お助け妖精コパンと目指す 異世界サバイバルじゃなくて、スローライフ!

tamura-k

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三章 進め進め

80 今度は……

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 さて、新しい拠点だ。
 空気っていうか、雰囲気っていうか、それは間違いなく今までのセーフティーゾーンを同じだったし、魔物の気配もなかった。
 コパンは周囲を『索敵』してくれて、とりあえず原っぱみたいになっている所には魔物の気配や危険なものの気配はない事を確認。
 あの野ネズミ以降、今日歩いてきた範囲では道に出ている動物たちもいなかったし、あれは土精霊の加護を持っているネズミがいるっていう事でのイレギュラーだったのかなと少しだけ思った。

 夕飯は道中に決めていたタケノコの天ぷら。それだけじゃ淋しいからどうせ揚げ物をするならって、コパンに風魔法でパン粉を作ってもらってヒメマスを使ってマスのフライも作ってみた。
 まぁアイテムにあったから簡単だったけどね。
 そして天ぷらとフライならやっぱりご飯がいいなって、麦飯も炊いた。うん。これも勿論アイテムの魔法だよ。でもアイテム魔法の調理法はいつの間にかレシピにも登録されていて『飯盒炊き』って思うと勝手に出来上がっている。
 ありがとう、魔法。
 本当に魔法がなかったら俺たちの食生活はこんなに豊かにはなれなかったよ。

「いただきます! ……ふわぁぁぁぁぁぁ! 美味しいです! お塩ちょっとつけると美味しい……。お醤油もちょっとつけると美味しい。フライはソースが美味しいです~~~」

 う~ん、コパンの食レポが楽しいな。
 美味しそうに食べる『お助け妖精』は本当に可愛いと思う。

「とりあえず拠点が見つかってよかった。後はこの拠点が今までの拠点と同じように魔物も動物も入ってこないって確認出来れば、しばらくはここと進んだところとの行ったり来たりになるね」
「そうですね。マッピング転移なら少し離れていても行ったり来たりは出来ますが、、やっぱり同じエリア内に拠点があると安心です。もっとも本当に安心なのかはこれから確認ですけど……」
「まぁ、嫌な感じは全くしないし、今までと変わらないから大丈夫だと思うけどね」
「はい。今日はテントだけじゃなくてその周辺まで防御の結界をかけておきましょう」
「うん。そうしてくれるとありがたい」
「はい、おまかせあれ~~!」


  ◆ ◆ ◆


 そして翌朝、何事もなく俺たちはホッとして朝食をとり、この拠点をマッピングしてから歩き始めた。
 お昼に道でのピクニックは止めようって事で、歩きながら食べられるサンドイッチみたいなものを作ってインベントリに入れる。

「今日はどんな感じ?」
「そうですねぇ。何かありそうな気がします。大変な感じはしませんよ」
「そう。それなら少しだけ道を逸れてみるのもいいかもしれないね」

 そんな事を話しつつ歩いていた俺達の前を何かが通っていくのが見えた。

「え…………」

 一列になって道を渡っていく小さな影はどう見てもひよこだ。

「コパン! ここの世界って、ニワトリがいるの⁉」

 その瞬間、俺の脳裏をよぎったのは卵だ。
 ひよこがいるなら、卵があるかもしれない。というかこのひよこはどこからきたんだろう?

「二、ニワトリですか?」
「あ、えっと、あのひよこって、どこからきたのかな。親鳥はどこにいるのかな」

 矢継ぎ早に質問をした俺の目の前で、一番後ろを歩いていたちいさめのひよこが森の入り口でこけた。

「あ……」

 本当は野生の動物には手を出したら駄目なんだよね。でも前の子はどんどん進んでいく。これじゃあ、あのひよこだけがおいていかれてしまうよ。ほら仲間はまったく後ろを見ていないよ。

「親鳥はいないのかな。まさかあれで成鳥なのかな」

 呟くようにそう言いながら、俺は倒れてよたよたとしている小さなひよこに手を伸ばし、その体をそっと掬って森の中に離した。

「あ! アラタ様、駄目です!」
「え?」
「クエェェェェェェェェッ!」

 その瞬間、ものすごい鳴き声と同時に頭の上に何かが落ちてきた。


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