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四月七日:懐玉2
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私は幼い自分へ近づこうとしたが、近づけなかった。
『はなびちゃんまたうそついてる~』
『うそじゃないもん!』
『でもなにもないじゃん~』
『いるじゃん!ほらそこに!クマさんみたいなやつ!・・・うわぁ!』
千歳華火の見ている方を向けば、大きな熊のような何かがそこにいた。それは動いてゆっくりと、こちらに近づいてくる。周りの子供たちはクスクスと笑い、気にせずに砂場で遊び続けている。
私は声をあげることが出来なかった。
『わ、わたし、おうちかえる!』
『ばいばーいうそつき~』
千歳華火は泣いていた。私が追いかけようとした時、また場所が変わった。
『最近小さい子供が襲われる事件があって怖いですね』
『そうそう、こないだも近くの公園で男の子が何かで切り付けられたみたいですね、本当に物騒で』
『早く犯人が捕まらないかしら』
どうやら別の公園のようだった。子供たちから少し離れた場所で、大人たちが話している。そこにまた千歳華火はいた。
『おばさん!わたし、はんにんしってるよ!』
『え?何の犯人?』
『こないだこうえんでみたの!すっごいおおきくてこわいクマがいたの!きっとあれにいたいことされたんだよ!』
『クマさんかぁ~、確かにそれなら大変ね~』
おばさんは少し迷惑そうに受け答えしていた。
『おばさんしんじてないでしょ!わたし、もうしらないから!!』
千歳華火は怒って離れていく。
『あの子って、親御さんがアレなお家よね?だからかしら、かまってほしくて、よくわからないことを言うらしいのよ』
『不憫ねぇ』
違う、あの子は何も間違ってない。
また場面が変わったようだった。
『あの奥さん、襲われたらしいわよ、なんでも子供を狙った犯人と同じって噂よ』
『じゃあとうとう大人にも手を出し始めたってこと?やだ、本当に物騒だわ、怖い』
『なんでも背中に熊の蹄みたいな搔き傷が大きくあったみたい』
『怖いわねぇ』
『―――だからいったでしょ』
千歳華火だった。
『クマさんがいるって。あいつがはんにんだって』
大人は何も言えずに千歳華火を見つめている。
『わたしがいったことしんじないからだよ!』
千歳華火が怒りをあらわにした時、突風が吹いた。目を開けると千歳華火だけがいなかった。
『あれ、あの子どこ行ったのかしら。やだ、大丈夫かしら』
『怒って一人で帰ったのよ、きっと』
また場面が変わった。千歳華火は小学生くらいになっていた。
『お前ずっと嘘ついてるよな!何が楽しいんだよ』
『嘘なんてついてない!私はあんたに忠告してるの!このまま家に帰ったら大けがするから帰るなって!』
『はん、家で大けがなんかするかよ!ばーか!』
『親なんて捨てて逃げなさいよ!』
『馬鹿にするなよ!』
『馬鹿になんてしてない!大けがするって言ってるだけでしょう!』
白熱し始めた喧嘩は担任の先生らしき人に止められていた。
次の日その男の子の家は放火にあったそうだ。何とか逃げ切れたが、その男の子はひどいやけどを負っていた。
『だから言ったのに』
千歳華火に向けられる視線がとても怖かった。冷たい視線だった。
『あの子怖くない?』
『わかる、なんていくか不気味っていうか、意味わからないよね』
私は声をあげたかった。そんな言い方しないで、と。
『なんかたまに独り言とか言ってるんだよね』
『こわ~』
ケラケラ笑っている子供をよっぽど怖いと思った。
『私にはなんで見えるのかな』
千歳華火は一人で泣いていた。私も涙を流していた。千歳華火と目が合った気がした。
『あなた誰?』
