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番外編 悪役令嬢たちの心変わり
転生者の心変わり
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あれから月に1度必ずベルファはダリアの元を訪れた。
その噂は瞬く間に社交界に広がっていた。
【最近ブランディーヌ王女だけじゃなくてベルファ王太子までクロウリー邸を訪れている】
ダリアは夕にこのことを相談するがいつも机の上に置かれた手紙には
【心配はいらない、楽しんでおいで】
とだけ書かれている。
それどころか夕にホムンクルスについて調べているとうち明かされ戸惑いを隠せずにいた。
ダリアに姿を変えたレイヴンに「何かございましたか?」と声をかけられるも生返事しか返すことが出来ない。
そんな様子のダリアにレイヴンは今日もベルファがこちらを尋ねてくることを伝えた。
「ダリア様、本日もベルファ王太子がいらっしゃるのをお忘れでは?」
ぼーっとしているダリアの耳に情報が入り彼女の意識は覚醒する。
「今日も?!」
「今日はメイドをつけますからお早めにお支度してください。」
そう言うとレイヴンは部屋の外に出てメイドを探しに行ってしまう。
「こんなことをしてももう遅いのに、、、」
「リア嬢、お出迎え感謝いたします。」
片手には藤色の花束、そしていつも無表情の顔が優しいものになっているベルファ。
そんな彼に家の使用人だけではなく側仕えですら驚愕の色を隠せていなかった。
「ベルファ王太子殿下、、」
「ダリア殿はいらっしゃないのですか?ご挨拶をしようかと、、、」
「あ、その、、、ダリアは公務のため支度が遅れておりまして。間もなくいらっしゃるかと、、、」
「なるほど、では待っている間先にこちらの花を受け取って欲しい。」
ゆっくりとダリアに近づくと手に持っている藤色の花束をダリアに手渡す。
「あなたの黒髪に良く似合うと思いまして。」
「ありがとうございます。」
この爽やかな笑顔で花を渡す少年は先日毒を盛られそうになり見事に暗殺者を見抜きその場で手を下した。
とても本人とは思えない。
対応に困っていた時、レイヴンが中央階段から降りてきた。
「ベルファ王太子殿下、お出迎えが遅くなり申し訳ございません。」
「いや、先にリア嬢に挨拶をしていた。」
「それはそれは!綺麗な花だね、リア。殿下に頂いたのかい?」
「は、はい。」
「そうか、それはよかったね。では殿下、この先は殿下にリアを任せても?」
「もちろんだ。」
ベルファは優しくダリアの手を引くといつもの庭へと向かっていった。
ベルファは毎回ダリアに優しく付き添いながら何して遊ぶのが好きなのか、いつもどうして過ごしているのかと聞いていた。
ダリアも不思議と嫌ではなく、恥ずかしがりながらも幼い頃何をして遊んでいたかを思い出しながら答えていた。
「僕は明日からまたアカデミーに戻らなければならない。当分あなたに会えないのが残念でならない。」
「魔術学校は楽しいですか?」
「えぇ、楽しいですよ。いろんなしがらみから解放され学問に励むことが出来ます。いつか令嬢も通うことになるでしょう。」
「わ、私は、、、」
「クロウリー令嬢ならあなたをアカデミーに通わせてくれるはずです。」
(たしかに、、、夕なら私がしたいことをさせてくれるかもしれない。でも、、私はこの世に生を受けていないの。)
拳を強く握りしめ、複雑な気持ちを抑え込むダリア。
その様子を影から伺っていたレイヴンは気付かれぬようにその場を離れていった。
「クロウリー嬢が出来ないのであれば僕が助力致します。あなたが通いたいの願うのなら。」
「わ、私はまだ子供です、、、」
「ですが4年もすれば入学できる年頃ですよ。」
「私の家は既に貴族ではないのです!」
「僕が何とかします。」
「で、でも、、、」
困っているダリアの手を優しく手に取ると優しく手の甲にキスを落とした。
「リア、君の助けになるのはクロウリー嬢だけではないのです。この私にも頼っていただけませんか?」
「で、殿下にそのような。」
「リア、この私の婚約者となって欲しい。」
「へ?」
「それで?プロポーズを受けてきたと。」
夢の会合で向かい合って座る夕とダリア。
顔を真っ赤にしながら口ごもるダリアは
「ど、どうしよう、、、私には体がないのに。」
「言っただろ?ホムンクルスを作る方法を調べてるって。」
「ほ、ホムンクルスについて調べてると聞いたのよ!作ってる方法を調べてるなんて聞いてない!」
「察してただろ?」
「で、でも!そんな体でどうやって人と同じように暮らせと!」
「時の砂を見つけるまでずっとこんな調子でいいの?」
「でももし時の砂が見つからなかったらホムンクルスの体だってバレるのは時間の問題じゃない!」
「この世界はホムンクルスについて何も知らないに等しい。それにお人形を作ろって言ってるわけじゃないよ?人間の体そっくりに作るに決まってるじゃないか。」
「そ、そんな、、、」
「それに、君が事件を起こした時のことを聞いて引っかかることがあったしね。」
「それは私がホムンクルスの体に入って魔術学校に入学することとなにか関係があるの?」
「あぁ、何かわかるかもしれないな。」
「、、、、でも私は婚約を受けることは出来ない。」
「いいんじゃないか?時の砂が見つからなかったとしても私は必ず君を過去に戻してみせるよ。だからその時にプロポーズを受ければいいさ。」
「、、、もう私の事好きじゃないかもしれない。」
「あんなに熱心なのに?君だって暫くはアルベルトのこと気にしていただろ?」
「、、、」
