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いつの日かの感情
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女は学校から帰るところだった。あとは上履きから外履きに履き替える、ただそれだけだったが、それがなかなか進まなかった。
「だからちゃんと話してって、言ってるでしょ!」
大声で女を呼び止める女がいた。
「何度も言わせないで。話すことなんてないって言ってるでしょ、華火」
女は睨むが、華火と呼ばれた女は怯まなかった。
「矜ちゃん、じゃあどうしてそんなに態度が違うの?高校に入学してから何があったの?」
「・・・私は何も変わってないわよ」
「前に紹介してもらった彼氏、まだ続いてるんだよね?」
「・・・それが何?」
「こないだ、矜ちゃんがその人とは違う男の人と歩いてるのを見たの」
「あぁ」
女は何かを思い出すような仕草をする。
「誰かは思い出せないわ。思い出せないほど、男なんて腐るほどいるもの」
女は全く表情が変わらない。
「矜ちゃん、いつからそんなに男好きになったの?」
「別に男好きになったわけじゃないわよ。私を好きだと言うのが、男なだけ」
「恋人がいるだけじゃ足りないの?」
「・・・私は、私を埋め尽くすほどの、愛が欲しいの。そうじゃないと私は、どうして生きているのかわからない」
「・・・彼氏一人じゃ足りないの?ううん、彼氏だけじゃない、私は?愛が欲しいって言ってるのに、どうして離れていくの?今までみたいに一緒に笑ったり、遊んだり、面白かった本とか、勉強教えあったりとか。そういうのはもうできないの?私はもういらないの?」
女は華火に腕を掴まれる。
「私は矜ちゃんの話だったら、何だって聞きたいよ・・・」
女もまた怯まなかった。
「言ったでしょう、話すようなことはないって。それとも何?華火が私を愛してくれるの?」
女は掴まれた腕を引っ張り、華火を引き寄せ、キスをした。
「・・・っ!」
「顔真っ赤よ、華火。そういうところはずっと変わらないのね。あなた、私のこと大好きだものね」
女は笑っていた。作り物のように綺麗な表情だった。
「だからちゃんと話してって、言ってるでしょ!」
大声で女を呼び止める女がいた。
「何度も言わせないで。話すことなんてないって言ってるでしょ、華火」
女は睨むが、華火と呼ばれた女は怯まなかった。
「矜ちゃん、じゃあどうしてそんなに態度が違うの?高校に入学してから何があったの?」
「・・・私は何も変わってないわよ」
「前に紹介してもらった彼氏、まだ続いてるんだよね?」
「・・・それが何?」
「こないだ、矜ちゃんがその人とは違う男の人と歩いてるのを見たの」
「あぁ」
女は何かを思い出すような仕草をする。
「誰かは思い出せないわ。思い出せないほど、男なんて腐るほどいるもの」
女は全く表情が変わらない。
「矜ちゃん、いつからそんなに男好きになったの?」
「別に男好きになったわけじゃないわよ。私を好きだと言うのが、男なだけ」
「恋人がいるだけじゃ足りないの?」
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女は華火に腕を掴まれる。
「私は矜ちゃんの話だったら、何だって聞きたいよ・・・」
女もまた怯まなかった。
「言ったでしょう、話すようなことはないって。それとも何?華火が私を愛してくれるの?」
女は掴まれた腕を引っ張り、華火を引き寄せ、キスをした。
「・・・っ!」
「顔真っ赤よ、華火。そういうところはずっと変わらないのね。あなた、私のこと大好きだものね」
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