その瞬間、私は見た。千歳華火の紅い目を。そして彼女の背後にいたのだ。この世のものでないなにかたちが。畏ろしかった。そしてとても綺麗だと思った。
パチンッ
音に引き戻された。場所は私の部屋だった。
『どうだった?視えるってどういうことか、少しは分かった?』
声だけがまた聞こえ始めた。
『踏み入れようとしてる世界が、どういうものか分かった?』
また声が聞こえる。
「うん、千歳華火は小さい頃から、いろいろなものを見てきたんですね。私はそれを―――何も覚えていない」
声だけの存在がため息のような息をはいたような気がした。
『あなたはどうするの?こうやって人に避けられて生きていくの?せっかく見えなくなったのに』
「本当に千歳華火は、人に避けられていたんですか?」
『それは今のが物語ってるんじゃない?あなたからはどう見えたの?』
「・・・」
『見えるようにならなくていいんじゃない?飛鳥祭や手水真水にも、避けられるかもしれないわよ』
私は二人のことを思い出す。とても優しくて、とても頼りになる友達だ。これからも仲良くしたいし、何かあれば助け合っていきたい。
『いいんじゃない?見えなくても。あなたにはあなたの人生があるじゃない。過去を追って何になるの?』
「・・・」
『これからは人に疎まれない、明るい人生が待っているわよ。幸せじゃない』
「・・・千歳華火が、幸せじゃなかったみたいに言わないで」
『どうして?人に疎まれた彼女は、不幸だったんじゃない?』
「彼女は幸せだったんだ。彼女は人に疎まれたかもしれない。それでも彼女は人を疎んではいなかった」
『何も覚えていないのに、どうしてそんなこと言えるのかしら』
「私がその証拠です」
『・・・』
「面影、重みがない人間って、すごく軽いと思うんです。今まで生きてきた証っていうか、背負ってきた重み、みたいのが何もない。ただ、そこにいつの間にかいただけなんですよ。・・・私は」
私は自分の手を見る。
「ただそこにいただけの私が、たった数日間、かもしれないけど、問題なく日常を過ごせたんです。それは千歳華火が周りの人間に対して、思いやりを持って接していたからじゃないですか。私に声をかけてくれた友達は、千歳華火を疎んでなかった」
『それは千歳華火が大人として振る舞っていただけじゃない?だってどうせ同じ景色が見えない、他人なんですもの』
「・・・そうかもしれません。でも、函嶺さんみたいに、視えたからこそ繋がれた縁だってあるはずです」
『・・・やり直しのきく人生なんて、本来ならあり得ない。このチャンスを手にしてこれからあなたが思う、重みを背負っていけばいいじゃない。過去が全てじゃないでしょう?』
「・・・でも、知りたいんです。他でもない千歳華火のことを。そして彼女と同じ景色を視たいんです」
『本来は見えなくて当たり前なのよ。千歳華火は視えることが辛くて、力ごと全てを捨てたかもしれないじゃない』
「違いますよ。そんなことは、ありえない」
『どうしてよ』
「だってそうじゃなかったら、あなたを私に、遺さないでしょう?」
私は改めて決意を口にする。
「私は絶対に千歳華火より幸せになります。それをあなたにも見ていてほしいです。だからこそ、私は千歳華火のことを知りたいと思う。彼女を知って、初めてスタート出来るんです。お願いします、私に力を貸してください」
『私にそんな頼み込んでも、千歳華火の記憶なんてこれ以上、持ち合わせてないよ。せいぜい、視やすくなるだけ』
「それで充分です」
『・・・相変わらず、頑固ね』
思わず顔をあげた。一瞬だけ見えたその姿は、どこかで見たはずの、黒髪の少女だった。
千歳華火は宵桜の間にいた。
「お、戻ったか。時間は三秒程度しか経ってにゃいぞ」
どうやら本当にここは現実のようだった。目の前には函嶺がいた。
「夢でも、見ていたかのような・・・」
そこで気づく。この部屋の様相の違いに。
「すごい・・・」
