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第2話 主題歌が好きなのデス
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「響け轟けダンダダーン! トルネードパワー、雷鳴ジークー!!」
アニメ部の常連メンバー4名は現在、アニメソング研究という名目でカラオケに来ています。今は1年生の大智スパロウ君がレトロなロボットアニメの主題歌を熱唱していました。
「スパロウ君は海外住まいが長かったのに昔のロボットアニメの曲に詳しいわね。お父さんとかお母さんの影響?」
「ダディが日本から持ってきていたCDにロボットアニメ主題歌大全集があって、幼い頃からいつも聴いていたのデス。雷鳴ジークとかコンバットロボVはエンディングも歌えマスよ」
「へえー、じゃあスパロウ君は昔のロボットアニメに詳しいんですね。憧れちゃいます」
部長である鷺宮早子さんの質問に答えたスパロウ君に、彼とは同級生の谷内五月ちゃんは目を輝かせて言いました。
「いや、実はそうでもないデスよ。昔のロボットアニメって4クール52話が当たり前なので主題歌は知ってても本編は全然見てないのデス。流石にファーストザンタムとか幻闘士テンバインは押さえてマスけど」
「そんな、主題歌だけ覚えて本編見ないなんてもったいなくないですか? さっきのガルエイン? っていうロボットアニメはかっこよさそうなので私、帰ったら見てみます」
「オーウ、では健闘を祈りマス……」
スパロウ君は先ほど戦重機ガルエインという昔のロボットアニメの主題歌を歌っていて、原作映像も流れていたので五月ちゃんは興味を持ったのでした。
その日の帰宅後、五月ちゃんは自室のパソコンでアニメの定額配信サイトを開くとガルエインのテレビアニメを1話から見始めました。アニメ部のメンバーは全員このサイトを月額契約しているため部室で集まって見ても法的には許されています。
今から見てもスタイリッシュでかっこいいデザインのロボットや美しいキャラクターたちの姿が洗練された主題歌と共に流れるオープニングを見て、五月ちゃんはワクワクしていました。
しかし……
(うーん、あんまり面白くない……)
視聴前の期待値がものすごく高かったガルエインですが、序盤の終わりから展開が間延びし始めたこともあって残念ながら五月ちゃんにはあまり楽しめませんでした。
五月ちゃんは近年の1クールか長くて2クールしかないテレビアニメに慣れているので4クールを追いかけること自体も厳しく、レトロなロボットアニメの原作を見ていないスパロウ君を非難した自分に後悔していました。
「あの、スパロウ君。この前はごめん、私もガルエインあまり楽しめなかった」
「OKOK、ロボットアニメ初心者にはよくあることデスよ。早く諦めてイチゼロ年代のロボットアニメでも見まショウ」
放課後、アニメ部の古びた液晶モニターで据置機のゲームを遊んでいたスパロウ君に五月ちゃんはカラオケで言ったことを謝りました。
「でも私ガルエインのメカデザインもキャラクターもすごく好きなの。もうちょっと愛せる何かがあれば最後まで追いかけられるから、どうにかできないかな?」
「それなら最適なやり方がありマスよ。ちょっとこれを見てくだサイ」
「このゲーム? あー知ってる、バトロボってやつでしょ?」
スパロウ君が遊んでいたのは様々なロボットアニメに登場するロボットとキャラクターが世界観を共有しつつクロスオーバーするゲーム「バトルロボットウォーズ」で、バトロボという略称はロボットアニメに詳しくない人にもよく知られていました。
「この新作にはちょうどガルエインが参戦していマスし、ミズ谷内が好きなウィザードコードの劇場版も参戦してマスよ。しばらく遊んでみてその上でガルエインを見てみたらどうデスか?」
「ありがとう! きゃー、ルージュが見たことない機体に乗ってるー! セイリュウのカットインもいい感じー!!」
ガルエインよりウィザードコードの方に夢中になっているようですが、ともかく五月ちゃんはバトロボの最新作を気が済むまで遊びました。
バトロボの最新作にはガルエインマーク2やアシュラ・フライといったガルエインに登場する主要なロボットが数多く参戦しており、今風の作画でガルエインのロボットやキャラクターの活躍を見たことで五月ちゃんの中にはガルエインというアニメへの愛着が湧いてきました。
五月ちゃんはそれからガルエインのテレビアニメを再び見始めて、バトロボで再現されたシーンを一つ一つチェックするという変化球の楽しみ方により見事ガルエインを最終話まで見ることができました。
「スパロウ君、この前はバトロボを遊ばせてくれてありがとう。私、ガルエインをちゃんと最後まで見られたよ」
「それはよかったデスね。ミーも昔のバトロボをまた遊んでマスよ」
「へえー、バトロボってYBOXでも出てたんだ。このBGMが異様にかっこいいロボットは何のアニメ?」
「獣機神ダイガーンっていう80年代のスーパーロボットアニメデス。バトロボにはよく参戦してマスね」
「このアニメ、確か定額配信サイトにあったから見てみるね。よかったらバトロボもまた遊ばせて」
「OKデス。ただ、ダイガーンには一つ注意事項が……」
スパロウ君が注意事項を述べるのも待たず、五月ちゃんは原作アニメを見るため自宅に帰ってしまいました。
そして……
(えっ、もう1クール目終わったのにダイガーンが出てこない……)
