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天使のホワイトデー 後編
後日談 ③
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「ただいまー」
1人帰らされた俺は、寒さと寂しさを紛らわすためにコンビニにだけ寄って、後は真っ直ぐに帰宅。
あれから1時間もせずに家まで帰ってこれた。
「おかえりー」
「おかえり! 今日はルイと遊んできたらしいわね! どうしてアタシは誘わないの。ルシアとルイだけ、ズルいズルいズルいズルいズルいーー!」
なんでか昨日と同じ出迎えがあったが、俺は今テンションが低く、リアクションするのもめんどくさい。
どうして今日もミカがいるのかを聞くのもめんどくさい。
「ほら、お土産だ。あと遊んできてないから」
「お土産……」
めんどくさいかつやかましいので、ミカに土産と称しコンビニの袋を渡したところ、中を見るので忙しいらしく大人しくなった。
ミカは黙っていれば見てるだけで癒されるので、ずっとそのままいてほしい。
そのままの天使でいてほしい。
「たしかに帰ってくるの早すぎるもんね。楽しみだったのに、これではイジれないな。まさか、お姉ちゃんとケンカしたとか? またか。またやったのか?」
「いや、ケンカはしてない。多少の暴力はあったがタピオカのやつは2人で飲んだ。だが、会話の中で明日からテストだってバレてな。勉強しろって帰らされただけだ……。というわけで俺は勉強する」
「あー、ありそう。というかテストなの言えや! それならそれで、デートプランが違ってくるだろうが!」
「あと……いいや。茶の間にいればわかるだろ」
真咲が寄ると言っていたが、特に一愛に言う必要もないだろ。
すぐ分かるように茶の間で勉強していればいいだけだ。今のテンションで部屋に行っても、集中できそうにないし。
「ミカ、袋をテーブルに置きなさい。ちゃんとキミにも分けてあげるから」
「いい匂いがするわね。これなに?」
「コンビニのおでんだ。甘くはないが美味しいぞ」
こんな時、間違いなく一愛は欲しがるし、パパンも欲しいかもしれないから大目に買ってきた。
そのパパンの分をミカにあげよう。
これに文句があるなら、パパンからミカに直接文句を言ってもらおう。
「──おでん! 一愛にもちょうだい!」
「そうなるだろうと思って、大目に買ったし箸も大目に貰ってきた。まずは腹ごしらえしてから勉強する」
「変わったの買ってきた?」
「きた。開けてみなさい。俺は着替えてくる」
俺は定番のおでんが好きなのだが、一愛はどうにも変なのが好きなんだ。『不味くはなさそうだけど冒険しない!』ってのが普通の人だとすると、『あえて食べてみようか……』ってのが一愛。
好みは人それぞれだし、ダシが美味いから何でも美味しいような気もするけどね。
コンビニおでん最高!
「さて、後は勉強道具を持って……あっ……」
おでんのことを考えながら着替えて、カバンから勉強道具を持って下に行こうと思ったら、すごいことに気づいてしまった。
教科書類が何もないや……。全部机の中だ……。
かろうじて、ヤンキーたちに教えるのに使ったノートが入っているだけだ。
「明日は理数英だったな。ノート見返して、後はタブレットでも使って勉強するか。タブレット。おや、タブレットさんはどこにいるのか?」
充電器に挿してあったタブレットがない。
お姫様か一愛。犯人はこの2人のうちのどちらかだと思われるが、クローゼットは閉まっている。つまりお姫様が持っていっているわけではない。つまり一愛が犯人だ!
「──おい、一愛ちゃん。タブレットさんはどこ?」
「知らないけど? それより、はよおでん。待っているんだから早く座って」
一愛が犯人ではない? なら、お姫様が犯人ということになるな。
しかし、クローゼットが閉じていては動画を見ることもできないはず。
「もう少し待て。手を洗ってくる」
「早く! じゅう、きゅう、はち、なな──」
「ロク、ゴー」
2人でカウントダウンが始まってしまった。
カウントがゼロになったら、俺に構わずムシャムシャしだすに違いない。手を洗って急いでテーブルに戻らなくては!
