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宝物庫にて
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キンキンキラキラ
業突く張りのあのオヤジは本当に腐るほどお宝を集めていたようだ
ライトの魔法の灯りを黄金が反射する光で目がチカチカする
おそらく今の俺にはバッドステータスが付いていることだろう
そのくらいこの部屋は黄金に彩られていた
チカチカする目を両手でしばらく押さえてそれから放してを数度繰り返すとようやく目が慣れてくる
改めて見るとこれは確かに壮観だ
見渡すばかりの黄金・黄金・黄金
山を成している金の延べ棒に黄金細工のほどこされた胸像、装飾過多の剣や魔法道具のような物たち
そしてわかっていたことだが何よりも多いのはやはり金貨だった
もうどこが床でどこが金貨なのかと言わんばかりだ
いくら目がなれたとはいえ、やはりどれだけ見てもチカチカするものはチカチカする
ある程度の資金としてひと山くらい頂いてもバレやしないだろうというものだ
そうして有言実行で金貨をある程度頂いてそれをマジックボックスにしまい込みながら思い起こす
地図SSSとマジックボックスだけが俺に残された財産だ、と
俺はそこそこ裕福な貴族の末っ子だった
優秀な兄上達がいてくれたおかげで俺は家を継ぐ必要もなく自由に気ままに育てられていた
しかしそれがいけなかったのだ
この世界ではスキルはある日突然生えてくる
有用なスキルを1つだけ持つ人やクソの足しにもならないクズスキルを100も持っている人がいる
それらは生まれた時から持っていたり、怪我をしたことで発現したり、知識を蓄えたレベルに伴い自然と使えるようになったりと様々で、たとえば死ぬ直前にだって突然生えたりもするのだから始末に負えない
そして強い願いや想いに引きずられスキルが生えやすいというのがその道の権威の言葉で
俺の地図SSSはどうだったのだろうか
まだまだ子供だった俺は家を抜け出しては町の子供と遊んでいた
子供のすることだから大抵かけっこや木のぼり、それからかくれんぼといったものだった
町の子供と比べて俺の体力は少なかったし木のぼりなんてしたこと無かったから最初は登れもしなかった
それでも俺は家ではできない遊びが楽しくて毎日日が暮れるまで皆と一緒に遊んでいた
その中でもかくれんぼは俺の一番好きな遊びだった
その遊びには足の速さも器用さもバランス感覚もその他町の子供と遊ぶのに必要だと思われる身体能力のほぼ全てが必要がなかった
ただ見つければいい 条件はたったそれだけだった
他の遊びでは勝率が低いがこれだけは俺の性にあっていたのかほぼ負け無しだった
まあどんどん追加されていくルールで勝率は下がっていくのだが見つけるというその一点について俺に勝るものは子供の中にはいなかった
最初はぼんやりと
なんとなく周囲を見渡すと違和感を感じた所に誰かが隠れていることに気付いた
次はしっかりと
見ている方向に矢印と誰なのかが書かれた透明な板が人の隠れている所に表示されるようになった
最後はスキルが生えた
隠れている人の上に表示されていた透明な板と同じようなものが俺の前に表示されるようになり、さらにその板に半径100メートル程度の範囲の地図が表示され誰がどこにいるという情報が映し出されるようになった
こんなスキルが生えてくれば大人でさえも自慢したくなるに違いない
だから子供である俺がぺらぺらと喋ってしまったのは仕方のないことだった
だが優秀なスキルは時に狙われる
たとえば嫉妬するがゆえに
たとえば憧れのために
たとえば搾取するために
ここまで言えばわかるだろう
家の力は強くなく、個人の力も強くない上に迂闊
端的に言えば我が家は濡れ衣を着せられ家族は奴隷落ち
俺はそんな家族を生かしてもらうために黒幕達のいいなり
そんな生活を何年しただろうか
ある日これまでの褒美にと家族に会わせてもらえることになった
数年ぶりの再開に俺は心を躍らせた
会わせてくれるというその事実だけに黒幕達の靴にキスでもしたくなったのは俺の人生の汚点の一つだ
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次回ちょっとえっち(性器表現、性行為など)
