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青年編
第61話 悪女のこれまでの功績
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アメリアを部屋に送るとダリアはアメリアの額にキスを落とす。
「おやすみ、リア。」
「お、おやすみなさい、、、お姉様。」
名残惜しそうにドアを閉めると踵を返しキースが待つ執務室へ向かう。
部屋に入るとキースがデスクの前に立っていた。
「今日はご苦労だったね。」
「公女、アメリア様は。」
「聖女候補選抜のエントリーだけするさ。」
「、、、神殿での動きはモンフォーヌから聞いているはずです。」
「いくら公女とはいえ養女を聖女候補にするほど神殿も愚かじゃないだろう。それに、どうやら私は神殿に嫌われたらしい。」
「聖騎士団、ですか。」
「そう、絶対的 聖女至高主義の皆様方だ。」
【神殿】
何千年も昔、魔物によって荒らされた土地を聖女が光の力で浄化し国に平和をもたらしたと言われている。
その聖女を祭り上げているのが神殿。
そしてその神殿と聖女を守っているのが聖騎士団というわけだった。
「この私が全ての属性を操れる力を持つと知ったら一体どれほど顔が青くなることやら。」
「お戯れを公女。騎士団全員をアカデミーに入れようとしたり、公女は少しばかり無理をしすぎでございます。私を団長の座に置いてくださった際も貴族から多くの反感を買っておるのですよ?」
「王女に支持を得ている。当分は何も問題無いだろう。アルベルト殿下も護衛騎士として我がアストルム騎士団を選んでくださったんだ。敵が多い分、味方も多いから何も心配要らないよ。君も前より侯爵としての仕事がやりやすくなっただろう。」
ダリアの言うとうり、13歳で当主となったキースに不安の声が上がっていた。
アカデミーにもまだ通っていない子供が侯爵となったのだ。
周りの目も好奇に満ちていた。
しかしそこで名乗り出たのがダリアだった。
トーナメントでキースが例年通りに優勝した際に彼を団長として迎えることを発表した。
13歳という若さで100人を超える騎士団員をまとめる地位を与えられたのだ。
もちろんこれにも批判はあったもののアストルム騎士団のこれまでの魔物討伐数やベルメール領での経済力でダリアは周りの貴族を黙らせたのだった。
さらには魔物と交流をし、魔物による被害を抑えたのもダリアだった。
その時に放った言葉が貴族ではなく平民の心に刺さった。
「仕方ないじゃないか。魔物だって住む場所くらい欲しいさ。それに、いつも魔物と交流することに反対しているのは何も被害にあっていない貴族だろう?私は貴族のために騎士団を作ったわけじゃないよ。」
平民のためとも口には出ていないものの、貴族の意向で動いている訳では無いことを知った平民たちは希望を抱いた。
思い返せば、魔物の被害にあった際にいち早く駆けつけてくれるのは王国騎士団でもなく、聖騎士団でもない。
アストルム騎士団であった。
3年前、、、
「公女、今月も多くの討伐要請が届いております。」
「、、、騎士団員の領地と平民からのものだけをこのトレーに置いてくれ。あとは~あ、そうそう、このリストに書いてある名前だったらトレーに置いていいよ。」
「公女、それだけに搾っても数が、、、」
「指揮系統を変えようか。」
「瞬間転移できる騎士を中心に騎士の使い魔だけをまずは現地に送りなさい。使い魔だけで対処できるのなら少ない騎士だけを送り対応できるだろう。報告だけは徹底して行わせろ、あとは、、、契約した各地の魔物に伝達を。動きがあれば騎士に報告し判断を上長にあおげ。よく襲われる村や街をリストアップしておいてくれ、後で目を通す。ダメだ、ダメだ!罠なんて置いたら他の者や魔物たちが危ないだろう!結界線を超えたら警報がなるような仕掛けを置いておけ!」
こんな命令たとえ王国騎士団が下されてもほとんどの騎士はできないだろう。
転移魔法も使える者は限られている。
使い魔だって遠距離で使役することは相当な訓練をしないとできるものではない。
アストルム騎士団だからこそ成し得ることだった。
