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天使のホワイトデー 後編
あとはお土産を買って帰るだけ
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♢25♢
始めに見ていたお土産屋さんは家族向け。
ぬいぐるみとか、お菓子とか、小物とかがある、ごく普通なお土産屋さんだった。
もうここで買い物終了でいいくらいに、お土産を買ったんだよ。1時間以上、下手すると2時間はこのお土産屋さんにいたんだ。
誰にはこれ、誰にはこれってやってたら、時間掛かるのは当たり前だよね。
それでもね、時間は掛ったが一通りはお土産をカゴに入れたなと思ってレジに行こうとしたら、次は自分用を探すって言い出すし……。
俺が持っているパンパンのカゴの中に、自分用が(アザラシのぬいぐるみ以外)含まれてなかったことに驚愕した。
そこからルシアさんは、自分用のお土産を次々とカゴに入れていったんだ。
「ふう、じゃあ次行きましょう!」
「帰ろう。もう帰ろうよ。俺はもう、袋2つ両手に持ってるよ? しかも一番大きい袋で2つだよ?」
「あと4つはいけると思う」
「いけないってー、持てたとして動けないってー。また今度、また今度にしようよ……っていないし」
お土産を買い上機嫌なルシアさんは、何事もなかったように俺を置いて、2つ目のお土産屋さんに向かっていった。
無論、荷物持ちを宣言したからにはいくよ。
「はぁ……」
次のお土産屋さんは1階の奥の方。ここは何故だか、シーラカンス推しのお土産屋さん。
1階のテーマが『生命の進化』というテーマであり、この水族館がシーラカンス推しだかららしい。
というのも、シーラカンスというのは生きた化石と呼ばれ、海の生き物の進化の鍵を握るらしいよ。で、この水族館は開館当初から、シーラカンスの研究と調査をしていると。
流石にシーラカンス実物はいなかったが、標本はあった。この裏側の最初に通った方には模型だったが、裏には標本がいたんだ。
俺は初めてシーラカンスを見たわ。
こんなんが未だに、地球上にいる地域があるとかビックリした。
「シーラカンスって珍しい魚なのね。ふーん」
「『ふーん』って言いながらカゴを渡さないで!」
「袋を両手に持ってないで片手で持てば、片腕開くじゃない。はい、カゴ持って」
「いや、それはキツ──」
「──いいから早く!」
アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンス。世界に生息するこの2匹を、同時に見れるのはここだけらしいぜ。標本だけどな。
そんなシーラカンス推しのお土産屋さんでもルシアさんは止まらない。
ついさっき自分用のアザラシグッズを買い込んだように、シーラカンスグッズもカゴに入れまくる。
「上手い商売ね。見たら欲しくなるわよね」
「そのキーホルダーそんなにいらないと思う!」
「……」
「無言でキーホルダーコンプしないで!」
シーラカンスは可愛いよりカッコいい路線らしく、キーホルダーがメタリック! 鉄かと思うほどずっしりとくるよ。
アクリルとかにしようよ。大量にカゴに入れられると重いんだよ。
そうして、全体的に重量が重いシーラカンスグッズを更に1袋。これで3つの袋を抱えたまま、最後のお土産屋さんに向かう。
「どうしてここだけ外にあるの?」
「水族館に入らなくても利用できるようにだろ。お土産だけ買いたい人ってのもいるんだろうよ。あと、ここでしか買えない限定のやつがあるらしいぜ」
「限定……」
「しまった、余計な発言だった! 中は一緒だと言って帰れば良かった!」
重くて、早く帰りたくて頭が回らなかった……。しかし、馬鹿なことを言ったと後悔しても遅い。
まだまだお金な余裕があるルシアさんは、最後まで容赦なく俺にカゴを持たせ、限定グッズをカゴに入れまくる。
「……」
だが、その動きがピタリと停止した。
それはぬいぐるみコーナー。アザラシにトドにナポレオンフィッシュ。館内にいた定番の奴らの他に、カワウソとフェネック?が新たにいる。
