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溶けていく日々
灯が溶けた日② ✴︎イラスト有
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「どっかのバカが序列を乱した! 精霊が怒って暴れ出してる!」
馬車の中に飛び乗って来たデューク兄さまがこの魔力暴走の理由を知らせてくれる。その間にも、馬車の外では先程までまったく吹いていなかった風がヒュウヒュウと鋭い音を立て始めた。
「とにかく避難を……彩耀の夜会は中止か──」
「いや、やるよ」
父の言葉を遮って、デューク兄さまが言い切る。
「この夜会は兄貴の花道だろ。絶対に、何事もなく、夜会までに彩灯の行列を終わらせる」
いつも騒がしいデューク兄さまが発しているとは思えないほど、それは静かな声だった。
「気持ちはわかるが、精霊が鎮まらない限りどうにもならん! 第一、王宮が何と……」
「陛下にはもう、猶予は貰ってる。俺以外の王宮魔法師が王宮と馬車の安全を確保してくれてる間に」
兄は引かないが、父は鎮痛の表情で頭を振った。お父様は幼少の頃に不作による食糧難を経験している。この彩耀の夜会を中止することの怖さも、この場の誰よりも知っている。それでも、どう考えても、諦めるしかないのだと状況からわかる。
「俺が全部の彩灯に魔法を掛け直す。それで秩序は戻る」
「全部……?!」
兄の説明に、母が小さく悲鳴を上げた。到底、無理だ。それがわかる説明だった。だというのに、デューク兄さまはやるという。
「やれるのか」
「やる」
父の問いに、兄は端的に答えた。絶対的な宣言に、自分の背が震えるのがわかった。
「デューク兄さま」
呼びかければ兄がこちらを向く。
「もちますか?」
「兄をナメんなよ、妹」
聞いたのは、兄がその身に宿す魔力の量だ。すべての彩灯の色と順番を秩序通りに戻し、精霊へ届ける祈りを整える。それには相当な魔力が必要なことぐらい、私にもわかる。そう、兄の魔力が足りないことくらいは、わかるのだ。
デューク兄さまは天才だけれど、魔力量は人並みか、それに及ばない程度の量しか持たない。
私たち兄弟妹の中でも、デューク兄さまの魔力が一番少ない。
対して、魔力の量だけで言うなら私はウィスタリア家の中で最も多い。
「私も行きます」
「ニーナ!」
父が珍しく声を高くする。
「デュークの仕事は王宮魔法師だ。その仕事を果たすと言うならそれはデュークの領分で、お前はウィスタリアの娘だ」
ウィスタリアの娘。今の私は確かにそうだ。
「我々がすべきことは、デュークを信じて、領民の祈りの灯を無事に王宮に届けることだ」
父の言葉はすべて正しい。だけどそれは、ウィスタリアとしての言葉だ。
自分と同じ、父の藤色の目を真っ直ぐに見て私は言う。自分の中に生まれたばかりの、誰にも指示をされていない、まっさらな言葉を紡ぐ。
「ウィスタリアの娘ならそうですが、バーミリオンの女となるなら話は別です」
父と母が、息を飲むのがわかった。
イーサン殿下が、そして殿下が大切にする陛下が、この夜会を開くために王宮で働いているのなら、私はその助けになりたい。
殿下の“独り言”への返事は、もうとっくに決まっていた。
「もう一度聞きます。デューク兄さま、もちますか?」
デューク兄さまが口を開く。兄さまは多分「当たり前だ」と言うために、その唇を開いた。夜会のために特別に着飾った妹を、精霊の怒りの渦巻く場所から場所へ連れ回すなんてこと、兄としては絶対やりたくないだろうから。
だけど、デューク兄さまのそれは、音にはならなかった。
くしゃりと、いつでも自信に満ちていた顔が歪む。
「もたない」
馬車の扉が大きく開く。先に飛び降りたデューク兄さまの手が伸びる。差し伸べられるその手を戸惑いなく取った。
途端、叩きつけられる風によろけそうになる。
「ニーナ!」
デューク兄さまがローブの中に私を抱え込む。魔力の性質は髪の色瞳の色に寄せられるために、私とデューク兄さまの魔力は最も親和性が高く、譲渡しやすい。
兄さまが王宮魔法師になるずっと前から、しょっちゅうその背中に背負われて鍛錬に付き合ったのだ。触れた相手に魔力を送るやり方は身に馴染んでいる。
私を抱えたまま、デューク兄さまは馬車の屋根に飛ぶ。そして次の馬車に飛び移り、彩灯に魔法を掛け直す。その繰り返し。
風が逆巻く。雷鳴が近付く。ランタンの炎が踊る。地が揺れる。雨が落ちる。
「精霊の怒り……」
思わず呟いた。言わずにいられないほど、目の前の光景は凄まじかった。
精霊には序列がある。
人間のように曖昧で寛容なそれと違って、精霊界の序列は厳格で、苛烈だ。
私たち人間は色に精霊を宿し儀式を通して精霊の力を借りるが、色の序列を誤れば上位の精霊を下位の精霊だと示したことになってしまう。
今回の怒りはそれだ。
ただ古くさい慣習だけで、自分の序列を守っているだけではない。その順番にも、与えられる名にも、精霊を信仰しその恩恵の中に生きる者にとっては意味があるものなのだ。
実際にその怒りを目の当たりにして、私も初めて実感した。
◆
最後の一台、この国で最も高位の公爵家の馬車が王宮の門を潜るのを確認して、私とデューク兄さまは膝から崩れ落ちた。
「間に、合っ、た……」
あれほど荒れ狂っていた空が地が、大気が、今は嘘のように薙いでいる。
兄さまも私も、風に煽られて雨に濡れて、髪も衣装もぐちゃぐちゃだ。ローブで覆われていた私と違って、デューク兄さまはさらに髪も少し焦げているし、砂埃で肌はすすけているし、散々だ。
「良かった……」
心からそう思って、だけど、気が抜けた瞬間に涙がポロポロと溢れた。
お母様が用意してくれたウィスタリアを表すドレスを着て、綺麗に整えて貰った髪で、夜会に参加したかった。イーサン殿下にエスコートされて、ダンスをして、プロポーズもして貰いたかったのだ。
「ごめんな、ニーナ」
デューク兄さまの声にふるふると首を振る。兄さまが悪いわけじゃない。
やるせない気持ちを切り替えなくてはと、涙を拭って立ち上がったその時、城門から一頭の馬が飛び出した。そのまま真っ直ぐにこちらへ駆けてくる。
「ニーナさん!」
イーサン殿下が馬上から、私の名を呼んだ。
✴︎読んでくださりありがとうございます!
