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薬草売りの少女②
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ドラゴンといってもエンドのような巨大なモンスターではなく、トカゲを大きくして強化したようなモンスターだ。翼はあったりなかったり、種類によって違ってくる。
今回の依頼内容は皮膚が岩のように固い岩竜、大きな火炎袋を持ち火を吐く炎竜、酸を纏い剣や弓など金属の攻撃が効きづらい溶竜の討伐依頼になっている。
私は3つを同時に受けたが、ギルドカードのレートが10000未満の冒険者とっては命を落としかねないモンスターなのは難易度を見れば一目瞭然。
もし見かけたら全力で逃げて、ギルドに報告することが規則になっているぐらいだ。
受付嬢に依頼を受けたことを他の冒険者には言わないように口止めしてギルドを後にした。
(この依頼、フランにでもお願いしようかな……)
「たっだいまー!!」
「御機嫌じゃの」
「ねぇ、フラン。所属してるパーティーとかないよね」
「あれからずっとここにおるのじゃぞ、当たり前じゃろう」
「是非、私のキャットテールに入ってほしいんだけど」
「今更じゃのぉ。もうちっと早くお誘いがあるかと思っておったが……」
「ほら私たちって仲良しだから、パーティーのことを考えてなかったのよね」
「そんな仲良しを、改めてお誘いする理由はなんじゃ」
「依頼を受けてきちゃった……3つも……」
「ギルドには伝言を頼みに行ったのではなかったのか?」
「それもそうだけど、色々あって……」
「ケーナが引き受けてきたのならケーナがやらねばであろう?」
面倒そうな目でじっと見つめてくる。
フランをパーティーに入れ、依頼を丸投げしようとする思惑は読まれているのかもしれない。
しかし、私には絶対の信頼を置くハクレイがいる。
「ハクレイ、フランが虐めるぅぅぅ」
いつもなら「どうかされましたか?」と優しく返事をしてくれるはずが、どこからも聞こえてこない。
「あれ、ハクレイは?」
「ハクレイなら、あっちじゃ」
特定の者だけが ”エーナの世界” と行き来できる扉を指さす。
「もしかしてまた特訓でもしてるのかな」
「そうじゃろう、あいつは健気だからの。ケーナのためにと頑張っているのじゃ」
「そっか……依頼は私だけで行くかぁ」
ちらちらとフランの様子をうかがう。
「余1人だけでは行かぬが、ケーナと一緒なら行くぞ」
やっぱり、フランも優しいなと思い、駆け寄って手を握る。
「ようこそ、キャットテールへ。改めてよろしくね」
グランジがいつ来てもいいように、プリツとポーキとカプリにお留守番をお願いしておいた。「あいつには悪戯をいくらしてもいいよ」と言ったら大喜びで引き受けてくれた。
3枚の依頼書を見比べて比較的近いものを選び出す。
「最初は岩竜かな」
「場所はわかっておるのか?」
「最後に目撃された場所は書いてあるから、そこに行ってみる」
フランと手をつなぐと空間転移魔法を発動させる。
着いた先は、岩場の多い土地。
【見た目が岩のような岩竜は普段地中に潜って半身を隠している】
と依頼書に書いてあったので探索スキルを使い居場所を特定する。
すぐに見つかり、指をさしてフランに教えるも
「岩じゃ。あれは岩じゃぞケーナ」
「擬態してるだけだよ」
「そうかの……ふん!」
フランが近づき、岩の一部を思い切り殴った。かなり力を入れて殴ったのだろう。拳を怪我するほどの力だが岩竜の反応はない。
「そんなに強く殴らなくてもいいのに」
「手は大丈夫じゃすぐ直る。でもわかったであろう、これは岩じゃ」
それぐらい強く殴ってもピクリともしない岩竜。よほど頑丈なのか鈍感なのか。
「いやいやいや、これは岩じゃなくてきっと岩竜の背中の部分だよ。一応ドラゴンのくくりだし、フランの力でもまだ足りてないのかも」
どうせ狩るのだから、背中ぐらい粉砕しても大丈夫だろうと正拳突きの構えをしたとき、地面を揺らしもぞもぞと出てくる岩竜。地中からでると全長は5m以上あるだろうか。フランが殴った部分はやっぱり背中だった。
「ほらぁ。岩じゃないでしょ」
「そうじゃな。余の目をよく欺いた、あっぱれじゃ」
見破れなかったことが気恥ずかしいのか擬態を褒め称えるが、岩竜はそれどころではないようで必死になって逃げようとしている。
ダメージは思っていた以上に大きかったらしい。
