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第2話 ラドニール魔法部隊
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俺はアイン・ビロクシス。地元に出たモンスター退治を手伝ったら、「ラドニール魔法部隊」という魔道士の特殊部隊に勧誘されてしまった、魔法学校の冴えない高校生だ。
先日のお礼もあるし、何より顔を出すと約束してしまった手前、ブッチするのもできない小心者の俺はラドニール魔法部隊の本部らしき建物の前でもじもじしていた。とっととノックすればいいものの、なかなか勇気が出ない……。
と、まごまごしていたとき、中からドアが開けられ、ケビンさんが現れた。ケビンさんは、モンスター退治に来てくれたラドニール魔法部隊の人だ。オレよりふた周りくらい背が高くて、紫色の瞳と紫色の短髪の陽気なお兄さん、って感じ。
「うわっ!……えっ、おっ、アインじゃん!昨日はサンキュな!来てくれて嬉しいよ~!ほら、入った入った」
ケビンさんに促されて、とりあえず建物の中に入った。思ったより広くてきれいだ。
「なにモジモジしてたんだよ、ちょっとドア叩いてくれたらすぐ行ったのに」
「いやぁ、勇気が出なくて……」
「あんだけスライムボコボコにできる度胸あるんだから、ドア叩くくらい余裕だろ~?そんな緊張することねぇじゃんよ~」
ケビンさんは冗談っぽくイジってきた。しかも言ってることが何も間違ってないので俺はとても気まずかった。
そして、ドアが開けられた先にはもちろん他の隊員もいるわけで……。眼鏡をしためちゃくちゃ真面目そうな男の人と、ふわふわとした空色の髪の女の子がいた。
俺を見るやいなや、女の子は大きな目をまんまるくしてケビンさんに呼びかけた。
「ケビン、その子が昨日の炎使い?」
「そそ。しかもラドニール魔法学園高等部の魔道科」
「やったー!私たちの後輩だね。名前はなんていうの?」
「アイン・ビロクシスです。先日はありがとうございました。俺だけじゃあの量のモンスターはさばけなかったんで、本当に助かりました」
「お礼を言いたいのはこっちの方だよ!ケビンを助けてくれたんでしょ?ありがとね、アインくん」
女の子はにこにこして俺を部屋の奥まで案内してくれた。なんだか新歓みたいだ。
「アイン、ここがラドニール魔法部隊の本部。このちまっこいのがメアリー、あっちの仏頂面はジェイソン。今んとこ、ジェイソンが隊長だよ」
「なんだよ仏頂面って」
ジェイソンと呼ばれた眼鏡の男の人はケビンさんの冗談に笑い、わざわざ立って俺の方まで来てくれた。というか、ケビンさんといいジェイソンさんといいみんな背が高い。俺はチビだから本当に埋もれるんだが。さっきのメアリーさんくらいしか俺より背の低い人がいないぞこの空間。つらい。
「アイン、俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。君さえよければ、部隊に入ってくれると嬉しいんだけど」
「あ、えっと……」
「はは、急に言われても困るよな。ゆっくり考えてくれたらいいよ」
ジェイソンさんは優しく笑って気遣ってくれた。彼は緑の瞳をしていて、黒縁の眼鏡をかけている。髪は銀髪で前髪をかっこよく流している。黒いワイシャツに黒い手袋をして、赤いコートをピシッと着込んだ、なんというか、かっちりした人だ。
「私たち、アインくんくらいのときからラドニール魔法部隊をやってるの。もう4、5年になるかな?部隊のことじゃなくても、学校でも困ったことがあったら力になるよ。いつでも遊びに来てね」
そう言ってくれたメアリーさんは空色のふわふわな髪をハーフツインにしていて、まんまるな青い瞳をしている。俺より一回り小さくて、ケビンさんの半分くらいしかない。すごく華奢で童顔なのでちょっと歳下に見える……が、話しぶりからして、俺より先輩なんだろう。
「えと……ケビンさん達は部隊のメンバー以外でどういう関係なんですか?」
「ん?ああ、俺たち3人はラドニール魔法学園の同期だよ」
同期ということは、この3人が同い年で、メアリーさんの話からして俺の4、5コ上で……つまり、だいぶ先輩だ。20歳くらいってことか。
「いろいろあって学園の敷地をちょっと借りて魔法部隊をやることになってね。私たちが着てる服は隊服なんだよ~」
メアリーさんはのほほんと服の話をしている。ラドニールでも赤い制服はまず見ない。
「アインくん、赤い服似合いそうだよね。一式仕立てちゃおうよ」
「えっ、そんな急にですか」
「いいじゃんアイン、作ってもらえよ」
「ケビンさん!乗っからないで助けてくださいよ!」
「俺、巻尺持ってこようか」
「ジェイソンさんまで!!」
ザ・四面楚歌。完全に巻き込まれて入隊が決定する流れだ。やばい。
そこに、慌てた様子の女性が入ってきた。
「隊長、任務です」
「了解です、ツクレシーさん。場所はどこですか」
ツクレシーと呼ばれた女性が来たとたん、ジェイソンさんの顔つきが変わった。俺は「これは真面目なやつだ」と悟った。
「ラドニール平原です。前々から揉めてたウインドウルフの件ですね、また暴れてるみたいです」
「えー、またぁ?ウインドウルフのやつはもう今月だけで3件目だよ」
メアリーさんが不満そうに愚痴っている。プロビンスのスライムといい、ラドニール魔法部隊はこの手の害獣駆除がメインなのだろうか?
