たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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魔力量なんてただの飾りですよ⑤

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 禁忌指定されている理由は大量のMPと聖属性・闇属性の魔法を同時に使用する必要があり、難易度がとても高く失敗したときの被害が大きいと書いてある。

 その被害の内容は『暴走した魔法が複数の町と村を蒸発させた』とある。

 肝心の魔法の効果は『天界の門が開く』とだけ書かれており、備考に『門をくぐったものは帰ってこなかった』とも書いてあった。

「天界の門って……これ人の命を代償にとかじゃないよね?」

「そんな生贄の儀式のようなことはありえませんわ。魔導書にあるということは魔法であって成功例もあったということですもの」

「まったく怖いもの知らずね……」

「やっぱりケーナ姉様でもできませんの?」

「でき……るよ」

 詠唱文は勿論、古の魔人語。
 失敗した時のことが一瞬頭をよぎったが、古の魔人語の詠唱は何度も成功しているし、魔力量だって魔力操作だって適性魔法属性だって問題ない。

 xeb@k4q t,fulw vtlkptei 7nt@6k;をnav@h wykmy bbigq;

「最後の唄 鐘は鳴りて 光の世界に 闇が己を導く 天の門 ここに来たれ か」

 以前使ってしまった天の火の詠唱後もがっつりMPを持っていかれたが、今はその時よりもMPは多いのでたぶん大丈夫だろうと思い詠唱を始めた。

「xeb@k4q t,fulw vtlkptei 7nt@6k;をnav@h wykmy bbigq;」

 右手で聖属性の魔法を操り、左手で闇属性の魔法を操る。魔法発動に向けて私の魔力が消費されていく。どんとMPを消費する感覚に驚きつつも最終的には発動に至った。

 周囲の環境が一瞬で変化する。空間転移魔法の感覚は無かったが、別空間へと飛ばされたようだ。
 天界のような真っ白い空間。真正面には白と黒で作られた大きな門がある。

「これが、ヘブンズゲート、天界の門であってるよね……」

 近くにいたテッテとヨシエも巻き込まれているのだろう。一緒に別空間へと飛ばされていた。 

「結界の中なのでしょうか?」

 ヨシエはこの真っ白な空間を見て不安そうだ。

「さすがケーナ姉様ですわ。禁忌の魔法を簡単に使いこなしていますわ。ケーナ姉様の溢れんばかりの魔力に包まれて頭がパァーになりそうですわ」

 過去最高の感激を受けたかのように目が輝いている。

「パーになる前にちょっと落ち着きなさい。それにしてもこのヘブンズゲート、全然簡単じゃない。この魔法がなんで禁忌か良くわかったよ。MPの使用量もありえないし…… 」

 聖属性と闇属性の膨大な魔力をぴったりと同量になるようにコントロールするのは、荒れる海に浮かぶ船の中で精密な天秤を使って量りをしているような感覚だ。失敗するなと言う方が間違っているといっていいぐらいのこと。

 無防備になるぐらい全ての並列思考を集中させてギリギリ発動できた。

「あの門を開けてその先に進むと帰ってこられないのですわね。……とても気になりますわ。ちょっとだけ覗いてみたいですわ」

「危険なんじゃないの? という私も気になってるけど」

 入らなければ大丈夫。
 ちょっと覗くだけなら大丈夫と言い聞かせ、少しだけ門を開いてみる。

 私もテッテも僅かな隙間から、門の向こう側をじっと覗いた。ヨシエは恐怖感があるようで離れている。

「…………何もありませんわ」

「…………うん、何もないね」

 門の向こう側も真っ白な世界で、何も無かった。

「この門は本当にどこかに繋がってますの?」

 こちらも扉の中も白い世界なので違いが分からなかった。
 門をくぐらず反対側へ行こうとしても、見えない壁があって回り込むことができないので反対側からは覗けない。

 諦めたテッテは門から離れていたヨシエに覗いた感想を話している。

 私は少しでも手掛かりになりそうな物がないかと覗き続けていると、一瞬ふわふわと何かが横切ったのが分かった。

(ピンクの……パーカー???)

 その何かに見覚えがあったので、ドン! と勢いよく扉を閉め、ヘブンズゲートの魔法を解除したのだった。

 解除と共に元のテッテの部屋へと戻される。

「ケーナ姉様どうされたのですか? 何かありましたの?」

「い、いやぁ~ 何もなかったよー」

「ですわよね。禁忌の魔法というので期待してましたが効果はよくわかりませんでしたわ。大した事なかったですわね。きっと失敗したときのリスクが大きいので禁忌指定にされるのですわ」

「そ、そだね……。それでも、マネはしちゃダメだと思う」

「マネしようにも魔力が全然足りませんし、あの奇跡のような魔力操作はできませんわ」

 ヘブンズゲート。
 ピンクのパーカーを見たせいで真実味が増してしまった。死神も神だ。その神の世界へ入れる魔法など禁忌と言って間違いない。
 備考の『帰ってこなかった』は、脅し文句みたいなものかと思っていたが、そんな安い文章ではなく真実の可能性が高まった。

 こんな危険な魔導書を勉強用にするのも問題がありそうだが、魔王の娘なら普通なのか。
 テッテのためにと思って時間を割いたが、思わぬ魔法を習得することとなった。

 これでとテッテのとおせんぼうを通過して、ハクレイとフランの待つアヤフローラの家へと帰ったのだ。
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