※
おでんを食べ、そこそこ満腹になったので、俺は1人茶の間で勉強に励んだ。というのも、夕飯だと呼びにきたママンに『おでん食ったばっかだから、今いらない。ラップしておいて』と言ったところ、じゃあミカちゃんおいでと、俺の代わりにミカが夕飯に呼ばれていったからだ。
飲み物を取りに冷蔵庫に行った際に見た、我が家の夕飯の席には普通にミカがいて、何の違和感もなく俺の席に座っていた。
ミカはああいうヤツだが、なんと言っても可愛いのでパパンとママンはお気に入りらしい。
お姫様と違い遠慮とかもしないから。誘えばまず断らないからね。
「れーと、誰かきたよ。出てーーーー」
つーかさ……ミカは毎日来るつもりなんだろうか?
ダメとは言わないが、俺の居場所がなくなる危機感がハンパないんだけど。
今日もお姫様のとこに遊びに行った帰り道に、我が家に寄ってるらしいし。簡単に説明すると、俺とお姫様とミカの部屋は繋がっている。
ミカの目線で説明するとな。
自分の部屋の机から入り、俺の部屋の机から出て部屋の中を通って、お姫様のところに繋がるクローゼットに入っていくと。
帰り道は逆になるわけだが、ミカは真っ直ぐは帰らずに俺の部屋を出て、下にきて普通にいるというわけだ。
「聞こえないのかな? れーと、誰かきてるから出てーーーーーーーー!!」
……よくよく考えたらヤバイよな。俺の部屋はどうなってんのよ。どこでもドアかよ……。
これを知らないヤツは部屋に入れられないよ?
急に机の引き出しが開いて、中から女の子が出てくるとか笑えないからね。クローゼットも同様にだ。
「──誰かきてるから出ていけって言ってんだろ! 勉強しているフリすんな!」
夕飯を食べに行ったまま台所にいたらしい一愛が、バタバタと音を立てて茶の間にやってきた。
何故そのまま玄関に行かないのか。ピンポン押した人が待っているというのに……。
「フリなどしていない。本当に勉強していた」
「ジュース飲んで、テレビ見てるようにしか見えないけど!?」
「……気のせいだ。今、たまたまそう見えただけだ。それよりもピンポン鳴ってるよ?」
「あーーーーっ、もうっ! つかえないヤツだ!」
カラオケ終わって駅まで行って、そこから帰りの電車に乗るわけだから、こんな微妙な時間に来るヤツは真咲ではない。宅配便とか、近所の人とかだ。
そんなんいちいち出て行きたくない。俺は勉強するのに忙しいんだから!
「ギャーーーーッ!?」
「一愛?! どうした、オバケでもいたのか!」
玄関から悲鳴が上がり、俺を始め流石にパパンとママンも玄関へと出てくる。
疑問符を浮かべながらミカも後をついてきている。
「あっ、こんばんは」
そこにいたのは妹に抱きついたアイドルと、それから逃れようともがく妹だった。
「……なんか早くないか? 後1時間は掛かると思ってたんだが?」
「ああ、それわね──」
電車で帰ってくるとばかり思っていたのだが、真咲はルイと共に車で送ってもらったらしい。
あの車は、いわゆるマネージャーさんの車であり、送り迎えもそのマネージャーの仕事のうちらしい。
それとマネージャーさんもカラオケには参加したとのことだ。そりゃあ車で待ってるのもあれだけど、参加するってのはどうだんだ?
あの人。前から変なお姉さんだとは思ってだが……。ああ、マネージャーの人とは何回か面識があるんだ。
何せ、始めに真咲に付き添って芸能と言っていいのかは分からないが、事務所ってのに行ったのは俺だ。
以降も、真咲を応援しに行った先で会ってるし。
「ところで……お前たちはいつまで手を握ってんだ? 好きなのか?」
一愛の手を離そうとしない真咲。何とか離れようとする一愛。
さっきから俺は何を見せられているのか?
「一愛が逃げるから。捕まえておかないと」
「──好きでやってるわけねーだろ! はなせー。れーと助けて。ミカちゃんでもいい。助けてーー! だいたいマキちゃんが来るなんて聞いてない! 知ってたら部屋にこもっていたのに!」
一愛に真咲が天敵だが、こんなに嫌がるのを見るのは初めてだ。
余ったホワイトデーのお返しが真咲にだと言った時も、無言になって去っていったし。
……こいつら何かあったのか? 聞いてもいいのかな?
「ボクも聞きたいんだけど、その子は誰? 一愛の友達かい?」
その子というのは特に発言することなく、パパンたちと一緒に台所に戻るでもなく、俺たちに付いてきて黙って茶の間にいたミカのことだ。
「ああ、彼女は姫宮さんだ。おっしゃる通り一愛の友達にして、スーパー可愛い天使のような女の子。ミカエラさんだ! ミカと呼んでやってくれ!」
「へー、姫宮って言ったらお金持ちさんだ。お嬢様だね。もしかするとルシアって子とも関係ある?」
そう、姫宮という超お金持ちの家がこの町にはあるのだ。異世界の姫とかいろいろマズイので、一愛の策略でルシアとミカエラの2人はその家の子となっているんだ。
これは誰も疑わない。だって本当に姫宮という家には娘がいるし、姫宮という名前は知ってるが娘を見たことはないってのが普通だからだ。
「ああ、ルシアさんも姫宮さん家の子だ。しかし、2人は姉妹とかではないんだ。複雑な事情があるらしいんだ……。追及はしないでください」
「そうなのか……」
「そんな彼女は遊びに来ていて、今日は泊まっていくらしい。特に気にせず仲良くしてやってくれ」
「もちろん。姫宮さん? ボクもミカって呼んでいいのかな?」
最後になるがお姫様は、姫宮だからヒメちゃんということになっている。 ──これで良し!
1人帰らされた俺は、寒さと寂しさを紛らわすためにコンビニにだけ寄って、後は真っ直ぐに帰宅。
あれから1時間もせずに家まで帰ってこれた。
「おかえりー」
「おかえり! 今日はルイと遊んできたらしいわね! どうしてアタシは誘わないの。ルシアとルイだけ、ズルいズルいズルいズルいズルいーー!」
なんでか昨日と同じ出迎えがあったが、俺は今テンションが低く、リアクションするのもめんどくさい。
どうして今日もミカがいるのかを聞くのもめんどくさい。
「ほら、お土産だ。あと遊んできてないから」
「お土産……」
めんどくさいかつやかましいので、ミカに土産と称しコンビニの袋を渡したところ、中を見るので忙しいらしく大人しくなった。
ミカは黙っていれば見てるだけで癒されるので、ずっとそのままいてほしい。
そのままの天使でいてほしい。
「たしかに帰ってくるの早すぎるもんね。楽しみだったのに、これではイジれないな。まさか、お姉ちゃんとケンカしたとか? またか。またやったのか?」
「いや、ケンカはしてない。多少の暴力はあったがタピオカのやつは2人で飲んだ。だが、会話の中で明日からテストだってバレてな。勉強しろって帰らされただけだ……。というわけで俺は勉強する」
「あー、ありそう。というかテストなの言えや! それならそれで、デートプランが違ってくるだろうが!」
「あと……いいや。茶の間にいればわかるだろ」
真咲が寄ると言っていたが、特に一愛に言う必要もないだろ。
すぐ分かるように茶の間で勉強していればいいだけだ。今のテンションで部屋に行っても、集中できそうにないし。
「ミカ、袋をテーブルに置きなさい。ちゃんとキミにも分けてあげるから」
「いい匂いがするわね。これなに?」
「コンビニのおでんだ。甘くはないが美味しいぞ」
こんな時、間違いなく一愛は欲しがるし、パパンも欲しいかもしれないから大目に買ってきた。
そのパパンの分をミカにあげよう。
これに文句があるなら、パパンからミカに直接文句を言ってもらおう。
「──おでん! 一愛にもちょうだい!」
「そうなるだろうと思って、大目に買ったし箸も大目に貰ってきた。まずは腹ごしらえしてから勉強する」
「変わったの買ってきた?」
「きた。開けてみなさい。俺は着替えてくる」
俺は定番のおでんが好きなのだが、一愛はどうにも変なのが好きなんだ。『不味くはなさそうだけど冒険しない!』ってのが普通の人だとすると、『あえて食べてみようか……』ってのが一愛。
好みは人それぞれだし、ダシが美味いから何でも美味しいような気もするけどね。
コンビニおでん最高!