「暴れているものは仕方ないだろう、メアリー」
「なあ、せっかくだしアインも手伝ってくれねぇ?」
ほらきた!!ケビンさん、言うと思った!!!
「え、えっと……」
「アインくん、嫌ならはっきり断りなよ。ラドニール平原に出るウインドウルフは魔道科の戦闘演習の比じゃなく強いから怪我もするし、最悪死ぬよ」
「は、はい。メアリーさん、ありがとうございます……ちょっと考えていいですか」
「うんいいよ。急だし、びっくりしたでしょう。あのさあ、こないだのスライムとはわけが違うんだよ、ケビン」
メアリーさんは正直に警告してくれたんだと思う。確かに、今までのノリだとその辺の部活と変わらないように思えるし……。
ていうか当たり前みたいに怪我するし最悪死ぬんだ。こわ。なんでそんな軽いノリで勧誘してんだろ。
しばらく沈黙が流れ、やがてジェイソンさんが口を開いた。
「アイン、脅したいわけじゃないが、メアリーの言ってる事は本当だ。来ないからといって責めたりしないし、今日着いてきたからといってじゃあ入隊ってことにもしない。これは約束するよ。でもこれから俺たちはラドニール平原に行かなきゃならないから、あんまりゆっくりはしてられないな……今、来るのか来ないのか……悪いけど、決めてくれないか」
これは大きな決断だ、と思った。ジェイソンさんはああ言ったが、俺の直感が「ついて行けば入隊」と言ってる。
普通の高校生の俺にも、何かできることがあるだろうか?俺にしかできないことが、ここにあるだろうか……?
とかなんとか考えているうちに、俺の口からは随分勢いのいい入隊宣言が飛び出していた。
「行きます。俺、ラドニール魔法部隊に入隊します!」
ジェイソンさんは驚いた顔をして固まっていた。この時間が永遠に続くかと思った。俺もなんでこんな啖呵を切っているのかぜんぜんわからん。どうしてこうなったんだ?
しばらくして、ジェイソンさんが口を開いた。
「……わかった。ありあわせで悪いが、今日はうちの装備を使ってくれ」
ジェイソンさんがそう言うと、3人はてきぱきと動いて支度を始めた。ケビンさんは用意するものが多いのか、物置っぽい部屋に行き何やらガシャガシャ音をさせている。メアリーさんはそこまで重装備ではないらしく、俺の方に来てこう言った。
「アインくん、ラドニール平原は風属性のモンスターが多い所なの。もし、学校に風属性用の演習装備があるなら取っておいで」
そういえばこの前、風属性魔法の演習があった。それでウインドアーマーみたいなやつが配られたんだった。
「は、はい!取ってきます!」
俺は大急ぎで学校のロッカーに向かった。
俺が戻ってくると、3人とも準備万端って感じで、雑談に花を咲かせていた。
「おっ、アイン来たか!それにしてもメアリー、よく演習装備のこと思い出したな」
「え?2年のこのくらいの時期にやったじゃん。風属性魔法縛りの演習みたいなやつ」
「そ……うだったか……?」
「いやケビン、俺たちは召喚魔法のカリキュラムだから違ったと思う。メアリーだけか、普通の魔法のカリキュラムだったの」
「あ、そっかぁ」
「2人ともよく覚えてんなぁ。俺忘れたよ~そんな高校のときの演習なんか」
「すみません、お待たせしました」
「気にするな。さあ行こう」
道中で聞いたところ、メアリーさんは回復魔法使い、ジェイソン隊長はネクロマンサーと悪魔使いのハイブリッドらしい。
「ハイブリッド……ってどういうことですか?」
「もともと悪魔召喚が得意だったんだよ。で、ネクロマンスにも手を出したって感じかな」
「なる……ほど?隊長はケビンさんみたいに悪魔に手伝ってもらって物理で殴るタイプなんですか?」
「いや、まったく違うな」
「フィジカルは俺だけだよ~、見りゃ分かるだろうけどメアリーは物理攻撃からっきしだからな」
「じゃあ隊長はどうやって戦ってるんですか?」
つい聞いてしまったが、3人が固まったのでしまった、と思った。召喚術への無知をここまで恥じたのは初めてだ……
