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頑張れニャンダーマスク④
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全身黒い甲冑で覆われ、僅かに露出している肌まで黒い。妙なオーラを放ちながら巨兵はのそのそと動き出す。数歩前に出た後、一気に加速し剣士に接近。
だが剣士に動きは見えていたようで。スキルで対抗。
剣士がスキルを使用したほんの一瞬、周囲が暗転したかのように見えたが誰も気に留めていないようだった。
【霞返し による時空間の影響をレジストしました】
脳裏に浮かぶ警告文。客席で見ている私にまで影響を与えようとした剣士のスキルがよほど高度なものだったということが分かる。
ドサッと落ちる巨兵の左腕は半分ほどに切り落とされ、更に胴体にも斬撃の跡がある。その光景に悲鳴も聞こえたが、どちらかというと盛り上がっている。
切られた腕は血などが吹き出すわけでもなく、黒い粉がパラパラと落ちているだけ。それに巨兵が怯んでいる様子もない。
暗転と同時にレジストできた私には、剣士が素早く2回剣を振っているのを見ることができたが、スキルによって周囲の空間の時間を僅かに止めたのだろう。範囲内の者は止まっていたはずだ。
スキルによる時間停止は魔法と違い、発動タイミングが分かりづらく対処が難しい。
レジストできるのは高スキルレベルの耐性持ちに限られる。
その耐性おかげでガイドブックにあった珍しい剣技スキルが見れたのはちょっと嬉しい。
そんなことよりもスキルを使用した剣士の方が危うい。息が上がり吐血をしてる。霞返しの反動なのだろうか、立っているのがやっとに見えた。
「よくも腕をぶった切ってくれたな。せっかく貰ったのに……。今だ、ぶん殴れ! クリゾヘリル!」
「ま、待ってくれ、もう私の負けだ!」
と剣士が敗北を宣言。先ほどのスキルによる代償が大きかったのだろうか、素人でも分かるぐらいに弱っている。
「ふん! そんなものか。もういい。止まれクリゾヘリル」
敗北宣言をした相手への攻撃は禁止事項だ。
しかし巨兵の動きは止まらない。審判も慌てて止めに入ろうとするも、巨兵の方が動きが早く振りかぶった大きな拳を剣士めがけて振りぬいた。
避けることが出来なかった剣士は大きく吹き飛び、壁に打ち付けられている。
それでも剣士は上手く急所を外して受け身を取ったのか、まだ息がある。
攻撃したことにより折角勝ててたのに失格になるため、賭けでも負け扱いになってしまう。客からも下品なヤジとドン引きの声が飛んでくる。
「やめろって言ってるだろ!! なんでいうことを聞かなんいんだよ!!」
ピクリとも反応を示さない巨兵。最初から命令が届いていなかったのだろうか。
今度は喚き散らす自称優勝候補に向かって歩き出す。
「おい! 止まれ! 止まれ!! 止まれ!! 止まれ!!!」
必死の停止命令に意味は無く、拳が逃げようとする自称優勝候補を吹き飛ばしたのだ。運良く死んではいないみたいだが ぐにゃ っとなっている。
(あーあやっぱりこうなっちゃったか)
まるで召喚士がコントロールできていないように見えるこの状況。
危険を感じた客達がおそるおそる逃げ始める。制御が無ければ呼び出された巨兵は暴れる可能性があるからだ。
緊急事態と見た警備兵が巨兵を取り囲むが、無残にも次々吹き飛ばされる。片腕とはいえ人族では相手が悪い。
これ以上ハクレイが輝くの舞台を壊してほしくないなと思っていたら、巨兵の怪しく輝く目がこちらを見ていた。
のそのそと残っている警備兵などに気にせず歩き出す。確実に私の方に一直線に向かっているのが分かった。
「嬢ちゃん逃げろ。こっちに来るぞ」
となりのオヤジが心配してくれている。
「私は大丈夫だよ」
「いいから逃げろ」
まだまだ周知されてないと感じつつも
「……次期魔王なんだから」
と、伝えた。
その言葉でやっと気づいたのか、オヤジはそそくさと逃げていく。
巨兵は目の前まで近づくと拳を振り降ろす。
が、客席と闘技場内の間には魔法障壁が張ってある。会場側の配慮だ。
「この程度の障壁割れないなら、私の相手は無理だよ。と言っても会話も無理そうだね」
ドン!! ドン!!
