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水平線の向こうに⑥
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海面に出てるとドボックス側を指して、興奮気味に話してくる。
「見てみよ、船じゃ」
「ハクレイにはよく見えません」
「んーーー、あれは戦艦かなぁ」
水平線あたりにうっすらと見える。探索スキルのギリギリ範囲外のため正確な数字は分からない。
「こっちに近づいてきているのじゃ」
「え、もうバレたの」
「そうじゃろうな」
「なんでだろ」
「ケーナが意味の分からん魔法など使うからじゃろうに」
「え、いつ?」
「さっきロウソクに着けた火じゃ、ただの火の魔法ではないじゃろ」
「……うん」
「ありえんほどの魔力を使ってれば、こうなることぐらい分かっておると思っておったのじゃが」
「そんなに強かった?」
古代魔法とはいえ所詮はロウソクにともる火程度のこと。
魔力量の消費などまったく気にしていなかった。
「ハクレイは普段から思っていましたが、ケーナは魔力量が多すぎて魔力の減少を感じていなかったのではないでしょうか」
「ありえるのぉ。ケーナの魔力量は魔王級だからのぉ」
「いや……、でも……、ごめんなさい」
せっかく楽しい時間だったのに、私のせいでもう帰らなきゃならなくなってしまったのが残念でたまらない。
あの戦艦を消してしまえばいいのかなという考えは浅すぎる。
もしかしたらただのでかい漁船かもしれないので、千里眼スキルでよくよく観察してみたがやっぱり戦艦だった。
数は大きいのが3隻。中くらいのが2隻。小さいのが1隻。
「国旗があるよ」
「やはりドボックじゃったか?」
「ドボックスだけじゃない。バクラの国旗も掲げてる」
目立つように、船首にドボックスとバクラの国旗がある。
ここにいる私が魔王だと知っていてアピールしているようにしか思えなかった。
「なんじゃ、ずいぶんと用意がいいの。視られている感じはしなかったのじゃかな」
「とりあえず待ってみようか。もし仕掛けてくるようなら、さようならだよ」
徐々に近づいてくる戦艦。
沖で停止しているがやっぱり大きい。
ボートでも出すのかなと思っていたら、甲板から数人が飛んできた。
「ハクレイとフランは私の後ろに。すぐ転移できるように離れないでね」
「わかったのじゃ」
「わかりました」
軍人の偉い人はなぜ皆でかいのだろうか。体を鍛えている事もあるだろうが、体格の基準でもあるのかもしれない。
砂浜に降り立つと、知っていたのだろうか脇見もせずに私の目の前に立って挨拶をしてくる。
ドボック帝国のロッヘン艦隊を指揮するアトバル・シュエバー中将という人族。
中将というのだからもっと偉そうにするのかと思いきや、敬礼をしてくれる。
「で、私たちになんのようなの?」
「本日は魔王閣下ご一行を我が国に、お招きしたいと思っております」
招くにしては戦艦まで持ち出して大がかりすぎる。
目の前にいる中将含め、個々のレベルが特段高いわけでもない。正直ハクレイの相手にもならないだろう。
だが地位はとても高い。中将の後ろにいる取り巻きたちもそれなりに地位があるものだった。
「アトバルさん、ひとつ教えてほしいのだけど」
「なんなりと」
「どうして私がここにいるって分かったの?」
「それは……我が国の結界を単独で破ることができる者が存在するとするならば、魔王閣下ぐらいだろうと推察いたしました。我々の持つ魔王閣下に関する情報の正しさは、見ての通りでございます」
推察通りで満足げな表情を私に向けてくる。
「自由でいらっしゃる事には少々疑いもしましたが、杞憂でした」
「国の仕事してないってこと? 自由の何が悪いのよ。」
「いえ、そのような意味では」
不機嫌になったと思われたのだろうか、頭を下げてくる。
「当たっておるではないか。国の政はぜーんぶ丸投げしとるんじゃろ」
