235 / 304
閉じ込められた世界で
情報収集開始! ……のはずが
しおりを挟む
完成したアヒルマウスとパソコンもどきを前に、腰に手を当てる。
「なんだか、満足そうですね」
ずんだ餅さんが言う。
「これで情報が集められますからっ!」
ちょっとくらい、どや顔したっていいと思う。ある意味ですごい発明だもん、これ。
そうしてふと、もう一つ、足りないものがあることに気付いた。いや、気付いてしまったという方が正しい。
「どうしたんですか」
思わず硬直してしまった私に、ずんだ餅さんが声をかけてくる。
「……ずんだ餅さん、気付きませんか」
「なんでしょう」
「パソコンには、もう一つ、必要なものがあるはずです」
「と、言いますと」
「電源です」
私の言葉に、ずんだ餅さんがはっとする。
そう、私たちは完全に忘れていたけれど。現実世界のパソコンには、電源が存在する。パソコンは電力を必要とするので、電気をためておく電源プラグ、充電器があるのだ。
「この世界に、そもそも電気という概念は存在するのでしょうか……」
いかん、頭が痛くなってきた。
「そこは、羊皮紙の力で浮かび上がってるっていう設定とかにしてしまったらいいのではないでしょうか……」
半ば呆れた表情で、ずんだ餅さんが言う。確かに。リアリティを追求しすぎたかもしれない。とはいえ、特別スキルでそういった設定をした覚えはないけど、ちゃんと作動するんだろうか。
そう思いながら、こわごわパソコンもどきのキーボード代わりの木の板に触れる。すると、羊皮紙に、何やら文字や絵が浮かび上がり始めた。
「……よかった、動きました」
「よかったですね」
そこまでリアリティは追求しなくてよかったんだね。そこは、羊皮紙の力でどうにかなったという認識でいいんだろう。
羊皮紙に浮かび上がった画面は、まさにパソコンと同じ。思い描いていた通り。検索エンジンのアイコンをアヒルマウスでクリックする。
そこには、いつも使っている検索エンジンと同じように、自分がよく使うサイトのショートカットが6つほど、表示されている。
そこまで望んでなかったけれど、どうやら家にある自分のパソコンと同期しているようだ。早速、アヒルマウスを操作して、ポイッターの画面を開く。
ポイッターの検索画面で『WFO ログインできない』と検索しようとする。その前に既に、ポイッターのトレンド欄が目に入った。
トレンド欄は、ポイッターでポイートされた情報をもとに、ポイートの多い情報をトレンドとして表示する機能。
私は普段、トレンド欄はほぼ見ることがないんだけど……。WFOのことが載っているかもとちらと目線を向ける。
そこには、いくつか、WFOのものと思わしきものが上がっていた。
「なんだか、満足そうですね」
ずんだ餅さんが言う。
「これで情報が集められますからっ!」
ちょっとくらい、どや顔したっていいと思う。ある意味ですごい発明だもん、これ。
そうしてふと、もう一つ、足りないものがあることに気付いた。いや、気付いてしまったという方が正しい。
「どうしたんですか」
思わず硬直してしまった私に、ずんだ餅さんが声をかけてくる。
「……ずんだ餅さん、気付きませんか」
「なんでしょう」
「パソコンには、もう一つ、必要なものがあるはずです」
「と、言いますと」
「電源です」
私の言葉に、ずんだ餅さんがはっとする。
そう、私たちは完全に忘れていたけれど。現実世界のパソコンには、電源が存在する。パソコンは電力を必要とするので、電気をためておく電源プラグ、充電器があるのだ。
「この世界に、そもそも電気という概念は存在するのでしょうか……」
いかん、頭が痛くなってきた。
「そこは、羊皮紙の力で浮かび上がってるっていう設定とかにしてしまったらいいのではないでしょうか……」
半ば呆れた表情で、ずんだ餅さんが言う。確かに。リアリティを追求しすぎたかもしれない。とはいえ、特別スキルでそういった設定をした覚えはないけど、ちゃんと作動するんだろうか。
そう思いながら、こわごわパソコンもどきのキーボード代わりの木の板に触れる。すると、羊皮紙に、何やら文字や絵が浮かび上がり始めた。
「……よかった、動きました」
「よかったですね」
そこまでリアリティは追求しなくてよかったんだね。そこは、羊皮紙の力でどうにかなったという認識でいいんだろう。
羊皮紙に浮かび上がった画面は、まさにパソコンと同じ。思い描いていた通り。検索エンジンのアイコンをアヒルマウスでクリックする。
そこには、いつも使っている検索エンジンと同じように、自分がよく使うサイトのショートカットが6つほど、表示されている。
そこまで望んでなかったけれど、どうやら家にある自分のパソコンと同期しているようだ。早速、アヒルマウスを操作して、ポイッターの画面を開く。
ポイッターの検索画面で『WFO ログインできない』と検索しようとする。その前に既に、ポイッターのトレンド欄が目に入った。
トレンド欄は、ポイッターでポイートされた情報をもとに、ポイートの多い情報をトレンドとして表示する機能。
私は普段、トレンド欄はほぼ見ることがないんだけど……。WFOのことが載っているかもとちらと目線を向ける。
そこには、いくつか、WFOのものと思わしきものが上がっていた。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる