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小さき呪い
第五十三話
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リアムの目配せを受けて部屋を出ると少し離れた独房の前に進む。
見張りの兵に開けるように言うと重々しい扉が開かれる。
そこにはやせ細ったアベル夫人の姿。
開かれた隙間から入った光で意識を取り戻す夫人はそこにただずむシエルの姿を目を見開いて唖然としていた。
「アヒン!アヒンなのね?無事なの?アヒン!!!!」
シエルに抱きつく夫人。
シエルは動かずにじっとしていた。
「夫人、随分と変わられましたね。ここの食事は合いませんか?」
「アヒン?アヒン!母様とお呼びなさいと何度も何度も何度も何度も!」
夫人はシエルの胸ぐらを目に涙をいっぱい貯めながら掴みかかるがそんな夫人を払い除け思わず夫人は倒れ込む。
そんな彼女に驚きながら仰ぎ見る夫人。
今まで従順だった息子が自分の手を払い除けたのだ。
「アヒン?」
シエルは上を見上げながら少しだけ口角を上げる。
「あぁ、その響き。久々に耳にしますね。1年も経っていないというのになんだかとても懐かしい。」
ふぅっと息を吐くと閉じていた目をゆっくりと開ける。
「アヒン?ねぇ、、、」
「私の名前はシエルだ。シエル・テンプス。」
「シエル?いいえあなたはアヒンよ、アヒン・アベル!私とあの人の息子よ!」
「私はあなたの息子ではない。わかっているんでしょう?私はあの人の娘だ。あなたの息子アヒンはあの日死んだ。」
「何を言っているの!一体!誰が!ここまで育ててきたというの!あの女が何をしたって言うの!私は!あなたのために!」
喚く夫人を哀れんだ瞳で見下ろすシエル。
これ以上母を苦しめた女といえど惨めな姿を見たいとは思わなかった。
仮にも10年間愛を持って育ててくれた人だ。
それがたとえ血が繋がっていなくとも。
偽りの愛情であったにしても。
この人は自分をアヒンとして、一人の男として、息子として愛してくれたのだ。
心の底からなぜ憎めようか。
「お母様、もうお休み下さい。体に障ります。さ、これを、、、、」
シエルは透き通った薄みどり色の液体が入った小瓶を差し出し、そっと夫人に飲ませる。
体に染み渡るように液体は夫人の体に馴染んでいく。
体が優しい温もりに包まれ眠気を誘う。
そんな中シエルの言葉が耳を通して頭の中で響き渡った。
「アグノエル子爵令嬢について何か知っていることはありますか?」
虚ろな瞳で小さく空いた夫人の口から言葉が漏れる。
「レイヴン、、、、」
(レイヴン?どこかで聞いたことあるような、、、、)
「アグノエル子爵令嬢とレイヴン、なんの関係があるのですか?」
「蛇の宿敵であり、、、天敵。鴉は黒く暗躍をし、蛇は鮮やかに敵の懐に入り込む、、、、、、だが彼女は呪われた。その美しさを妬んだ者に、、、だから、、私は、、、、、、」
そう言うとシエルの腕の中でぐったりと動かなくなった。
「おやすみなさい。お母様。」
次回に続く!
見張りの兵に開けるように言うと重々しい扉が開かれる。
そこにはやせ細ったアベル夫人の姿。
開かれた隙間から入った光で意識を取り戻す夫人はそこにただずむシエルの姿を目を見開いて唖然としていた。
「アヒン!アヒンなのね?無事なの?アヒン!!!!」
シエルに抱きつく夫人。
シエルは動かずにじっとしていた。
「夫人、随分と変わられましたね。ここの食事は合いませんか?」
「アヒン?アヒン!母様とお呼びなさいと何度も何度も何度も何度も!」
夫人はシエルの胸ぐらを目に涙をいっぱい貯めながら掴みかかるがそんな夫人を払い除け思わず夫人は倒れ込む。
そんな彼女に驚きながら仰ぎ見る夫人。
今まで従順だった息子が自分の手を払い除けたのだ。
「アヒン?」
シエルは上を見上げながら少しだけ口角を上げる。
「あぁ、その響き。久々に耳にしますね。1年も経っていないというのになんだかとても懐かしい。」
ふぅっと息を吐くと閉じていた目をゆっくりと開ける。
「アヒン?ねぇ、、、」
「私の名前はシエルだ。シエル・テンプス。」
「シエル?いいえあなたはアヒンよ、アヒン・アベル!私とあの人の息子よ!」
「私はあなたの息子ではない。わかっているんでしょう?私はあの人の娘だ。あなたの息子アヒンはあの日死んだ。」
「何を言っているの!一体!誰が!ここまで育ててきたというの!あの女が何をしたって言うの!私は!あなたのために!」
喚く夫人を哀れんだ瞳で見下ろすシエル。
これ以上母を苦しめた女といえど惨めな姿を見たいとは思わなかった。
仮にも10年間愛を持って育ててくれた人だ。
それがたとえ血が繋がっていなくとも。
偽りの愛情であったにしても。
この人は自分をアヒンとして、一人の男として、息子として愛してくれたのだ。
心の底からなぜ憎めようか。
「お母様、もうお休み下さい。体に障ります。さ、これを、、、、」
シエルは透き通った薄みどり色の液体が入った小瓶を差し出し、そっと夫人に飲ませる。
体に染み渡るように液体は夫人の体に馴染んでいく。
体が優しい温もりに包まれ眠気を誘う。
そんな中シエルの言葉が耳を通して頭の中で響き渡った。
「アグノエル子爵令嬢について何か知っていることはありますか?」
虚ろな瞳で小さく空いた夫人の口から言葉が漏れる。
「レイヴン、、、、」
(レイヴン?どこかで聞いたことあるような、、、、)
「アグノエル子爵令嬢とレイヴン、なんの関係があるのですか?」
「蛇の宿敵であり、、、天敵。鴉は黒く暗躍をし、蛇は鮮やかに敵の懐に入り込む、、、、、、だが彼女は呪われた。その美しさを妬んだ者に、、、だから、、私は、、、、、、」
そう言うとシエルの腕の中でぐったりと動かなくなった。
「おやすみなさい。お母様。」
次回に続く!
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