と見えない壁に拳をつきたてているがやはり破れないようだ。
「ニャンダーマスク! 助けてー!!!」
私を心配して……いや、私を狙うこの巨兵に殺気立って見ていた闘技場内のハクレイを呼び寄せる。
「はい! 任せて下さい」
戦うことに許可がでたのが嬉しかったのだろうか、颯爽と駆けつけたハクレイは、助走をつけた飛び蹴りで巨兵の体をくの時に折り、私の視界の外まで突き飛ばした。
倒れこむ巨兵に容赦なく無詠唱のファイアボールをこれでもかと浴びせる。
それでも起き上がろうとする巨兵。HPが馬鹿みたい高いせいだろう、効いているのかわからない。
HPがあとどれくらいなのかと、もう一度鑑定してみる。
ダメージ量28339 残りHP566801
(こりゃ、かたいわ)
時間がかかりそうなので私の出番。ハクレイが連続魔法攻撃で足止めしてくれている間に、こっそりとナナスキルを発動させ、どこでも通れる “スルー” を使い闘技場内へ。
魔法障壁を壊すわけにはいかないので私なりの配慮だ。
魔力が底につきそうなハクレイのもとに行き。
「もういいよハクレイ」
「倒し切れませんでした」
「いまの魔法の連続使用は凄いね。頑張った頑張った」
「ありがとうございます」
「頑張ったご褒美に1つ魔法を教えてあげる、よく聞いててね」
無詠唱では真似できないので古の魔人語での短縮詠唱だ。
「-dftekvtl」
MPを123万消費させ発動する。
すると巨兵を天まで届く光の壁が円状に囲む。完全に囲み終えると、その円が徐々に小さくなっていく。
起き上がった巨兵はその光の円から出ようと腕を出したが、光の境界線よりこちら側に腕が出ることはなかった。
「対象の全てを分解する光だよ。綺麗でしょ。魔力をたくさん消費するから使うときは気を付けてね」
「……はい」
光の円は最後、光線となり、光線が消えた時には巨兵はどこにもいなかった。
だが剣士に動きは見えていたようで。スキルで対抗。
剣士がスキルを使用したほんの一瞬、周囲が暗転したかのように見えたが誰も気に留めていないようだった。
【霞返し による時空間の影響をレジストしました】
脳裏に浮かぶ警告文。客席で見ている私にまで影響を与えようとした剣士のスキルがよほど高度なものだったということが分かる。
ドサッと落ちる巨兵の左腕は半分ほどに切り落とされ、更に胴体にも斬撃の跡がある。その光景に悲鳴も聞こえたが、どちらかというと盛り上がっている。
切られた腕は血などが吹き出すわけでもなく、黒い粉がパラパラと落ちているだけ。それに巨兵が怯んでいる様子もない。
暗転と同時にレジストできた私には、剣士が素早く2回剣を振っているのを見ることができたが、スキルによって周囲の空間の時間を僅かに止めたのだろう。範囲内の者は止まっていたはずだ。
スキルによる時間停止は魔法と違い、発動タイミングが分かりづらく対処が難しい。
レジストできるのは高スキルレベルの耐性持ちに限られる。
その耐性おかげでガイドブックにあった珍しい剣技スキルが見れたのはちょっと嬉しい。
そんなことよりもスキルを使用した剣士の方が危うい。息が上がり吐血をしてる。霞返しの反動なのだろうか、立っているのがやっとに見えた。
「よくも腕をぶった切ってくれたな。せっかく貰ったのに……。今だ、ぶん殴れ! クリゾヘリル!」
「ま、待ってくれ、もう私の負けだ!」
と剣士が敗北を宣言。先ほどのスキルによる代償が大きかったのだろうか、素人でも分かるぐらいに弱っている。
「ふん! そんなものか。もういい。止まれクリゾヘリル」
敗北宣言をした相手への攻撃は禁止事項だ。
しかし巨兵の動きは止まらない。審判も慌てて止めに入ろうとするも、巨兵の方が動きが早く振りかぶった大きな拳を剣士めがけて振りぬいた。
避けることが出来なかった剣士は大きく吹き飛び、壁に打ち付けられている。