この一件から王国騎士団への不満と疑念が国民の間で生まれ始めていた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
「おやすみ、リア。」
「お、おやすみなさい、、、お姉様。」
名残惜しそうにドアを閉めると踵を返しキースが待つ執務室へ向かう。
部屋に入るとキースがデスクの前に立っていた。
「今日はご苦労だったね。」
「公女、アメリア様は。」
「聖女候補選抜のエントリーだけするさ。」
「、、、神殿での動きはモンフォーヌから聞いているはずです。」
「いくら公女とはいえ養女を聖女候補にするほど神殿も愚かじゃないだろう。それに、どうやら私は神殿に嫌われたらしい。」
「聖騎士団、ですか。」
「そう、絶対的 聖女至高主義の皆様方だ。」
【神殿】
何千年も昔、魔物によって荒らされた土地を聖女が光の力で浄化し国に平和をもたらしたと言われている。
その聖女を祭り上げているのが神殿。
そしてその神殿と聖女を守っているのが聖騎士団というわけだった。
「この私が全ての属性を操れる力を持つと知ったら一体どれほど顔が青くなることやら。」
「お戯れを公女。騎士団全員をアカデミーに入れようとしたり、公女は少しばかり無理をしすぎでございます。私を団長の座に置いてくださった際も貴族から多くの反感を買っておるのですよ?」
「王女に支持を得ている。当分は何も問題無いだろう。アルベルト殿下も護衛騎士として我がアストルム騎士団を選んでくださったんだ。敵が多い分、味方も多いから何も心配要らないよ。君も前より侯爵としての仕事がやりやすくなっただろう。」
ダリアの言うとうり、13歳で当主となったキースに不安の声が上がっていた。
アカデミーにもまだ通っていない子供が侯爵となったのだ。
周りの目も好奇に満ちていた。
しかしそこで名乗り出たのがダリアだった。
トーナメントでキースが例年通りに優勝した際に彼を団長として迎えることを発表した。
13歳という若さで100人を超える騎士団員をまとめる地位を与えられたのだ。
もちろんこれにも批判はあったもののアストルム騎士団のこれまでの魔物討伐数やベルメール領での経済力でダリアは周りの貴族を黙らせたのだった。
さらには魔物と交流をし、魔物による被害を抑えたのもダリアだった。
その時に放った言葉が貴族ではなく平民の心に刺さった。
「仕方ないじゃないか。魔物だって住む場所くらい欲しいさ。それに、いつも魔物と交流することに反対しているのは何も被害にあっていない貴族だろう?私は貴族のために騎士団を作ったわけじゃないよ。」
平民のためとも口には出ていないものの、貴族の意向で動いている訳では無いことを知った平民たちは希望を抱いた。
思い返せば、魔物の被害にあった際にいち早く駆けつけてくれるのは王国騎士団でもなく、聖騎士団でもない。
アストルム騎士団であった。
3年前、、、
「公女、今月も多くの討伐要請が届いております。」
「、、、騎士団員の領地と平民からのものだけをこのトレーに置いてくれ。あとは~あ、そうそう、このリストに書いてある名前だったらトレーに置いていいよ。」
「公女、それだけに搾っても数が、、、」
「指揮系統を変えようか。」
「瞬間転移できる騎士を中心に騎士の使い魔だけをまずは現地に送りなさい。使い魔だけで対処できるのなら少ない騎士だけを送り対応できるだろう。報告だけは徹底して行わせろ、あとは、、、契約した各地の魔物に伝達を。動きがあれば騎士に報告し判断を上長にあおげ。よく襲われる村や街をリストアップしておいてくれ、後で目を通す。ダメだ、ダメだ!罠なんて置いたら他の者や魔物たちが危ないだろう!結界線を超えたら警報がなるような仕掛けを置いておけ!」
こんな命令たとえ王国騎士団が下されてもほとんどの騎士はできないだろう。
転移魔法も使える者は限られている。
使い魔だって遠距離で使役することは相当な訓練をしないとできるものではない。
アストルム騎士団だからこそ成し得ることだった。
この一件から王国騎士団への不満と疑念が国民の間で生まれ始めていた。
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