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ダブルアップだ……!①
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孤児院の復興
そんな大義名分を掲げオオイ・マニキドに入国を果たしたエーナとゼンちゃんはモンスター闘技場なるところで大金を手にする目前まで来ていた。
「イッッケぇぇぇぇ!!ゼンちゃん!! これに勝てば優勝だよ!!」
テイムしているモンスター1対1で戦わせ、トーナメントに最後まで勝ち抜いた者に参加料の総取りと更に優勝賞金1000万メルクが獲得できると言うもの。一試合づつどちらが勝つか予想もされており、賭けも行われいる。
ギリギリでトーナメントの参加に間に合ったエーナはノリでついてきたゼンちゃんをエントリーさせたのだ。
「少しづつ賭ければ――」
などというアドバイスしていた取り巻き3人組とは別行動中である。
絶賛戦闘中のゼンちゃんの相手は優勝候補の一体、隻腕のミノタウロス。片腕でありながら特大の片手斧を軽々と振るいあらゆる相手を屠ってきた。
元々は両腕があったがテイムする際に力の差を見せつける為に切り落としたと言われている。テイマーもそれなりの強者であることが見て取れる。
決勝の試合が始まり怒涛攻撃がゼンちゃんに降りかかるも所詮は片手斧による物理攻撃。どんなに凄まじくてもプルンと揺れるだけ。プラチナボディの輝きは一切曇らなかった。
ただゼンちゃん渾身の体当たりもデカい図体からは想像もつかない俊敏な動きでかわされていく。
⦅どーおすっぺな、全然へばらねぇから勝負がつかねーぞ⦆
「ゼンちゃん諦めないで」
⦅わかってる。いっちょアレを試してみっか!⦆
ゼンちゃんのプラチナボディは輝きを増し周囲の魔素が収束を始める。
危険を察知したのかミノタウルスが阻止しようと飛びかかるがやはり何もできず
⦅いくぞおおお!!⦆
耳を塞ぎたくなる轟音と共に天から振り下ろされたのは黒い雷。ミノタウロスの頭から足へと駆け下りて行った。
詠唱破棄され無詠唱で発動したのは黒雷だった。
以前祭りで荒稼ぎを企てたとき、見知らぬ少女が放った桁違いの威力と腐食の追加効果がついた雷撃系の精霊魔法を真似したのだ。あくまで真似なので威力が弱くなっていることはエーナとゼンちゃんにしかわからない。
耐えたように見えたミノタウロスだったが、膝から崩れるように倒れてしまった。
状況を理解できない観客たちは静まり返っている。
「戦闘続行不可能により、勝者 ゼン!!!!」
判定がでると一気にどよめいたのだ。
「おい見たかあのスライム……。魔法使ってたぞ」
「本当に魔法なのか? スライムって魔法使うのか?」
「そんなこと俺に聞くなよ」
スライムが決勝に残ること自体が異例だったのにもかかわらず、見たことも無い魔法を使い優勝候補を倒しのだ。
ミノタウロスの主が駆け寄り言葉を掛けている。それでもピクリとも動かない。
ゼンちゃんを苦しめた魔法だ。耐性も無い普通のモンスターが無事なわけは無い。
⦅いやぁーあぶねかった⦆
「お疲れ様ゼンちゃん。これで賞金が手に入るね。でもよくあの魔法使えたね」
⦅魔力を全部使ったんだけどよ、たんなかったんだ。それで魔素もかき集めてなんとかってなったな。あーよかったよかったぁ⦆
「魔素が弾かれなくてよかったね」
⦅一か八かよ!気合で弾かないように頑張ったんだ⦆
常時発動スキルである魔法耐性を気合で停止させたのは流石としかいいようがない。でも特技が増えたことは嬉しい誤算だ。
賞金1000万メルク更に参加費の総取りで120万メルク合わせて1120万メルクを手に入れることができたのだった。目標金額を多く上回ったのでこれでも十分だったのだが、せっかく来たこの国で早々にさようならするのはもったいないとも思っていた。
