連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。

KZ

文字の大きさ
51 / 67
始まりのバレンタイン

ここまでの集大成。チョコを作ってみる!

しおりを挟む
 ルイちゃんのチョコレート講座が昨日。今日はいろんな意味で休みの日曜日。
 俺は、朝から異世界に来ています! 時間は有効に使わないといけないためです。

 今日は自分のチョコレートを試作しないといけないのと、城のシェフ~たちに、チョコレートを教えておかないといけないのだ。

 チョコレートの材料である、カカオ豆、カカオバター、砂糖。この3つは悪魔たちにより生成完了しました。
 あとは必要なら買ってきます。材料調達クエストには、しばらく、できれば一生行きたくないので!

 このように材料はあるし、バレンタインのチョコレートを、もう作り始めてもいいかもしれない。
 食べよう会にはチョコレートの量が必要だし、作ったとして日持ちするわけだしな。

 そのためには、カカオ豆からのチョコ生成法が必要だったが、必須ではなくなった感がある。
 理由はカカオマスの残りの量がヤバいためだ。ルイが言った通りだった……。
 1キロもいらなかったわ。

 無駄にあるカカオマスを使って、いくつか作っておいてもいいんじゃないだろうか。というわけだ。
 もうね、一生分くらいのチョコレート作れそうなんだ。本当にできるかは分からないけどね。

 とりあえず、シェフ~たちの腕前を見て、できるようならチョコレートを作成していこうと思う。
 試作に使うチョコレートは作らなきゃだし。

「おはよう! 今日はキミたちに、チョコレート作りを実践してみてほしい。今日のお城のご飯は、全部チョコレートでいい。もし文句を言われたら、肉にチョコレート載せてやれ! では、始めたいと思います」

 城の1階にある調理場には、城のお抱えシェフ~たちが勢ぞろいしている。
 調理台を並べてもらって、黒板的なやつを持ってきてもらって、調理実習のようなスタイルでチョコレートを作成していく。

 ところで……なんでシェフ~たちの中に、お姫様が混じっているんだろう。
 初め気づかなかった。いつものドレス姿ではなく、昨日覚えたエプロン姿だからだ。
 エプロンはルイがくれたらしい。

「なんでいるの?」

「あたしも参加するわよ。ルイに教えてもらったからかしら、自分でも作りたくなったの。邪魔はしないわ」

「別にいいんだけど事前に言おう。シェフ~たちの心の準備とかあるからね」

 シェフ~たちはみんな、お姫様の様子を伺っている。いつものお姫様大好きマンたちとは違う。
 俺には分かる。彼らはお姫様にビビってる。
 そして、シェフ~たちがビビってる理由なんて1つしかない。

「今日はシェフ~をいじめるなよ。みんな、初めてチョコレート作るんだからな。いちゃもんつけないようにお願いします」

「何よそれ……。あたしが、いつもしてるみたいじゃない」

「してたでしょー。みんな気を使ってたの! 口うるさいお姫様に忖度して、日々ご飯を作ってたんだよ」

「彼らはそれが仕事でしょ。気に入らなければ注文くらいつけるわよ。 ──それと口うるさいってなに!」

 お姫様は俺を掴もうとして手を伸ばすが、俺たちの間には調理台があって、更に俺は危機察知してバックステップしたため、お姫様が手を伸ばしても俺には届かない。
 よかった。調理台がなかったら俺は、チョコレートを作れなくなっていただろう……。