「逃げてしまうぞ?」
「逃がさないよ」
がっしり尻尾を鷲づかみすると、そのまま真上に投げる。
岩竜に翼は無いので地面に落下する直前に空間収納へと送る。
「私と正面切って戦う気はないようね」
討伐の証は、心臓か一対の竜眼になる。爪や鱗のように偶然手に入れることができる素材では証にはならない。解体作業は空間内のタイムに任せておいた。
「ケーナのアイテムボックスは便利じゃの。もう終わってしもうた」
「あんな必死に逃げようとされちゃ、追いかけるのが大変だからね」
「あれでもドラゴンじゃ、ケーナの強さが分かっておったのかもしれぬな。直感で力の片鱗でも感じ取れたのであれば必死に逃げるじゃろうて」
この後に向かった炎竜にも溶竜にも似たような反応をされ、同じように空間収納にぶち込んでおいた。
「はい、これでおーわり!!」
「あっけなかったの。これなら最初から頼ろうとせんでもよかったろうに……」
「そんなことないよ。頼れるところはじゃんじゃん頼るからね」
「しかし、ドラゴンに苦戦するケーナをちょっとは見てみたかったのじゃが……無理だったかの」
息を切らし、血を流し、絶体絶命に追い込まれたとき覚醒する勇者のような力も魅力的ではあるけれど、私のステータスにはそれに近いスキルはないように思う。
「苦戦ね……なんでもありな状態だと、苦戦することに苦戦するよ」
「ならアイテムボックスを封じられたらどう戦うのじゃ?」
「似たようなスキルがあるからそっちを使うかな」
「スキルを封じられたらどうするのじゃ?」
「魔法で空間と時間を操作すると思う」
「結局似たようなものではないか。では魔法も封じようではないか、そしたらどうじゃ」
「拳で戦うかなぁ」
「ケーナの拳に耐えられるものはあるのかの?」
「あの岩竜の背中でも無理だと思う」
「余は怪我したのにの……あと何を縛れば苦戦するのじゃ?」
「鉄や銅の剣で戦えって言われたら苦戦するかも」
「何故じゃ? 拳よりマシな気がするのじゃが」
「剣に気をつかって戦わないといけなくなるからね。手加減スキルを封じられた状態で剣を振ると曲がっちゃうから」
鉄製のロングソードを全力で振ると剣先が空気の圧縮熱に耐えられず、輝くように発熱し融けて大きく変形してしまうのは試したことがあるので知っている。
「なんじゃ、よくわからんの。ケーナの弱点は剣を使わせること。そーゆーことにしておくのじゃ」
剣で一度失敗しているのであながち間違いではないなと納得してしまった。
今回の依頼内容は皮膚が岩のように固い岩竜、大きな火炎袋を持ち火を吐く炎竜、酸を纏い剣や弓など金属の攻撃が効きづらい溶竜の討伐依頼になっている。
私は3つを同時に受けたが、ギルドカードのレートが10000未満の冒険者とっては命を落としかねないモンスターなのは難易度を見れば一目瞭然。
もし見かけたら全力で逃げて、ギルドに報告することが規則になっているぐらいだ。
受付嬢に依頼を受けたことを他の冒険者には言わないように口止めしてギルドを後にした。
(この依頼、フランにでもお願いしようかな……)
「たっだいまー!!」
「御機嫌じゃの」
「ねぇ、フラン。所属してるパーティーとかないよね」
「あれからずっとここにおるのじゃぞ、当たり前じゃろう」
「是非、私のキャットテールに入ってほしいんだけど」
「今更じゃのぉ。もうちっと早くお誘いがあるかと思っておったが……」
「ほら私たちって仲良しだから、パーティーのことを考えてなかったのよね」
「そんな仲良しを、改めてお誘いする理由はなんじゃ」
「依頼を受けてきちゃった……3つも……」
「ギルドには伝言を頼みに行ったのではなかったのか?」
「それもそうだけど、色々あって……」
「ケーナが引き受けてきたのならケーナがやらねばであろう?」
面倒そうな目でじっと見つめてくる。
フランをパーティーに入れ、依頼を丸投げしようとする思惑は読まれているのかもしれない。
しかし、私には絶対の信頼を置くハクレイがいる。
「ハクレイ、フランが虐めるぅぅぅ」
いつもなら「どうかされましたか?」と優しく返事をしてくれるはずが、どこからも聞こえてこない。
「あれ、ハクレイは?」
「ハクレイなら、あっちじゃ」
特定の者だけが ”エーナの世界” と行き来できる扉を指さす。
「もしかしてまた特訓でもしてるのかな」
「そうじゃろう、あいつは健気だからの。ケーナのためにと頑張っているのじゃ」
「そっか……依頼は私だけで行くかぁ」