部屋には家具と何も見えない窓、綺麗な桜の絵が壁に描かれているだけのはずだった。しかし、どうだろうか。今この部屋の中には本物の桜の花に囲まれているかのような美しさだった。窓の外にも大きな桜の木がある。三回も訪れて初めて見るものだった。
「うまくいったみたいだにゃ」
函嶺の声に反応するように振り向く。
「改めて言おう。ようこそ、宵桜の間へ」
この紅い眼が映すのが、本当の七不思議。【七つ、桜に魅了された者は卒業まで憑りつかれる】だった。
「おかえり、とでも言うべきにゃのかにゃ。どうにゃ、力が少しでも戻った気分は」
「なんかふわふわしてます。あ、目って紅くなってますか?」
左目だけだが、にゃってるにゃ。と函嶺が覗き込む。
「力が少しでも戻った。だが記憶、戻ってねぇんだろ?」
「はい、なにも・・・」
「ま、当たり前だにゃ。それだけのことをお前はしたんだ」
「それだけのこと?」
「前提として儂はこの学校の敷地内のことしか知らん。だが逆を言えばこの敷地内で起こったことなら全て、記憶している」
「・・・全て」
華火にはそれがどれだけの記憶なのか想像も出来なかった。
「儂が直接見ているにしろ、見ていないにしろ、この学校は儂であり、儂の中で起きていることは全て把握している。一日に何人の人間が敷地内を出入りしたか、何羽の鳥が敷地内に出入りしたか、儂には全てわかる」
「すごい」
「つまりお前に教えてやれる記憶は、この学校の敷地内での記憶のみだ。お前はここで、化物だったお前が、この先お前にゃら救えたかもしれにゃい人間の命も省みず、拝み屋としてではなく、千歳華火個人として、決意した」
函嶺の顔は真剣だった。千歳華火が行ったことがどれだけ重いことなのか、何も知らないことは許されない。たとえ今の千歳華火に関係なかったとしても。そう言われている気がした。
「千歳華火の決断が正しいものだったのかは、お前自身で決めるしかにゃいんだよ」
函嶺の目はとても紅く、宝石のようにキラキラとしていた。吸い込まれていくような感覚だった。―――物語が巻き戻る。
『はなびちゃんまたうそついてる~』
『うそじゃないもん!』
『でもなにもないじゃん~』
『いるじゃん!ほらそこに!クマさんみたいなやつ!・・・うわぁ!』
千歳華火の見ている方を向けば、大きな熊のような何かがそこにいた。それは動いてゆっくりと、こちらに近づいてくる。周りの子供たちはクスクスと笑い、気にせずに砂場で遊び続けている。
私は声をあげることが出来なかった。
『わ、わたし、おうちかえる!』
『ばいばーいうそつき~』
千歳華火は泣いていた。私が追いかけようとした時、また場所が変わった。
『最近小さい子供が襲われる事件があって怖いですね』
『そうそう、こないだも近くの公園で男の子が何かで切り付けられたみたいですね、本当に物騒で』
『早く犯人が捕まらないかしら』
どうやら別の公園のようだった。子供たちから少し離れた場所で、大人たちが話している。そこにまた千歳華火はいた。
『おばさん!わたし、はんにんしってるよ!』
『え?何の犯人?』
『こないだこうえんでみたの!すっごいおおきくてこわいクマがいたの!きっとあれにいたいことされたんだよ!』
『クマさんかぁ~、確かにそれなら大変ね~』
おばさんは少し迷惑そうに受け答えしていた。
『おばさんしんじてないでしょ!わたし、もうしらないから!!』
千歳華火は怒って離れていく。
『あの子って、親御さんがアレなお家よね?だからかしら、かまってほしくて、よくわからないことを言うらしいのよ』
『不憫ねぇ』
違う、あの子は何も間違ってない。
また場面が変わったようだった。
『あの奥さん、襲われたらしいわよ、なんでも子供を狙った犯人と同じって噂よ』
『じゃあとうとう大人にも手を出し始めたってこと?やだ、本当に物騒だわ、怖い』
『なんでも背中に熊の蹄みたいな搔き傷が大きくあったみたい』
