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ハジマリの時
初めての突発クエスト
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私はとりあえず、噴水の前にあるオシャレなカフェテーブルの椅子に腰かける。テーブルの上に、シュウさんからもらったプレゼントを置く。さっきまでドタバタしてたから、ろくに持ち物も何も確認できていなかったし、ちょっとここで持ち物確認しておこう。
ほっと一息つきながら、私は小さい声で呟く。
「メニュー画面」
すると、目の前にダイアログボックスが展開される。持ち物、ステータスなど、様々なタブがある中で、持ち物の欄に指を合わせた。
さっきのシークレットクエストで得た報酬が増えているけど、所持金は1000Yって書いてある。これ、現実世界のお金のレートだと、どうなるんだろう。
他には、薬草っぽい草が入った革袋や瓶に入った傷薬っぽいものもある。なるほど、とりあえず必要最小限のアイテムはもらってるっぽいね。
続いて私は、シュウさんからもらったプレゼントボックスを開けてみる。中には3つの品物が入っていた。1つは大きなトランク。それと羽ペンと手帳。トランク! トランクじゃないかっ!!
私は大歓喜でトランクを持ってみる。牛革のような、すべすべした感触。留め金には、ダイヤルロック。説明ダイアログボックスが表示される。
『ワカノバッグ 3wayトランク。ショルダーバッグとしても、リュックサックとしても、トランクとしても利用可能。収納力抜群』
これは。これは、いい。むしろこれ、現実でも欲しい。これは愛用する予感。手帳も羽ペンもある。完璧だ、こりゃもうこの世界で今必要なものは揃ったと言っていいのでは。
ルンルン気分になっていた時だった。私は、うつむいて歩いてくる一人のおばさんを見つけた。手には、一枚の紙。おばさんは立ち止まると、その紙を見て、大きく溜め息をつく。
そのまま私の前を通り過ぎようとする。私はなんとなく放っておけなくて、遠慮がちに声をかけた。
「あの」
おばさんは再び立ち止まると、きょろきょろと辺りを見渡す。私はもう一度、声をかける。
「あの。何か、お困りですか」
「え……、アタシに聞いたのかい?」
おばさんは、私の方を見た。アニメとかに出てくる快活そうななおばさん。今はすごく落ち込んだ表情してるけど。
「はい。困っているようにお見受けしましたので。何かお手伝いできることはありますか」
「アンタ……、冒険者かい?」
「はい」
おばさんは少し考え込んだ後、私の向かい側の椅子にどかっと腰かけた。
「ウチの店、道具屋なんだけどね。今日からたくさん冒険者が来るからって、あちこちに同じような店が出来ちまってね、ウチのような小さな店は勝ち目がなくなっちまったワケさ」
「ああ、確かに今日から増えますね、冒険者は」
今日がゲームの発売日なんだもの、と私は思う。おばさんは言葉を続ける。
「オマケにお前らの店の場所は、売り上げに見合ってない、立ち退けって言うんだ。ひどい話だろ」
「それはひどい。今までずっとその場所でお店をやってきたんですよね」
「そうさ、ウチのばあさんの時からの店だから、結構長いんじゃないかな」
おばさんは、再びうつむく。
「まさかアタシの代で、店じまいなんてご先祖様になんていえばいいか……」
その時、ダイアログボックスが現れる。
『突発クエスト、お店の手助けが発生しました。受注しますか』
突発クエスト? クエストって基本的にギルドの掲示板とかで受けるものだと思うけど、ゲームによっては確かに、住人個人から受けるものもあるもんね。これもその一種かな。
ダイアログボックスの『詳細』の部分に指を合わせる。すると、内容が表示された。
『道具屋の女主人、カンナは道具屋の閉店および立ち退きを要求されている。要求を跳ねのけるため、お店の評判を上げ、収入を増やす手立てを考えてほしいらしい』
続いて報酬の欄を見て、私は目を止める。お金とかのほかに、お店でアルバイトする権利とある。おお、お店で働いたりすることもできるんだね。これは大きいかもしれない。
「私でよければ、お手伝いしましょうか」
私は言う。まだ、クエスト受注のボタンは押していない。すると、おばさんの顔が輝いた。
「本当かい? でもどうやって、売り上げを伸ばしたりするんだい」
「一つ、提案があります」
私はおばさんを見た。おばさんがこの提案に乗ってきたら、クエストを受注しよう、そう決めた。
ほっと一息つきながら、私は小さい声で呟く。
「メニュー画面」
すると、目の前にダイアログボックスが展開される。持ち物、ステータスなど、様々なタブがある中で、持ち物の欄に指を合わせた。
さっきのシークレットクエストで得た報酬が増えているけど、所持金は1000Yって書いてある。これ、現実世界のお金のレートだと、どうなるんだろう。
他には、薬草っぽい草が入った革袋や瓶に入った傷薬っぽいものもある。なるほど、とりあえず必要最小限のアイテムはもらってるっぽいね。
続いて私は、シュウさんからもらったプレゼントボックスを開けてみる。中には3つの品物が入っていた。1つは大きなトランク。それと羽ペンと手帳。トランク! トランクじゃないかっ!!
私は大歓喜でトランクを持ってみる。牛革のような、すべすべした感触。留め金には、ダイヤルロック。説明ダイアログボックスが表示される。
『ワカノバッグ 3wayトランク。ショルダーバッグとしても、リュックサックとしても、トランクとしても利用可能。収納力抜群』
これは。これは、いい。むしろこれ、現実でも欲しい。これは愛用する予感。手帳も羽ペンもある。完璧だ、こりゃもうこの世界で今必要なものは揃ったと言っていいのでは。
ルンルン気分になっていた時だった。私は、うつむいて歩いてくる一人のおばさんを見つけた。手には、一枚の紙。おばさんは立ち止まると、その紙を見て、大きく溜め息をつく。
そのまま私の前を通り過ぎようとする。私はなんとなく放っておけなくて、遠慮がちに声をかけた。
「あの」
おばさんは再び立ち止まると、きょろきょろと辺りを見渡す。私はもう一度、声をかける。
「あの。何か、お困りですか」
「え……、アタシに聞いたのかい?」
おばさんは、私の方を見た。アニメとかに出てくる快活そうななおばさん。今はすごく落ち込んだ表情してるけど。
「はい。困っているようにお見受けしましたので。何かお手伝いできることはありますか」
「アンタ……、冒険者かい?」
「はい」
おばさんは少し考え込んだ後、私の向かい側の椅子にどかっと腰かけた。
「ウチの店、道具屋なんだけどね。今日からたくさん冒険者が来るからって、あちこちに同じような店が出来ちまってね、ウチのような小さな店は勝ち目がなくなっちまったワケさ」
「ああ、確かに今日から増えますね、冒険者は」
今日がゲームの発売日なんだもの、と私は思う。おばさんは言葉を続ける。
「オマケにお前らの店の場所は、売り上げに見合ってない、立ち退けって言うんだ。ひどい話だろ」
「それはひどい。今までずっとその場所でお店をやってきたんですよね」
「そうさ、ウチのばあさんの時からの店だから、結構長いんじゃないかな」
おばさんは、再びうつむく。
「まさかアタシの代で、店じまいなんてご先祖様になんていえばいいか……」
その時、ダイアログボックスが現れる。
『突発クエスト、お店の手助けが発生しました。受注しますか』
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私は言う。まだ、クエスト受注のボタンは押していない。すると、おばさんの顔が輝いた。
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私はおばさんを見た。おばさんがこの提案に乗ってきたら、クエストを受注しよう、そう決めた。
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