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始まりのバレンタイン
後日談 ②
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現実でのバレンタインの翌々日。
今日は2月16日です。
ボクはいつもより早起きし、一本早い電車に乗るつもりです。
ただ健康的に生きることにしただけだよ。他意はないんだよ。
「れーと、じゃまー。でるなら早くいなくなって」
……今の言葉。何か悪意があるよね?
ここは玄関だし、俺は靴を履くのに座り込んでいる。横は通れないだろうし、外に出るには俺が先に出なくてはいけない。
邪魔といえば邪魔だろう。
しかしだね……。
「一愛。今のさ、悪意があるよね。朝からいったいなんなのかな?」
俺の背後にいるのは一愛。妹である。ひらがなが多いのはご愛嬌だ。許してやってくれ。
俺より1つ歳下で……まあ、普通の子だとしておこう。
背格好はお姫様とジャストくらいだな。服のサイズも靴のサイズも同じだったし。
つまり、妹も残念なスタイルをしているということだ。可哀想に……。
両者の明確な違いは、髪の毛の色と長さくらいだろう。お姫様が長く、妹が半分くらい。
あと、妹は若干丸顔である。ばあちゃんとかママンに似たらしい。可哀想に……。
「なんでもなにも、ダメれーとには大概のことを言っても許されるとおもう」
「よし、朝からケンカを売ってるのはわかった。で、いったい俺の何が駄目だって言うんだい」
「──ぜんぶ!」
「──全部!?」
全部と言ったのか、この妹は……。
妹から尊敬されるべき兄に向かって、全部が駄目だと。
「おいおい、妹よ。いくら俺が優しくても、許せることと許せないことがあるぞ。ごめんなさいしなさい」
「ふーん。お姉ちゃんに許してもらって、おまえちょーしにのってるな」
何故、一愛がそんなことを知っているんだろう。
俺は最近、こいつと顔を合わせた記憶すらないんだけど。どうなってんの。怖いんだけど。
「一愛ちゃん。何でそんなこと知ってるの?」
「お姉ちゃんとは毎日ラ○ンしてるし。れーとのダメさ加減はちくいち聞いてます。ダメれーと」
「いやいや、妹よ。嘘は良くないぜ」
嘘よ嘘。ラ○ンしてるとか嘘だね。だって、妹は携帯持ってないからね。
中学生が携帯電話を持つとか早すぎるから。俺だって、高校に入ってようやく買ってもらったわけだし。
「一愛ちゃんや。自分も携帯電話が欲しいというのなら、まずは高校に合格して、パパンなりママンなりに、土下座覚悟で頼まないとだね。わかったかい。 ──って、携帯持ってる!? お前、いつのまにそんなものを……」
一愛がコートのポケットをゴソゴソしたと思ったら、効果音がつきそうな感じで、ポケットから携帯電話が出てきた。
お子様携帯とかではない。スマホだ。しかも、リンゴの新しいやつ。
「1月の最初に買ってもらった! ほら、塾のむかえとかあるじゃん?」
「つまり携帯を買って2ヶ月以上経ってるのに、どうして俺は何も知らないのかな?」
「えっ、なんでれーとに教えなくちゃいけないの?」
「「えっ?」」
家族が携帯電話を買ったとする。それを知らないのはおかしくないか。普通は番号を知らせるよね?
だが、俺は番号どころかその存在すら知らないとか。まったく笑えないんだが。
「しかし、あれだな。お姉ちゃんにあやまりにいったのは評価している。いまさら感と、クズさ加減は拭えないがな」
「いや、しかしじゃねーよ! 携帯の話は終わってないから、『お兄ちゃん、携帯電話買ってもらったよ。番号教えて』って言いにこいよ!」
普通はそうだろ。それが妹のあるべき姿だろ!
俺は何も間違っていないはず。そうだよな、全国のお兄ちゃんたちよ!
