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結婚延期
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学園に入ったばかりの頃、新入生女子の美人投票の結果をユリウスが教えてくれたことがあった。
美人部門と可愛い子部門があり、私が美人部門の第一位、アリサが可愛い子部門の第一位だった。
お嫁さんにしたいのはアリサの方で、私は置き物にして飾っておきたいのだそうだ。
「置き物? 何なのですか、それ」
「綺麗だってことさ。婚約者が美人ナンバーワンだなんて、僕も鼻が高いよ」
そのときはまだユリウスは、アリサには興味を持っていなかった。
昨年、学園に入学したとき、私はアリサは同じクラスだった。
アリサの第一印象はとても良かった。
私よりも爵位が上の伯爵令嬢であるにも関わらず、気さくに接してくれた。透明感のある美しい肌で、お人形のように瞳が大きく、可愛いらしい顔をしているのに、令嬢にしては珍しいショートカットで、よく表情が変わり、明るく、とても活発だった。
人見知りで、人との間に壁を作るタイプの私とは違って、アリサは天真爛漫で、女子にも男子にも親しまれやすく、いつも人に囲まれている人気者だった。
なぜ私を気に入ったのか分からないが、私に積極的に友だちアプローチをして来たのはアリサの方だった。
しかし、本質的におとなしく、好きな男の子と二人でいればそれで幸せな私にとって、アリサは一言でいうと、とにかくうるさい存在だった。最初は憧れにも似た気持ちでアリサを見ていたのだが、静かな生活を壊す破壊者に見えるようになって来たのだ。
そんなアリサのことを少し迷惑だというようなニュアンスでユリウスに話したところ、最初は私のことを心配してくれて、とても嬉しく思ったのだが、だんだんと彼のアリサに対するトーンが変わって来た。
アリサは悪意のないいい人だとか、女子にも好かれているのは性格がいい証拠だとか、アリサの肩を持つような発言をするようになったのだ。
挙句の果てには、私もアリサを見習って、もっと明るくした方がいいなどと言い始めるようになったので、私からアリサのことをユリウスには話さなくなったのだが、今度はユリウスの方からアリサの話をして来るようになった。
それが原因で、私はアリサのことがだんだんと嫌いになっていった。ひとたび嫌いになると、アリサの一挙手一投足が気に入らなくなってしまい、アリサは私が最も嫌う女になってしまったのだ。
(何だかだんだん腹が立って来たわ。もう一回だけ殺しておくか)
昼休み、ユリウスの深刻ぶった顔もこれで三度目だ。
(そうだ。ちょっと今回は反撃してみよう)
「あのさ、クレア。僕たち、親に言われて婚約したけど、お互いの気持ちをもう少し考えた方がいいかもって思わないか?」
(これは婚約破棄バージョンだわ。医務室のイベントはなかったのにどうしたのかしら)
「私はユリウス様が好きです。親に決められたのではなく、私の意思です。ユリウス様は違うのですか?」
「いや、僕だってクレアのことは好きだよ。でも、学生のうちは、勉学に集中した方がいいと思わないかい?」
(あれ? 結婚延期バージョンに変わったわ。何だか、ユリウスがつまらない男に見えて来ちゃったんだけど、私ったら、どうしちゃったのかしら)
「そうですわね。結婚の時期を私が卒業してからということにしてもよろしいでしょうか」
「え? ぼ、僕もそう思って提案しようと思ったんだ。気が合うね。では、そうしようか」
「私は構いませんが、ユリウス様のご両親は大丈夫なのですか?」
「それは大丈夫だ。僕が説得するから」
「分かりました。お任せしますわ」
(今日はこのままアリサは殺さないでおきましょう。明日が来るかどうか確かめたいわ)
美人部門と可愛い子部門があり、私が美人部門の第一位、アリサが可愛い子部門の第一位だった。
お嫁さんにしたいのはアリサの方で、私は置き物にして飾っておきたいのだそうだ。
「置き物? 何なのですか、それ」
「綺麗だってことさ。婚約者が美人ナンバーワンだなんて、僕も鼻が高いよ」
そのときはまだユリウスは、アリサには興味を持っていなかった。
昨年、学園に入学したとき、私はアリサは同じクラスだった。
アリサの第一印象はとても良かった。
私よりも爵位が上の伯爵令嬢であるにも関わらず、気さくに接してくれた。透明感のある美しい肌で、お人形のように瞳が大きく、可愛いらしい顔をしているのに、令嬢にしては珍しいショートカットで、よく表情が変わり、明るく、とても活発だった。
人見知りで、人との間に壁を作るタイプの私とは違って、アリサは天真爛漫で、女子にも男子にも親しまれやすく、いつも人に囲まれている人気者だった。
なぜ私を気に入ったのか分からないが、私に積極的に友だちアプローチをして来たのはアリサの方だった。
しかし、本質的におとなしく、好きな男の子と二人でいればそれで幸せな私にとって、アリサは一言でいうと、とにかくうるさい存在だった。最初は憧れにも似た気持ちでアリサを見ていたのだが、静かな生活を壊す破壊者に見えるようになって来たのだ。
そんなアリサのことを少し迷惑だというようなニュアンスでユリウスに話したところ、最初は私のことを心配してくれて、とても嬉しく思ったのだが、だんだんと彼のアリサに対するトーンが変わって来た。
アリサは悪意のないいい人だとか、女子にも好かれているのは性格がいい証拠だとか、アリサの肩を持つような発言をするようになったのだ。
挙句の果てには、私もアリサを見習って、もっと明るくした方がいいなどと言い始めるようになったので、私からアリサのことをユリウスには話さなくなったのだが、今度はユリウスの方からアリサの話をして来るようになった。
それが原因で、私はアリサのことがだんだんと嫌いになっていった。ひとたび嫌いになると、アリサの一挙手一投足が気に入らなくなってしまい、アリサは私が最も嫌う女になってしまったのだ。
(何だかだんだん腹が立って来たわ。もう一回だけ殺しておくか)
昼休み、ユリウスの深刻ぶった顔もこれで三度目だ。
(そうだ。ちょっと今回は反撃してみよう)
「あのさ、クレア。僕たち、親に言われて婚約したけど、お互いの気持ちをもう少し考えた方がいいかもって思わないか?」
(これは婚約破棄バージョンだわ。医務室のイベントはなかったのにどうしたのかしら)
「私はユリウス様が好きです。親に決められたのではなく、私の意思です。ユリウス様は違うのですか?」
「いや、僕だってクレアのことは好きだよ。でも、学生のうちは、勉学に集中した方がいいと思わないかい?」
(あれ? 結婚延期バージョンに変わったわ。何だか、ユリウスがつまらない男に見えて来ちゃったんだけど、私ったら、どうしちゃったのかしら)
「そうですわね。結婚の時期を私が卒業してからということにしてもよろしいでしょうか」
「え? ぼ、僕もそう思って提案しようと思ったんだ。気が合うね。では、そうしようか」
「私は構いませんが、ユリウス様のご両親は大丈夫なのですか?」
「それは大丈夫だ。僕が説得するから」
「分かりました。お任せしますわ」
(今日はこのままアリサは殺さないでおきましょう。明日が来るかどうか確かめたいわ)
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