上 下
7 / 42
出発

ろくわめ

しおりを挟む
 面倒を避ける為に、ぴかーっ!っと、いや、もやーっ!とかな?魔法を使いました。
 チートの1つであるMAPはとても使い勝手がいい。
 表示されるピンが色分けされてるんだ。
 無害な生き物は青。
 敵意を持つ生き物は赤。
 赤色のピンを選んで魔法を発動させれば、他は巻き込まずに済むってね。
 そうして敵意を持つ皆さんはおやすみなさいなのですよ。
 そうして玉座の間に居た青色のピンだった眠っていない人達に城を出ることを伝え、さっさと城下町に下りる。
 勿論何故か一緒に行くと言い出した元騎士団長のジュークさんも着いて来る。
 いやむしろ俺が着いていってる。
 まずジュークさんの部屋へ寄る話になったからね。
 手早く荷物を纏めたジュークさんに手伝いは必要か聞いたら、荷物は少し大き目の麻袋みたいなのが1つと愛用の剣と馬だけだと言われてしまった。
 ……物が無さすぎだと思いました。

「まずは買い物を済ませましょう、勇者様」
「ジュークさん、これからはシオンと。丁寧な言葉遣いもいりませんよ」
「しかし……」
「俺に着いてくるなら聞いてください。勇者と知られて面倒に巻き込まれても困りますし」
「……わかりま……わかった」
「ありがとう、ジューク」

 金銭を持たない俺には買い物が出来ないけれど、ジュークが手際良く買い物を済ませてくれたので、最後にギルドとやらに立ち寄ることになった。
 このギルド、冒険者ギルドである。
 この国を出るにしても他の国に行くにしても身分証が必要になり、それを作る為にギルドに来たのだ。
 ジュークも持っていると見せてくれた。
 ジュークが手続きを済ませてくれたので、俺はぼーっとしながら待つだけで済んだ。
 そして俺とジュークはこの国、セークスバッコン国を出ていく。
 ここからは俺の冒険譚の幕開けだ!

「って言っても、これから何処に向かおうか」
「そうで……だな。シオンは魔王討伐はするのだろう?」
「本当に魔王が人間の国を脅かしているなら、ね。悪いけど、あの王様と宰相の言う事は鵜呑みに出来ない」
「……情報収集からか。ならば東の魔族領へ向かう前に北の方へ向かおう」
「了解」

 そしてジュークの馬に2人乗りであぜ道を歩く。
 ジュークの前に乗り、体を預けながら揺られること1時間程。

「ジューク、荷物を仕舞っておくよ」
「なに?」
「ふふ、俺勇者だよ?そういう能力があるの」

 周囲に人の存在はない。
 MAPにも記されていないのを確認して、道を僅かに逸れる。
 はい、勇者チートのご紹介!
『異空間収納』ー!
 生命活動をしていない物を仕舞うことが出来るものである。
 異世界転移での定番チートといったらこれですよね!
 馬から下ろしてもらい、括りつけられた荷物を異空間収納に仕舞う。
 水の入った樽や食料が空間の歪みの中へとぽいぽい放り込まれるのをジュークが呆然と見つめている。
 ジュークの馬は上等な軍馬で、沢山の荷物も括れるけれど、俺もいるし、負担は少なくしておきたい。

「俺に着いてくるなら慣れてねー」

 苦笑いを向ければハッと我に返ったジュークに同じように苦笑いで返された。

「勇者とは凄いな」
「俺もビックリだよ」

 ジュークには言ってないけど、この異空間収納にはお城で失敬した色んなものが既に大量に入っているのだ。
 多分開いた口が塞がらない状態になるだろうから黙っておくけどね!
 身軽になった馬に再び乗せられ、またあぜ道をかっぽかっぽ歩き出す。
 荷物が減ったからか軽い足取りでお馬さんは行く。

 太陽が真上に差し掛かる頃、ジュークの手綱取りで向かった先は小川の近く。
 ここで簡単に食事を取り、小休憩だ。
 馬にも食事と水をやり、俺達も手早く食事を済ませ、また馬での道中になった。
 なるべくなら早目にこの国を出たいからね。
 監視だとか余計なものが着いて来ても困るし。
 一応脅してみたけど、どれだけの効果があるかわかんないしね!
 途中にあった小さな村で薬草だとかのアイテム系や食料を買い足す。
 俺の異空間収納がここでも活躍した。
 今異空間収納にある分で2人が2週間は野宿出来る。
 ジュークが有名人でちょっとした騒ぎになりかけたけどね。
 でも買い物の他にも野菜とかお菓子っぽいものとかもくれた村の人は優しいよね。
 ジュークの知名度も凄い。
 そして東に向かうと見せかけて少しの遠回りを挟んでまた北へ向かう。

「尻は大丈夫か?」
「うん?」

 穏やかな道中のせいでちょっと寝かけてた。
 目を擦りながら振り返れば、なんだかもごもごしながらジュークは視線を泳がせている。

「だから……慣れぬ者は馬旅で尻を痛める。シオンは大丈夫か?」
「ああ、うん。大丈夫」
「そうか」

 落ち着かない感じのジュークに見えないようにほくそ笑みながら、魔物にも襲われずに俺達はまったり進んで行く。
しおりを挟む