メアリーさんがすかさずフォローしてくれる。
「1回見たらびっくりすると思うよ」
「メアリー、なんだその紹介のしかたは」
「えだって私も召喚魔道士よく分かんないもん。ケビンなら簡単に想像つくけどさ、ジェイソンの魔法は……」
「あー、わかるわ。自分とか味方の能力を上げるんじゃなくて敵の能力を下げる魔法だからな、あとシンプルに見た目がグロい」
「ひどい言いようだな」
「うん、魔法使ってるの見てると、とても隊長には見えないもんね」
「……ひどい言いようだな……」
何が何だかよく分からないが、とにかくジェイソンさんの魔法は珍しいらしい。どんな魔法なんだろうか。
「あーあ、来ちゃったよ、ウインドウルフ」
メアリーさんがそう言って指さした先には、銀色の毛並みの狼がいた。よく見たら1匹どころじゃなさそうだ。
「なんか……数が多くねえか?」
「やだなあ、また群れのリーダーに話をつけに行かなきゃいけないのかなぁ。ジェイソン、なんとかしてよ」
「無茶言うな」
「アインに見せてやれよ、悪魔憑きの魔法」
「そういう事かよ……まったく」
ジェイソンさんが何かの呪文を唱え始めると、彼の足元に魔法陣のようなものが現れた。気味の悪い風が足元から吹き上がり、悪魔が召喚されているのがわかった。
「第7の柱、アモン、焼き尽くせ!」
第3話へ続く……
先日のお礼もあるし、何より顔を出すと約束してしまった手前、ブッチするのもできない小心者の俺はラドニール魔法部隊の本部らしき建物の前でもじもじしていた。とっととノックすればいいものの、なかなか勇気が出ない……。
と、まごまごしていたとき、中からドアが開けられ、ケビンさんが現れた。ケビンさんは、モンスター退治に来てくれたラドニール魔法部隊の人だ。オレよりふた周りくらい背が高くて、紫色の瞳と紫色の短髪の陽気なお兄さん、って感じ。
「うわっ!……えっ、おっ、アインじゃん!昨日はサンキュな!来てくれて嬉しいよ~!ほら、入った入った」
ケビンさんに促されて、とりあえず建物の中に入った。思ったより広くてきれいだ。
「なにモジモジしてたんだよ、ちょっとドア叩いてくれたらすぐ行ったのに」
「いやぁ、勇気が出なくて……」
「あんだけスライムボコボコにできる度胸あるんだから、ドア叩くくらい余裕だろ~?そんな緊張することねぇじゃんよ~」
ケビンさんは冗談っぽくイジってきた。しかも言ってることが何も間違ってないので俺はとても気まずかった。
そして、ドアが開けられた先にはもちろん他の隊員もいるわけで……。眼鏡をしためちゃくちゃ真面目そうな男の人と、ふわふわとした空色の髪の女の子がいた。
俺を見るやいなや、女の子は大きな目をまんまるくしてケビンさんに呼びかけた。
「ケビン、その子が昨日の炎使い?」
「そそ。しかもラドニール魔法学園高等部の魔道科」
「やったー!私たちの後輩だね。名前はなんていうの?」
「アイン・ビロクシスです。先日はありがとうございました。俺だけじゃあの量のモンスターはさばけなかったんで、本当に助かりました」
「お礼を言いたいのはこっちの方だよ!ケビンを助けてくれたんでしょ?ありがとね、アインくん」
女の子はにこにこして俺を部屋の奥まで案内してくれた。なんだか新歓みたいだ。
「アイン、ここがラドニール魔法部隊の本部。このちまっこいのがメアリー、あっちの仏頂面はジェイソン。今んとこ、ジェイソンが隊長だよ」
「なんだよ仏頂面って」
ジェイソンと呼ばれた眼鏡の男の人はケビンさんの冗談に笑い、わざわざ立って俺の方まで来てくれた。というか、ケビンさんといいジェイソンさんといいみんな背が高い。俺はチビだから本当に埋もれるんだが。さっきのメアリーさんくらいしか俺より背の低い人がいないぞこの空間。つらい。
「アイン、俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。君さえよければ、部隊に入ってくれると嬉しいんだけど」
