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第一章 異世界召喚

彼女との出会い

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 初詣でに妹と神社に来た。

「お兄ちゃん、こっちこっち」

 妹は本堂の方に向かって、人混みをスルスルとすり抜けて行く。俺ははぐれないようついて行くのに必死だった。

 ふと気づくと、前の方の人が騒ぎ出している。本堂から火が出ていると聞こえてきた。確かに焦げ臭い。

「おい、それ以上前にいくなっ」

 俺は咄嗟に妹の手を取った。そのとき、パーンという破裂音が前の方から聞こえた。

 俺はそのまま妹を引き寄せ、本堂に背を向けて妹をかばった。

 次にドーンという爆発音が聞こえた。背中から腹に音が響いてくる。

(爆発した!?)

 破片が飛んでくるのを想像して、思わず力が入る。

「ちょっと何すんのよ! この痴漢!」

「ごめん、力が入りすぎた」

 ん? 痴漢!?

「あれ? お前、だれ?」

「こ、こっちのセリフよ! いきなり手を引っ張って、後ろから抱きついて!?」

 気の強そうな美人が俺を睨みつけて来る。

「い、いや、ごめん、人違いでした」

 妹を守るつもりが、全く別の若い女の子に大胆な痴漢行為をしてしまったようだ。

 犯罪を犯してしまったと青ざめたが、それよりも、

(妹はどこだっ!?)

 俺は慌てて周りを見た。

「なんだ、ここは……」

 神社には違いないはずだが、俺たち以外は誰もいなくなっている。それと、周りの景色が写真のネガのような色合いなのだ。空も暗い橙色だ。

 人違いした彼女だけが普通の色だ。その彼女も周りを見て驚いている。

「あの、彼女、大丈夫か? ところで、これは何が起こっているか分かるか?」

「わ、分かるわけないでしょっ、あなたのせいよっ!」

「いや、俺のせいじゃないぞ。俺は一緒に来た妹を爆発から守ろうとしただけだっ」

「私は彼氏と初詣でに来て、いきなりあなたに手を引っ張られて、こんな変なことになっちゃってるのよぉ」

 まずい、彼女が泣き出しそうだ。

「いや、すまん。人違いしたのは悪かった。そうだ。二人でお互いの彼氏と妹を探しに行こう。なっ、気味の悪いところだから、協力した方がいい。それとも、ここで分かれて、それぞれで探すか?」

 彼女は一人だと心細いと計算したようだ。よかった。パニック泣きは避けられたようだ。彼女はじっと俺を見てから、視線を少し逸らした。

「タツノミサトよ」

「え? ああ、タツノさんか。俺はなかむらゆうきだ。ゆうくんでいいぜ」

「なかむらくんね、よろしく」

 ちっ、フレンドリーじゃねえな。

「よろしく。で、携帯持ってる? 俺、さっきまで持っていたはずなのに、何故か持ってないんだ」

 タツノさんがバッグを探している。

「な、ないわっ。どうして!?」

 まずい、またパニックになりそうだ。

「とりあえず、携帯はいい。忘れよう。それより家どこ?」

「六本木」

「六本木!? えらいいい所に住んでるな。でも遠いな。とりあえず、俺の家を目指すか?」

「どこ?」

「上野」

「近いわね。でも、私を連れ込んでどうする気?」

「どうもしねえよっ!」

 可愛い顔してるが、キツイ性格の女だな。
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