「まぁ、そんな顔しないで任せてご覧?魔術学校では離れないようにするよ。」
「約束よ?」
「あぁ」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
その噂は瞬く間に社交界に広がっていた。
【最近ブランディーヌ王女だけじゃなくてベルファ王太子までクロウリー邸を訪れている】
ダリアは夕にこのことを相談するがいつも机の上に置かれた手紙には
【心配はいらない、楽しんでおいで】
とだけ書かれている。
それどころか夕にホムンクルスについて調べているとうち明かされ戸惑いを隠せずにいた。
ダリアに姿を変えたレイヴンに「何かございましたか?」と声をかけられるも生返事しか返すことが出来ない。
そんな様子のダリアにレイヴンは今日もベルファがこちらを尋ねてくることを伝えた。
「ダリア様、本日もベルファ王太子がいらっしゃるのをお忘れでは?」
ぼーっとしているダリアの耳に情報が入り彼女の意識は覚醒する。
「今日も?!」
「今日はメイドをつけますからお早めにお支度してください。」
そう言うとレイヴンは部屋の外に出てメイドを探しに行ってしまう。
「こんなことをしてももう遅いのに、、、」
「リア嬢、お出迎え感謝いたします。」
片手には藤色の花束、そしていつも無表情の顔が優しいものになっているベルファ。
そんな彼に家の使用人だけではなく側仕えですら驚愕の色を隠せていなかった。
「ベルファ王太子殿下、、」
「ダリア殿はいらっしゃないのですか?ご挨拶をしようかと、、、」
「あ、その、、、ダリアは公務のため支度が遅れておりまして。間もなくいらっしゃるかと、、、」
「なるほど、では待っている間先にこちらの花を受け取って欲しい。」
ゆっくりとダリアに近づくと手に持っている藤色の花束をダリアに手渡す。
「あなたの黒髪に良く似合うと思いまして。」
「ありがとうございます。」
この爽やかな笑顔で花を渡す少年は先日毒を盛られそうになり見事に暗殺者を見抜きその場で手を下した。
とても本人とは思えない。
対応に困っていた時、レイヴンが中央階段から降りてきた。
「ベルファ王太子殿下、お出迎えが遅くなり申し訳ございません。」
「いや、先にリア嬢に挨拶をしていた。」
「それはそれは!綺麗な花だね、リア。殿下に頂いたのかい?」
「は、はい。」
「そうか、それはよかったね。では殿下、この先は殿下にリアを任せても?」
「もちろんだ。」
ベルファは優しくダリアの手を引くといつもの庭へと向かっていった。
ベルファは毎回ダリアに優しく付き添いながら何して遊ぶのが好きなのか、いつもどうして過ごしているのかと聞いていた。
ダリアも不思議と嫌ではなく、恥ずかしがりながらも幼い頃何をして遊んでいたかを思い出しながら答えていた。
「僕は明日からまたアカデミーに戻らなければならない。当分あなたに会えないのが残念でならない。」
「魔術学校は楽しいですか?」
「えぇ、楽しいですよ。いろんなしがらみから解放され学問に励むことが出来ます。いつか令嬢も通うことになるでしょう。」
「わ、私は、、、」
「クロウリー令嬢ならあなたをアカデミーに通わせてくれるはずです。」
(たしかに、、、夕なら私がしたいことをさせてくれるかもしれない。でも、、私はこの世に生を受けていないの。)
拳を強く握りしめ、複雑な気持ちを抑え込むダリア。
その様子を影から伺っていたレイヴンは気付かれぬようにその場を離れていった。
「クロウリー嬢が出来ないのであれば僕が助力致します。あなたが通いたいの願うのなら。」
「わ、私はまだ子供です、、、」
「ですが4年もすれば入学できる年頃ですよ。」
「私の家は既に貴族ではないのです!」
「僕が何とかします。」
「で、でも、、、」
困っているダリアの手を優しく手に取ると優しく手の甲にキスを落とした。
「リア、君の助けになるのはクロウリー嬢だけではないのです。この私にも頼っていただけませんか?」
「で、殿下にそのような。」
「リア、この私の婚約者となって欲しい。」
「へ?」
「それで?プロポーズを受けてきたと。」
夢の会合で向かい合って座る夕とダリア。
顔を真っ赤にしながら口ごもるダリアは
「ど、どうしよう、、、私には体がないのに。」
「言っただろ?ホムンクルスを作る方法を調べてるって。」
「ほ、ホムンクルスについて調べてると聞いたのよ!作ってる方法を調べてるなんて聞いてない!」
「察してただろ?」
「で、でも!そんな体でどうやって人と同じように暮らせと!」
「時の砂を見つけるまでずっとこんな調子でいいの?」
「でももし時の砂が見つからなかったらホムンクルスの体だってバレるのは時間の問題じゃない!」
「この世界はホムンクルスについて何も知らないに等しい。それにお人形を作ろって言ってるわけじゃないよ?人間の体そっくりに作るに決まってるじゃないか。」
「そ、そんな、、、」
「それに、君が事件を起こした時のことを聞いて引っかかることがあったしね。」
「それは私がホムンクルスの体に入って魔術学校に入学することとなにか関係があるの?」
「あぁ、何かわかるかもしれないな。」
「、、、、でも私は婚約を受けることは出来ない。」
「いいんじゃないか?時の砂が見つからなかったとしても私は必ず君を過去に戻してみせるよ。だからその時にプロポーズを受ければいいさ。」
「、、、もう私の事好きじゃないかもしれない。」
「あんなに熱心なのに?君だって暫くはアルベルトのこと気にしていただろ?」
「、、、」
「まぁ、そんな顔しないで任せてご覧?魔術学校では離れないようにするよ。」
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