月下の妖

てぃあな・るー

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東ノ神 青龍

漆,青龍ノ神技

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 今日は青藍に呼び出され、“花ノ広間”(青藍と初めてあった所)に来ていた。
 私達はなにも着飾ることなく、ちょこんと座っている。

「皆、またせたのう。わらわでさえこんなに時間がかかるとは思っていなかった」

 出てきた青藍に皆悶絶。
 格好がなんともショッキングだったのだ。
 胸は包帯でぐるぐる巻きにしただけ。着ているものといえばあとは茶色の袴だけ。抹茶色の着物を羽織ってはるが隠したもんじゃない。
 当の本人は堂々としている。

「最後の儀式は見てもらおうと思ってのう。ズルをしたと思われても嫌じゃし、神技をみたいであろう?」

「わあ、嬉しいです!僕、見たかったんです!」

 千雪が目をキラキラとさせ、千凪が尾をわさわさと振る。
 千雪の言葉に青藍は頷き、広間の中央に正座をした。そのままてを握り合わせる。

「我の力を持って此処に真実を示せ…」

 突如札が現れ、青藍のまわりに円をえがく。

 ん?なんか聞いたことあるセリフ…?

「…ねえ、あの言葉はなんなの?」

 私は隣の千雨をつついて聞いた。

「ああ、あれは神が神技をするときに唱える文句だ。精神統一の役割もある」

 千雨が小声で答えた。

 神技ができる人なんて私の近くにいたっけな…

 私が考えにふけっていると、千雨がちょんと私をつつき、くいっと顎で青藍を指した。
 目をやると札が輝きを放ち、最終段階に入るところだった。

 やばし。

 青藍が唱える文句の熱が上がるにつれ、札は光を増す。
 と、数多くあった札はすっと一つに集まった。
 青藍が手を出す先に一枚の紙となる。
 紙を手にとった青藍は得意げにこちらを振り向いた。

「どうじゃった、わらわの神技は?それに良い出来じゃ。ほれ」

 青藍は丸めた紙をほいっと投げてよこした。
 ぱしっと私が受け取る。
 どきどきしながら紙を開くと…地図?
 どうやらここ周辺の土地の地図のようだ。
 そして一点に赤い印。

 なんだこれは?神技なのかあ?

 青藍はふふふ、と笑った。

「すこし疑っているようじゃのう。それがなんだか分かるか、千幸」

「地図、ですよね?」

「うむ。では、何をあらわしている?」

「ここらへんの地形、ですか」

「そうじゃ。ここ、“蒼ノ泉”周辺と中心街の一部じゃ。では、これを四神全員が作ったとする。するとどうなる?」

「中心街と四神の住処の地図になる…!」

 私は導かれるようにして答えた。

「ご名答じゃ。こんな代物、ほかの奴らに作れるか心配じゃがな!」

 豪快に笑い声をたてる。

「ありがとう、青藍!!」

 私は青藍にひしっと抱きついた。
 青藍は驚いたようだが、すぐに抱擁をかえした。

「…千幸、そなたが探している者は相当力が強そうじゃ。なぜか退化しているようなきもするがな。気を付けるのだぞ」

 青藍はそう言うと体を離し、私の額に口付けをした。

「神の御加護がありますように」

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