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第2章 幼年編
076 見えない精霊
しおりを挟む「いいか。まず今日から10日間、動かずここにいろ」
師匠のそんな指示で森の中にじーっと座っている俺。自然との調和を考えてると精霊さんに会えるみたいだな。
「精霊さん、精霊さん出てきて下さーい!こんにちーはー!」
違うなー。じゃーあれかな、ジャンに教えてもらったやつ。
鉄塊をビョーンと伸ばすやつ。
初めて金魔法を発現したときは、できるかなできないかなじゃなくって「できる!」と信じてやったら鉄の塊がビョーンだった。
今度は「精霊さんは居る」の精霊さんver.だよ、きっと!
目を閉じて。
よし、精霊さんは居る。俺の目の前に絶対に居るんだ。
目を開けるぞー、はい精霊さんが目の前に‥‥
居ないじゃん!
あーまったくダメだわー。
精霊さんに会える気もぜんぜんしないよ。
どうしよう?
次は何やろう?
あっ!
椅子取りゲームとかどうだろう?
昔テレビで俳優さんが、座敷童子が出てくるように遊んでたら音がしたとかやってたのを覚えてる。
「精霊さんと椅子取りゲーム異世界ver.だ!」
よし、やってみるか!
土魔法で椅子を1脚出して、相撲みたいな土俵にのせた。
♪ちゃららーらーちゃららーマイムマイムマイムちゃららー♪
(なぜかマイムマイムが浮かんだ)
両腰に手を当ててくねくね踊りながら椅子の周りをリズミカルに廻る俺。
♪ちゃららーらららー
マイムマイムマッ!!
サッと椅子に座る俺。
当然‥誰も現れない。
・・・・・・ああーー虚しくなってきた‥。
(でもコレ、おもしろいかも!)
お手上げポーズでひっくり返って目を閉じる。そこでサッと起きて周りを見渡した。
・・・・・・む、虚しい。
もう1回やるぞ。
♪ちゃららーらららー
マイムマッ!
・・・うん、1人遊びが上手くなってきました‥。
その後もあれやこれやと思いつくたびにチャレンジしてみるが、まったく精霊さんが見える気配はなかった。
自然に逆らう気はしないんだけどね。
精霊魔法を使うにはまずは精霊さんが出てこないと話にならない。
土の精霊ノームが見えない限りは土魔法に精霊(ノーム)の力は貸してもらえないし、火の精霊サラマンダーが見えない限りは火魔法に火の精霊(サラマンダー)の力は貸してもらえない。
兎にも角にも精霊さんが見えるようにならないと…。
うーん。だめだ、ぜんぜんだめ。
まったく見える気がしない。
じーーっと目を凝らして見てもダメ。
わざとぼーーっとして見たりしてもダメ。
バチバチバチと高速瞬きもダメ。
自然と調和の意味がわからない。
俺はできない、見えない、わからないの無限ループに突入したのだった。
♪ちゃららーらーちゃららーマイムマイムマイムちゃららー♪
頭の中ではずーっとあのメロディが鳴り続けていたけど。
応援ありがとうございます!
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