「さて、後は勉強道具を持って……あっ……」
おでんのことを考えながら着替えて、カバンから勉強道具を持って下に行こうと思ったら、すごいことに気づいてしまった。
教科書類が何もないや……。全部机の中だ……。
かろうじて、ヤンキーたちに教えるのに使ったノートが入っているだけだ。
「明日は理数英だったな。ノート見返して、後はタブレットでも使って勉強するか。タブレット。おや、タブレットさんはどこにいるのか?」
充電器に挿してあったタブレットがない。
お姫様か一愛。犯人はこの2人のうちのどちらかだと思われるが、クローゼットは閉まっている。つまりお姫様が持っていっているわけではない。つまり一愛が犯人だ!
「──おい、一愛ちゃん。タブレットさんはどこ?」
「知らないけど? それより、はよおでん。待っているんだから早く座って」
一愛が犯人ではない? なら、お姫様が犯人ということになるな。
しかし、クローゼットが閉じていては動画を見ることもできないはず。
「もう少し待て。手を洗ってくる」
「早く! じゅう、きゅう、はち、なな──」
「ロク、ゴー」
2人でカウントダウンが始まってしまった。
カウントがゼロになったら、俺に構わずムシャムシャしだすに違いない。手を洗って急いでテーブルに戻らなくては!
※
おでんを食べ、そこそこ満腹になったので、俺は1人茶の間で勉強に励んだ。というのも、夕飯だと呼びにきたママンに『おでん食ったばっかだから、今いらない。ラップしておいて』と言ったところ、じゃあミカちゃんおいでと、俺の代わりにミカが夕飯に呼ばれていったからだ。
飲み物を取りに冷蔵庫に行った際に見た、我が家の夕飯の席には普通にミカがいて、何の違和感もなく俺の席に座っていた。
ミカはああいうヤツだが、なんと言っても可愛いのでパパンとママンはお気に入りらしい。
お姫様と違い遠慮とかもしないから。誘えばまず断らないからね。
「れーと、誰かきたよ。出てーーーー」
つーかさ……ミカは毎日来るつもりなんだろうか?
ダメとは言わないが、俺の居場所がなくなる危機感がハンパないんだけど。
今日もお姫様のとこに遊びに行った帰り道に、我が家に寄ってるらしいし。簡単に説明すると、俺とお姫様とミカの部屋は繋がっている。
ミカの目線で説明するとな。
自分の部屋の机から入り、俺の部屋の机から出て部屋の中を通って、お姫様のところに繋がるクローゼットに入っていくと。
帰り道は逆になるわけだが、ミカは真っ直ぐは帰らずに俺の部屋を出て、下にきて普通にいるというわけだ。
「聞こえないのかな? れーと、誰かきてるから出てーーーーーーーー!!」
……よくよく考えたらヤバイよな。俺の部屋はどうなってんのよ。どこでもドアかよ……。
これを知らないヤツは部屋に入れられないよ?
