逆転無罪〜Find the truth〜

エピソード2

5話 新たな事件

「今日は久々の休日なのね。」と由莉は真にそう声をかけた。

「そうなんだ。前回の事件がひと段落ついたからね。」と真は返す。

「真は、弁護士していて楽しい？」と由莉が意味深な質問をした。

なぜそんなことを聞くのだろうかと思いながらも、真は「最近は結構楽しいかな。」と答えた。

その時、真の携帯の着信音が鳴った。

真は誰からだろうと見てみると、相手は麻実だった。

「どうしたんですか？麻実さん。」と真が電話に出ると、

「大変、西堂先生が倒れて、病院に運ばれたの。」と麻実は慌てた様子だった。

「すぐ行きます。」といい、真は西堂が運ばれた病院の場所を聞き、電話を切った。

「仕事の人？」と由莉が尋ねた。

「そうなんだ。ちょっと僕の事務所の代表が倒れて。だから今から病院に行ってくる。」と真が言うと、

「分かった。気をつけてね。」と由莉は
返事したものの、由莉はどこか寂しそうだった。

真は病院に着くと、すぐに西堂の病室に向かった。

しかし、そこからは2人の笑い声が聞こえた。

病室に入ると西堂と麻実が談笑していたのだ。

「高城くん、わざわざきてくれたのか。」と西堂が言うと、
　
呆気に取られたように真は
「先生が倒れたと聞いたので。」と何が起こってるのか理解できてない様子で答えた。

「倒れたとは、大袈裟だな。ただのぎっくり腰じゃよ。わしも歳だな。」と西堂は大きな声で笑った。

「西堂さん、そんなに大きな声で笑ったら、腰の痛みがひどくなるかもしれませんよ。」と看護師が西堂の病室に入ってきた。

「そうそう。高城くん。さっきこの看護師の前田裕美まえだひろみさんから弁護の相談を受けたのだが、今は裕美さんは仕事中だから、仕事が終わってから詳しく話を聞いてあげてくれないか。」と真にお願いした。

「先生。僕は今日休日なんですけど。」
と真は西堂に言うと、

西堂は「そんな冷たいこと言わないでくれよ。わしもこんな体の状態じゃまともな弁護活動ができないではないか。」と真に同情を求めるような感じで言った。

「先生、僕はずっと休みがなくて久々の休みなんです。こんなに休日がないのはそもそも労基法に違反するんじゃないんですか。」

「高城くん。確かに君の言うことも一理ある。ただ、困っている人の話を聞いてあげることは労働とは別に、人として大切なことでもあるんじゃないのかね。」

「もうわかりましたよ。そのかわりこれから西堂先生のことは屁理屈先生と言わしてもらいますから。」

と高城が言うと、麻実と西堂は大きな声で笑った。

「高城くん。弁護士は屁理屈も一流ではないとやっていけんぞ。」と西堂は真に揶揄からかい気味にいった。

裕美は仕事を終えると、高城が待っている西堂法律事務所に向かった。

「今回はどのようなご相談ですか？」と裕美に対して、真は質問した。

すると、裕美は少し悲しそうな声で「実は私の親友が逮捕されたんです。」と答える。

「もう少し具体的に教えてもらえますか？」

「私の友達、名前は永澤真紀ながさわまきと言います。」

「その永澤真紀さんが逮捕されたのですか？」

「はい、そうです。真紀は大学卒業後、小さな個人経営の会社に就職して、まだ2年になります。そして、そこでの勤務中に来客があったようで、その来客の際に真紀が飲み物をお出ししたらしいのですが、そこに毒が含まれていたようで、その来客の方が死亡したんです。そして、その仕事場の台所のところにある戸棚から毒物が入った瓶が発見されたんです。そして、流し場からも毒が検出されたことから、飲み物を入れる際に毒物をこぼしてしまい、それを隠すために流しでその毒物を流そうとしたために、流しから毒物の反応がでたのではないかということで、逮捕されました。」

「なるほど。事件のだいたいのあらすじはわかりました。ですが、まだ詳しい話を知りたいので、実際に永澤真紀さんのところに接見に行って、話を聞いてみます。」

「よろしくお願いします。真紀を助けてください。」

裕美が帰ると、真はまた忙しくなりそうだなと思うと同時に、やる気に満ち溢れていた。