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第四章 聖女と魔王妃
じゃがいも作り
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俺たちは薮に入った。俺やミサトは魔物に襲われることはないが、エリコとキララには次々に魔物が襲いかかる。エリコは魔物に慣れているようで、淡々と処理している。キララはかなり戸惑っているようだ。
『キララはあまり魔物とは戦ったことがないの?』
「初めてです」
女の子が初めてっていうと、なぜ俺はキュンキュンしちゃうんだろうか。
『よっしゃ、お兄さんが守ってあげよう』
後ろからミサトに脳天チョップされた。いつも思うのだが、チョップしなくていいと思う。
「キララに経験を積まさないとダメでしょう」
「何だかキララは妹みたいで可愛くて」
ミサトは真剣な表情だった。
「分かったよ、本人のためにならないってことだろう」
俺はキララの前から後ろに回った。
『キララ、全部俺がやっちゃうと君のためにならない。危ないときには助けてあげるから、自信を持って戦ってみよう。人間よりもスピードは速いけど、知能がないので、攻撃は単純で単調だよ』
俺の声が後ろから聞こえて来て、キララは自分が前衛になったことをが分かったはずだが、落ち着いて魔物に対応していた。もともとは戦闘リーグ上位の実力者であるので、焦らなければ大丈夫なのだ。
俺たちは無事藪を抜けた。
エリコが早速携帯をいじり始めた。
「ネットに繋がった! 凄い凄い」
エリコは家族や友人に手当たり次第に連絡を入れたが、応答はなかった。俺の推測だが、何だか時間がずれている気がする。日本が今1月2日だとすると、俺たちは1月1日時点の過去のインターネットに接続している感じなのだ。
受信は問題なく出来る。エリコには安否を気遣うメールやSNSの書き込みが大量にあった。それらに対して、エリコは返信も出来るし、記録もされるのだが、それが既読になることなく、新しいメッセージが送られて来るのだ。
一方通行の通信ではあったが、幾分かエリコの気持ちが楽になったようだ。少しずつ元来の明るさを取り戻して行った。
***
数週間が過ぎた。俺たちは再び学校に通いつつ、王家転覆の準備を進めていた。キララを最高権力者にして、もっとこの世界で融通を効かせるためだ。
エリコは料理にはまっていた。ネットからレシピを集めまくり、片っ端から作っている。醤油がないので、和食は難しいが、たまにすごく上手くいったりすると、泣きながら食べていた。醤油の作り方がわかったので、この世界で醤油作りをしたいと言ってきた。
『実現したいことリストに書き込んでおくわよ』
キララはネットにどっぷりとハマってしまっていた。娯楽がほとんどないこの世界で、インターネットは強烈だったようだ。エリコに文字を教えてもらい、漢字を驚くべき速さで習得していった。俺の携帯はほぼ彼女に独占されてしまっている状態だ。
「ゆうくん、すいません。勇者の携帯を盗んでくるよう手下に依頼しましたので、もう少しだけ貸しておいてください」
キララがうるうるの目で切望してくるから仕方がない。今やすっかり俺になついて、俺のことを「ゆうくん」と呼ぶまでになっていたが、最終的には「お兄ちゃん」と呼ばせる予定だ。エロ格好いい中学生に「お兄ちゃん」と呼ばせるなんて、俺も偉くなったもんだ。
「エロくなったの間違いでしょっ」
とミサトが脳天チョップして来た。しまった、いつの間にか俺は心の声を口に出してしまっていたようだ。
「いや、全然エッチな気持ちはないから」
「それは私にも分かるわよ。私も人間にそういう気持ちはいっさい湧かないもの」
「俺はミサト命だから」
「知ってるわよ」
ちなみに、ローションだが、ネットで代用品を調べてみた。
乳液で代用出来ると書いてあったが、ミサトもエリコも持っていなかった。
シェービングローション、持ち歩かないよ、そんなのもの。
ボディソープ、マッサージオイルなども持っていなかった。
片栗粉で作れる? 卵白も似ている?
