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サメジマエリア編
2話
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「で、現状をまとめると」
タフちゃんが白衣のポケットを弄りながら続ける。
「うちらはデータ転送システムの転送に巻き込まれて……」
「このエロビデオのせいで転送事故に遭い」
「「今こうなってる……と」」
頭を抱えた。
「ここ何よ……」
「う~ん……え?」
隣のタフちゃんがとても嫌な感じの発音をした気がする。
「何かあった?」
「うちらの現在地を表すデバイス……『Unknown』になってる……」
「え……」
ユニオンラインで不明な場所?……つまり、存在しない場所に来た……?
「いや、でもそこに『セキュリティシステムセンター』の文字があるし……」
「え~っとね、うちの言葉で伝わるかわからないけど……」
髪の毛をいじりながら、床に屈んで指先を這わせる。
「多分、データ転送システムがバグって、ユニオンラインからズレた座標に飛んじゃった……みたいな?」
「えーっと……つまり?」
ごめん、バイトにも分かるように言ってくれ。
「あ~……あ。アレだ、よくゲームとかでさ、変な場所に入り込む裏技みたいなのあるでしょ?」
「あぁ、あるある裏世界行く~みたいなやつ……え?て事はなに……俺ら……」
「そうかも、ユニオンラインの裏世界。つまり……」
タフちゃんは白衣のポケットに両手を入れて、苦笑いを浮かべる。
「『サメジマエリア』……来ちゃったかも……」
「……マ~ジィでぇ?」
「SSS」で働いていると、誰もが一回は聞いたことがある。『サメジマエリア』というほとんど噂に近い領域。ユニオンラインの裏世界。
「都市伝説じゃないんか~い」
「まぁ、実際来ちゃったし……『サメジマエリア』への立ち入り自体が違反とかは無いから大丈夫だと思う」
「そりゃ確認出来ないモノに対して、違反行為もなにも無いだろうしなぁ~」
「……あれ、ちょっと待って」
「ん?どしたのタフちゃん」
「デバイス上でうちらが『Unknown』って事は、ユニオンラインに今うち達は存在してない……」
タフちゃんの顔がドンドン青ざめていく。
「パシャリさん……うちら、このままだと……『アカウントバニッシュメント』されるかも……っていうかされてるかも……」
「……やっばくね?」
いわゆる『アカバン』と言われるアレだ。
「アカバンとか洒落にならんて!資産凍結!記憶アーカイブの削除!あ、マイナンバー再発行もか!?めんどくせぇ!!」
ここに来て自体の深刻さが浮かんできた。やばいどうしよう。ガチ焦りしてる。
「……あ、でも待って。『サメジマエリア』に入っちゃったけどさ。ここって「SSS」だから……」
タフちゃんが再び指を刺す。
「『データ転送システム』をもう一回使えば戻れるんじゃ無いかな」
「え!?マジ!?」
「データ転送システムの転送先をSSSに設定してもう一回転送する……えーっと、ゲームで例えると……」
タフちゃんはアゴに指先を当てて、グルグル回った後ポンと手を叩いた。
「あ、アレだ!RPGとかで街に入った時、バグったら一回出て入り直すあれに近いかも」
「あ~……レトロゲームとかでたまにあるよね。街に入ったら画面真っ白で主人公達しか映ってない時とか」
心当たりしかない景色を思い浮かべながら、足を運ぶ。
「誰もいないSSSって不気味だねー」
「パシャリさんってホラー平気だっけ?」
「超苦手」
「え?グロ系は?」
「超平気」
「線引きどうなってんの?」
SSSのやたらと広いホールに入る。
「毎回思うけど、ここやたら広いよね」
「まぁ一応国家機関だし」
「それもそっかー」
と、いつも通り出勤するみたいにゲートに向かう。
……しかし。
《侵入者発見。警告。無視する場合、武力行使に移行します。繰り返します、警告……》
「「……え?」」
いつも無邪気な挨拶をする門番。トッパー君に行手を防がれてしまった。
「タフちゃん。俺たちってここのバイトと正職員だよね?」
「その筈だけど……」
「トッパー君を突破できないんだけど」
まさかいつも素通りしてた二足歩行のアンドロイドが立ち塞がってくるとは。
「あ……もしかして」
閃いたようにタフちゃんは答える。
「裏世界の『サメジマエリア』にとって、存在しなかった筈のうち達って、侵入者扱いなのでは?」
居る筈のない場所に、居る何か。それって側から見たらバグってる訳で。
「あ~!成程ね!さすがSSS正職員!」
「それほどでも」
「それでどうしますコレ。トッパー君に弱点とかないの?」
「この間ジュキトさんにバーベキュー誘われたらついて行ってた」
「食べ物に釣られるのかこの門番。あ、じゃあコレにも釣られるのかな?」
取り出したのは、全ての元凶。アダルトなカセットテープ。
「……何でまだ持ってるんです?」
「何となく役に立つかなって。トッパー君コレあげるから通してほしんだけどな~」
《警告……けいこ……ジャンルは?》
「あーっとぉ……あぁNTRっぽい」
《抹殺対象へ変更》
「あ、ダメなタイプだったかー」
「……ジャンル聞いてきたの気持ち悪いんだけど」
直後にレーザー弾が飛んできた。
「えー、どうするコレ!?」
「とりあえずそのカセットテープ捨てない?」
『サメジマエリア』がSSSでよかったーなんて思ってたら、初手から躓いた。
タフちゃんが白衣のポケットを弄りながら続ける。
「うちらはデータ転送システムの転送に巻き込まれて……」
「このエロビデオのせいで転送事故に遭い」
「「今こうなってる……と」」
頭を抱えた。
「ここ何よ……」
「う~ん……え?」
隣のタフちゃんがとても嫌な感じの発音をした気がする。
「何かあった?」
「うちらの現在地を表すデバイス……『Unknown』になってる……」
「え……」
ユニオンラインで不明な場所?……つまり、存在しない場所に来た……?
「いや、でもそこに『セキュリティシステムセンター』の文字があるし……」
「え~っとね、うちの言葉で伝わるかわからないけど……」
髪の毛をいじりながら、床に屈んで指先を這わせる。
「多分、データ転送システムがバグって、ユニオンラインからズレた座標に飛んじゃった……みたいな?」
「えーっと……つまり?」
ごめん、バイトにも分かるように言ってくれ。
「あ~……あ。アレだ、よくゲームとかでさ、変な場所に入り込む裏技みたいなのあるでしょ?」
「あぁ、あるある裏世界行く~みたいなやつ……え?て事はなに……俺ら……」
「そうかも、ユニオンラインの裏世界。つまり……」
タフちゃんは白衣のポケットに両手を入れて、苦笑いを浮かべる。
「『サメジマエリア』……来ちゃったかも……」
「……マ~ジィでぇ?」
「SSS」で働いていると、誰もが一回は聞いたことがある。『サメジマエリア』というほとんど噂に近い領域。ユニオンラインの裏世界。
「都市伝説じゃないんか~い」
「まぁ、実際来ちゃったし……『サメジマエリア』への立ち入り自体が違反とかは無いから大丈夫だと思う」
「そりゃ確認出来ないモノに対して、違反行為もなにも無いだろうしなぁ~」
「……あれ、ちょっと待って」
「ん?どしたのタフちゃん」
「デバイス上でうちらが『Unknown』って事は、ユニオンラインに今うち達は存在してない……」
タフちゃんの顔がドンドン青ざめていく。
「パシャリさん……うちら、このままだと……『アカウントバニッシュメント』されるかも……っていうかされてるかも……」
「……やっばくね?」
いわゆる『アカバン』と言われるアレだ。
「アカバンとか洒落にならんて!資産凍結!記憶アーカイブの削除!あ、マイナンバー再発行もか!?めんどくせぇ!!」
ここに来て自体の深刻さが浮かんできた。やばいどうしよう。ガチ焦りしてる。
「……あ、でも待って。『サメジマエリア』に入っちゃったけどさ。ここって「SSS」だから……」
タフちゃんが再び指を刺す。
「『データ転送システム』をもう一回使えば戻れるんじゃ無いかな」
「え!?マジ!?」
「データ転送システムの転送先をSSSに設定してもう一回転送する……えーっと、ゲームで例えると……」
タフちゃんはアゴに指先を当てて、グルグル回った後ポンと手を叩いた。
「あ、アレだ!RPGとかで街に入った時、バグったら一回出て入り直すあれに近いかも」
「あ~……レトロゲームとかでたまにあるよね。街に入ったら画面真っ白で主人公達しか映ってない時とか」
心当たりしかない景色を思い浮かべながら、足を運ぶ。
「誰もいないSSSって不気味だねー」
「パシャリさんってホラー平気だっけ?」
「超苦手」
「え?グロ系は?」
「超平気」
「線引きどうなってんの?」
SSSのやたらと広いホールに入る。
「毎回思うけど、ここやたら広いよね」
「まぁ一応国家機関だし」
「それもそっかー」
と、いつも通り出勤するみたいにゲートに向かう。
……しかし。
《侵入者発見。警告。無視する場合、武力行使に移行します。繰り返します、警告……》
「「……え?」」
いつも無邪気な挨拶をする門番。トッパー君に行手を防がれてしまった。
「タフちゃん。俺たちってここのバイトと正職員だよね?」
「その筈だけど……」
「トッパー君を突破できないんだけど」
まさかいつも素通りしてた二足歩行のアンドロイドが立ち塞がってくるとは。
「あ……もしかして」
閃いたようにタフちゃんは答える。
「裏世界の『サメジマエリア』にとって、存在しなかった筈のうち達って、侵入者扱いなのでは?」
居る筈のない場所に、居る何か。それって側から見たらバグってる訳で。
「あ~!成程ね!さすがSSS正職員!」
「それほどでも」
「それでどうしますコレ。トッパー君に弱点とかないの?」
「この間ジュキトさんにバーベキュー誘われたらついて行ってた」
「食べ物に釣られるのかこの門番。あ、じゃあコレにも釣られるのかな?」
取り出したのは、全ての元凶。アダルトなカセットテープ。
「……何でまだ持ってるんです?」
「何となく役に立つかなって。トッパー君コレあげるから通してほしんだけどな~」
《警告……けいこ……ジャンルは?》
「あーっとぉ……あぁNTRっぽい」
《抹殺対象へ変更》
「あ、ダメなタイプだったかー」
「……ジャンル聞いてきたの気持ち悪いんだけど」
直後にレーザー弾が飛んできた。
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