業突く張りのあのオヤジは本当に腐るほどお宝を集めていたようだ
ライトの魔法の灯りを黄金が反射する光で目がチカチカする
おそらく今の俺にはバッドステータスが付いていることだろう
そのくらいこの部屋は黄金に彩られていた
チカチカする目を両手でしばらく押さえてそれから放してを数度繰り返すとようやく目が慣れてくる
改めて見るとこれは確かに壮観だ
見渡すばかりの黄金・黄金・黄金
山を成している金の延べ棒に黄金細工のほどこされた胸像、装飾過多の剣や魔法道具のような物たち
そしてわかっていたことだが何よりも多いのはやはり金貨だった
もうどこが床でどこが金貨なのかと言わんばかりだ
いくら目がなれたとはいえ、やはりどれだけ見てもチカチカするものはチカチカする
ある程度の資金としてひと山くらい頂いてもバレやしないだろうというものだ
そうして有言実行で金貨をある程度頂いてそれをマジックボックスにしまい込みながら思い起こす
地図SSSとマジックボックスだけが俺に残された財産だ、と
俺はそこそこ裕福な貴族の末っ子だった
優秀な兄上達がいてくれたおかげで俺は家を継ぐ必要もなく自由に気ままに育てられていた
しかしそれがいけなかったのだ
この世界ではスキルはある日突然生えてくる
有用なスキルを1つだけ持つ人やクソの足しにもならないクズスキルを100も持っている人がいる
それらは生まれた時から持っていたり、怪我をしたことで発現したり、知識を蓄えたレベルに伴い自然と使えるようになったりと様々で、たとえば死ぬ直前にだって突然生えたりもするのだから始末に負えない
そして強い願いや想いに引きずられスキルが生えやすいというのがその道の権威の言葉で
俺の地図SSSはどうだったのだろうか
まだまだ子供だった俺は家を抜け出しては町の子供と遊んでいた
子供のすることだから大抵かけっこや木のぼり、それからかくれんぼといったものだった
町の子供と比べて俺の体力は少なかったし木のぼりなんてしたこと無かったから最初は登れもしなかった
それでも俺は家ではできない遊びが楽しくて毎日日が暮れるまで皆と一緒に遊んでいた
その中でもかくれんぼは俺の一番好きな遊びだった
その遊びには足の速さも器用さもバランス感覚もその他町の子供と遊ぶのに必要だと思われる身体能力のほぼ全てが必要がなかった
ただ見つければいい 条件はたったそれだけだった
他の遊びでは勝率が低いがこれだけは俺の性にあっていたのかほぼ負け無しだった
まあどんどん追加されていくルールで勝率は下がっていくのだが見つけるというその一点について俺に勝るものは子供の中にはいなかった
最初はぼんやりと
なんとなく周囲を見渡すと違和感を感じた所に誰かが隠れていることに気付いた
次はしっかりと
見ている方向に矢印と誰なのかが書かれた透明な板が人の隠れている所に表示されるようになった
最後はスキルが生えた
隠れている人の上に表示されていた透明な板と同じようなものが俺の前に表示されるようになり、さらにその板に半径100メートル程度の範囲の地図が表示され誰がどこにいるという情報が映し出されるようになった
こんなスキルが生えてくれば大人でさえも自慢したくなるに違いない
だから子供である俺がぺらぺらと喋ってしまったのは仕方のないことだった
だが優秀なスキルは時に狙われる
たとえば嫉妬するがゆえに
たとえば憧れのために
たとえば搾取するために
ここまで言えばわかるだろう
家の力は強くなく、個人の力も強くない上に迂闊
端的に言えば我が家は濡れ衣を着せられ家族は奴隷落ち
俺はそんな家族を生かしてもらうために黒幕達のいいなり
そんな生活を何年しただろうか
ある日これまでの褒美にと家族に会わせてもらえることになった
数年ぶりの再開に俺は心を躍らせた
会わせてくれるというその事実だけに黒幕達の靴にキスでもしたくなったのは俺の人生の汚点の一つだ
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次回ちょっとえっち(性器表現、性行為など)
応援ありがとうございます!
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