「あ、えっと……」
「はは、急に言われても困るよな。ゆっくり考えてくれたらいいよ」
ジェイソンさんは優しく笑って気遣ってくれた。彼は緑の瞳をしていて、黒縁の眼鏡をかけている。髪は銀髪で前髪をかっこよく流している。黒いワイシャツに黒い手袋をして、赤いコートをピシッと着込んだ、なんというか、かっちりした人だ。
「私たち、アインくんくらいのときからラドニール魔法部隊をやってるの。もう4、5年になるかな?部隊のことじゃなくても、学校でも困ったことがあったら力になるよ。いつでも遊びに来てね」
そう言ってくれたメアリーさんは空色のふわふわな髪をハーフツインにしていて、まんまるな青い瞳をしている。俺より一回り小さくて、ケビンさんの半分くらいしかない。すごく華奢で童顔なのでちょっと歳下に見える……が、話しぶりからして、俺より先輩なんだろう。
「えと……ケビンさん達は部隊のメンバー以外でどういう関係なんですか?」
「ん?ああ、俺たち3人はラドニール魔法学園の同期だよ」
同期ということは、この3人が同い年で、メアリーさんの話からして俺の4、5コ上で……つまり、だいぶ先輩だ。20歳くらいってことか。
「いろいろあって学園の敷地をちょっと借りて魔法部隊をやることになってね。私たちが着てる服は隊服なんだよ~」
メアリーさんはのほほんと服の話をしている。ラドニールでも赤い制服はまず見ない。
「アインくん、赤い服似合いそうだよね。一式仕立てちゃおうよ」
「えっ、そんな急にですか」
「いいじゃんアイン、作ってもらえよ」
「ケビンさん!乗っからないで助けてくださいよ!」
「俺、巻尺持ってこようか」
「ジェイソンさんまで!!」
ザ・四面楚歌。完全に巻き込まれて入隊が決定する流れだ。やばい。
そこに、慌てた様子の女性が入ってきた。
「隊長、任務です」
「了解です、ツクレシーさん。場所はどこですか」
ツクレシーと呼ばれた女性が来たとたん、ジェイソンさんの顔つきが変わった。俺は「これは真面目なやつだ」と悟った。
「ラドニール平原です。前々から揉めてたウインドウルフの件ですね、また暴れてるみたいです」
「えー、またぁ?ウインドウルフのやつはもう今月だけで3件目だよ」
メアリーさんが不満そうに愚痴っている。プロビンスのスライムといい、ラドニール魔法部隊はこの手の害獣駆除がメインなのだろうか?
「暴れているものは仕方ないだろう、メアリー」
「なあ、せっかくだしアインも手伝ってくれねぇ?」
ほらきた!!ケビンさん、言うと思った!!!
「え、えっと……」
「アインくん、嫌ならはっきり断りなよ。ラドニール平原に出るウインドウルフは魔道科の戦闘演習の比じゃなく強いから怪我もするし、最悪死ぬよ」
「は、はい。メアリーさん、ありがとうございます……ちょっと考えていいですか」
「うんいいよ。急だし、びっくりしたでしょう。あのさあ、こないだのスライムとはわけが違うんだよ、ケビン」
メアリーさんは正直に警告してくれたんだと思う。確かに、今までのノリだとその辺の部活と変わらないように思えるし……。
ていうか当たり前みたいに怪我するし最悪死ぬんだ。こわ。なんでそんな軽いノリで勧誘してんだろ。
しばらく沈黙が流れ、やがてジェイソンさんが口を開いた。
「アイン、脅したいわけじゃないが、メアリーの言ってる事は本当だ。来ないからといって責めたりしないし、今日着いてきたからといってじゃあ入隊ってことにもしない。これは約束するよ。でもこれから俺たちはラドニール平原に行かなきゃならないから、あんまりゆっくりはしてられないな……今、来るのか来ないのか……悪いけど、決めてくれないか」
これは大きな決断だ、と思った。ジェイソンさんはああ言ったが、俺の直感が「ついて行けば入隊」と言ってる。
普通の高校生の俺にも、何かできることがあるだろうか?俺にしかできないことが、ここにあるだろうか……?