急に机の引き出しが開いて、中から女の子が出てくるとか笑えないからね。クローゼットも同様にだ。
「──誰かきてるから出ていけって言ってんだろ! 勉強しているフリすんな!」
夕飯を食べに行ったまま台所にいたらしい一愛が、バタバタと音を立てて茶の間にやってきた。
何故そのまま玄関に行かないのか。ピンポン押した人が待っているというのに……。
「フリなどしていない。本当に勉強していた」
「ジュース飲んで、テレビ見てるようにしか見えないけど!?」
「……気のせいだ。今、たまたまそう見えただけだ。それよりもピンポン鳴ってるよ?」
「あーーーーっ、もうっ! つかえないヤツだ!」
カラオケ終わって駅まで行って、そこから帰りの電車に乗るわけだから、こんな微妙な時間に来るヤツは真咲ではない。宅配便とか、近所の人とかだ。
そんなんいちいち出て行きたくない。俺は勉強するのに忙しいんだから!
「ギャーーーーッ!?」
「一愛?! どうした、オバケでもいたのか!」
玄関から悲鳴が上がり、俺を始め流石にパパンとママンも玄関へと出てくる。
疑問符を浮かべながらミカも後をついてきている。
「あっ、こんばんは」
そこにいたのは妹に抱きついたアイドルと、それから逃れようともがく妹だった。
「……なんか早くないか? 後1時間は掛かると思ってたんだが?」
「ああ、それわね──」
電車で帰ってくるとばかり思っていたのだが、真咲はルイと共に車で送ってもらったらしい。
あの車は、いわゆるマネージャーさんの車であり、送り迎えもそのマネージャーの仕事のうちらしい。
それとマネージャーさんもカラオケには参加したとのことだ。そりゃあ車で待ってるのもあれだけど、参加するってのはどうだんだ?
あの人。前から変なお姉さんだとは思ってだが……。ああ、マネージャーの人とは何回か面識があるんだ。
何せ、始めに真咲に付き添って芸能と言っていいのかは分からないが、事務所ってのに行ったのは俺だ。
以降も、真咲を応援しに行った先で会ってるし。
「ところで……お前たちはいつまで手を握ってんだ? 好きなのか?」
一愛の手を離そうとしない真咲。何とか離れようとする一愛。
さっきから俺は何を見せられているのか?
「一愛が逃げるから。捕まえておかないと」
「──好きでやってるわけねーだろ! はなせー。れーと助けて。ミカちゃんでもいい。助けてーー! だいたいマキちゃんが来るなんて聞いてない! 知ってたら部屋にこもっていたのに!」
一愛に真咲が天敵だが、こんなに嫌がるのを見るのは初めてだ。
余ったホワイトデーのお返しが真咲にだと言った時も、無言になって去っていったし。
……こいつら何かあったのか? 聞いてもいいのかな?
「ボクも聞きたいんだけど、その子は誰? 一愛の友達かい?」
その子というのは特に発言することなく、パパンたちと一緒に台所に戻るでもなく、俺たちに付いてきて黙って茶の間にいたミカのことだ。
「ああ、彼女は姫宮さんだ。おっしゃる通り一愛の友達にして、スーパー可愛い天使のような女の子。ミカエラさんだ! ミカと呼んでやってくれ!」
「へー、姫宮って言ったらお金持ちさんだ。お嬢様だね。もしかするとルシアって子とも関係ある?」
そう、姫宮という超お金持ちの家がこの町にはあるのだ。異世界の姫とかいろいろマズイので、一愛の策略でルシアとミカエラの2人はその家の子となっているんだ。
これは誰も疑わない。だって本当に姫宮という家には娘がいるし、姫宮という名前は知ってるが娘を見たことはないってのが普通だからだ。
「ああ、ルシアさんも姫宮さん家の子だ。しかし、2人は姉妹とかではないんだ。複雑な事情があるらしいんだ……。追及はしないでください」
「そうなのか……」
「そんな彼女は遊びに来ていて、今日は泊まっていくらしい。特に気にせず仲良くしてやってくれ」
「もちろん。姫宮さん? ボクもミカって呼んでいいのかな?」
最後になるがお姫様は、姫宮だからヒメちゃんということになっている。 ──これで良し!
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