「フェネックってなんだ。キツネか?」
商品名からフェネックという名前は理解したが、どう見ても水槽の中を泳いでいるデザインではない。
カワウソもだが水族館にいるわけがない……よな。
「……」
「こんなんいなかったよな? ……ルシアさん?」
「……」
そこで気付いたのだが、ルシアさんは下にいた新種たちではなく、上を見て停止しているのだと。
「お、お前は──」
そこにいたのは、ぬいぐるみになっても可愛くないヤツ。入り口で来る人たち全員にメンチを切るヤツ。そうアイツだ。
「ダンクル。オステウス。ダンクルオステウス!」
って言うらしいよ、彼。他のやつより明らかに手が込んでいるし、値段も高い。
実は人気者だったんだろうか? 俺なら絶対に買わない。
そのイカつい見た目を再現された、ルシアさんにとっては今日イチ衝撃だった、ヤツのぬいぐるみが売っていた。
「……」
ルシアさんはしばらくの間、ぬいぐるみと睨み合っていた。そして、おもむろに手を伸ばしたかと思ったら、ヤツを掴みカゴへと入れる。
「えっ、買うの。それ買うの!? しかも大きいヤツを。1万円以上するけど!?」
ダンクルオステウスぬいぐるみには、MサイズとLサイズがあり、ルシアさんはLサイズをカゴへと入れた……いや、入らない。
コイツ、買い物カゴより長いし大きい。
「コイツだけで袋1つ増えんじゃん。どうすんだよこれ!」
「……」
「なんで無言なんだよ!」
「こっちの子たちも買わないと」
無言状態から元に戻ったルシアさんは、フェネックとカワウソもカゴへと入れる。カワウソに至ってはクッションもカゴへと入れる。
あー、もう無理や。絶対に持って帰れない。そう思わせるだけのお土産の山がこうして出来上がった。
※
絶対に1人では持ち帰れない量のお土産の袋を、『1人で!』持ち、帰りのバスを待つ。
お土産屋さんで買い過ぎたので、物産センターには寄らずに帰ることになった。
「カワウソ見たかった……」
「いつまで言ってんだよ。悪かったって」
実はカワウソもフェネックもいたらしい。もちろん水族館内ではなく、外のエリアにだ。
以前はなかった外のエリア。この時期に外にいるのは寒いのでスルーしていたら、そこにカワウソが。
外のエリアの施設にはフェネックがいるらしい。あと、金魚館なるものもあるという話だった。
「パンフレットちゃんと見なさいよ!」
「一言も書いてないよ」
「嘘、お土産屋さんの人が言ってたじゃない!」
「また来る理由ができて良かったじゃないか! あったかくなったら、また来ようぜ」
寒いから。なんて言えないのです。
お土産を半分持ってとも言えないのです。
どっちみちお土産に時間掛けすぎだよ。とも言えないのです。
「……それで手を打ちましょう」
良かった。許されたようだ。
あとは帰り道か……。お土産がね、重い。
バスで駅までは大丈夫。駅から家までが問題か。ちょうどいい帰りの電車がなさそう。
しかし、お土産が山のようにあっては時間を潰すのも困難だよな。寒いホームで電車を待つしかないのか? 嫌なんだけど……。
「バス、来たわよ」
「一番後ろに乗ろう。この量の荷物では他の人の迷惑になる」
「誰も乗ってないけど?」
「このバスはこっからスタートなわけだからな。駅に向けてどんどん乗り込んでくんだよ。席を選べる内にいいとこに座ろう」
水族館前からこの時間にバスに乗るのは俺たちだけなようだ。バカップルたちは、もう少しイチャイチャして帰るのでしょう。
俺たちは、俺の両手がいっぱいいっぱいなので帰るしか選択肢がない。
「降りやすいように左奥だな。一番端に荷物置いて俺が座るから」
「そう」
「なんでそんな真横に? 人乗り込んでくるまでは離れてていいと思うよ?」
来る時は2人席だったけど今は最後尾の席。
横に長いこの場所で、そんなに密着しなくてもいいくらいにルシアさんが近い。な、なんで?
「嫌なの?」
「い、嫌ではないけど、なんでって思う」
「特に理由はないけど、強いて言うなら──」
貴方の隣がいいから。とか。だったりする?
今日のルシアさんは何か積極的だからあるかもしれない!