『怖いわねぇ』
『―――だからいったでしょ』
千歳華火だった。
『クマさんがいるって。あいつがはんにんだって』
大人は何も言えずに千歳華火を見つめている。
『わたしがいったことしんじないからだよ!』
千歳華火が怒りをあらわにした時、突風が吹いた。目を開けると千歳華火だけがいなかった。
『あれ、あの子どこ行ったのかしら。やだ、大丈夫かしら』
『怒って一人で帰ったのよ、きっと』
また場面が変わった。千歳華火は小学生くらいになっていた。
『お前ずっと嘘ついてるよな!何が楽しいんだよ』
『嘘なんてついてない!私はあんたに忠告してるの!このまま家に帰ったら大けがするから帰るなって!』
『はん、家で大けがなんかするかよ!ばーか!』
『親なんて捨てて逃げなさいよ!』
『馬鹿にするなよ!』
『馬鹿になんてしてない!大けがするって言ってるだけでしょう!』
白熱し始めた喧嘩は担任の先生らしき人に止められていた。
次の日その男の子の家は放火にあったそうだ。何とか逃げ切れたが、その男の子はひどいやけどを負っていた。
『だから言ったのに』
千歳華火に向けられる視線がとても怖かった。冷たい視線だった。
『あの子怖くない?』
『わかる、なんていくか不気味っていうか、意味わからないよね』
私は声をあげたかった。そんな言い方しないで、と。
『なんかたまに独り言とか言ってるんだよね』
『こわ~』
ケラケラ笑っている子供をよっぽど怖いと思った。
『私にはなんで見えるのかな』
千歳華火は一人で泣いていた。私も涙を流していた。千歳華火と目が合った気がした。
『あなた誰?』
その瞬間、私は見た。千歳華火の紅い目を。そして彼女の背後にいたのだ。この世のものでないなにかたちが。畏ろしかった。そしてとても綺麗だと思った。
パチンッ
音に引き戻された。場所は私の部屋だった。
『どうだった?視えるってどういうことか、少しは分かった?』
声だけがまた聞こえ始めた。
『踏み入れようとしてる世界が、どういうものか分かった?』
また声が聞こえる。
「うん、千歳華火は小さい頃から、いろいろなものを見てきたんですね。私はそれを―――何も覚えていない」
声だけの存在がため息のような息をはいたような気がした。
『あなたはどうするの?こうやって人に避けられて生きていくの?せっかく見えなくなったのに』
「本当に千歳華火は、人に避けられていたんですか?」
『それは今のが物語ってるんじゃない?あなたからはどう見えたの?』
「・・・」
『見えるようにならなくていいんじゃない?飛鳥祭や手水真水にも、避けられるかもしれないわよ』
私は二人のことを思い出す。とても優しくて、とても頼りになる友達だ。これからも仲良くしたいし、何かあれば助け合っていきたい。
『いいんじゃない?見えなくても。あなたにはあなたの人生があるじゃない。過去を追って何になるの?』
「・・・」
『これからは人に疎まれない、明るい人生が待っているわよ。幸せじゃない』
「・・・千歳華火が、幸せじゃなかったみたいに言わないで」
『どうして?人に疎まれた彼女は、不幸だったんじゃない?』
「彼女は幸せだったんだ。彼女は人に疎まれたかもしれない。それでも彼女は人を疎んではいなかった」
『何も覚えていないのに、どうしてそんなこと言えるのかしら』
「私がその証拠です」
『・・・』
「面影、重みがない人間って、すごく軽いと思うんです。今まで生きてきた証っていうか、背負ってきた重み、みたいのが何もない。ただ、そこにいつの間にかいただけなんですよ。・・・私は」
私は自分の手を見る。
「ただそこにいただけの私が、たった数日間、かもしれないけど、問題なく日常を過ごせたんです。それは千歳華火が周りの人間に対して、思いやりを持って接していたからじゃないですか。私に声をかけてくれた友達は、千歳華火を疎んでなかった」
