たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

文字の大きさ
172 / 221

薬草売りの少女②

しおりを挟む
 ドラゴンといってもエンドのような巨大なモンスターではなく、トカゲを大きくして強化したようなモンスターだ。翼はあったりなかったり、種類によって違ってくる。

 今回の依頼内容は皮膚が岩のように固い岩竜、大きな火炎袋を持ち火を吐く炎竜、酸を纏い剣や弓など金属の攻撃が効きづらい溶竜の討伐依頼になっている。

 私は3つを同時に受けたが、ギルドカードのレートが10000未満の冒険者とっては命を落としかねないモンスターなのは難易度を見れば一目瞭然。
 もし見かけたら全力で逃げて、ギルドに報告することが規則になっているぐらいだ。
 
 受付嬢に依頼を受けたことを他の冒険者には言わないように口止めしてギルドを後にした。

(この依頼、フランにでもお願いしようかな……)



「たっだいまー!!」

「御機嫌じゃの」

「ねぇ、フラン。所属してるパーティーとかないよね」

「あれからずっとここにおるのじゃぞ、当たり前じゃろう」

「是非、私のキャットテールに入ってほしいんだけど」

「今更じゃのぉ。もうちっと早くお誘いがあるかと思っておったが……」

「ほら私たちって仲良しだから、パーティーのことを考えてなかったのよね」

「そんな仲良しを、改めてお誘いする理由はなんじゃ」

「依頼を受けてきちゃった……3つも……」

「ギルドには伝言を頼みに行ったのではなかったのか?」

「それもそうだけど、色々あって……」

「ケーナが引き受けてきたのならケーナがやらねばであろう?」

 面倒そうな目でじっと見つめてくる。
 フランをパーティーに入れ、依頼を丸投げしようとする思惑は読まれているのかもしれない。
 
 しかし、私には絶対の信頼を置くハクレイがいる。

「ハクレイ、フランが虐めるぅぅぅ」

 いつもなら「どうかされましたか?」と優しく返事をしてくれるはずが、どこからも聞こえてこない。

「あれ、ハクレイは?」

「ハクレイなら、あっちじゃ」

 特定の者だけが ”エーナの世界” と行き来できる扉を指さす。

「もしかしてまた特訓でもしてるのかな」

「そうじゃろう、あいつは健気だからの。ケーナのためにと頑張っているのじゃ」

「そっか……依頼は私だけで行くかぁ」

 ちらちらとフランの様子をうかがう。

「余1人だけでは行かぬが、ケーナと一緒なら行くぞ」

 やっぱり、フランも優しいなと思い、駆け寄って手を握る。

「ようこそ、キャットテールへ。改めてよろしくね」


  
 グランジがいつ来てもいいように、プリツとポーキとカプリにお留守番をお願いしておいた。「あいつには悪戯をいくらしてもいいよ」と言ったら大喜びで引き受けてくれた。
 
 3枚の依頼書を見比べて比較的近いものを選び出す。

「最初は岩竜かな」

「場所はわかっておるのか?」

「最後に目撃された場所は書いてあるから、そこに行ってみる」

 フランと手をつなぐと空間転移魔法を発動させる。

 着いた先は、岩場の多い土地。
 【見た目が岩のような岩竜は普段地中に潜って半身を隠している】
 と依頼書に書いてあったので探索スキルを使い居場所を特定する。
 
 すぐに見つかり、指をさしてフランに教えるも

「岩じゃ。あれは岩じゃぞケーナ」

「擬態してるだけだよ」

「そうかの……ふん!」

 フランが近づき、岩の一部を思い切り殴った。かなり力を入れて殴ったのだろう。拳を怪我するほどの力だが岩竜の反応はない。

「そんなに強く殴らなくてもいいのに」

「手は大丈夫じゃすぐ直る。でもわかったであろう、これは岩じゃ」

 それぐらい強く殴ってもピクリともしない岩竜。よほど頑丈なのか鈍感なのか。

「いやいやいや、これは岩じゃなくてきっと岩竜の背中の部分だよ。一応ドラゴンのくくりだし、フランの力でもまだ足りてないのかも」

 どうせ狩るのだから、背中ぐらい粉砕しても大丈夫だろうと正拳突きの構えをしたとき、地面を揺らしもぞもぞと出てくる岩竜。地中からでると全長は5m以上あるだろうか。フランが殴った部分はやっぱり背中だった。

「ほらぁ。岩じゃないでしょ」

「そうじゃな。余の目をよく欺いた、あっぱれじゃ」

 見破れなかったことが気恥ずかしいのか擬態を褒め称えるが、岩竜はそれどころではないようで必死になって逃げようとしている。
 ダメージは思っていた以上に大きかったらしい。

「逃げてしまうぞ?」

「逃がさないよ」

 がっしり尻尾を鷲づかみすると、そのまま真上に投げる。
 岩竜に翼は無いので地面に落下する直前に空間収納へと送る。

「私と正面切って戦う気はないようね」

 討伐の証は、心臓か一対の竜眼になる。爪や鱗のように偶然手に入れることができる素材では証にはならない。解体作業は空間内のタイムに任せておいた。

「ケーナのアイテムボックスは便利じゃの。もう終わってしもうた」

「あんな必死に逃げようとされちゃ、追いかけるのが大変だからね」

「あれでもドラゴンじゃ、ケーナの強さが分かっておったのかもしれぬな。直感で力の片鱗でも感じ取れたのであれば必死に逃げるじゃろうて」

 この後に向かった炎竜にも溶竜にも似たような反応をされ、同じように空間収納にぶち込んでおいた。

「はい、これでおーわり!!」

「あっけなかったの。これなら最初から頼ろうとせんでもよかったろうに……」

「そんなことないよ。頼れるところはじゃんじゃん頼るからね」

「しかし、ドラゴンに苦戦するケーナをちょっとは見てみたかったのじゃが……無理だったかの」

 息を切らし、血を流し、絶体絶命に追い込まれたとき覚醒する勇者のような力も魅力的ではあるけれど、私のステータスにはそれに近いスキルはないように思う。

「苦戦ね……なんでもありな状態だと、苦戦することに苦戦するよ」
 
「ならアイテムボックスを封じられたらどう戦うのじゃ?」

「似たようなスキルがあるからそっちを使うかな」

「スキルを封じられたらどうするのじゃ?」

「魔法で空間と時間を操作すると思う」

「結局似たようなものではないか。では魔法も封じようではないか、そしたらどうじゃ」

「拳で戦うかなぁ」

「ケーナの拳に耐えられるものはあるのかの?」

「あの岩竜の背中でも無理だと思う」

「余は怪我したのにの……あと何を縛れば苦戦するのじゃ?」

「鉄や銅の剣で戦えって言われたら苦戦するかも」

「何故じゃ? 拳よりマシな気がするのじゃが」

「剣に気をつかって戦わないといけなくなるからね。手加減スキルを封じられた状態で剣を振ると曲がっちゃうから」

 鉄製のロングソードを全力で振ると剣先が空気の圧縮熱に耐えられず、輝くように発熱し融けて大きく変形してしまうのは試したことがあるので知っている。

「なんじゃ、よくわからんの。ケーナの弱点は剣を使わせること。そーゆーことにしておくのじゃ」

 剣で一度失敗しているのであながち間違いではないなと納得してしまった。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

処理中です...