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正義のペン2(どうする新聞部)
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学校批判と捉えられ、笹スポは発刊が無期限停止となってしまった。むろん納得しない部員たちによる、学校へのリベンジが始まる。
「なんだこの一方的な発刊停止は。まがりなりにも俺たちはジャーナリストだぞ」
蜂の巣をつついたように、各々が発言する。
「そうだ!これって言論封殺ってやつじゃない?」
「こうなったら学校の恥部を暴いてやろうぜ!」
みんなの怒りが沸点に達してきたようなので、ここで悠太がクールダウンさせにかかる。
「分かるよ、頭にくるのも。でもこちらも手続きを踏んでなかったことは事実。まあここは冷静にいこうぜ。新刊の発行は停止だけど、個人としての情報収集は、これまで通りだからな」
そのときだ、パソコン画面をチェックしていた翔也が大声で叫んだ。
「編集長、大変な情報がきています」
すかさず、部員全員がパソコンの周りに集合。その画面には信じられない内容が。
おもしろい話を提供しようじゃないか
今日の夕方五時に笹島駅前の豊山銀行に行ってみな
そこで特殊詐欺の現金の引き渡しがある
その犯人が笹島中の関係者だとしたら?
この情報は五分後に消えてなくなる
目を疑うような情報が、部員たちに動揺を与えた。
「こんなのいたずらでしょ。どう考えても作り話」
信じたくないという方が、本音なのかもしれない。
「まあ、確かにウソの確率が高いけど。でもだまされ覚悟で取材に行くのが、俺たちの使命」
確かに嘘っぽいけど、一か八か賭けてみることにした。賽は投げられたのだ。
「よ~し、ここででかい玉とって、学校をギャフンといわせてやろうぜ」
8名の部員は、現金受け渡しの場と送られてきた駅前の銀行へ急いだ。
笹島駅前は、夕方5時ともなれば、学校や会社帰りの人々でごった返している。
「編集長、本当に犯人は現れるんでしょうか?」
疑心暗鬼が深まる。
「まあATMの出入り口が見えるところで、バレないように張り込み」
そのとき、白髪の老女が紙袋を抱えて、ATMボックスから出てきた。
「あのお婆さんじゃない?そうに違いない。カメラ班、決定的な瞬間を逃すな」
みんなの間に緊張が走る。ところが変な疑問が頭をよぎってしまった。
「これって、みすみす犯罪が起きようとしてるのに、そもそも俺たちで止めなくてもいいのかって問題」
悠太の発した一言が、部員の思考をストップさせてしまう。
「そりゃそうだけど。でもこんなスクープもうお目にかかれないかも」
やはりジャーナリストたるもの、特ダネには見過ごすことことはできない。
「そうだよ、もしかして僕たちはヒーローになれるんじゃないですか?」
そんな部員たちの声に悠太は押されてしまい、一先ず様子見とした。
すると一気にことが動き出す。
「あっ、男が来た。きっと受け子だ。カメラ班、シャッターを切れ」
そう叫ぶのも束の間、老女が男に紙袋を手渡そうとしたとき、5人の私服警察官と覚しき男たちが一斉に現れ、その男を取り押さえてしまった。
「今だ、カメラ、カメラ。シャッター」
しかしファインダーを覗いてたカメラ班の浩三が、思わず叫んでしまう。
「あっあの人。3年2組の安本寧々さんのお父さんだよ、きっと」
その言葉が、みんなを凍り付かせてしまう。なぜなら、寧々とは悠太の彼女だからだった。
翌日の地元紙には、昨日の事件の記事はなかった。
ここで、新聞部として、いったい記事にするかどうかの検討が始まった。
「これを記事にしたら、それこそ大スクープ。それも素人の俺たちが」
そう簡単に割り切れないのが、今回の件の難しいところ。
「でも安木さんのお父さんだとバレちゃうよ。それって果たして公益性があるの?」
これには一理ある。
「例え知り合いでも、そこは鬼にならなくちゃ。悪を晒す」
それもそうかもしれない。
「こんなこと俺たちがしていいことなのか?もしかしてこれってペンの暴力じゃない?」
ああ、だんだんと分からなくなってきた。
「よし、寧々に電話してみる」
と、悠太が寧々に確認すると、何と情報提供者が寧々本人だった。どうやら父親の犯罪計画を知った彼女が、新聞部にメールで伝えて、事前に犯罪を止めてもらいたいと思ったのがことの顛末だ。
そんなの聞かなきゃよかった。これじゃますます決められないよ
長い話し合いの末、結局は紙面に載せないこととなった。ただそれが正解かは分からない。一ついえることは、悠太たち豆ジャーナリストたちは、これからも悩むことになるだろうということだけは確か。
何を記事にするか、そしてしないか。そこがジャナリストの生命線。
「なんだこの一方的な発刊停止は。まがりなりにも俺たちはジャーナリストだぞ」
蜂の巣をつついたように、各々が発言する。
「そうだ!これって言論封殺ってやつじゃない?」
「こうなったら学校の恥部を暴いてやろうぜ!」
みんなの怒りが沸点に達してきたようなので、ここで悠太がクールダウンさせにかかる。
「分かるよ、頭にくるのも。でもこちらも手続きを踏んでなかったことは事実。まあここは冷静にいこうぜ。新刊の発行は停止だけど、個人としての情報収集は、これまで通りだからな」
そのときだ、パソコン画面をチェックしていた翔也が大声で叫んだ。
「編集長、大変な情報がきています」
すかさず、部員全員がパソコンの周りに集合。その画面には信じられない内容が。
おもしろい話を提供しようじゃないか
今日の夕方五時に笹島駅前の豊山銀行に行ってみな
そこで特殊詐欺の現金の引き渡しがある
その犯人が笹島中の関係者だとしたら?