『それは千歳華火が大人として振る舞っていただけじゃない?だってどうせ同じ景色が見えない、他人なんですもの』
「・・・そうかもしれません。でも、函嶺さんみたいに、視えたからこそ繋がれた縁だってあるはずです」
『・・・やり直しのきく人生なんて、本来ならあり得ない。このチャンスを手にしてこれからあなたが思う、重みを背負っていけばいいじゃない。過去が全てじゃないでしょう?』
「・・・でも、知りたいんです。他でもない千歳華火のことを。そして彼女と同じ景色を視たいんです」
『本来は見えなくて当たり前なのよ。千歳華火は視えることが辛くて、力ごと全てを捨てたかもしれないじゃない』
「違いますよ。そんなことは、ありえない」
『どうしてよ』
「だってそうじゃなかったら、あなたを私に、遺さないでしょう?」
私は改めて決意を口にする。
「私は絶対に千歳華火より幸せになります。それをあなたにも見ていてほしいです。だからこそ、私は千歳華火のことを知りたいと思う。彼女を知って、初めてスタート出来るんです。お願いします、私に力を貸してください」
『私にそんな頼み込んでも、千歳華火の記憶なんてこれ以上、持ち合わせてないよ。せいぜい、視やすくなるだけ』
「それで充分です」
『・・・相変わらず、頑固ね』
思わず顔をあげた。一瞬だけ見えたその姿は、どこかで見たはずの、黒髪の少女だった。
千歳華火は宵桜の間にいた。
「お、戻ったか。時間は三秒程度しか経ってにゃいぞ」
どうやら本当にここは現実のようだった。目の前には函嶺がいた。
「夢でも、見ていたかのような・・・」
そこで気づく。この部屋の様相の違いに。
「すごい・・・」
部屋には家具と何も見えない窓、綺麗な桜の絵が壁に描かれているだけのはずだった。しかし、どうだろうか。今この部屋の中には本物の桜の花に囲まれているかのような美しさだった。窓の外にも大きな桜の木がある。三回も訪れて初めて見るものだった。
「うまくいったみたいだにゃ」
函嶺の声に反応するように振り向く。
「改めて言おう。ようこそ、宵桜の間へ」
この紅い眼が映すのが、本当の七不思議。【七つ、桜に魅了された者は卒業まで憑りつかれる】だった。
「おかえり、とでも言うべきにゃのかにゃ。どうにゃ、力が少しでも戻った気分は」
「なんかふわふわしてます。あ、目って紅くなってますか?」
左目だけだが、にゃってるにゃ。と函嶺が覗き込む。
「力が少しでも戻った。だが記憶、戻ってねぇんだろ?」
「はい、なにも・・・」
「ま、当たり前だにゃ。それだけのことをお前はしたんだ」
「それだけのこと?」
「前提として儂はこの学校の敷地内のことしか知らん。だが逆を言えばこの敷地内で起こったことなら全て、記憶している」
「・・・全て」
華火にはそれがどれだけの記憶なのか想像も出来なかった。
「儂が直接見ているにしろ、見ていないにしろ、この学校は儂であり、儂の中で起きていることは全て把握している。一日に何人の人間が敷地内を出入りしたか、何羽の鳥が敷地内に出入りしたか、儂には全てわかる」
「すごい」
「つまりお前に教えてやれる記憶は、この学校の敷地内での記憶のみだ。お前はここで、化物だったお前が、この先お前にゃら救えたかもしれにゃい人間の命も省みず、拝み屋としてではなく、千歳華火個人として、決意した」
函嶺の顔は真剣だった。千歳華火が行ったことがどれだけ重いことなのか、何も知らないことは許されない。たとえ今の千歳華火に関係なかったとしても。そう言われている気がした。
「千歳華火の決断が正しいものだったのかは、お前自身で決めるしかにゃいんだよ」
函嶺の目はとても紅く、宝石のようにキラキラとしていた。吸い込まれていくような感覚だった。―――物語が巻き戻る。
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