たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

文字の大きさ
189 / 221

乾いた怒り③

しおりを挟む
 エーナに頼まれ思いついた
『クレアに注意を向けさせ戦争させない作戦』だが、1つ不安要素があった。

 作戦が上手くいかず、結局戦争をすることになってしまった場合のことだ。

 ほっといたところで小国と大国の摩擦の変化に良い兆しなどあるなんて思わないし、12国の連合とは言え小国側に勝ち目がないのはなんとなくでも分かっていた。
 それを確実にしてくれたのがマインドプロンプトが立てた勝利確率。

《現状、12の連合国が勝つ確率は0.001%未満です》

(0%ではないのか……私が介入したら?)

《勝率は99.999%以上です》

(100%でもないのね)

《もしもがあるかもしれませんので》

 介入をしてしまうと、国と国の関係がさらにややこしくなるのでするつもりなどない。

 なのでせっかく連れてきたクレアを説得して予定通り進めようと思っている。
 ちなみにこちらの作戦成功確率はクレアの憤怒スキルに未知数な部分があるので計測不能だそうだ。

 テーブルの上にインテルシア魔導国とその周りの小国を描いた地図を広げる。
 地図と言っても、ガイドブックに載っていたものを真似て描いた簡易的なものだ。

 おおよその国境線はエーナの記憶を借りている。自国の事も他国の事も知っておかないとならないのが貴族らしい。

 インテルシア魔導国が攻めるならどこからになるのか予想は簡単だった。
 
 小国の1つマゴメコ国が過去に何度か攻め込まれていたこと。
 理由は地形的に攻めやすく、その後他の小国に攻める起点に出来る国らしい。
 それでもインテルシア魔導国から国を守ってこれたのは、周囲の小国もマゴメコを落とされると次に狙われるのが自国になる可能性があるのでマゴメコ国を裏で援護している可能性があったと考えるのが妥当とみている。

 クレアは細かく分断された土地をじっくりと見るとため息をついていた。

「大国の一部そして、この小国のほとんどはわっちの支配領域でありんした。いなくなってからわずかな時でここまで細々となって……」

 わずかと言うが、40年ぐらい前の話だ。
 40年をわずか時というのは超長寿の種族しかいない。

 小国が増えたのは聖剣の勇者トラーゼンがクレアを討伐したことになり、支配者が消えた土地を貴族やそこで暮らしていた者達が奪い合った結果だ。

「クレアにはこの小国達と大国の戦争を止めるきっかけになって欲しいんだよね」

「わっちが? なぜでありんす?」

「いざこざは少ない方がいいし……」

「したいのであれば存分にやり合えば良いでありんす。どうせ人の国などすぐ滅びるゆえ、滅びた場所から取り戻していけばいいでありんす」

 寛大であり冷たくもある。関わりたくない気持ちもあるのだろうけど。
 
「それでも今回だけ何とかしたいんだよね」

「わっちに頼むよりケーナのほうが何とかなると思うでありんすよ」

 それはそうだと言いたいが

「立場があるから、難しいんだよぉ」

「人族のしがらみでありんすか? ……致し方なし、でもわっちへのお願い事は高くつくでありんすよ」

「え~安くしてぇ~」

 精一杯の猫撫で声で懇願する値引き。
 元がどれくらい高いのかは分からない。

「まぁケーナは特別でありんすから、んー、1日わっちの言うことを何でも聞くというのはどうでありんすか」

「なんでも……?」

「なんでも! でありんす」

 なんでもの内容を今知って無理となれば、こちらのお願いも聞き入れてもらえなくなるので聞かない方がいい。

「分かった、それでいいよ」

「ケーナは偉いでありんす。頭撫でてあげるでありんす」

 よしよしと撫でられ約束事が決まった。

 それを横で見ていたフランだったが、目線を合わせようとしない。
 まるで何も聞いていないかのような態度だ。


 クレアの協力を得られることが決まったので早速作戦について細かく練っていきたいところだったが、初っ端から物言いがついた。

「今回の『クレアに注意を向けさせ戦争させない作戦』についてだけど——」

「ちょっと待つでありんす。その長ったらしい名を毎回使うでありんすか?」

「そうじゃの。ちとながいのぉ」

 急にクレアとフランでタッグを組んできた。

 そもそもフランは作戦のメンバーに入ってはいないのだけど、暇をもてあましているので巻き込まれたいのだろう。

「そんなにいうなら、2人が考えてよ」

「なら、こういうのはどうでありんすか?作戦名『刮目せよ! わっちの名はクレアでありんす! 世の怒りを背負い、継ぐ者! 今ここに再誕せし作戦』でありんす」

「んーちょっと作戦名っぽくないかな。口上だよねそれ」

 オブラートに包み返したが、正直私の作戦名より長い。

「余も考えたぞ『クレア様の御前である皆の者頭が高い、ひかえろぉぉお!』どうじゃ?」

「わかった。わかった。考え直すよ」

 このままだと大喜利になりかねない。
 なるべく短く私たちだけが分かればいいので

『クレア降臨作戦』

 となった。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

処理中です...