とかなんとか考えているうちに、俺の口からは随分勢いのいい入隊宣言が飛び出していた。
「行きます。俺、ラドニール魔法部隊に入隊します!」
ジェイソンさんは驚いた顔をして固まっていた。この時間が永遠に続くかと思った。俺もなんでこんな啖呵を切っているのかぜんぜんわからん。どうしてこうなったんだ?
しばらくして、ジェイソンさんが口を開いた。
「……わかった。ありあわせで悪いが、今日はうちの装備を使ってくれ」
ジェイソンさんがそう言うと、3人はてきぱきと動いて支度を始めた。ケビンさんは用意するものが多いのか、物置っぽい部屋に行き何やらガシャガシャ音をさせている。メアリーさんはそこまで重装備ではないらしく、俺の方に来てこう言った。
「アインくん、ラドニール平原は風属性のモンスターが多い所なの。もし、学校に風属性用の演習装備があるなら取っておいで」
そういえばこの前、風属性魔法の演習があった。それでウインドアーマーみたいなやつが配られたんだった。
「は、はい!取ってきます!」
俺は大急ぎで学校のロッカーに向かった。
俺が戻ってくると、3人とも準備万端って感じで、雑談に花を咲かせていた。
「おっ、アイン来たか!それにしてもメアリー、よく演習装備のこと思い出したな」
「え?2年のこのくらいの時期にやったじゃん。風属性魔法縛りの演習みたいなやつ」
「そ……うだったか……?」
「いやケビン、俺たちは召喚魔法のカリキュラムだから違ったと思う。メアリーだけか、普通の魔法のカリキュラムだったの」
「あ、そっかぁ」
「2人ともよく覚えてんなぁ。俺忘れたよ~そんな高校のときの演習なんか」
「すみません、お待たせしました」
「気にするな。さあ行こう」
道中で聞いたところ、メアリーさんは回復魔法使い、ジェイソン隊長はネクロマンサーと悪魔使いのハイブリッドらしい。
「ハイブリッド……ってどういうことですか?」
「もともと悪魔召喚が得意だったんだよ。で、ネクロマンスにも手を出したって感じかな」
「なる……ほど?隊長はケビンさんみたいに悪魔に手伝ってもらって物理で殴るタイプなんですか?」
「いや、まったく違うな」
「フィジカルは俺だけだよ~、見りゃ分かるだろうけどメアリーは物理攻撃からっきしだからな」
「じゃあ隊長はどうやって戦ってるんですか?」
つい聞いてしまったが、3人が固まったのでしまった、と思った。召喚術への無知をここまで恥じたのは初めてだ……
メアリーさんがすかさずフォローしてくれる。
「1回見たらびっくりすると思うよ」
「メアリー、なんだその紹介のしかたは」
「えだって私も召喚魔道士よく分かんないもん。ケビンなら簡単に想像つくけどさ、ジェイソンの魔法は……」
「あー、わかるわ。自分とか味方の能力を上げるんじゃなくて敵の能力を下げる魔法だからな、あとシンプルに見た目がグロい」
「ひどい言いようだな」
「うん、魔法使ってるの見てると、とても隊長には見えないもんね」
「……ひどい言いようだな……」
何が何だかよく分からないが、とにかくジェイソンさんの魔法は珍しいらしい。どんな魔法なんだろうか。
「あーあ、来ちゃったよ、ウインドウルフ」
メアリーさんがそう言って指さした先には、銀色の毛並みの狼がいた。よく見たら1匹どころじゃなさそうだ。
「なんか……数が多くねえか?」
「やだなあ、また群れのリーダーに話をつけに行かなきゃいけないのかなぁ。ジェイソン、なんとかしてよ」
「無茶言うな」
「アインに見せてやれよ、悪魔憑きの魔法」
「そういう事かよ……まったく」
ジェイソンさんが何かの呪文を唱え始めると、彼の足元に魔法陣のようなものが現れた。気味の悪い風が足元から吹き上がり、悪魔が召喚されているのがわかった。
「第7の柱、アモン、焼き尽くせ!」
第3話へ続く……
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