「──寄りかかるのにちょうど良さそうだから。あったかいと眠たくなるじゃない」
「そうっすねー」
知ってた。そんなに甘い話はないって……。
今日は楽しかったし、楽しんでもらえたし良かったと思おう。それで満足です!
始めに見ていたお土産屋さんは家族向け。
ぬいぐるみとか、お菓子とか、小物とかがある、ごく普通なお土産屋さんだった。
もうここで買い物終了でいいくらいに、お土産を買ったんだよ。1時間以上、下手すると2時間はこのお土産屋さんにいたんだ。
誰にはこれ、誰にはこれってやってたら、時間掛かるのは当たり前だよね。
それでもね、時間は掛ったが一通りはお土産をカゴに入れたなと思ってレジに行こうとしたら、次は自分用を探すって言い出すし……。
俺が持っているパンパンのカゴの中に、自分用が(アザラシのぬいぐるみ以外)含まれてなかったことに驚愕した。
そこからルシアさんは、自分用のお土産を次々とカゴに入れていったんだ。
「ふう、じゃあ次行きましょう!」
「帰ろう。もう帰ろうよ。俺はもう、袋2つ両手に持ってるよ? しかも一番大きい袋で2つだよ?」
「あと4つはいけると思う」
「いけないってー、持てたとして動けないってー。また今度、また今度にしようよ……っていないし」
お土産を買い上機嫌なルシアさんは、何事もなかったように俺を置いて、2つ目のお土産屋さんに向かっていった。
無論、荷物持ちを宣言したからにはいくよ。
「はぁ……」
次のお土産屋さんは1階の奥の方。ここは何故だか、シーラカンス推しのお土産屋さん。
1階のテーマが『生命の進化』というテーマであり、この水族館がシーラカンス推しだかららしい。
というのも、シーラカンスというのは生きた化石と呼ばれ、海の生き物の進化の鍵を握るらしいよ。で、この水族館は開館当初から、シーラカンスの研究と調査をしていると。
流石にシーラカンス実物はいなかったが、標本はあった。この裏側の最初に通った方には模型だったが、裏には標本がいたんだ。
俺は初めてシーラカンスを見たわ。
こんなんが未だに、地球上にいる地域があるとかビックリした。
「シーラカンスって珍しい魚なのね。ふーん」
「『ふーん』って言いながらカゴを渡さないで!」
「袋を両手に持ってないで片手で持てば、片腕開くじゃない。はい、カゴ持って」
「いや、それはキツ──」
「──いいから早く!」
アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンス。世界に生息するこの2匹を、同時に見れるのはここだけらしいぜ。標本だけどな。
そんなシーラカンス推しのお土産屋さんでもルシアさんは止まらない。
ついさっき自分用のアザラシグッズを買い込んだように、シーラカンスグッズもカゴに入れまくる。
「上手い商売ね。見たら欲しくなるわよね」
「そのキーホルダーそんなにいらないと思う!」
「……」
「無言でキーホルダーコンプしないで!」
シーラカンスは可愛いよりカッコいい路線らしく、キーホルダーがメタリック! 鉄かと思うほどずっしりとくるよ。
アクリルとかにしようよ。大量にカゴに入れられると重いんだよ。
そうして、全体的に重量が重いシーラカンスグッズを更に1袋。これで3つの袋を抱えたまま、最後のお土産屋さんに向かう。
「どうしてここだけ外にあるの?」
「水族館に入らなくても利用できるようにだろ。お土産だけ買いたい人ってのもいるんだろうよ。あと、ここでしか買えない限定のやつがあるらしいぜ」
「限定……」
「しまった、余計な発言だった! 中は一緒だと言って帰れば良かった!」
重くて、早く帰りたくて頭が回らなかった……。しかし、馬鹿なことを言ったと後悔しても遅い。
まだまだお金な余裕があるルシアさんは、最後まで容赦なく俺にカゴを持たせ、限定グッズをカゴに入れまくる。
「……」
だが、その動きがピタリと停止した。
それはぬいぐるみコーナー。アザラシにトドにナポレオンフィッシュ。館内にいた定番の奴らの他に、カワウソとフェネック?が新たにいる。
「フェネックってなんだ。キツネか?」