(ちょっとぐらいなら……ねっ)
そんな大義名分を掲げオオイ・マニキドに入国を果たしたエーナとゼンちゃんはモンスター闘技場なるところで大金を手にする目前まで来ていた。
「イッッケぇぇぇぇ!!ゼンちゃん!! これに勝てば優勝だよ!!」
テイムしているモンスター1対1で戦わせ、トーナメントに最後まで勝ち抜いた者に参加料の総取りと更に優勝賞金1000万メルクが獲得できると言うもの。一試合づつどちらが勝つか予想もされており、賭けも行われいる。
ギリギリでトーナメントの参加に間に合ったエーナはノリでついてきたゼンちゃんをエントリーさせたのだ。
「少しづつ賭ければ――」
などというアドバイスしていた取り巻き3人組とは別行動中である。
絶賛戦闘中のゼンちゃんの相手は優勝候補の一体、隻腕のミノタウロス。片腕でありながら特大の片手斧を軽々と振るいあらゆる相手を屠ってきた。
元々は両腕があったがテイムする際に力の差を見せつける為に切り落としたと言われている。テイマーもそれなりの強者であることが見て取れる。
決勝の試合が始まり怒涛攻撃がゼンちゃんに降りかかるも所詮は片手斧による物理攻撃。どんなに凄まじくてもプルンと揺れるだけ。プラチナボディの輝きは一切曇らなかった。
ただゼンちゃん渾身の体当たりもデカい図体からは想像もつかない俊敏な動きでかわされていく。
⦅どーおすっぺな、全然へばらねぇから勝負がつかねーぞ⦆
「ゼンちゃん諦めないで」
⦅わかってる。いっちょアレを試してみっか!⦆
ゼンちゃんのプラチナボディは輝きを増し周囲の魔素が収束を始める。
危険を察知したのかミノタウルスが阻止しようと飛びかかるがやはり何もできず
⦅いくぞおおお!!⦆
耳を塞ぎたくなる轟音と共に天から振り下ろされたのは黒い雷。ミノタウロスの頭から足へと駆け下りて行った。
詠唱破棄され無詠唱で発動したのは黒雷だった。
以前祭りで荒稼ぎを企てたとき、見知らぬ少女が放った桁違いの威力と腐食の追加効果がついた雷撃系の精霊魔法を真似したのだ。あくまで真似なので威力が弱くなっていることはエーナとゼンちゃんにしかわからない。
耐えたように見えたミノタウロスだったが、膝から崩れるように倒れてしまった。
状況を理解できない観客たちは静まり返っている。
「戦闘続行不可能により、勝者 ゼン!!!!」
判定がでると一気にどよめいたのだ。
「おい見たかあのスライム……。魔法使ってたぞ」
「本当に魔法なのか? スライムって魔法使うのか?」
「そんなこと俺に聞くなよ」
スライムが決勝に残ること自体が異例だったのにもかかわらず、見たことも無い魔法を使い優勝候補を倒しのだ。
ミノタウロスの主が駆け寄り言葉を掛けている。それでもピクリとも動かない。
ゼンちゃんを苦しめた魔法だ。耐性も無い普通のモンスターが無事なわけは無い。
⦅いやぁーあぶねかった⦆
「お疲れ様ゼンちゃん。これで賞金が手に入るね。でもよくあの魔法使えたね」
⦅魔力を全部使ったんだけどよ、たんなかったんだ。それで魔素もかき集めてなんとかってなったな。あーよかったよかったぁ⦆
「魔素が弾かれなくてよかったね」
⦅一か八かよ!気合で弾かないように頑張ったんだ⦆
常時発動スキルである魔法耐性を気合で停止させたのは流石としかいいようがない。でも特技が増えたことは嬉しい誤算だ。
賞金1000万メルク更に参加費の総取りで120万メルク合わせて1120万メルクを手に入れることができたのだった。目標金額を多く上回ったのでこれでも十分だったのだが、せっかく来たこの国で早々にさようならするのはもったいないとも思っていた。
(ちょっとぐらいなら……ねっ)
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