Sランク狩人の狩り飯事情 エピソード0

KZ

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その2

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 1人になり最初に考えたのは住むところ。
 どうせなら拠点となるところがいいと、いい物件を探したがなかなか見つからなかった。
 ようやく見つけた物件は一軒家で、口のうまい不動産屋に上手いこと乗せられてしまって、気づけば家を購入していた……。

 確かにどのくらいの期間が必要なのかは自分でも分からないのだが、言われた事に納得し家を買ってしまった。ローンというのも嫌だったので一括で。
 そのための現金を用意してくれと協会きょうかいに連絡したところ、すぐに現金は嫌味と共に運ばれてきた。

『……キミはバカか。引退と新聞の一面にのったと思えばまたかい。パーティを抜けて家を買う。結婚でもするのかと誰もが思う。もう一度言おう。バカか! しかし、幸いなことに知っているのはマイホーム購入資金を持ってきたボクだけだ。これ以上の騒ぎは遠慮したいから、新聞にはのらないように情報操作はしておこう。せいぜい、したいこととやらをするといい!』

 協会から現金を持って来た使いは知り合いというか、パーティを抜けたことを報告できないでいたヤツだった。
 新聞で事態を知ったからか、やって来るなりだいぶお冠で、チクチク嫌味を言われた。

 駆け出しの頃から一緒に駆け上がってきたヤツだから、パーティメンバーの次には言わないとと思ってたんだが、こうなるだろうと思ったから言えなかったのだ。

『いくら言っても言い足りないが、長居もできないし帰る。もう1つの頼み事は期待しないで待ってな。そんなヤツがいるとは思えないけど、権力にものを言わせて探すだけは探してやるよ』

 私たちがSランクとなる間に、協会の下働きは人を使うまでに成り上がっていた。
 昔は依頼を受けた私たちを心配してくれるヤツだったのだが、付き合いの長さからか、しだいに本性を現してきた。
 昔なら思わなかったが、今は権力を与えてはいけないヤツではないかと私は内心思っている。
 それを本人には口が裂けても言えやしないがね。

『──本棚はそこ。テーブルはそこ。ああ、ベッドは2階に頼むよ。食器類は置いておいてくれて構わない。ボクがやるから』

 チクチク言われてから数日後。
 朝起きたら家の中が騒がしいので、急いで1階に下りてくると、何故だか引越し業者が作業をしていた。何か大量の荷物を運び入れているようだ。
 それを指示しているのはチクチク言っていた本人。

『待て。何をしている?』

『何って、荷物を運び込んでいるんだけど?』

『何故、私の買った家に?』

『1人暮らしには広すぎる家だろ、ここ。休みに羽を伸ばすにはいいかと思ってさ。心配しなくても邪魔はしないから。協会からのお目付役だと思ってくれ。家賃の代わりに女性のいる空間を提供するから』

『……』

 こうして買った家は勝手に別荘にされた。
 そして言った通り毎週末やって来ては、またチクチクと嫌味を言われることになってしまった。
 しかし、拠点は手に入った。よしとしよう。余計なオマケが付いているが、邪魔はしないらしいのでよしとしよう。
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