商品名からフェネックという名前は理解したが、どう見ても水槽の中を泳いでいるデザインではない。
カワウソもだが水族館にいるわけがない……よな。
「……」
「こんなんいなかったよな? ……ルシアさん?」
「……」
そこで気付いたのだが、ルシアさんは下にいた新種たちではなく、上を見て停止しているのだと。
「お、お前は──」
そこにいたのは、ぬいぐるみになっても可愛くないヤツ。入り口で来る人たち全員にメンチを切るヤツ。そうアイツだ。
「ダンクル。オステウス。ダンクルオステウス!」
って言うらしいよ、彼。他のやつより明らかに手が込んでいるし、値段も高い。
実は人気者だったんだろうか? 俺なら絶対に買わない。
そのイカつい見た目を再現された、ルシアさんにとっては今日イチ衝撃だった、ヤツのぬいぐるみが売っていた。
「……」
ルシアさんはしばらくの間、ぬいぐるみと睨み合っていた。そして、おもむろに手を伸ばしたかと思ったら、ヤツを掴みカゴへと入れる。
「えっ、買うの。それ買うの!? しかも大きいヤツを。1万円以上するけど!?」
ダンクルオステウスぬいぐるみには、MサイズとLサイズがあり、ルシアさんはLサイズをカゴへと入れた……いや、入らない。
コイツ、買い物カゴより長いし大きい。
「コイツだけで袋1つ増えんじゃん。どうすんだよこれ!」
「……」
「なんで無言なんだよ!」
「こっちの子たちも買わないと」
無言状態から元に戻ったルシアさんは、フェネックとカワウソもカゴへと入れる。カワウソに至ってはクッションもカゴへと入れる。
あー、もう無理や。絶対に持って帰れない。そう思わせるだけのお土産の山がこうして出来上がった。
※
絶対に1人では持ち帰れない量のお土産の袋を、『1人で!』持ち、帰りのバスを待つ。
お土産屋さんで買い過ぎたので、物産センターには寄らずに帰ることになった。
「カワウソ見たかった……」
「いつまで言ってんだよ。悪かったって」
実はカワウソもフェネックもいたらしい。もちろん水族館内ではなく、外のエリアにだ。
以前はなかった外のエリア。この時期に外にいるのは寒いのでスルーしていたら、そこにカワウソが。
外のエリアの施設にはフェネックがいるらしい。あと、金魚館なるものもあるという話だった。
「パンフレットちゃんと見なさいよ!」
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お土産を半分持ってとも言えないのです。
どっちみちお土産に時間掛けすぎだよ。とも言えないのです。
「……それで手を打ちましょう」
良かった。許されたようだ。
あとは帰り道か……。お土産がね、重い。
バスで駅までは大丈夫。駅から家までが問題か。ちょうどいい帰りの電車がなさそう。
しかし、お土産が山のようにあっては時間を潰すのも困難だよな。寒いホームで電車を待つしかないのか? 嫌なんだけど……。
「バス、来たわよ」
「一番後ろに乗ろう。この量の荷物では他の人の迷惑になる」
「誰も乗ってないけど?」
「このバスはこっからスタートなわけだからな。駅に向けてどんどん乗り込んでくんだよ。席を選べる内にいいとこに座ろう」
水族館前からこの時間にバスに乗るのは俺たちだけなようだ。バカップルたちは、もう少しイチャイチャして帰るのでしょう。
俺たちは、俺の両手がいっぱいいっぱいなので帰るしか選択肢がない。
「降りやすいように左奥だな。一番端に荷物置いて俺が座るから」
「そう」
「なんでそんな真横に? 人乗り込んでくるまでは離れてていいと思うよ?」
来る時は2人席だったけど今は最後尾の席。
横に長いこの場所で、そんなに密着しなくてもいいくらいにルシアさんが近い。な、なんで?
「嫌なの?」
「い、嫌ではないけど、なんでって思う」
「特に理由はないけど、強いて言うなら──」
貴方の隣がいいから。とか。だったりする?
今日のルシアさんは何か積極的だからあるかもしれない!
「──寄りかかるのにちょうど良さそうだから。あったかいと眠たくなるじゃない」
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