「そうだけど……」
余計なことは挟まないでほしい。一応複製体が最低限頑張ってるはず。
「招いてどうするの? ずっと追いかけまわすとかしないよね?」
「いえ、そのような悪趣味なことはいたしません。最高の宿泊先をご用意させていただきます。お食事も、その他必要なことがあれば尽くさせていただきます」
「そこまでする理由は?」
「我が国の帝王が、ひと目お会いしたいと常々申しておりました。その願いをかなえて差し上げる事ができるかと思っております」
そんなに会いたがる帝王がどんな人なのか気になってくる。
「不法侵入だけど国賓ってことにできない?」
「我が国としては魔王閣下に招待状を送りづらい事もあるので正式な手続きはしませんが、国賓待遇に引けを取らない待遇ををお約束します」
人族とはいえ魔王という肩書が邪魔をしてしまっているのだろう。
だが、せっかく来たこのチャンスを逃さまいとしているのが伝わってくる。
既にドボックス帝国の裏側はエーナが支配している。なら表側を私が担当しといてもいいのかもしれない。
「いいわ。その提案のった」
「心より感謝いたします」
でかい図体が深々とお辞儀をすると、船へと案内してくれた。
移動の際、腕に装備すると誰でも簡単に浮遊できるという魔道具を渡してきたが、まだそこまで信用はしていないので受け取らなかった。
「私たちは必要ないよ」
「しかしながら、お付きの方たちは」
「私が運ぶから、あの真ん中の船でしょ」
「そうです」
「先に甲板で待ってるね」
ハクレイとフランと一緒に空間転移をする。
近距離とはいえ今の魔法を見ただけで、砂浜に残された中将たちは関心しているようだった。
「見たか今の! 噂以上だ。空間転移を息をするように行うなんて……。逃げられたら追いかける自信が全くなくなったぞ」
同意をする取り巻きたち。
「ほかの噂も本当だったとするなら、はっきり言ってこの艦隊をもってしても勝てる気がせん。お招きできて本当によかった。帝王はここまでの者だと知っていらっしゃったのか……」
感嘆の溜息しかでない一同だった。
「見てみよ、船じゃ」
「ハクレイにはよく見えません」
「んーーー、あれは戦艦かなぁ」
水平線あたりにうっすらと見える。探索スキルのギリギリ範囲外のため正確な数字は分からない。
「こっちに近づいてきているのじゃ」
「え、もうバレたの」
「そうじゃろうな」
「なんでだろ」
「ケーナが意味の分からん魔法など使うからじゃろうに」
「え、いつ?」
「さっきロウソクに着けた火じゃ、ただの火の魔法ではないじゃろ」
「……うん」
「ありえんほどの魔力を使ってれば、こうなることぐらい分かっておると思っておったのじゃが」
「そんなに強かった?」
古代魔法とはいえ所詮はロウソクにともる火程度のこと。
魔力量の消費などまったく気にしていなかった。
「ハクレイは普段から思っていましたが、ケーナは魔力量が多すぎて魔力の減少を感じていなかったのではないでしょうか」
「ありえるのぉ。ケーナの魔力量は魔王級だからのぉ」
「いや……、でも……、ごめんなさい」
せっかく楽しい時間だったのに、私のせいでもう帰らなきゃならなくなってしまったのが残念でたまらない。
あの戦艦を消してしまえばいいのかなという考えは浅すぎる。
もしかしたらただのでかい漁船かもしれないので、千里眼スキルでよくよく観察してみたがやっぱり戦艦だった。
数は大きいのが3隻。中くらいのが2隻。小さいのが1隻。
「国旗があるよ」
「やはりドボックじゃったか?」
「ドボックスだけじゃない。バクラの国旗も掲げてる」
目立つように、船首にドボックスとバクラの国旗がある。
ここにいる私が魔王だと知っていてアピールしているようにしか思えなかった。
「なんじゃ、ずいぶんと用意がいいの。視られている感じはしなかったのじゃかな」
「とりあえず待ってみようか。もし仕掛けてくるようなら、さようならだよ」
徐々に近づいてくる戦艦。
