三ヶ月間の両思い

ろむこ

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第七話

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 「エルノワ奥様、ようこそファーレンハウト家へ」

  あの素晴らしく大きなお屋敷に到着すると、出迎えでこれまた盛大な歓迎を受けた。

うやうやしく頭を下げる辺境伯家の使用人達。
中で働いている使用人もいるであろうに、出迎えに出ている者達だけで生家の使用人より多いかも知れない。


「お着きになられたか」


  男性の声に目を向けると、エルノワと同年代程であろう青年がこちらにむかって来ていた。この屋敷の一族の方であるのは間違いなさそうだ。

結婚相手であるヴァイン・ファーレンハウト様はエルノワよりも二つ歳上の二十五歳のはず。

彼がヴァイン様だろうか。


「よくおいで下さいました。さぞお疲れでございましょう」


笑顔で出迎えてくれた彼は、とても穏やかそうな美青年であった。


「お言葉いたみいります。お初にお目にかかります。わたくしはフロスティ子爵家長子、エルノワ・フロスティでございます。長きにわたりヴァイン様には直接のご挨拶にも伺えず、大変な失礼を……」


「お待ちください、エルノワ嬢。違うのです」


エルノワの挨拶を慌てて止める男性。


「私はヴァインではないのです。挨拶が遅れ勘違いをさせてしまい申し訳ない」


出迎えてくれたのが、旦那様その人ではない?

ではヴァイン様はどちらにいらっしゃるのだろうか?

急ぎ伺ったから、予定があわなかったのだろうか。


「では改めて。私はヴィヌ・ファーレンハウト。ヴァインの従兄弟にあたります。本人の出迎えでなくて大変申し訳ないが、後ほど対面出来るようになっています」


「まあ、そうでしたか。大変失礼を致しました。ヴィヌ様とおっしゃいますのね」

宜しくお願い致します、と挨拶をする。

疑問に思う事もあったが、まずは自分の挨拶に不手際がなかったかどうかが心配だった。そばに控える敏腕侍女に目をむけると、

大丈夫でございます。

と言わんばかりにはっきり一つ頷いてくれた。

頼りになる女性である。



「本来でしたら、まずはお疲れを癒していただくよう取り計らうべきなのですが……。エルノワ嬢がお嫌でなければ、貴女の夫であるヴァインに会っては下さいませんか?」


「ええ、ええ、是非ご挨拶をさせていただきたいですわ」


まずはお召しかえを。

こちらの手袋もお召し下さいませ。


辺境伯家の侍女に促され、華美ではないが上等でセンスの良いドレスに着替え、渡された手袋をはめる。


ヴァイン様にお会いするのには、何故こんな準備が必要なのだろう。


「エルノワ嬢。私はここで待っています。そちらの侍女が彼の元へ案内します」


「わかりましたわ。では案内を頼みます」


  ヴァイン様には二人きりで会うのだろうか?

既に結婚から四年経ち、夫婦ではあるが直接会うのははじめて会う男女なのに。いいのだろうか?


「エルノワ奥様、到着致しました。こちらのお部屋でございます」


「案内ありがとう。ノックをして入れば宜しいかしら?」


「はい、わたくしは外に控えておりますのでいつでもお声がけ下さいませ」


そう言って侍女は下がる。


トントン。


「……どうぞ」


男性の声が聞こえた。

きっと旦那様のお声だろう。

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