連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。

KZ

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始まりのバレンタイン

後日談。いや、真なるバレンタイン!

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※17-2

 ルイがくれた紙袋の中身は、確かに俺が食べられなかったものだった。
 チョコレートは固形物という概念にとらわれていたばかりに分からなかった。

 しかし、これもまたバレンタインのチョコレートとしてカウントしてもいいだろう。

 俺が買ってはきたが食べられなかったもの。そうそれは、行列が出来る店のプリン。
 ルイがくれた紙袋の中には、通常の卵色ではなくチョコレート色のプリンが入っていた。

 チョコレートプリン。ボクは初めて食べました!

 容器は行列のできるプリンのやつを再利用したのだろう。こんな容器に入ってた気がする。
 1個食べてしまったから、残りは3つ。
 ルイは日持ちしないと言っていたが、1日1個ずつ食べようかな。大丈夫だよね?

 家族にあげないのかって? ……あげるわけなくね?

「1人でずいぶん美味しそうなものを食べてるわね」

 自室で1人。チョコレートプリンを、コソコソ食べていたはずなのに急に声がした。
 驚いて振り返ると、クローゼットが音もなく開いており、お姫様が立っていた。

「今何時だと思ってるんだ。お姫様は寝る時間だよ」

「お姫様じゃないでしょう。レイトくん」

 そうだった。慣れとは怖いもんだ。
 お姫様ではなくルシアだった。
 しかしですね……。

「ル……」

「ほら、言ってごらんなさいよ」

 簡単に思えるだろうが、そう簡単にはいかない。
 思うのと、口出すのとでは違いすぎる!
 いかにお姫様にからかわれようとも、難しいもんは難しい。

「ル……ル、ルシ……」

「はぁ……もういいわ。そのチョコレートプリン1個ちょうだい」

「あぁ、おあがりください」

 すまない、ルシアたそ。心の中では呼べても口には出せなかったよ。
 お姫様じゃなかった。ルシアたそのように、急には無理なんだ。
 チキンな俺で申し訳ない……

「──って、待て! それは俺んだ。食うな、食うなよ! 今のは間違いだから! あと3個しかないんだからーー」

「1度くれると言ったからにはあたしのものよ。もう返さない。ルイのお手製プリンは頂いたわ!」

 俺は部屋の真ん中にあるテーブルで、チョコレートプリンを正座して食べていたのだが。
 プリンの入っていた箱は開いたままだったので、ルシアたそは簡単にプリンを強奪し、取り返そうとする俺をヒラリと躱す。

「分かってるならなおさら遠慮しろよ! あっ、あーーーーっ!」

 プリンと一緒に添えてあったスプーンをも掴み、すでにパクついているルシアたそ。この食いしん坊め!

「良かったじゃない。あたし以外からもチョコレート貰えて。それにしても、ルイはお菓子作るの上手よね。次はこれを教えてもらおうかしら」

「返せ! 俺のプリンを返せ!」

「また、作ってもらえばいいじゃない」

「そういう問題じゃねーんだよ! 食いしん坊!」

 こうしてプリンを1つお姫様に食べられた。いや、ルシアか。心の中から慣らしていくしかないな。

 それと結局、俺はプリンを2つしか食べられなかった。
 冷蔵庫に入れて隠していたらね……目ざとく妹が見つけて、勝手に食いやがった。あの食いしん坊めー。

 後日、これをルイに話したら爆笑されました。
 俺はちっとも笑えなかったけどね。
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