これだったら、エリコたちに神社の結界内まで持って来てもらえば俺たちも触れるんじゃないかと思ったが、ダメだった。
それで、神社でじゃがいもの栽培を始めた。片栗粉を作るためだ。神社で栽培したじゃがいもは俺たちにも触れた。ミサトと合体できる日が刻一刻と近づいていた。
『キララはあまり魔物とは戦ったことがないの?』
「初めてです」
女の子が初めてっていうと、なぜ俺はキュンキュンしちゃうんだろうか。
『よっしゃ、お兄さんが守ってあげよう』
後ろからミサトに脳天チョップされた。いつも思うのだが、チョップしなくていいと思う。
「キララに経験を積まさないとダメでしょう」
「何だかキララは妹みたいで可愛くて」
ミサトは真剣な表情だった。
「分かったよ、本人のためにならないってことだろう」
俺はキララの前から後ろに回った。
『キララ、全部俺がやっちゃうと君のためにならない。危ないときには助けてあげるから、自信を持って戦ってみよう。人間よりもスピードは速いけど、知能がないので、攻撃は単純で単調だよ』
俺の声が後ろから聞こえて来て、キララは自分が前衛になったことをが分かったはずだが、落ち着いて魔物に対応していた。もともとは戦闘リーグ上位の実力者であるので、焦らなければ大丈夫なのだ。
俺たちは無事藪を抜けた。
エリコが早速携帯をいじり始めた。
「ネットに繋がった! 凄い凄い」
エリコは家族や友人に手当たり次第に連絡を入れたが、応答はなかった。俺の推測だが、何だか時間がずれている気がする。日本が今1月2日だとすると、俺たちは1月1日時点の過去のインターネットに接続している感じなのだ。
受信は問題なく出来る。エリコには安否を気遣うメールやSNSの書き込みが大量にあった。それらに対して、エリコは返信も出来るし、記録もされるのだが、それが既読になることなく、新しいメッセージが送られて来るのだ。
一方通行の通信ではあったが、幾分かエリコの気持ちが楽になったようだ。少しずつ元来の明るさを取り戻して行った。
***
数週間が過ぎた。俺たちは再び学校に通いつつ、王家転覆の準備を進めていた。キララを最高権力者にして、もっとこの世界で融通を効かせるためだ。
エリコは料理にはまっていた。ネットからレシピを集めまくり、片っ端から作っている。醤油がないので、和食は難しいが、たまにすごく上手くいったりすると、泣きながら食べていた。醤油の作り方がわかったので、この世界で醤油作りをしたいと言ってきた。
『実現したいことリストに書き込んでおくわよ』
キララはネットにどっぷりとハマってしまっていた。娯楽がほとんどないこの世界で、インターネットは強烈だったようだ。エリコに文字を教えてもらい、漢字を驚くべき速さで習得していった。俺の携帯はほぼ彼女に独占されてしまっている状態だ。
「ゆうくん、すいません。勇者の携帯を盗んでくるよう手下に依頼しましたので、もう少しだけ貸しておいてください」
キララがうるうるの目で切望してくるから仕方がない。今やすっかり俺になついて、俺のことを「ゆうくん」と呼ぶまでになっていたが、最終的には「お兄ちゃん」と呼ばせる予定だ。エロ格好いい中学生に「お兄ちゃん」と呼ばせるなんて、俺も偉くなったもんだ。
「エロくなったの間違いでしょっ」
とミサトが脳天チョップして来た。しまった、いつの間にか俺は心の声を口に出してしまっていたようだ。
「いや、全然エッチな気持ちはないから」
「それは私にも分かるわよ。私も人間にそういう気持ちはいっさい湧かないもの」
「俺はミサト命だから」
「知ってるわよ」
ちなみに、ローションだが、ネットで代用品を調べてみた。
乳液で代用出来ると書いてあったが、ミサトもエリコも持っていなかった。
シェービングローション、持ち歩かないよ、そんなのもの。
ボディソープ、マッサージオイルなども持っていなかった。
片栗粉で作れる? 卵白も似ている?
これだったら、エリコたちに神社の結界内まで持って来てもらえば俺たちも触れるんじゃないかと思ったが、ダメだった。
それで、神社でじゃがいもの栽培を始めた。片栗粉を作るためだ。神社で栽培したじゃがいもは俺たちにも触れた。ミサトと合体できる日が刻一刻と近づいていた。
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