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天使のホワイトデー
大工さんとかアンチとか
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どれだけ壊れていようと、悪魔な業者に修繕を依頼すれば、すぐにでも城門は直るだろう。
しかし、悪魔に頼むというのは正直よろしくない。
何故なら、ビックリするくらいの修繕費を請求されるだろう。そして払えなければ、寿命とかをバリバリ取られるだろう。悪魔というのはそんなヤツらだと思う。
あっ──、これは俺の個人的な想像です。実際とは異なる場合があります。
よし! これで万が一の時も誤魔化せる。
まあ、あまり関わりたくない悪魔には頼らず、普通に大工さんを頼ろうという話だ。
そういえばバレンタインの時に、大工さんと知り合ったのを思い出したんだ。
ゴリラだと思ったら城下の人であり、ゴリラだと思ったら大工さんだった。
そんな彼に、城門を直してはくれないかと直接頼みにきました。早い方がいいからね。
「こないだはすまなかったね。急に異世界感が強くなって。こう、気持ちが盛り上がってしまってね」
「はぁ……今日は何かご用で?」
「ニックさん。あんた大工さんだったよね。急で悪いんだが、これで仕事を頼みたいんだ。どうだろうか?」
突然だし信用もない。なので金はいると予想し、予め用意してきた。ニクスが寄こした額なので問題もないと思う。
それに、どうせ請求書の大半は天使にいくんだ。財政にも響くまい。
「こ、こんなに……。その仕事っていうのは、ヤバい仕事で?」
「そうなんだ。実は──」
「──やめだやめ! そんなヤバい話はお断りだ!」
「冗談だよ。女子たちがぶっ壊した城門と城の一部。あと、できるなら庭もか。その修理を頼みたいんだ」
真面目なゴリラだな。冗談も通じやしない。
このくらいのジョークにも乗っかれないようではダメだと思う。
ヤバい仕事なんて、こんな突然来て頼まないだろ。
「「…………」」
って、ニックさん始め大工衆が、みんな無言になったんだが。微妙な感じだ。ゴリラな顔も雰囲気も。
なんだろう。俺、変なこと言ったか? ジョークは必要なかった。それとも金が足りなかったのか?
「それは、オレたちが城に行ってもいいってことですかい?」
「おかしなことを言うね。現場が城なんだから、城に行くに決まってるだろ? あっ、送迎はゴンドラを使うんだ。知ってるだろうけど」
「見てはいる。けど、城に上がれるのは許可のあるヤツだけだ。そして現在。そんなヤツはいねぇ」
「……んっ?」
このゴリラは何を言ってんだと一瞬思ったが、言われてみるとそうかもしれない。
兵士やメイドさんはいるが、彼らは上がってきているわけではない。城に住んでいるんだから。
城が、空にあるからってのが一番考えられる理由だけど。
「なら、許可は権力者である俺が出そう。『──いいよ!』これでいいか? きちんとした書面で必要だというなら用意してもらうけど」
「いや、大丈夫だ。それよりだ。バレンタインだったか? あれもだが、にいちゃんは何なんだ?」
「あれーーっ!? そこから説明しないとダメなのか。この格好が全てを語ってないかい!?」
「使いだってのは分かる。人間だってのもだ。だが、それだけだ」
城という場所は、普通は市民は入らない場所なのか? 日本にそんなところはないし。分からないな。
異世界には異世界のルールがあるのかもしれない。けど。
「俺はプロデューサーという役職だ。イベントの企画と運営が仕事だな。それで俺はこの世界を変える。これまでダメだったというのなら、今日から変える! 自由に出入りしていいよと勝手には言えないが、用のある人くらいは入れるようにしよう」
「そんなこと勝手に言っていいのか?」
「──いいって言ってんだろ!? 頼りになりそうなのは見た目だけか。これまでがどうだったかは知らない。だが、これからは違う! 難癖つけるヤツがいたら、お姫様にチクってシメてもらう! だから大丈夫だ!」
「……分かった。いつから始めればいい?」
おーーっ、やってくれるらしい。これで1つ目はクリアだ! 流石は俺!