「妄想はやめてください。通報しますよ」
「えぇ──、急に他人行儀!? そんなに俺に番号教えるのやなの!?」
「うん」
マジのトーンなんだけど……。
我が家の中での俺の地位とかどうなってるの。長男はどういう扱いなのよ。
「……もう携帯の話はいいや」
「お姉ちゃんの番号が知れたしいいじゃん。隅に置けないなー、このこのー」
「そうだねー」
「一愛の服を持ち出したときは警察に通報しよう思ったけど、お姉ちゃんのためならばしかたない」
わ、忘れてた! 一愛に言われて思い出したが、そういえばそんなことあったね。
あの服はお姫様が着ていったままだ。それにしても……。
「親に言うとかじゃなくて、直接警察に行っちゃうんだね。一愛ちゃんは」
「うん、当たり前だね。ただ、そういうのはちょっと控えたほうがいいと思うな」
「そういうのとは?」
「妹の服を着せるという特殊なプレイはだよ」
「──ブッ」
思わずむせてしまった。口に何か入っていたら大変なところだった。
そして、何てことを言うんだろう。この受験生は。
俺は中3の妹の口から、特殊なプレイとか聞きたくなかった!
「きっぱり否定する。何もかも違うからな!」
「じゃあ通報しなくちゃ。妹の服を何にどう使ったのかを調べてもらわなくちゃ。ちょうど携帯あるし」
俺の反応を見るや、一愛はスマホのロックを素早く解除し、1、1、0、と入力。
あと1手順でいろいろ終わるところまでいってしまう。というか、この妹はやる!
「待って、掛けたら冗談じゃ済まなくなるから!」
「れーとの部屋にもなかった」
「お前、人の留守に部屋に忍び込んだのか! デリカシーとかないのか!」
こいつ、いつの間にそんなことを……。
男子高校生の部屋に忍び込み、家捜しするなんて。見られては困るものがあるというのに。
……クローゼットのことだよ。決まってんだろ? 他には何もナイヨ。
「おい、自分のことを棚に上げてなにいってんだ?」
「おっしゃる通りです。申し訳ありませんでした」
自分の非を素直に認め、妹に深々と頭を下げました。大変お優しい妹様は快く許してくれました。
今日は2月16日です。
ボクはいつもより早起きし、一本早い電車に乗るつもりです。
ただ健康的に生きることにしただけだよ。他意はないんだよ。
「れーと、じゃまー。でるなら早くいなくなって」
……今の言葉。何か悪意があるよね?
ここは玄関だし、俺は靴を履くのに座り込んでいる。横は通れないだろうし、外に出るには俺が先に出なくてはいけない。
邪魔といえば邪魔だろう。
しかしだね……。
「一愛。今のさ、悪意があるよね。朝からいったいなんなのかな?」
俺の背後にいるのは一愛。妹である。ひらがなが多いのはご愛嬌だ。許してやってくれ。
俺より1つ歳下で……まあ、普通の子だとしておこう。
背格好はお姫様とジャストくらいだな。服のサイズも靴のサイズも同じだったし。
つまり、妹も残念なスタイルをしているということだ。可哀想に……。
両者の明確な違いは、髪の毛の色と長さくらいだろう。お姫様が長く、妹が半分くらい。
あと、妹は若干丸顔である。ばあちゃんとかママンに似たらしい。可哀想に……。
「なんでもなにも、ダメれーとには大概のことを言っても許されるとおもう」
「よし、朝からケンカを売ってるのはわかった。で、いったい俺の何が駄目だって言うんだい」
「──ぜんぶ!」
「──全部!?」
全部と言ったのか、この妹は……。
妹から尊敬されるべき兄に向かって、全部が駄目だと。
「おいおい、妹よ。いくら俺が優しくても、許せることと許せないことがあるぞ。ごめんなさいしなさい」
「ふーん。お姉ちゃんに許してもらって、おまえちょーしにのってるな」
何故、一愛がそんなことを知っているんだろう。
俺は最近、こいつと顔を合わせた記憶すらないんだけど。どうなってんの。怖いんだけど。
「一愛ちゃん。何でそんなこと知ってるの?」
