アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

529 制服の色

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 ~時間軸を少し戻して。制服着用に至るまでをあらためて~


 「全員の採寸済んだわよ」

 制服企画をすすめていた狂犬団幹部、服飾部の人族5年3組のミチーコ  ジュンジュン先輩が報告してくれたんだ。

 「いつでも配付できるわ。おギンちゃんの指示どおりでね」

 「「「ありがとうございます、ミチーコ先輩」」」

 なぜかミチーコ先輩が俺の顔を見ながら、残念そうな顔を浮かべてたんだ。
 なんだ?ミチーコ先輩、大人が俺によくする、あの顔なんだけど!?


 「(ハチ俺なんかした?)」

 「(してないと思うっすけど、なんか僕もミチーコ先輩から見られてた気がするんですよね‥‥)」

 「「(うーん?)」」

 「じゃあミチーコ先輩、悪いんだけど明日あらためてアレを持ってきてください」

 「わかったわ、おギンちゃん」

 「みんな、明日は学内組も学外組も狂犬団の幹部は本部に集合よ」

 「「「了解ー!」」」







 「みんな揃ったわね」

 「「「はい!」」」

 「いよいよ明日から制服を配るわ」

 「「「おぉ~!」」」

 「「「ついに来たか!」」」

 「各クラスの代表者はいつの何時に体育館にもらいにいくかは回覧板に記したとおりよ」

 「「「了解!」」」

 狂犬団だけじゃなく学内の諸行事など、日時の決まったことは回覧板形式で、連絡を取るようになったんだ。

 紙の普及はこんなところにもいい影響が出てるんだよね。
 回覧板見たよとサインしてからみんなが情報を共有する。もちろんメモもとるからね。
 紙のおかげで、ケアレスミスは格段に減ったんじゃないかな。

 学園長は知らず知らずに規律正しい学園生ができるって喜んでるけど。そんなの元の世界なら当たり前だよね。


 「それとね‥‥約2名がいまだにブーブー言ってるから。悪いんだけどみんなにはその証人の意味もあって集まってもらったわ」

 「「「あ~なるほどね……」」」

 証人?なんだ?
 なんでみんな俺とハチを見てるんだ?

 「(なんか知んねぇけどよ、制服っていったら白だよなハチ。ブーブー)」

 「(当たり前っすよ団長。あの海軍さんみたいな白がイケてるんすよ!ブーブー)」

 「「(だよねー!ブーブー)」」


 「団長、ハチ。もう決まったことけど、制服は白がいいんだよね?」

 「(当たり前だよ。ブーブー)」

 「(そうっすよ。ブーブー)」

 「やっぱり‥‥2人ともわかってないわねアリサちゃん」

 「ええおギン先輩‥‥」

 「「??」」

 「仕方ないわ。用意して」

 「「はーい」」

 なんかね、知らないあいだに話が決まってたみたいなんだ。
 幹部の女子団員が2つスープとパンを持ってきたよ。

 「はい、じゃあ団長とハチ。ここに座りなさい!早くする!」

 「「?」」

 「「早くする!(お兄ちゃん早くして!)」」

 「(団長‥‥やっぱきれいな人のキツい言い方って効くっすよね)」

 「(同感だよハチ)」

 俺たちって‥‥Mなのかなぁ。


 「なんか寒いわ‥‥」

 「ぶるっ!おギン先輩私も‥‥」





 「白い制服を着た2人にはこれからカレーパンを食べてスープを飲んでもらうわ。もちろん白い制服を汚しちゃだめよ!わかった?!」

 「「はいっ!」」


 あ~わかった。白い制服だからこぼしたら目立ってことを言いたいんだな。ゆっくり食べるからこぼすわけないじゃん。

 「(こんなの楽勝じゃん。なあハチ)」

 「(楽勝っす団長)」

 モグモグモグ‥‥
 もぐもぐもぐ‥‥

 あ~カレーパンはやっぱうまいよな。元の世界と変わらないよ。てか肉がゴロゴロ入ってるからもっと美味しいんじゃね?

 スープとカレーパンは合うなぁ。うまいよなぁ。えへへ。

 モグモグモグ‥‥
 もぐもぐもぐ‥‥


 「「ごちそうさま!うまかった!」」

 
















 「「「‥‥」」」

 「ほら、やっぱり‥‥」

 「「お兄ちゃん(団長)‥‥」」

 「「へっ?」」







 







 「あっ!」

 白い制服にはスープのハネやカレーパンの食べ屑がいっぱい付いていたんだ。

 「それだけじゃないわ」

 「「えっ?」」

 「2人とも右袖」

 「「あっ!しまった‥‥」」

 制服の白い袖口にはカレーパンを食べて口を拭ったあとがしっかりと付いていたんだ……。

 「「「ガキか!!」」」







 「制服の色は紺。なんか文句ある人はいる?」

 「「ありません‥‥」」



 こうして帝都学園の制服は紺色のブレザーに決まったんだ。
 男子はパンツ(スラックス)。女子はパンツとスカート。どちらも同色の紺色とグレーの2色。

 帝都学園の制服は瞬く間に帝国中で評判になったんだ。同世代の未成年者には憧れの対象になってね。
 ちなみに王都学園でもまったく同じものが売れたってカクサーンが大喜びしてた。


 「僕なんかおもしろくないっす団長」

 「俺もだハチ」

 元々オシャレなアリサやおギンたちは制服がますます似合っていた。かわいいよ。
 ふつうにお洒落なドンやトンもイケていた。かっけーよ。
 狂犬団員の幹部みんなも決まっていた。


 「ハチ‥‥俺たちだけじゃね?」

 「団長、僕近所のガキに『狸が服着てる』って笑われましたよ」

 「俺も制服来て寝たらアリサに制服がヨレヨレになるって怒られた」

 「「うーん‥‥」」



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