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【第一章】チューニング
疾走
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「……って、え~! 私何言っちゃってるの~!?」
初変身を済ませた私は日曜の朝を思わせるそのコスチュームに対し、日曜の朝を思わせるような反応をしてみせる。
小動物が足から体を伝って私の肩に乗る。
「おチビがやったの?」
震えや警戒の延長線ではあろうが、その時の小動物のそれはコクコクと頷いているようにも見えた。
「そっかぁ、凄いねえおチビは」
私は指先でおチビの顔や体を撫でる。もこもこしてて、小さいのにとても温かかった。
トカゲとQが向こうの方で驚いているのがわかった。お互いに闘いの意志が消え、彼らが同時にこちらを見たのがわかった。
トカゲがまくし立てるように何かをQに話した。しかし、それは距離の問題からはっきりとは聞き取れなかった。
私は大きく手を振ってQを呼ぶ。
「Q~! ねえそいつ殺しちゃっていいの~?」
今の私にはそれが出来るような気がした。全身がQの発するそれのような青白いエネルギーで覆われていた。湧き上がる力と自信。今の私であれば、この大鎌を自らの手足のように操り、あの巨大なトカゲ男を見るも無残な姿へと切り刻み、スーパーの精肉コーナーに希少価値の高い肉として並ばせることなど容易であるかのように思えてならなかった。
あちら側にいたはずのQが突然消え、すぐに私の傍らに現出した。
「奴らはあなた達の足枷よ」とQ。「叩き切ってしまいなさい、リコリス」
Qはそう言うと、私の肩に乗るおチビをエネルギーでできたシャボン玉の中にいれてふわふわと浮かせ、それから私に手を翳し、自らの青白いエネルギーを私の体へと幾らか移行させた。
私はもう自信の塊だった。今の私ならば何をしても上手く行くように思えた。
「Qがそう言うならやっちゃうからね」
私は50メートルほど離れたトカゲを見据える。殺してやる。心身ともに大仰な貴様の存在にこの私が天誅を下してやる。
大鎌をギリギリと体の後ろで構え、私は全身の力を一度フッと抜く。
「ゴー!」
自らのかけ声と同時にロケットスタート。青白いエネルギーは私の予想を遥かに上回るパフォーマンスを発揮し、ダッシュと同時に鎌を振り下ろそうと計画していたのだが、その猛烈な勢いに私は反射的に足を前に出してブレーキをかける。
「うわぁぁぁ~! っとっとっと……」
しかし私の体は既にトカゲと隣接してしまっていたため、私はトカゲの大きな体をそれこそ先程のおチビさながら足下から駆け上がっていく。
足を駆け上がり、走り易そうなハンターナイフに飛び移り、肩を通り過ぎ、彼の頭頂部を蹴り飛ばして天空へと高く舞い上がった。
「すご~いッ! 最ッ高!」
私は青空を仰ぎ見ながら上空で大きく手足を拡げた。
世界が私を迎え入れているのがわかった。
初変身を済ませた私は日曜の朝を思わせるそのコスチュームに対し、日曜の朝を思わせるような反応をしてみせる。
小動物が足から体を伝って私の肩に乗る。
「おチビがやったの?」
震えや警戒の延長線ではあろうが、その時の小動物のそれはコクコクと頷いているようにも見えた。
「そっかぁ、凄いねえおチビは」
私は指先でおチビの顔や体を撫でる。もこもこしてて、小さいのにとても温かかった。
トカゲとQが向こうの方で驚いているのがわかった。お互いに闘いの意志が消え、彼らが同時にこちらを見たのがわかった。
トカゲがまくし立てるように何かをQに話した。しかし、それは距離の問題からはっきりとは聞き取れなかった。
私は大きく手を振ってQを呼ぶ。
「Q~! ねえそいつ殺しちゃっていいの~?」
今の私にはそれが出来るような気がした。全身がQの発するそれのような青白いエネルギーで覆われていた。湧き上がる力と自信。今の私であれば、この大鎌を自らの手足のように操り、あの巨大なトカゲ男を見るも無残な姿へと切り刻み、スーパーの精肉コーナーに希少価値の高い肉として並ばせることなど容易であるかのように思えてならなかった。
あちら側にいたはずのQが突然消え、すぐに私の傍らに現出した。
「奴らはあなた達の足枷よ」とQ。「叩き切ってしまいなさい、リコリス」
Qはそう言うと、私の肩に乗るおチビをエネルギーでできたシャボン玉の中にいれてふわふわと浮かせ、それから私に手を翳し、自らの青白いエネルギーを私の体へと幾らか移行させた。
私はもう自信の塊だった。今の私ならば何をしても上手く行くように思えた。
「Qがそう言うならやっちゃうからね」
私は50メートルほど離れたトカゲを見据える。殺してやる。心身ともに大仰な貴様の存在にこの私が天誅を下してやる。
大鎌をギリギリと体の後ろで構え、私は全身の力を一度フッと抜く。
「ゴー!」
自らのかけ声と同時にロケットスタート。青白いエネルギーは私の予想を遥かに上回るパフォーマンスを発揮し、ダッシュと同時に鎌を振り下ろそうと計画していたのだが、その猛烈な勢いに私は反射的に足を前に出してブレーキをかける。
「うわぁぁぁ~! っとっとっと……」
しかし私の体は既にトカゲと隣接してしまっていたため、私はトカゲの大きな体をそれこそ先程のおチビさながら足下から駆け上がっていく。
足を駆け上がり、走り易そうなハンターナイフに飛び移り、肩を通り過ぎ、彼の頭頂部を蹴り飛ばして天空へと高く舞い上がった。
「すご~いッ! 最ッ高!」
私は青空を仰ぎ見ながら上空で大きく手足を拡げた。
世界が私を迎え入れているのがわかった。
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