一向にダイガーンに合体する気配のない獣型ロボットたちの活躍を見ながら、五月ちゃんはガルエインを見た時と同じような感覚になっていました。
(続く)
アニメ部の常連メンバー4名は現在、アニメソング研究という名目でカラオケに来ています。今は1年生の大智スパロウ君がレトロなロボットアニメの主題歌を熱唱していました。
「スパロウ君は海外住まいが長かったのに昔のロボットアニメの曲に詳しいわね。お父さんとかお母さんの影響?」
「ダディが日本から持ってきていたCDにロボットアニメ主題歌大全集があって、幼い頃からいつも聴いていたのデス。雷鳴ジークとかコンバットロボVはエンディングも歌えマスよ」
「へえー、じゃあスパロウ君は昔のロボットアニメに詳しいんですね。憧れちゃいます」
部長である鷺宮早子さんの質問に答えたスパロウ君に、彼とは同級生の谷内五月ちゃんは目を輝かせて言いました。
「いや、実はそうでもないデスよ。昔のロボットアニメって4クール52話が当たり前なので主題歌は知ってても本編は全然見てないのデス。流石にファーストザンタムとか幻闘士テンバインは押さえてマスけど」
「そんな、主題歌だけ覚えて本編見ないなんてもったいなくないですか? さっきのガルエイン? っていうロボットアニメはかっこよさそうなので私、帰ったら見てみます」
「オーウ、では健闘を祈りマス……」
スパロウ君は先ほど戦重機ガルエインという昔のロボットアニメの主題歌を歌っていて、原作映像も流れていたので五月ちゃんは興味を持ったのでした。
その日の帰宅後、五月ちゃんは自室のパソコンでアニメの定額配信サイトを開くとガルエインのテレビアニメを1話から見始めました。アニメ部のメンバーは全員このサイトを月額契約しているため部室で集まって見ても法的には許されています。
今から見てもスタイリッシュでかっこいいデザインのロボットや美しいキャラクターたちの姿が洗練された主題歌と共に流れるオープニングを見て、五月ちゃんはワクワクしていました。
しかし……
(うーん、あんまり面白くない……)
視聴前の期待値がものすごく高かったガルエインですが、序盤の終わりから展開が間延びし始めたこともあって残念ながら五月ちゃんにはあまり楽しめませんでした。
五月ちゃんは近年の1クールか長くて2クールしかないテレビアニメに慣れているので4クールを追いかけること自体も厳しく、レトロなロボットアニメの原作を見ていないスパロウ君を非難した自分に後悔していました。
「あの、スパロウ君。この前はごめん、私もガルエインあまり楽しめなかった」
「OKOK、ロボットアニメ初心者にはよくあることデスよ。早く諦めてイチゼロ年代のロボットアニメでも見まショウ」
放課後、アニメ部の古びた液晶モニターで据置機のゲームを遊んでいたスパロウ君に五月ちゃんはカラオケで言ったことを謝りました。
「でも私ガルエインのメカデザインもキャラクターもすごく好きなの。もうちょっと愛せる何かがあれば最後まで追いかけられるから、どうにかできないかな?」
「それなら最適なやり方がありマスよ。ちょっとこれを見てくだサイ」
「このゲーム? あー知ってる、バトロボってやつでしょ?」
スパロウ君が遊んでいたのは様々なロボットアニメに登場するロボットとキャラクターが世界観を共有しつつクロスオーバーするゲーム「バトルロボットウォーズ」で、バトロボという略称はロボットアニメに詳しくない人にもよく知られていました。
「この新作にはちょうどガルエインが参戦していマスし、ミズ谷内が好きなウィザードコードの劇場版も参戦してマスよ。しばらく遊んでみてその上でガルエインを見てみたらどうデスか?」
「ありがとう! きゃー、ルージュが見たことない機体に乗ってるー! セイリュウのカットインもいい感じー!!」
ガルエインよりウィザードコードの方に夢中になっているようですが、ともかく五月ちゃんはバトロボの最新作を気が済むまで遊びました。
バトロボの最新作にはガルエインマーク2やアシュラ・フライといったガルエインに登場する主要なロボットが数多く参戦しており、今風の作画でガルエインのロボットやキャラクターの活躍を見たことで五月ちゃんの中にはガルエインというアニメへの愛着が湧いてきました。
五月ちゃんはそれからガルエインのテレビアニメを再び見始めて、バトロボで再現されたシーンを一つ一つチェックするという変化球の楽しみ方により見事ガルエインを最終話まで見ることができました。
「スパロウ君、この前はバトロボを遊ばせてくれてありがとう。私、ガルエインをちゃんと最後まで見られたよ」
「それはよかったデスね。ミーも昔のバトロボをまた遊んでマスよ」
「へえー、バトロボってYBOXでも出てたんだ。このBGMが異様にかっこいいロボットは何のアニメ?」
「獣機神ダイガーンっていう80年代のスーパーロボットアニメデス。バトロボにはよく参戦してマスね」
「このアニメ、確か定額配信サイトにあったから見てみるね。よかったらバトロボもまた遊ばせて」
「OKデス。ただ、ダイガーンには一つ注意事項が……」
スパロウ君が注意事項を述べるのも待たず、五月ちゃんは原作アニメを見るため自宅に帰ってしまいました。
そして……
(えっ、もう1クール目終わったのにダイガーンが出てこない……)
一向にダイガーンに合体する気配のない獣型ロボットたちの活躍を見ながら、五月ちゃんはガルエインを見た時と同じような感覚になっていました。
(続く)
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