それでも剣士は上手く急所を外して受け身を取ったのか、まだ息がある。
攻撃したことにより折角勝ててたのに失格になるため、賭けでも負け扱いになってしまう。客からも下品なヤジとドン引きの声が飛んでくる。
「やめろって言ってるだろ!! なんでいうことを聞かなんいんだよ!!」
ピクリとも反応を示さない巨兵。最初から命令が届いていなかったのだろうか。
今度は喚き散らす自称優勝候補に向かって歩き出す。
「おい! 止まれ! 止まれ!! 止まれ!! 止まれ!!!」
必死の停止命令に意味は無く、拳が逃げようとする自称優勝候補を吹き飛ばしたのだ。運良く死んではいないみたいだが ぐにゃ っとなっている。
(あーあやっぱりこうなっちゃったか)
まるで召喚士がコントロールできていないように見えるこの状況。
危険を感じた客達がおそるおそる逃げ始める。制御が無ければ呼び出された巨兵は暴れる可能性があるからだ。
緊急事態と見た警備兵が巨兵を取り囲むが、無残にも次々吹き飛ばされる。片腕とはいえ人族では相手が悪い。
これ以上ハクレイが輝くの舞台を壊してほしくないなと思っていたら、巨兵の怪しく輝く目がこちらを見ていた。
のそのそと残っている警備兵などに気にせず歩き出す。確実に私の方に一直線に向かっているのが分かった。
「嬢ちゃん逃げろ。こっちに来るぞ」
となりのオヤジが心配してくれている。
「私は大丈夫だよ」
「いいから逃げろ」
まだまだ周知されてないと感じつつも
「……次期魔王なんだから」
と、伝えた。
その言葉でやっと気づいたのか、オヤジはそそくさと逃げていく。
巨兵は目の前まで近づくと拳を振り降ろす。
が、客席と闘技場内の間には魔法障壁が張ってある。会場側の配慮だ。
「この程度の障壁割れないなら、私の相手は無理だよ。と言っても会話も無理そうだね」
ドン!! ドン!!
と見えない壁に拳をつきたてているがやはり破れないようだ。
「ニャンダーマスク! 助けてー!!!」
私を心配して……いや、私を狙うこの巨兵に殺気立って見ていた闘技場内のハクレイを呼び寄せる。
「はい! 任せて下さい」
戦うことに許可がでたのが嬉しかったのだろうか、颯爽と駆けつけたハクレイは、助走をつけた飛び蹴りで巨兵の体をくの時に折り、私の視界の外まで突き飛ばした。
倒れこむ巨兵に容赦なく無詠唱のファイアボールをこれでもかと浴びせる。
それでも起き上がろうとする巨兵。HPが馬鹿みたい高いせいだろう、効いているのかわからない。
HPがあとどれくらいなのかと、もう一度鑑定してみる。
ダメージ量28339 残りHP566801
(こりゃ、かたいわ)
時間がかかりそうなので私の出番。ハクレイが連続魔法攻撃で足止めしてくれている間に、こっそりとナナスキルを発動させ、どこでも通れる “スルー” を使い闘技場内へ。
魔法障壁を壊すわけにはいかないので私なりの配慮だ。
魔力が底につきそうなハクレイのもとに行き。
「もういいよハクレイ」
「倒し切れませんでした」
「いまの魔法の連続使用は凄いね。頑張った頑張った」
「ありがとうございます」
「頑張ったご褒美に1つ魔法を教えてあげる、よく聞いててね」
無詠唱では真似できないので古の魔人語での短縮詠唱だ。
「-dftekvtl」
MPを123万消費させ発動する。
すると巨兵を天まで届く光の壁が円状に囲む。完全に囲み終えると、その円が徐々に小さくなっていく。
起き上がった巨兵はその光の円から出ようと腕を出したが、光の境界線よりこちら側に腕が出ることはなかった。
「対象の全てを分解する光だよ。綺麗でしょ。魔力をたくさん消費するから使うときは気を付けてね」
「……はい」
光の円は最後、光線となり、光線が消えた時には巨兵はどこにもいなかった。
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