仄暗い灯が迷子の二人を包むまで

霞花怜

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第Ⅳ.5章 番外:仄暗R18アンソロジー『温かな暗がりが愛する二人を包む夜』

Cp7.護×直桜『唯一の魔酒④(直桜目線)』

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 エレベーターに乗って、地下七階に向かう。
 どうしてか頭がぼんやりしている。ずっと体中が気持ちが良くて、薄い快楽が常に張り付いているような感覚だ。

(何だろう。神力のせい? 御神水のせい? わかんないけど、きもちぃ。神力、沢山あげたら、もっと気持ちよくなれるかな。さっきも開さんと閉さんにあげたら気持ち良かった)

 頭の表面が、ふわふわして気持ち善くなる方法ばかり考える。
 ぼんやりしたまま、直桜は呪法解析部の三重の扉を潜った。

「円くん、お待たせ。木札、持ってきたよ」

 いつものシートに円の姿がない。

「直桜様、ありがとうございます」

 ジャージ姿の円が髪を拭きながら奥から出てきた。
 どうやら風呂上がりらしい。

「草の、訓練、上りで、汗流して、ました。すみません」
「大丈夫だよ。円くん、ずっと頑張てるね。また強くなったね」

 円の直霊も霊元も、会うたびに強靭になっていく。
 照れた目を、円がすぃと逸らした。
 恥ずかしい時の癖だと、前に智颯が教えてくれた。

「智颯君、まだ、学校で。もうすぐ、帰ってくると、思うんです、が」

 智颯たちは今、期末テスト期間中で学校が午前中で終わる。
 呪法解析部は責任者の円と、智颯にも祝福を与えるようにと指示されているが。

「智颯に俺の祝福、必要かな? 智颯も惟神だから、どっちかっていうと与える側だよね?」
「そう、ですね」

 円が可笑しそうに笑った。

「でも、直桜様に祝福を、貰えたら、智颯君は、きっと、嬉しいと、思う」

 そんな風に話す円の顔は優しくて、素直に渡そうと思えてしまった。

「じゃ、木札から渡しちゃうね。円くん、こっち座って」

 ソファに向かい合って座る。
 木札に唇を添えて、神力を吹き込んだ。
 円に手渡す。

「やっぱり、直桜様の神力は、強い、ですね。去年までとは、違う」
「そんなに?」

 木札を受け取ってまじまじと眺めていた円が、部屋の神棚に目を向けた。

「もう一年、経つからかも、だけど、あっちの札は、神力が、消えかけてる、から」

 御守りや護摩札がそうであるように、神の神力は約一年でその効力が失われる。同じように、霊力や神力が籠った代物は、大体が一年で交換と相場が決まっている。それは新たな年を新たな気持ちで始めるための人の側の意識でもある。