「ほら、みんなビビってるから。もう少し優しく。短気は損気だよ。仲良くチョコレート作って」

「──誰のせいよ! ちょっと、無視して始めようとすんな!」

 これは俺のせいじゃないだろう。お姫様の日頃の行いが問題のはずだ。
 お姫様はギャーギャー言っているが、チョコレート作りが始まればそっちに集中するでしょう。

◇◇◇

「──と、材料と工程は説明した通り。お姫様が黒板に書いてくれたので、分からなくなったら各々の確認するか、俺かお姫様に聞いてください」

 背後の黒板的なものに、まったく読めない文字でチョコレートのレシピが記されている。
 読めない俺にも分かるくらい、お姫様は字も綺麗! お姫様はいろいろ万能だな。

 そして城の料理人たち。その包丁使いは慣れたもので、カカオマスは瞬く間に刻まれていく。

 ──はやっ! もう砂糖をゴリゴリしてる。

 シェフ~たちは動きに一部の隙もない。
 これには、流石と言わざるをえない。プロだ、プロ。
 変わりばえのしない食材で、日々料理してきただけはある。

 実際、素材の味料理は美味しいのだ。タレが欲しいとか、贅沢言わなければな。
 あれらは、彼らの料理の腕の良さが分かるメニューだ。工夫はないようでされていたし。

 しかし、そう思うと疑問が残る。『誰も何にも気づかなかったのだろうか?』と。
 悪魔という『不可能はないんじゃね?』そう思わせるヤツらがいるんだ。料理の幅なんていくらでも広がるはずだ。
 それこそ、俺なんていなくてもだ。

 これが当たり前。そう言うのは簡単だ。だが、何かが不自然。
 食が発展しないのと、戦関係は別問題のはず。それなのに、代わり映えのしない食べ物しか存在していない。

 悪魔たちは、どうしてなんの力も貸さないのだろう? 二つ返事で了承しそうなのに。コンビニだって作ってくれるのに。
 意図的にそうされているってわけじゃないよな? まさかな……。

「あんたもやるんじゃなかったの?」

「お、脅かすなよ。考え事してたんだよ」

 料理人たちを眺めて、考え事していたら、お姫様が隣にいた。びっくりした! 集中し過ぎてたのか、気づかなかった。

「ルイのことね。どんなチョコレートにしようか悩んでたのね」

「えっ、全然違うけど」

「隠さなくてもいいわよ」

 本当に全然違うんだけど……。まあ、疑問は今度セバスにでも聞いてみよう。
 今はチョコレートだ。異世界事情はまた今度だ。

「全然違うんだけど、それも考えないといけないな。普通のチョコレートじゃ、ありきたりだよな」

「そうね。ルイはチョコレート作れるしね。ただのチョコレートじゃダメじゃない」

「しかし、普通のチョコレートと、トリュフチョコと、ブラウニーチョコしかバリエーションがない。アレンジは……雑魚には無理だと言われたしな」

「とりあえず全部作ってみたら? 何か閃くかもしれないわよ」

 それが一番か。幸い刻む作業と、砂糖をゴリゴリする作業は、料理人たちが終わらせたみたいだし。
 ──って、はやっ! 連携も見事だ。まあ、城中の料理を作ってるんだから、当たり前か。

「だが、その前に温度の話だ。生臭いチョコレートにならないようにしなくては! お姫様そっちから声かけていって。俺は逆からいくから」

「美味しくないチョコレートなんて嫌だしね……」

 書いてはあるが、テンパリングとコンチングは直に説明した方がいい。
 完成するチョコレートに差が出る。
 どうせなら、美味しいやつがいいに決まってる。

◇◇◇

 作業開始から1時間くらいで、カカオマスから作るチョコレートは完成した。あとは冷やすだけだ。
 冷蔵庫はある。しかし、電気で冷やすのではないらしい。まぁ……冷えるんだからなんでもいいよね。

「もう、ビックリです。レシピに材料があれば、チョコレートくらい余裕なんだね。次は作ったチョコレートを使用した、お菓子を作っていきます。レシピはまたお姫様が書いてくれるので、確認しておいてください」

 俺とお姫様も、それぞれチョコレートをつくりました。俺はそれほど甘くなく、お姫様は死ぬほど甘く。
 こ、これは個人の自由だから。俺は絶対にあのチョコレートは口にしないけどね!

「昨日のことだし、この作業は問題なかったな。ただ、カカオマスがまだまだ残ってるんだけど……」

「これから試作するんだからいいんじゃないの」

「毎食チョコレートにしたら、みんな怒るかな?」

「……本気で言ってるの」

 1回に数十グラムしか使わないカカオマスを、1キロは買いすぎました。今日使っても残るとは!
 お姫様の言う通り、いろいろ試してみよう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...