戻ったら難癖付けられないように、お姫様に言っておこう。あれなら王様にも言っておこう。
「いつから、──今日だ!」
「今日!? これからってことか?」
全員が大変驚かれているが今日からだ。もう、一刻も早く取り掛かってほしい。
何故なら、『──やる事などいくらでもある!』からだ。
「そういうわけなんでゴンドラのところに集合ね。今日中に下見だけでもしてほしい。そんで、パパッと直してほしい」
「いや、そんな急には……。人手が足りねぇよ」
そうなんだろう。ニックさん率いる大工集団ゴリラ組は10人しかいない。この人数でパパッとは無理かもしれない。
だが、俺はそのくらいのことは知っていた。んでもって考えもある。
「任せろ。俺に考えがある。ニックさんも弟子が欲しいだろ? 大工はこれから儲かるからな。俺はもう少し時間がかかる。そうだな……1時間後くらいにゴンドラのところに集合な」
「あぁ……」
「じゃあ、よろしくお願いしますね」
さて、次は探すところからか。ヤツらはどこにいるのか?
現状、ヤツらの生息地も生態も不明。
あんなのを探し回るのは避けたいから、まずは情報のありそうなところに行こう!
※
「──というわけなんだけど。ミルクちゃん、彼らがどこにいるか知ってる?」
情報通。お姫様のお友達。ネコミミ。ある部分が、お姫様の数倍の破壊力。天使よりもスゴい破壊力。
そんな彼女、ミルクちゃんに話を聞きにきた。
「定職にもつかずフラフラしてる人たちのことなんてわかりません。あっ、プロデューサーさん。そっち持ってください」
「ああ、このくらいなら構わないけど……。けどね。俺は忙しいんだよ?」
「私だって忙しいです。いよいよ開店が近いですから」
先週よりだいぶコンビニはできているし、忙しいのは本当だな。開店まであと少しというところか。
ミルクちゃん1人でやってるのが進みが遅い理由なわけだが、人手不足はコンビニに限った話じゃないしな。
んっ? 異世界にコンビニがあるのかって?
あるだろう。コンビニくらい。というのはもちろん嘘だ。
これは悪魔の仕事だ。フランチャイズがどうにかなっているわけではないから安心しろ。
その異世界コンビニ1号店がミルクちゃんのお店だ。彼女もまた、俺やお姫様のようにつまらないと思っていた人……ネコ? であり、彼女は玩具に可能性を見出したのだろう。
主に玩具とお菓子をメインに扱うのが異世界コンビニだ。後の品物はコンビニと変わらない。
「次はそれをこっちに運んでください。それで棚に並べてください」
「あぁ……」
で、俺はコンビニを手伝うということになってはいる。だがね。こういう手伝うは今じゃなくてもいいと思うんだ。もっと時間がある時とかにしてはくれないだろうか?
「終わったよ」
「じゃあ、次は──」
これ以上は時間的にも無理だ。断らなくては。永遠と雑用させられてしまう。
見損なわれている身としては、少しでも好感度を上げていきたいのだが、今は無理だ。
「いや、次はじゃなくて! 人と待ち合わせしてるし、アンチを探さないといけないからさ。また来るよ」
「そうですか、わかりました。またお願いします。アンチさんたちなら、酒場で飲んだくれてるはずです」
「……知ってんじゃん。どこにいるのか知ってんじゃん!」
この娘はー、いつぞやのようにネコミミとシッポをこれでもかというくらい触ってやるぞ! なんて、お姫様が怖いから実際にはやらないけどね。
「プロデューサーさん。タダというのはいけないと思います。何事も持ちつ持たれつです」
「そうだねー、ミルクちゃんまたね」
「はい、またお願いします」
俺は彼女を舐めていた。
巨乳でネコミミなだけではなかった。
やっぱり商売人だね。タダでは済まないとは。
俺が手伝ってる間は教えず。下手すると、手伝わなかったら教えてくれなかったかもしれない。
ま、まあ、居場所はわかったし。良しとしよう。
※
酒というのは異世界だろうと存在するらしい。酔っ払いもか。これだけは世界共通なのか。
問題のアンチたちは、酒代だけを日々稼ぎながら、その日暮らしな生活をしているようだ……。ダメなヤツらだ。
そんな彼らには真っ当な仕事が必要だろう。だから、これは許されるはずだ。
正義は俺にある。誰も損しない。つまり俺は悪くない!
