アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

542 ドンの進化

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 息つく隙もなくガタロと相対するドンを見て。マル爺からの声がかかる。

 「ドン君、自身の魔力を意識しつつ、ガタロの僅かな魔力も意識するんじゃよ。
 さすればまだまだ余裕も生まれるし、動きは早くなるよ。なにより無駄はなくなるよ」

 「はい師匠」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 「ハァハァハァハァ‥‥」



 【  ドンside  】

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 「ハァハァハァハァ‥‥」

 師匠は魔力を意識しろと言うけど難しいな。ガタロは次から次へと襲ってくるから意識する暇がないんだよな。てかガタロと闘る時っていつもこんな感じでひたすら持久戦なんだもんな。


 「ドン君少し落ち着きなされ」

 「えっ?」

 ガタロとの戦闘中。マル爺師匠が手にした手鎚を突然下ろしたんだ。

 「師匠!」

 「ギャーーッッ!」

 もちろん近くにいたガタロがすぐに師匠の足に噛みついたんだ。

 「師匠早く!」

 だけどマル爺師匠は涼しい顔をして言ったんだ。

 「ホッホッホ。ガタロ1体に取りつかれてもすぐに生命は取られまいて」

 「あっ!」

 ああ、たしかにそうだ。ガタロの攻撃にやられたくらいですぐに生命を取られるわけじゃない。それこそ犬に噛まれた程度。一撃が致命傷になる強い魔獣や剣士じゃないんだ。

 「魔力操作じゃよ。落ち着いて自身の魔力を操作して風を読むんじゃよドン君。
 自分が生む風、ガタロが生む風、河の風、船の風。風はすべて違うじゃろ。
 さらに匂いのある風もあれば包み込む風、肌にピリピリとくる強者の風。風を読めば余裕ができる。戦闘はうんと楽になるわの」

 「!」

 マル爺師匠の言葉にハッとしたんだ。なるほど!って思ったんだ。

 風は匂いも温度も違う。風を察知できれば戦闘はずいぶん楽になるんだ。
 そういや団長は風の精霊が憑いているから察知も楽だって言ってたもんな。

 1歩先2歩先の風を読む。より早くより確実に。

 「師匠何かわかった気がします!」

 「さすがはドン君じゃ!」

 「はい!」

 マル爺師匠はいつも俺を褒めてくれる。褒めて伸ばすっていうのかな。
 へへっ。
 なんかうれしいな。魔力操作を意のままに操ること。やることは決まってるんだ。

 これができれば俺はもっと強くなれる。



 【  デーツside  】

 (ううっ。アレク早く帰ってきてくれよ)

 「デーツちゃん、お姉さんに引き寄せられる男たちを夢の世界に誘ってあげるのよん。
 2度と覚めない夢の世界にね。ほら、こうして」

 そう言いながらレベちゃん師匠が両手を胸の前で広げたんだ。

 「「「ギャッギャッギャッギャッギャ‥‥」」」

 吸い寄せられるようにレベちゃん師匠の胸に集まるガタロたち。
 そんなガタロたちが集まった胸板をぎゅっと抱き締めるレベちゃん師匠。

 ギユユユュュューーーッッッ!
 グシャグシャッッ!

 レベちゃん師匠の胸に緑色の血がドロドロと流れ落ちたんだ。

 「ナニコレ?」

 レベちゃん師匠のそんな胸の一部分、乳首から俺は目が離せなかったんだ。

 なんで乳首にピアスが付いているんだ?

 しかも緑色の体液に溢れたレベちゃん師匠の乳首が人の眼みたいに見えたんだ。

 キラキラキラキラ‥‥

レベちゃん師匠の眼(乳首)が喜んでるみたいに見えた……。

 「コワッ‥‥」

 「ほらデーツちゃん、また縮こまって。大きな声をだしなさい!自分自身を曝け出しなさい!ほら早く!」

 「ウオーッ!」

 「ダメよ!ぜんぜん小さいわ!」

 「ウォーッ!うおーっ!」

 「もっと大きく!」

 「うおーーーっ!」

 「もっと大きく!もっと太くよぉ!」

 「ウオオオォォーーッ!」

 「いいわよぉ!サイコーよぉっ!」

 「ウオオオオオォォォォォーーッッ!」

 叫んでるうちに力みっていうか、へんな力が抜けたんだ。レベちゃん師匠の変な指導のおかげかな。

 ギュッッ、ブーーンッ!

 ガタロを掴んではそのまま甲板に叩きつけた。もう怖くなくなったよ。手にしたガタロを鞭のように他のガタロにぶつける。

 グシャッ  グシャッ!

頭を掴んだガタロは握力で潰していくか叩きつけたんだ。だんだん緊張もなくなっていったよ。

 「デーツちゃん、お姉さんみたく胸で殿方を誘うのよぉ。ほらやってごらんなさい」


















 「絶対ヤダ!」

 レベちゃん師匠の性癖だけはわからないよ。

 「デーツちゃんにもお姉さんと同じピアスを‥‥」

 「絶対要らない!」


―――――――――――――――


 「ありがとうアレク」

 「「「ありがとうございますアレク様」」」

 「よかったね、子どもたちもみんな無事で」

 「アレク‥‥俺たち海人族はこれからどうしたらいい?」

 「えっ?ジョングたちは逆にどうしたいんだよ?」

 「どうしたいとはどういう意味だ?」

 「どういう意味もないよ。そのまんまだろ?どうしたいのか決めるのは自分たちじゃねぇのか?」

 「「「‥‥」」」

 「どっちにしろさ、姫たち海洋諸国人は一旦王都に行くと思うんだよね。俺もついていくし。
 だからさ、ジョングたちはとりあえずここで、2日3日休憩してろよ。メシとかも草さんに頼んでおくからさ」

 「いいのか!?」

 「そんなの当たり前じゃん。とりあえず家もいるよな。野営食堂でよかったらすぐに‥‥」



















 「「「えぇーーー!?
」」」


―――――――――――――――


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