沖で停止しているがやっぱり大きい。
ボートでも出すのかなと思っていたら、甲板から数人が飛んできた。
「ハクレイとフランは私の後ろに。すぐ転移できるように離れないでね」
「わかったのじゃ」
「わかりました」
軍人の偉い人はなぜ皆でかいのだろうか。体を鍛えている事もあるだろうが、体格の基準でもあるのかもしれない。
砂浜に降り立つと、知っていたのだろうか脇見もせずに私の目の前に立って挨拶をしてくる。
ドボック帝国のロッヘン艦隊を指揮するアトバル・シュエバー中将という人族。
中将というのだからもっと偉そうにするのかと思いきや、敬礼をしてくれる。
「で、私たちになんのようなの?」
「本日は魔王閣下ご一行を我が国に、お招きしたいと思っております」
招くにしては戦艦まで持ち出して大がかりすぎる。
目の前にいる中将含め、個々のレベルが特段高いわけでもない。正直ハクレイの相手にもならないだろう。
だが地位はとても高い。中将の後ろにいる取り巻きたちもそれなりに地位があるものだった。
「アトバルさん、ひとつ教えてほしいのだけど」
「なんなりと」
「どうして私がここにいるって分かったの?」
「それは……我が国の結界を単独で破ることができる者が存在するとするならば、魔王閣下ぐらいだろうと推察いたしました。我々の持つ魔王閣下に関する情報の正しさは、見ての通りでございます」
推察通りで満足げな表情を私に向けてくる。
「自由でいらっしゃる事には少々疑いもしましたが、杞憂でした」
「国の仕事してないってこと? 自由の何が悪いのよ。」
「いえ、そのような意味では」
不機嫌になったと思われたのだろうか、頭を下げてくる。
「当たっておるではないか。国の政はぜーんぶ丸投げしとるんじゃろ」
「そうだけど……」
余計なことは挟まないでほしい。一応複製体が最低限頑張ってるはず。
「招いてどうするの? ずっと追いかけまわすとかしないよね?」
「いえ、そのような悪趣味なことはいたしません。最高の宿泊先をご用意させていただきます。お食事も、その他必要なことがあれば尽くさせていただきます」
「そこまでする理由は?」
「我が国の帝王が、ひと目お会いしたいと常々申しておりました。その願いをかなえて差し上げる事ができるかと思っております」
そんなに会いたがる帝王がどんな人なのか気になってくる。
「不法侵入だけど国賓ってことにできない?」
「我が国としては魔王閣下に招待状を送りづらい事もあるので正式な手続きはしませんが、国賓待遇に引けを取らない待遇ををお約束します」
人族とはいえ魔王という肩書が邪魔をしてしまっているのだろう。
だが、せっかく来たこのチャンスを逃さまいとしているのが伝わってくる。
既にドボックス帝国の裏側はエーナが支配している。なら表側を私が担当しといてもいいのかもしれない。
「いいわ。その提案のった」
「心より感謝いたします」
でかい図体が深々とお辞儀をすると、船へと案内してくれた。
移動の際、腕に装備すると誰でも簡単に浮遊できるという魔道具を渡してきたが、まだそこまで信用はしていないので受け取らなかった。
「私たちは必要ないよ」
「しかしながら、お付きの方たちは」
「私が運ぶから、あの真ん中の船でしょ」
「そうです」
「先に甲板で待ってるね」
ハクレイとフランと一緒に空間転移をする。
近距離とはいえ今の魔法を見ただけで、砂浜に残された中将たちは関心しているようだった。
「見たか今の! 噂以上だ。空間転移を息をするように行うなんて……。逃げられたら追いかける自信が全くなくなったぞ」
同意をする取り巻きたち。
「ほかの噂も本当だったとするなら、はっきり言ってこの艦隊をもってしても勝てる気がせん。お招きできて本当によかった。帝王はここまでの者だと知っていらっしゃったのか……」
感嘆の溜息しかでない一同だった。
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