冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

ナナスケ

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望まれない結婚

第四十二話

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ヴェルグラ城に戻るとレオ、シエル、ノエルたちが2人を出迎えた。

ローズはシエルとノエルにハグをすると頭を撫でながら

「いつかあなた達も連れて行ってあげるわ、私の生まれ故郷なの。」

と微笑みながら語る。
そんなローズにシエルとノエルはリアムの体調が戻ったのだと察し微笑み返す。

「お帰りなさいませ、奥様、旦那様。」

「変わりはないな?」

リアムがマントをレオに手渡しながら言うと3人は何か言いたげに目を泳がす。

「なんだ。問題があったのか。」

「それが、、、」

レオが気まずそうにリアムとローズをリアムの執務室へ案内すると机の上に大量の手紙がどっさりと置かれていた。
それを見るなりリアムの機嫌がみるみる悪くなっていく。

「なんだこれは。」

「その、送り主が送り主だったので」

レオに言われて机の上の手紙をひとつ取り見てみると差出人の名前に[アデル・ガロワ]と書かれていた。

「っ!」

その名を見た途端リアムの顔が酷く歪む。

「まだ手紙をよこすか!」

思い切り床に手紙を叩きつけるとローズがそれを拾う。

「いけません、皇女様のお手紙ですよ?」

「婚約発表の時に一度もお前に挨拶をしなかった女だぞ?」

「それでも皇女様でございます。」

散らばった手紙を整理しながら言うローズに奥歯を噛み締めるリアム。

「その、、、手紙の内容ですが。」

レオが口を挟むと鋭い睨みをリアムはきかせる。

「なんだ。」

「恐らく奥様をサロンへご招待されたいのかと。」

思わず整理していたローズの手も止まる。

「なんだと?」

「私を、、、サロンへ?」

リアムはステッキを思い切り突く。

「ローズをサロンへだと?!何を考えているんだ!挨拶の一言も交わさなかった者に対してサロンへ誘うなど!相変わらず面の皮が厚いらしいな!あの女は!」

「行きます。」

「当たり前だ!誰がローズをあの女のサロンなんかに、、、、、は?」

「わたし、サロンへ参加致します!」

振り返ると決意の眼差しを向けるローズの姿。
窓が強風で開き部屋に舞い込み手紙を吹き上げその隙間からローズの瞳が覗き込まれる。

「ダメだ、、、、」

また遠くへ行ってしまう、、、

俺の知らないところへ行こうとしてる。

「5年前のことを忘れたわけでは無いだろう。」

「、、、、」
 
「お前は一度正体もわからぬ奴に刃を向けられている。また同じことが起きないとなぜ言えるんだ。」

「それは、」

「それにその招待主はお前を好意的に思っていない。なぜそんな所へ行かせることが出来る?」

ローズはドレスの裾を強く握りしめる。

「逃げてばかりの人生でした。何を言われてもされても気にしないようにしてきた結果がこの呪いです。」

俯きながら語るローズにリアムは黙って見つめ耳を傾ける。

「死んでもいいと思った。でも、今は違う。生きたいと思える理由ができた。」

ローズはドレスのポケットから何かを出しそれを胸の前で持ちながらリアムに近付く。

「生きたいと思わせてくれる人々に出会えた。」

リアムの目の前まで行くとそっと彼の手を取りその掌にローズは何かを置いた。

「あなたとともに生きたいと思ったのです、、、リアム。」

真剣なローズの眼差しにリアムは言葉を出すことが出来なかった。
手のひらに感じるそれにローズの暖かい手が重なる。

「サロンへ行けば呪いを解く糸口が何かしら掴めるかもしれない。」

「それは俺が!」

「あなたも苦しんでいるのなら呪いを解いてあげたい、共に生きるために自分の呪いも解きたい。私はこの城に来てとても我儘になってしまったようです。」

ニッコリと微笑むローズに空いた口を噤むリアム。

「だからどうか、、、無事を祈っていてくださいませ。私は必ずあなたの元へ帰ってきます。」

そう言って重ねていた手を離し、リアムは拳をゆっくりと開くと海のように蒼い宝石のブローチがあった。

「俺たちは呪われたもの同士、、、というわけか」

「これ以上のお似合いのカップルはいませんよ」

いたずらっ子のように笑うローズの胸元には血のように、、、、いや、誰かさんの瞳の色のように紅い宝石のブローチが輝いていた。





次回に続く!
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