「現在、お姫様がそれはそれは大変。どうしようもないくらいお困りなんだ。はしゃいでうっかり城門に庭。オマケに城まで破壊してしまってな……。このままでは、お姫様は────!」
「ど、どうなっちまうんだ!? オレたちの女神様は! おい、にいちゃん。教えてくれよ!」
えっ、お姫様はアンチの中で女神様にまでなってんのか……。
もう、かつてのアンチはおらず、アンチは熱狂的なお姫様の信者になってしまった。狂信的なか。
「まず王様にこっぴどく叱られ。次にイケメンにこっぴどく叱られ。次は執事の悪魔からこっぴどく叱られ。そうして回り回って俺の番が来てしまった……。だけど、俺はもう彼女を叱れない! もう散々叱られているんだから!」
「……ひでぇ話だ」
「そうなんだ。だから俺はお姫様を助けたい!」
「ど、どうにかなるのか?」
「──なる! 壊したところを直しさえすれば、俺は叱らずに済むし、お姫様はもう誰にも怒られない。理由がなくなって叱るヤツはいない。だが、それには人手が足りないんだ……」
酔いがさめるくらいの衝撃がヤツらにはあったらしい。最初は楽しげな雰囲気だったのが、今はお通夜かよっていうくらいに冷え込んでいる。
これは俺の話を信じているからであり、どうにかできるならしてやりたいということだろう。女神様らしいし。
つまり、この雰囲気ならいける!
「だから……──お前たちの力を貸してくれ! 直せるところは全部直して、お姫様の名誉を回復したいんだ!」
「こんなオレたちでも役に立つのか?」
「安心しろ。ニックさんという大工さんに話はしてある。お前たちにお姫様を助けたいという気持ちだけあればいいんだ。後はニックさんが教えてくれる」
「わかった! オレたちは、お姫様にはチョコレートをもらっちまった。聞いた話だとホワイトデーに恩を返さなけりゃならないらしい。恩返しをするぜ!」
そうか。ホワイトデーがあったな。
忘れていたわけではないが、ギリギリになって用意するより、前もって用意しておかなければな。
「じゃあ、集められるだけアンチを集めて、城へのゴンドラに集合だ! 今日は顔合わせになる」
「おう! オレたちに任せてくれ。ところで、にいちゃんよ。オレらが城に上がれんのか?」
「お前たちもか……。上がれる! 無理だと言われたら、お姫様が何とかしてくれる! だから大丈夫だ!」
「流石だぜ」
アンチがチョロくて助かった。
これにて労働力の確保も完了っと。
しかし、ホワイトデーか……。
買うというのが確実かつ無難。
作るというのは無理かつ無謀。
だから、大人しく何を買うのかを検討しよう。
しかし、悪魔に頼むというのは正直よろしくない。
何故なら、ビックリするくらいの修繕費を請求されるだろう。そして払えなければ、寿命とかをバリバリ取られるだろう。悪魔というのはそんなヤツらだと思う。
あっ──、これは俺の個人的な想像です。実際とは異なる場合があります。
よし! これで万が一の時も誤魔化せる。
まあ、あまり関わりたくない悪魔には頼らず、普通に大工さんを頼ろうという話だ。
そういえばバレンタインの時に、大工さんと知り合ったのを思い出したんだ。
ゴリラだと思ったら城下の人であり、ゴリラだと思ったら大工さんだった。
そんな彼に、城門を直してはくれないかと直接頼みにきました。早い方がいいからね。
「こないだはすまなかったね。急に異世界感が強くなって。こう、気持ちが盛り上がってしまってね」
「はぁ……今日は何かご用で?」
「ニックさん。あんた大工さんだったよね。急で悪いんだが、これで仕事を頼みたいんだ。どうだろうか?」
突然だし信用もない。なので金はいると予想し、予め用意してきた。ニクスが寄こした額なので問題もないと思う。
それに、どうせ請求書の大半は天使にいくんだ。財政にも響くまい。
「こ、こんなに……。その仕事っていうのは、ヤバい仕事で?」
「そうなんだ。実は──」
「──やめだやめ! そんなヤバい話はお断りだ!」
「冗談だよ。女子たちがぶっ壊した城門と城の一部。あと、できるなら庭もか。その修理を頼みたいんだ」
真面目なゴリラだな。冗談も通じやしない。
このくらいのジョークにも乗っかれないようではダメだと思う。
ヤバい仕事なんて、こんな突然来て頼まないだろ。
「「…………」」
って、ニックさん始め大工衆が、みんな無言になったんだが。微妙な感じだ。ゴリラな顔も雰囲気も。
なんだろう。俺、変なこと言ったか? ジョークは必要なかった。それとも金が足りなかったのか?