「お姉ちゃんとは毎日ラ○ンしてるし。れーとのダメさ加減はちくいち聞いてます。ダメれーと」
「いやいや、妹よ。嘘は良くないぜ」
嘘よ嘘。ラ○ンしてるとか嘘だね。だって、妹は携帯持ってないからね。
中学生が携帯電話を持つとか早すぎるから。俺だって、高校に入ってようやく買ってもらったわけだし。
「一愛ちゃんや。自分も携帯電話が欲しいというのなら、まずは高校に合格して、パパンなりママンなりに、土下座覚悟で頼まないとだね。わかったかい。 ──って、携帯持ってる!? お前、いつのまにそんなものを……」
一愛がコートのポケットをゴソゴソしたと思ったら、効果音がつきそうな感じで、ポケットから携帯電話が出てきた。
お子様携帯とかではない。スマホだ。しかも、リンゴの新しいやつ。
「1月の最初に買ってもらった! ほら、塾のむかえとかあるじゃん?」
「つまり携帯を買って2ヶ月以上経ってるのに、どうして俺は何も知らないのかな?」
「えっ、なんでれーとに教えなくちゃいけないの?」
「「えっ?」」
家族が携帯電話を買ったとする。それを知らないのはおかしくないか。普通は番号を知らせるよね?
だが、俺は番号どころかその存在すら知らないとか。まったく笑えないんだが。
「しかし、あれだな。お姉ちゃんにあやまりにいったのは評価している。いまさら感と、クズさ加減は拭えないがな」
「いや、しかしじゃねーよ! 携帯の話は終わってないから、『お兄ちゃん、携帯電話買ってもらったよ。番号教えて』って言いにこいよ!」
普通はそうだろ。それが妹のあるべき姿だろ!
俺は何も間違っていないはず。そうだよな、全国のお兄ちゃんたちよ!
「妄想はやめてください。通報しますよ」
「えぇ──、急に他人行儀!? そんなに俺に番号教えるのやなの!?」
「うん」
マジのトーンなんだけど……。
我が家の中での俺の地位とかどうなってるの。長男はどういう扱いなのよ。
「……もう携帯の話はいいや」
「お姉ちゃんの番号が知れたしいいじゃん。隅に置けないなー、このこのー」
「そうだねー」
「一愛の服を持ち出したときは警察に通報しよう思ったけど、お姉ちゃんのためならばしかたない」
わ、忘れてた! 一愛に言われて思い出したが、そういえばそんなことあったね。
あの服はお姫様が着ていったままだ。それにしても……。
「親に言うとかじゃなくて、直接警察に行っちゃうんだね。一愛ちゃんは」
「うん、当たり前だね。ただ、そういうのはちょっと控えたほうがいいと思うな」
「そういうのとは?」
「妹の服を着せるという特殊なプレイはだよ」
「──ブッ」
思わずむせてしまった。口に何か入っていたら大変なところだった。
そして、何てことを言うんだろう。この受験生は。
俺は中3の妹の口から、特殊なプレイとか聞きたくなかった!
「きっぱり否定する。何もかも違うからな!」
「じゃあ通報しなくちゃ。妹の服を何にどう使ったのかを調べてもらわなくちゃ。ちょうど携帯あるし」
俺の反応を見るや、一愛はスマホのロックを素早く解除し、1、1、0、と入力。
あと1手順でいろいろ終わるところまでいってしまう。というか、この妹はやる!
「待って、掛けたら冗談じゃ済まなくなるから!」
「れーとの部屋にもなかった」
「お前、人の留守に部屋に忍び込んだのか! デリカシーとかないのか!」
こいつ、いつの間にそんなことを……。
男子高校生の部屋に忍び込み、家捜しするなんて。見られては困るものがあるというのに。
……クローゼットのことだよ。決まってんだろ? 他には何もナイヨ。
「おい、自分のことを棚に上げてなにいってんだ?」
「おっしゃる通りです。申し訳ありませんでした」
自分の非を素直に認め、妹に深々と頭を下げました。大変お優しい妹様は快く許してくれました。
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