言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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ムトウさんを追って

特別スキルを持つものは

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「あの頃は、多くの人がSNS上などで『特別スキル』の話を上げていました。『特別スキル』を得た人の獲得ポイートもたくさん見かけました。もちろん現在も、新しく『特別スキル』を獲得した人のポイートが上がることもありますし、ゲーム発売当初に上げられた『特別スキル』獲得ポイートが残っている場合もあります。しかし」
 ここでずんだ餅さんは言葉を切った。
「しかし、大半の人はポイートを削除しています」
「そうでしたか……」
 特別スキルを持った人はたくさんいるはずで、SNSに存在する数えきれないアカウントに存在する人々の中にもWFOをプレイしていて、特別スキルを持った人間はいっぱいいるはずだ。
 でも、ポイッターではその様子があまり見受けられないんだ。もっとたくさん、特別スキルを持っている人のポイートが上がっていても不思議じゃないはずなんだけど。

 でも、ずんだ餅さんの話で納得がいった。そっか、ポイートしたとしても、後から削除してる人がいるんだ。そりゃあ、いつでも削除できるもんね。

「最初は嬉しくってついポイートするけれど、思ったより特別スキルが重要スキルなので、その証拠を消そうと思うんでしょうね」
「確かに、そのポイートからさかのぼってきて、自分たちに攻撃をしてくる人もいるかもしれませんからね」

 私の言葉に、ずんだ餅さんが頷く。

「私は、なんだかんだで守って下さる方がいらっしゃるからこれこのように特別スキルのことを公言できているようなものですから」

 私には、シュウさんがついてる。何かあれば、彼がなんとかしてくれる。そんな不確かだけど、でも信じられる何かが彼にはあって。だから、私は特別スキルを持っていることを特に隠したりはしてない。

 でも、一般の人はそうじゃない。自分が他人が持ちえない特別な能力を持っていたらそれは確かにうれしいし、何か認められた気がして幸せな気持ちにはなる。

 だけどそれ以上に、自分の持つその能力が、誰かにねたまれたりそれが原因で何か面倒なことに巻き込まれてしまうことを恐れる。当たり前のこと。誰だって、面倒ごとには巻き込まれたくなくて、楽に生きたいと思うもんだもん。

 ましてや、WFOはゲームだ。現実とはまた違う。現実を一瞬でも忘れて別世界に身を置きたいと思ってゲームをしているのに、娯楽であるゲームでまたストレスがたまったら意味がないもんね。

「私の特別スキルは『言霊・物語付与』のスキルです。簡単に言えば、何かのアイテムに追加効果をつけたり、アイテムそのものを作り替えたりできる能力です。差支えなければ、ずんだ餅さんのスキルも教えて頂けませんか」
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