ちらちらとフランの様子をうかがう。
「余1人だけでは行かぬが、ケーナと一緒なら行くぞ」
やっぱり、フランも優しいなと思い、駆け寄って手を握る。
「ようこそ、キャットテールへ。改めてよろしくね」
グランジがいつ来てもいいように、プリツとポーキとカプリにお留守番をお願いしておいた。「あいつには悪戯をいくらしてもいいよ」と言ったら大喜びで引き受けてくれた。
3枚の依頼書を見比べて比較的近いものを選び出す。
「最初は岩竜かな」
「場所はわかっておるのか?」
「最後に目撃された場所は書いてあるから、そこに行ってみる」
フランと手をつなぐと空間転移魔法を発動させる。
着いた先は、岩場の多い土地。
【見た目が岩のような岩竜は普段地中に潜って半身を隠している】
と依頼書に書いてあったので探索スキルを使い居場所を特定する。
すぐに見つかり、指をさしてフランに教えるも
「岩じゃ。あれは岩じゃぞケーナ」
「擬態してるだけだよ」
「そうかの……ふん!」
フランが近づき、岩の一部を思い切り殴った。かなり力を入れて殴ったのだろう。拳を怪我するほどの力だが岩竜の反応はない。
「そんなに強く殴らなくてもいいのに」
「手は大丈夫じゃすぐ直る。でもわかったであろう、これは岩じゃ」
それぐらい強く殴ってもピクリともしない岩竜。よほど頑丈なのか鈍感なのか。
「いやいやいや、これは岩じゃなくてきっと岩竜の背中の部分だよ。一応ドラゴンのくくりだし、フランの力でもまだ足りてないのかも」
どうせ狩るのだから、背中ぐらい粉砕しても大丈夫だろうと正拳突きの構えをしたとき、地面を揺らしもぞもぞと出てくる岩竜。地中からでると全長は5m以上あるだろうか。フランが殴った部分はやっぱり背中だった。
「ほらぁ。岩じゃないでしょ」
「そうじゃな。余の目をよく欺いた、あっぱれじゃ」
見破れなかったことが気恥ずかしいのか擬態を褒め称えるが、岩竜はそれどころではないようで必死になって逃げようとしている。
ダメージは思っていた以上に大きかったらしい。
「逃げてしまうぞ?」
「逃がさないよ」
がっしり尻尾を鷲づかみすると、そのまま真上に投げる。
岩竜に翼は無いので地面に落下する直前に空間収納へと送る。
「私と正面切って戦う気はないようね」
討伐の証は、心臓か一対の竜眼になる。爪や鱗のように偶然手に入れることができる素材では証にはならない。解体作業は空間内のタイムに任せておいた。
「ケーナのアイテムボックスは便利じゃの。もう終わってしもうた」
「あんな必死に逃げようとされちゃ、追いかけるのが大変だからね」
「あれでもドラゴンじゃ、ケーナの強さが分かっておったのかもしれぬな。直感で力の片鱗でも感じ取れたのであれば必死に逃げるじゃろうて」
この後に向かった炎竜にも溶竜にも似たような反応をされ、同じように空間収納にぶち込んでおいた。
「はい、これでおーわり!!」
「あっけなかったの。これなら最初から頼ろうとせんでもよかったろうに……」
「そんなことないよ。頼れるところはじゃんじゃん頼るからね」
「しかし、ドラゴンに苦戦するケーナをちょっとは見てみたかったのじゃが……無理だったかの」
息を切らし、血を流し、絶体絶命に追い込まれたとき覚醒する勇者のような力も魅力的ではあるけれど、私のステータスにはそれに近いスキルはないように思う。
「苦戦ね……なんでもありな状態だと、苦戦することに苦戦するよ」
「ならアイテムボックスを封じられたらどう戦うのじゃ?」
「似たようなスキルがあるからそっちを使うかな」
「スキルを封じられたらどうするのじゃ?」
「魔法で空間と時間を操作すると思う」
「結局似たようなものではないか。では魔法も封じようではないか、そしたらどうじゃ」
「拳で戦うかなぁ」
「ケーナの拳に耐えられるものはあるのかの?」
「あの岩竜の背中でも無理だと思う」
「余は怪我したのにの……あと何を縛れば苦戦するのじゃ?」
「鉄や銅の剣で戦えって言われたら苦戦するかも」
「何故じゃ? 拳よりマシな気がするのじゃが」
「剣に気をつかって戦わないといけなくなるからね。手加減スキルを封じられた状態で剣を振ると曲がっちゃうから」
鉄製のロングソードを全力で振ると剣先が空気の圧縮熱に耐えられず、輝くように発熱し融けて大きく変形してしまうのは試したことがあるので知っている。
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