この情報は五分後に消えてなくなる
目を疑うような情報が、部員たちに動揺を与えた。
「こんなのいたずらでしょ。どう考えても作り話」
信じたくないという方が、本音なのかもしれない。
「まあ、確かにウソの確率が高いけど。でもだまされ覚悟で取材に行くのが、俺たちの使命」
確かに嘘っぽいけど、一か八か賭けてみることにした。賽は投げられたのだ。
「よ~し、ここででかい玉とって、学校をギャフンといわせてやろうぜ」
8名の部員は、現金受け渡しの場と送られてきた駅前の銀行へ急いだ。
笹島駅前は、夕方5時ともなれば、学校や会社帰りの人々でごった返している。
「編集長、本当に犯人は現れるんでしょうか?」
疑心暗鬼が深まる。
「まあATMの出入り口が見えるところで、バレないように張り込み」
そのとき、白髪の老女が紙袋を抱えて、ATMボックスから出てきた。
「あのお婆さんじゃない?そうに違いない。カメラ班、決定的な瞬間を逃すな」
みんなの間に緊張が走る。ところが変な疑問が頭をよぎってしまった。
「これって、みすみす犯罪が起きようとしてるのに、そもそも俺たちで止めなくてもいいのかって問題」
悠太の発した一言が、部員の思考をストップさせてしまう。
「そりゃそうだけど。でもこんなスクープもうお目にかかれないかも」
やはりジャーナリストたるもの、特ダネには見過ごすことことはできない。
「そうだよ、もしかして僕たちはヒーローになれるんじゃないですか?」
そんな部員たちの声に悠太は押されてしまい、一先ず様子見とした。
すると一気にことが動き出す。
「あっ、男が来た。きっと受け子だ。カメラ班、シャッターを切れ」
そう叫ぶのも束の間、老女が男に紙袋を手渡そうとしたとき、5人の私服警察官と覚しき男たちが一斉に現れ、その男を取り押さえてしまった。
「今だ、カメラ、カメラ。シャッター」
しかしファインダーを覗いてたカメラ班の浩三が、思わず叫んでしまう。
「あっあの人。3年2組の安本寧々さんのお父さんだよ、きっと」
その言葉が、みんなを凍り付かせてしまう。なぜなら、寧々とは悠太の彼女だからだった。
翌日の地元紙には、昨日の事件の記事はなかった。
ここで、新聞部として、いったい記事にするかどうかの検討が始まった。
「これを記事にしたら、それこそ大スクープ。それも素人の俺たちが」
そう簡単に割り切れないのが、今回の件の難しいところ。
「でも安木さんのお父さんだとバレちゃうよ。それって果たして公益性があるの?」
これには一理ある。
「例え知り合いでも、そこは鬼にならなくちゃ。悪を晒す」
それもそうかもしれない。
「こんなこと俺たちがしていいことなのか?もしかしてこれってペンの暴力じゃない?」
ああ、だんだんと分からなくなってきた。
「よし、寧々に電話してみる」
と、悠太が寧々に確認すると、何と情報提供者が寧々本人だった。どうやら父親の犯罪計画を知った彼女が、新聞部にメールで伝えて、事前に犯罪を止めてもらいたいと思ったのがことの顛末だ。
そんなの聞かなきゃよかった。これじゃますます決められないよ
長い話し合いの末、結局は紙面に載せないこととなった。ただそれが正解かは分からない。一ついえることは、悠太たち豆ジャーナリストたちは、これからも悩むことになるだろうということだけは確か。
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