「俺の神力も一年経ったら消えるよ。大体、そんなもんだからさ」

 直桜は円の腕に手を伸ばした。

「次は、円くんね。責任者になって、初めての祝福だよね。でも円くんは、俺の神力に慣れてるだろうから、強くても平気だよね」

 直桜の顔が近付いて、円が身を逸らせた。

「知ってるけど、慣れては、ないです。強いって、思います。あの、え? 指から、ですよね?」

 逃げようとする円の手に指を絡めて掴まえる。
 体を添わせて、首の後ろに手を回した。

「怖くは、ないでしょ? 濃いの流してあげたいから、口でしていい?」
「え? あ、それは、んっ」

 戸惑う唇を食む。
 薄く開いたままの唇に舌を差し込んで、神力を流す。
 円の体の力が抜けた。

「怖くないでしょ?」

 唇を重ねたまま問い掛ける。
 とろんと蕩けた目が、小さく頷いた。
 更に唇を押し当てて、舌を差し込む。ちろちろ舐め上げると、円の方から舌を絡めた。

「ん……ぁ、ぁん……」

 円の腕が直桜の腰に回る。
 自分の膝の上に直桜を抱き上げると、強く抱きしめた。
 円の肩に腕を回して、舌を絡めながら神力を送り続ける。

「ほら、こんなに流しても、耐えられる。気持ちいいね、円くん」

 腰を、ぐりっと押し当てる。
 熱くて硬くなった円の股間で、直桜の股間も硬くなった。

「もっと、ください……、きもちぃ、もっと……」

 円が直桜の唇に噛み付く。円が舌を吸い上げるのに合わせて、神力を流し込んだ。
 絡まる舌が気持ち良くて、腰が勝手に動く。

「ん、んっ……、ぁ……、もっと、したい……」

 直桜の口から言葉が勝手に流れ出る。
 円の手が直桜の服を捲り上げて、胸の突起を刺激する。

「ぁ! きもちぃ、もっと、してぇ……」

 円の指がすっかり尖った乳首を摘まみ上げる。
 その間も唇を離さずに貪り続ける。直桜は神力を送り続けた。

「直桜様……? 円? え? 直桜様?」

 戸惑う声が聞こえて、直桜は扉の方に目を向けた。
 カバンを足元に落として呆然とする智颯が二人の姿を眺めている。

「智颯、こっちにおいで。俺の祝福、あげるから。三人で気持ち善く、なろ」

 誘われるように近付いた智颯の手が直桜の頭を包んだ。

「何かに、毒されてますか? 浄化しますよ。こんなの、直桜様じゃない」

 神力を纏った金色の手を引いて、智颯の頭を掴まえる。
 唇に噛みつくようにキスをした。
 智颯の動きが止まった。

「祝福を与えに来ただけだよ。円くんには、皆より濃いの、あげたかったんだ。智颯も俺の祝福を喜ぶって円くんが言ってたから、濃いの、あげるね」

 頭の後ろを掴まえて、智颯の唇にぴたりと吸い付く。
 勢いよく濃い神力を流し込んだ。
 智颯の体が、がくんと傾いて直桜と円に覆いかぶさった。

「待って、神力が、濃すぎて……、ぁ、ダメ」

 智颯の顔が上気している。
 それがとても嬉しくて、直桜は更に唇を押し当てると舌を絡めて神力を流し込んだ。
 濃くて強い神力に耐えるように智颯が直桜に抱き付いて受け止める。
 その間も、円が直桜の服を捲って胸の尖りに舌を這わせる。

「直桜様、気持ち、いい……ぁ、ん」

 もう神力を流し込まれていないのに円の顔は紅潮して直桜の肌に舌を這わせる。
 直桜の股間に自分の硬くなった男根を押し当てて、自分の快楽を煽っている。
 
「ん、んぅ……、直桜様と、キスなんて、そんな、夢、みたい……」

 智颯が自分から直桜の口内に舌を突っ込む。絡む舌を吸いながら、合間に神力を流し込んだ。
 大きくなった智颯の股間に手を伸ばす。
 熱くて硬い男根が、きつそうに服の中に納まっていた。

「辛そうだね。気持ち善く、してあげる」

 智颯のズボンと下着をずらす。すっかり勃起している智颯の男根を手で優しく撫で上げる。

「ぁ! ダメ、ですっ……、直桜様に、そんなの、されたらっ」
「嫌? 俺にフェラ、されたくない?」

 見上げると、智颯の目が艶と欲に染まっていた。
 フルフルと首を横に振る。

「イヤじゃ、ない、です。気持ち善く、して、ください……」

 直桜は智颯の男根を咥え込んだ。
 唾液を絡ませ、舌を這わせる。ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる度、智颯の腰がびくびくと震えた。

「俺も、する……」

 円の手が動いて、直桜の服の中に入り込んだ。
 下着をずらして、直桜の男根を扱く。

「ぁ、ぁん……、円くんの手、きもちぃ、ね……」

 同じように手を伸ばして、直桜も円の男根を扱き始めた。
 円の体が、ビクンと跳ねる。
 同時に、智颯の体も跳ねた。
 咥えた先を吸い上げると、腰がびくびくと震えた。

「直桜様、直桜様、も……、ダメ、出ちゃうっ、ぁ、ぁんっ」

 直桜の頭に手を回して、智颯が体を強張らせた。

「出していいよ。全部飲んで、聞喰してあげる。円くんも、俺の手に出して」

 大きく息を吐いて、智颯の男根を強く吸い上げる。
 握った円の男根を扱く手を強くする。

「やっ……、でちゃう、からっ」

 円と智颯の腰が一際強くしなって、口の中に智颯の白濁が流れ込んできた。
 握っていた直桜の手を円の白濁が汚した。
 智颯の精液を飲み込み、手に掛かった円の白濁を舐め上げる。

「美味し……」

 円がソファの背もたれに倒れ込んだ。
 紅潮した顔で目を閉じている。眠ってしまったらしい。
 気が付けば、智颯も直桜に凭れ掛かって倒れている。意識がない。
 仕方がないので二人をソファに並べて座らせた。

「……あれ? 二人とも、寝ちゃった? 祝福を、与え……、たんだよね?」

 神力を放出した感覚は確かにある。
 しかし、目の前の二人にどうやって与えたのか、覚えていない。
 木札は確かに渡してあるようだ。

(アレの匂いが、しなくもない。いやでも、まさかだよね。シてないよね)

 部屋の中にも口の中にも、精液特有の匂いが残っている。
 怖くなって、直桜はそっと呪法解析部を出た。
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