られた。美少女のような愛らしい顔立ちのオメガを王は気に入り、来た日から後宮の奥の王の寝所に連れ込んで出さなくなった。
「多少お若いのが気になるが、その方に正妃となっていただくのはいかがでしょう?」
忠臣から進言されて、王はそのことに気付く。後宮内にも序列がある。正妃が一番上で、それから王の子どもを産んだ妃たち、そして、王の手のついた妃たち、一番下は王の手のついていない妃たちだ。
「私は彼のもの以外求めてはおらぬ」
「後継者がお生まれになったら、正妃一人に絞られても構いません」
「後継者、か」
とりあえずは王の寵愛している相手との繋がりを強固にしておくこと。忠臣の進言に王は考えていたようだった。
主治医は王の秘密を知っている。
検診を受けたときに、まだ妊娠していないことは確かめていたが、発情期に今後も度々身体を交わすのであれば、王であるジャファルは若いオメガなのだから妊娠してもおかしくはない。
「妊娠初期は悪阻の酷さにもよりますが、体調不良で隠せましょう。中期以降のお腹が出て来る辺りをどうするか、ですね」
「私と彼のものの間の赤ん坊が……」
後継者はいらない、どうしても必要ならば姉たちのところから優秀な子どもを養子に貰うつもりでいたジャファルだが、実際にルカに出会い、愛し合うようになると、その子が産みたいと思わずにはいられない。オメガとしてアルファのルカに愛されているのだ、できた子どもは健康に産みたい。
「中期から後期は後宮にお篭りになって、正妃様の様子が心配でたまらないということにすれば、ある程度はしのげましょうか」
どこまで隠し通せるものなのか。ジャファルは自分がオメガだと公表しても良かったが、主治医はそれを良くは思っていない。アルファではない王だと知れれば、度重なる戦で屈服させて黙らせてきた周辺諸国から、ジャファルが狙われる要因にもなりかねない。オメガだから王の資格なしとして、他の王が立てばせっかく平和に治めているこの国が、どうなってしまうか分からない。
アルファを誘うフェロモンを出す淫魔のように思われているオメガは、王であってはならないのだ。
その意識改革もしていかねばならないと、ジャファルは感じていた。
「正妃となったら、彼のものも共に国の視察に連れて行こう」
「妃を後宮から出すおつもりですか?」
「私がひと時も離れぬ」
これからのことを話していると、ふと主治医がジャファルに「失礼いたします」と顔を近づけて来た。内密の話でもあるのかと身構えていると、匂いを嗅がれていることに気付く。
「恐れながら、フェロモンの香りが無くなっております。彼の君と番になられましたか?」
「いや、何も……」
正妃となるルカは控えめで、ジャファルのうなじを噛んだりしない。それどころか胸に触れるのが好きなのだが、そのときですら許可を取って、おずおずと触れる。あの初々しさがたまらなく可愛いのだが、番になるような行為は行ったことがなかった。
「『運命の番』というのをご存じで?」
「『運命の番』……私と彼のものが!?」
声が大きくなってしまったが、内容としてはアルファであるジャファルがオメガであるルカと『運命の番』だったと言っているようにしか周囲には聞こえないので、心配はなかった。
王と正妃は『運命の番』。
その噂も瞬く間に王宮中に広がった。
ジャファルの寵愛を受けるようになってから、ルカの住居は王の寝室に変わっていた。広い部屋に広い寝台、大理石の風呂場と手洗いに、机もあれば、豪華なテーブルセットもある。庭も広くて散歩できるほどで、高い塀で囲まれているが圧迫感は全くなかった。
「この部屋は自分の部屋だと思って、使いやすいようにして構わない」
夜に眠るときにしか現れないジャファルと、ジャファルを待つ間ずっとこの部屋にいるルカでは、滞在時間が違う。ルカのためにジャファルはこの部屋をどう改造しても構わないと言ってくれたが、ルカがお願いしたのは、子猫を二匹飼うことだけだった。
庭を走り回ってじゃれて遊んでいる子猫たちに目を細めて、ベンチで冷たいレモン水を飲みながら休む。布を巻き付けて肩の部分をブローチで留めた着こなしも、ジャファルは気に入ってくれていた。
後宮に来てからもう一月以上、ルカは幸福の中にいた。
「ルカ、庭にいたのか」
珍しく昼間にやってきたジャファルに、ルカはレモン水の入ったグラスを置いて、その分厚い胸に飛び込む。抱き締められてジャファルの瑞々しい甘い香りを胸いっぱいに吸い込むと、ルカはうっとりとジャファルに抱き締められて部屋の中に戻った。
「そなたを正妃とすることが決まった」
「僕が、ジャファル様の正式なお妃さまですか?」
「この後宮で一番の権力を持つものになる。これからは後宮にひとを入れるのは、そなたの許可がいるようになる」
正妃とはそういうものなのだと教えられて、ルカは突然与えられた権力に恐れ多く震えてしまう。
「僕で務まるでしょうか?」
「跡継ぎが産まれたら、そなた一人だけにして、後宮自体を解体しても構わないと思っている」
この後宮でジャファルを抱くことができるのは、ルカただ一人。ジャファルが夜を共にするのはルカだけだ。実質的に後宮にはルカ以外必要ないということが分かっていても、ルカはその申し出を喜びだけで受け入れるわけにはいかなかった。
ルカはアルファ。ジャファルがオメガ。子どもを孕み、産むのはジャファルの方なのだ。
「僕には子どもが産めません」
「それは、私が産む。何より、私たちは『運命の番』だったのだよ」
『運命の番』。
自然と惹かれ合って、うなじを噛まずとも身体を交わしただけで、オメガのフェロモンはアルファにしか作用しなくなり、アルファはそのオメガのフェロモンしか感じなくなると言われるそれだと言われて、ルカは妙に納得してしまった。
「初めて会った日から、甘い香りのする美しい方だと思っておりました。僕の運命だったのですね」
「私もルカを初めて見たときに、少女だと思っていたのに胸が騒いでならなかった」
部屋のソファでジャファルの膝の上に抱き上げられながら話を聞いて、ルカも心を決めた。運命の導きならば、それに従わない理由がない。
「正妃の件、頑張ります。子どももジャファル様が誰にも気付かれず産めるようにどんなことでもします」
頬に手を添えられて口付けられ、ルカはうっとりと目を閉じた。
「愛しいルカ、生涯共に生きてくれるか?」
「愛するジャファル様。ずっとお傍に置いてください」
抱き締め合い、二人は愛を確かめ合った。
青いタイルで装飾された神殿で、ジャファルとルカは結婚式を挙げた。
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