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仮面舞踏会編
第97話 入場 2
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アルヴェーヌ侯爵家当主 キース・アルヴェーヌにこの機会に取り入ろうとする者は多い。
若くして侯爵家の夫人となれるかもしれないのだから当然だろう。
だが堅物で融通の効かない性格のキースはいくら美しい令嬢が近付こうが興味を一切示さなかった。
今回の舞踏会もたくさんのパートナーの申し込みがあったが全て断っている。
故に今回キースの隣を歩いているのはリアーナだった。
「……ものすごく視線を感じるのですけど、特に令嬢たちから。」
「この歳で侯爵家の当主なもんだからお近付きになりたいご令嬢が多くいる、それだけだ。」
煌びやかなドレスに多彩な仮面が会場を更に豪奢なものへと彩らせた。
だがそこに隠された欲望や思惑はワインの香りよりも濃い…
「お前は俺の傍から離れるんじゃないぞ、取って喰われるぞ。」
「なっ!わたしだって騎士団の端くれ、遅れをとったりしません!」
キースは「はいはい」と受け流しリアーナの手を引いた。
次に入場したのはネーヴェ・ノルンティーヌとクリスティーナ・アインホルン。
例のごとく女生徒から虐めを受けていた所ちょうど通りかかったネーヴェが助けた。
その縁もあってかふたりは仮面舞踏会にペアとして参加することとなった。
「おい、あんまりキョロキョロするな。目立つだろ。」
「す、すみません!こんな豪華な舞踏会に来たことがなくて。」
目を閉じて短く息を吐くといつの間にか取ったグラスをクリスティーナに手渡す。
「少しは落ち着くだろ、この間みたいに虐められたくなきゃそば離れんなよ?」
「はい!」
恐る恐ると腕を組むクリスティーナにそう言うとネーヴェは聞き覚えのある声に表情を曇らせた。
「エスコートはここまでで結構です。ほら、貴方目当てのご令嬢がウヨウヨいるんですから早く行ってあげてさしあげなさい。」
腕を組んでそっぽを向くアルマとそんな彼女に狼狽えているジルがいた。
クリスティーナはアルマを見ながら学園内で耳にした噂を思い出していた。
<アルマが影からクリスティーナを虐めるように令嬢たちをけしかけている。>
だがクリスティーナはアルマはそんなウワサ嘘なのでは?と思い始めていた。
1度だけアルマと言葉を交わしたとき、アルマにハッキリと「興味が無い」と言われたからだ。
「アインホルン家?さぁ、覚えはありませんわね。ダリアに一目置かれているのであれば見逃すはずなどありませんもの。ということで貴女なんかに価値なんてありませんからご安心なさい。」
(こ、言葉はとてもキツかったけど…わたしに何かしようとしている人の感じではなかった。)
「おい、アレには近付くなよ。見たとおりクロウリーが現れない限り機嫌は治んねーからな。」
「お、お待ちください!」
「どうせダリアはあの御方といらっしゃるのでしょうけれど、やっぱり気になります!」
狼狽えるジルを他所にアルマがわざとらしく慌てていた。
そして最後に
「アルベルト・ディシュタイン殿下、ダリア・クロウリー様のお成りでございます。」
豪華な衣装を纏ったダリアとアルベルトが黄金の舞踏ホールに入場する。
さぁ、キャストは揃った…
悲しみに嘆く亡霊の声を聴こうか
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
若くして侯爵家の夫人となれるかもしれないのだから当然だろう。
だが堅物で融通の効かない性格のキースはいくら美しい令嬢が近付こうが興味を一切示さなかった。
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故に今回キースの隣を歩いているのはリアーナだった。
「……ものすごく視線を感じるのですけど、特に令嬢たちから。」
「この歳で侯爵家の当主なもんだからお近付きになりたいご令嬢が多くいる、それだけだ。」
煌びやかなドレスに多彩な仮面が会場を更に豪奢なものへと彩らせた。
だがそこに隠された欲望や思惑はワインの香りよりも濃い…
「お前は俺の傍から離れるんじゃないぞ、取って喰われるぞ。」
「なっ!わたしだって騎士団の端くれ、遅れをとったりしません!」
キースは「はいはい」と受け流しリアーナの手を引いた。
次に入場したのはネーヴェ・ノルンティーヌとクリスティーナ・アインホルン。
例のごとく女生徒から虐めを受けていた所ちょうど通りかかったネーヴェが助けた。
その縁もあってかふたりは仮面舞踏会にペアとして参加することとなった。
「おい、あんまりキョロキョロするな。目立つだろ。」
「す、すみません!こんな豪華な舞踏会に来たことがなくて。」
目を閉じて短く息を吐くといつの間にか取ったグラスをクリスティーナに手渡す。
「少しは落ち着くだろ、この間みたいに虐められたくなきゃそば離れんなよ?」
「はい!」
恐る恐ると腕を組むクリスティーナにそう言うとネーヴェは聞き覚えのある声に表情を曇らせた。
「エスコートはここまでで結構です。ほら、貴方目当てのご令嬢がウヨウヨいるんですから早く行ってあげてさしあげなさい。」
腕を組んでそっぽを向くアルマとそんな彼女に狼狽えているジルがいた。
クリスティーナはアルマを見ながら学園内で耳にした噂を思い出していた。
<アルマが影からクリスティーナを虐めるように令嬢たちをけしかけている。>
だがクリスティーナはアルマはそんなウワサ嘘なのでは?と思い始めていた。
1度だけアルマと言葉を交わしたとき、アルマにハッキリと「興味が無い」と言われたからだ。
「アインホルン家?さぁ、覚えはありませんわね。ダリアに一目置かれているのであれば見逃すはずなどありませんもの。ということで貴女なんかに価値なんてありませんからご安心なさい。」
(こ、言葉はとてもキツかったけど…わたしに何かしようとしている人の感じではなかった。)
「おい、アレには近付くなよ。見たとおりクロウリーが現れない限り機嫌は治んねーからな。」
「お、お待ちください!」
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そして最後に
「アルベルト・ディシュタイン殿下、ダリア・クロウリー様のお成りでございます。」
豪華な衣装を纏ったダリアとアルベルトが黄金の舞踏ホールに入場する。
さぁ、キャストは揃った…
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𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
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