言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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再び、ログイン。

臨時ギルドマスター

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『おそらく、ゲーム内に閉じ込められているギルドに所属している人たちの中には、行き場を失くし、相談相手もいない人もいると思うのです。ですから、その人たちと交流を持ち、可能であれば協力を頼みたいと思っています。ただ、初対面の相手です。いくら同じギルドに所属しているとはいえ、警戒されてしまうのではないかと心配です』

 そう、メールに書いて送る。すると、すぐに返事が返ってきた。

『話が長なりそうやから、よかったら電話番号教えてくれへん?』

 確かに、話が込み入ってきたし直接話した方が早いよね。電話番号をメールに書いて送ると、すぐに電話がかかってくる。

『遅い時間にごめんな。カズアキやけど』
「いえいえこちらこそ、こんな時間に相談に乗ってもらってすみません」
『とんでもあらへん。シュウ、いつもサランちゃんのこと、すごい人やぁ言うてるで。今回は、なんや、大変なことに巻き込まれたみたいやけど、サランちゃんならなんとかしてくれるって信じてる。……それで、ギルドの話やねんけどな』
「はい」
『サランちゃん、臨時ギルドマスター制度っちゅうシステム、知っとる?』
「いえ……」

 臨時ギルドマスター制度……。なんとなく、名前である程度の内容は分かりそうだけど……。スマートフォンの通話をスピーカーにして、パソコンで調べてみようとする。

『臨時ギルドマスター制度っちゅうのはその名の通り、ギルドマスターをギルドに所属している別の人間に譲るっちゅうやつやね』
「ふむふむ」
『色々条件があるんやけど。一つは、ギルドマスターとサブギルドマスターが不在であること。まぁ、ログインしてへんってことやな。あとは、ギルドのある建物に置いてある、ギルドマスターの証に触れることや』
「ギルドマスターの証……」
『ギルドマスターちゃうやつが、その証に触れると、ギルドマスターであるオレに通知が来るんや。お前、こいつにギルドマスター譲るか? どうする? みたいな』
「それで、譲るかどうか決める、と」
『せやねん。だから、ゲームにログインしたらまずそのギルドマスターの証に触ってほしいねん。そしたらこっちで、サランちゃんをギルドマスターに承認するって設定をする。そしたら少なくとも、ゲーム内に残るメンバーには、オレが承認した臨時ギルドマスターやってことが分かって、初対面とはいえ、少しは緊張解いてくれるんちゃうかな』

 臨時ギルドマスター。臨時とはいえ、そんな責任重大な役職を、私がもらってしまっていいのだろうか……。でも。

「……確かに、初対面の人間が突然話しかけてくるよりは、少なくともギルドマスターからお墨付きをもらった人間が話しかけて来たっていう状況の方がよさそうですよね。ではカズアキさん、ギルドマスターの証の詳しい保管場所と、アイテムの特徴を教えてください」
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