「それは、オレたちが城に行ってもいいってことですかい?」
「おかしなことを言うね。現場が城なんだから、城に行くに決まってるだろ? あっ、送迎はゴンドラを使うんだ。知ってるだろうけど」
「見てはいる。けど、城に上がれるのは許可のあるヤツだけだ。そして現在。そんなヤツはいねぇ」
「……んっ?」
このゴリラは何を言ってんだと一瞬思ったが、言われてみるとそうかもしれない。
兵士やメイドさんはいるが、彼らは上がってきているわけではない。城に住んでいるんだから。
城が、空にあるからってのが一番考えられる理由だけど。
「なら、許可は権力者である俺が出そう。『──いいよ!』これでいいか? きちんとした書面で必要だというなら用意してもらうけど」
「いや、大丈夫だ。それよりだ。バレンタインだったか? あれもだが、にいちゃんは何なんだ?」
「あれーーっ!? そこから説明しないとダメなのか。この格好が全てを語ってないかい!?」
「使いだってのは分かる。人間だってのもだ。だが、それだけだ」
城という場所は、普通は市民は入らない場所なのか? 日本にそんなところはないし。分からないな。
異世界には異世界のルールがあるのかもしれない。けど。
「俺はプロデューサーという役職だ。イベントの企画と運営が仕事だな。それで俺はこの世界を変える。これまでダメだったというのなら、今日から変える! 自由に出入りしていいよと勝手には言えないが、用のある人くらいは入れるようにしよう」
「そんなこと勝手に言っていいのか?」
「──いいって言ってんだろ!? 頼りになりそうなのは見た目だけか。これまでがどうだったかは知らない。だが、これからは違う! 難癖つけるヤツがいたら、お姫様にチクってシメてもらう! だから大丈夫だ!」
「……分かった。いつから始めればいい?」
おーーっ、やってくれるらしい。これで1つ目はクリアだ! 流石は俺!
戻ったら難癖付けられないように、お姫様に言っておこう。あれなら王様にも言っておこう。
「いつから、──今日だ!」
「今日!? これからってことか?」
全員が大変驚かれているが今日からだ。もう、一刻も早く取り掛かってほしい。
何故なら、『──やる事などいくらでもある!』からだ。
「そういうわけなんでゴンドラのところに集合ね。今日中に下見だけでもしてほしい。そんで、パパッと直してほしい」
「いや、そんな急には……。人手が足りねぇよ」
そうなんだろう。ニックさん率いる大工集団ゴリラ組は10人しかいない。この人数でパパッとは無理かもしれない。
だが、俺はそのくらいのことは知っていた。んでもって考えもある。
「任せろ。俺に考えがある。ニックさんも弟子が欲しいだろ? 大工はこれから儲かるからな。俺はもう少し時間がかかる。そうだな……1時間後くらいにゴンドラのところに集合な」
「あぁ……」
「じゃあ、よろしくお願いしますね」
さて、次は探すところからか。ヤツらはどこにいるのか?
現状、ヤツらの生息地も生態も不明。
あんなのを探し回るのは避けたいから、まずは情報のありそうなところに行こう!
※
「──というわけなんだけど。ミルクちゃん、彼らがどこにいるか知ってる?」
情報通。お姫様のお友達。ネコミミ。ある部分が、お姫様の数倍の破壊力。天使よりもスゴい破壊力。
そんな彼女、ミルクちゃんに話を聞きにきた。
「定職にもつかずフラフラしてる人たちのことなんてわかりません。あっ、プロデューサーさん。そっち持ってください」
「ああ、このくらいなら構わないけど……。けどね。俺は忙しいんだよ?」
「私だって忙しいです。いよいよ開店が近いですから」
先週よりだいぶコンビニはできているし、忙しいのは本当だな。開店まであと少しというところか。
ミルクちゃん1人でやってるのが進みが遅い理由なわけだが、人手不足はコンビニに限った話じゃないしな。
んっ? 異世界にコンビニがあるのかって?
あるだろう。コンビニくらい。というのはもちろん嘘だ。
これは悪魔の仕事だ。フランチャイズがどうにかなっているわけではないから安心しろ。
その異世界コンビニ1号店がミルクちゃんのお店だ。彼女もまた、俺やお姫様のようにつまらないと思っていた人……ネコ? であり、彼女は玩具に可能性を見出したのだろう。
主に玩具とお菓子をメインに扱うのが異世界コンビニだ。後の品物はコンビニと変わらない。
「次はそれをこっちに運んでください。それで棚に並べてください」
「あぁ……」
で、俺はコンビニを手伝うということになってはいる。だがね。こういう手伝うは今じゃなくてもいいと思うんだ。もっと時間がある時とかにしてはくれないだろうか?
「終わったよ」
「じゃあ、次は──」
これ以上は時間的にも無理だ。断らなくては。永遠と雑用させられてしまう。
見損なわれている身としては、少しでも好感度を上げていきたいのだが、今は無理だ。
「いや、次はじゃなくて! 人と待ち合わせしてるし、アンチを探さないといけないからさ。また来るよ」
「そうですか、わかりました。またお願いします。アンチさんたちなら、酒場で飲んだくれてるはずです」
「……知ってんじゃん。どこにいるのか知ってんじゃん!」
この娘はー、いつぞやのようにネコミミとシッポをこれでもかというくらい触ってやるぞ! なんて、お姫様が怖いから実際にはやらないけどね。
「プロデューサーさん。タダというのはいけないと思います。何事も持ちつ持たれつです」
「そうだねー、ミルクちゃんまたね」
「はい、またお願いします」
俺は彼女を舐めていた。
巨乳でネコミミなだけではなかった。
やっぱり商売人だね。タダでは済まないとは。
俺が手伝ってる間は教えず。下手すると、手伝わなかったら教えてくれなかったかもしれない。
ま、まあ、居場所はわかったし。良しとしよう。
※
酒というのは異世界だろうと存在するらしい。酔っ払いもか。これだけは世界共通なのか。
問題のアンチたちは、酒代だけを日々稼ぎながら、その日暮らしな生活をしているようだ……。ダメなヤツらだ。
そんな彼らには真っ当な仕事が必要だろう。だから、これは許されるはずだ。
正義は俺にある。誰も損しない。つまり俺は悪くない!
「現在、お姫様がそれはそれは大変。どうしようもないくらいお困りなんだ。はしゃいでうっかり城門に庭。オマケに城まで破壊してしまってな……。このままでは、お姫様は────!」
「ど、どうなっちまうんだ!? オレたちの女神様は! おい、にいちゃん。教えてくれよ!」
えっ、お姫様はアンチの中で女神様にまでなってんのか……。
もう、かつてのアンチはおらず、アンチは熱狂的なお姫様の信者になってしまった。狂信的なか。
「まず王様にこっぴどく叱られ。次にイケメンにこっぴどく叱られ。次は執事の悪魔からこっぴどく叱られ。そうして回り回って俺の番が来てしまった……。だけど、俺はもう彼女を叱れない! もう散々叱られているんだから!」
「……ひでぇ話だ」
「そうなんだ。だから俺はお姫様を助けたい!」
「ど、どうにかなるのか?」
「──なる! 壊したところを直しさえすれば、俺は叱らずに済むし、お姫様はもう誰にも怒られない。理由がなくなって叱るヤツはいない。だが、それには人手が足りないんだ……」
酔いがさめるくらいの衝撃がヤツらにはあったらしい。最初は楽しげな雰囲気だったのが、今はお通夜かよっていうくらいに冷え込んでいる。
これは俺の話を信じているからであり、どうにかできるならしてやりたいということだろう。女神様らしいし。
つまり、この雰囲気ならいける!
「だから……──お前たちの力を貸してくれ! 直せるところは全部直して、お姫様の名誉を回復したいんだ!」
「こんなオレたちでも役に立つのか?」
「安心しろ。ニックさんという大工さんに話はしてある。お前たちにお姫様を助けたいという気持ちだけあればいいんだ。後はニックさんが教えてくれる」
「わかった! オレたちは、お姫様にはチョコレートをもらっちまった。聞いた話だとホワイトデーに恩を返さなけりゃならないらしい。恩返しをするぜ!」
そうか。ホワイトデーがあったな。
忘れていたわけではないが、ギリギリになって用意するより、前もって用意しておかなければな。
「じゃあ、集められるだけアンチを集めて、城へのゴンドラに集合だ! 今日は顔合わせになる」
「おう! オレたちに任せてくれ。ところで、にいちゃんよ。オレらが城に上がれんのか?」
「お前たちもか……。上がれる! 無理だと言われたら、お姫様が何とかしてくれる! だから大丈夫だ!」
「流石だぜ」
アンチがチョロくて助かった。
これにて労働力の確保も完了っと。
しかし、ホワイトデーか……。
買うというのが確実かつ無難。
作るというのは無理かつ無謀。
だから、大人しく何を買うのかを検討しよう。
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