こちら、本日2本目の更新になりますので、「読み飛ばしちゃったじゃん!」という方は本当に申し訳ありません。記憶を一度消して頂き、一話戻って頂けたら幸いです。
今日もたくさんの感謝を込めて、ショタデューク&ニーナのイラストです。
次回もよろしくお願いします!
馬車の中に飛び乗って来たデューク兄さまがこの魔力暴走の理由を知らせてくれる。その間にも、馬車の外では先程までまったく吹いていなかった風がヒュウヒュウと鋭い音を立て始めた。
「とにかく避難を……彩耀の夜会は中止か──」
「いや、やるよ」
父の言葉を遮って、デューク兄さまが言い切る。
「この夜会は兄貴の花道だろ。絶対に、何事もなく、夜会までに彩灯の行列を終わらせる」
いつも騒がしいデューク兄さまが発しているとは思えないほど、それは静かな声だった。
「気持ちはわかるが、精霊が鎮まらない限りどうにもならん! 第一、王宮が何と……」
「陛下にはもう、猶予は貰ってる。俺以外の王宮魔法師が王宮と馬車の安全を確保してくれてる間に」
兄は引かないが、父は鎮痛の表情で頭を振った。お父様は幼少の頃に不作による食糧難を経験している。この彩耀の夜会を中止することの怖さも、この場の誰よりも知っている。それでも、どう考えても、諦めるしかないのだと状況からわかる。
「俺が全部の彩灯に魔法を掛け直す。それで秩序は戻る」
「全部……?!」
兄の説明に、母が小さく悲鳴を上げた。到底、無理だ。それがわかる説明だった。だというのに、デューク兄さまはやるという。
「やれるのか」
「やる」
父の問いに、兄は端的に答えた。絶対的な宣言に、自分の背が震えるのがわかった。
「デューク兄さま」
呼びかければ兄がこちらを向く。
「もちますか?」
「兄をナメんなよ、妹」
聞いたのは、兄がその身に宿す魔力の量だ。すべての彩灯の色と順番を秩序通りに戻し、精霊へ届ける祈りを整える。それには相当な魔力が必要なことぐらい、私にもわかる。そう、兄の魔力が足りないことくらいは、わかるのだ。
デューク兄さまは天才だけれど、魔力量は人並みか、それに及ばない程度の量しか持たない。
私たち兄弟妹の中でも、デューク兄さまの魔力が一番少ない。
対して、魔力の量だけで言うなら私はウィスタリア家の中で最も多い。
「私も行きます」
「ニーナ!」
父が珍しく声を高くする。
「デュークの仕事は王宮魔法師だ。その仕事を果たすと言うならそれはデュークの領分で、お前はウィスタリアの娘だ」
ウィスタリアの娘。今の私は確かにそうだ。
「我々がすべきことは、デュークを信じて、領民の祈りの灯を無事に王宮に届けることだ」
父の言葉はすべて正しい。だけどそれは、ウィスタリアとしての言葉だ。
自分と同じ、父の藤色の目を真っ直ぐに見て私は言う。自分の中に生まれたばかりの、誰にも指示をされていない、まっさらな言葉を紡ぐ。
「ウィスタリアの娘ならそうですが、バーミリオンの女となるなら話は別です」
父と母が、息を飲むのがわかった。
イーサン殿下が、そして殿下が大切にする陛下が、この夜会を開くために王宮で働いているのなら、私はその助けになりたい。
殿下の“独り言”への返事は、もうとっくに決まっていた。
「もう一度聞きます。デューク兄さま、もちますか?」
デューク兄さまが口を開く。兄さまは多分「当たり前だ」と言うために、その唇を開いた。夜会のために特別に着飾った妹を、精霊の怒りの渦巻く場所から場所へ連れ回すなんてこと、兄としては絶対やりたくないだろうから。
だけど、デューク兄さまのそれは、音にはならなかった。
くしゃりと、いつでも自信に満ちていた顔が歪む。
「もたない」
馬車の扉が大きく開く。先に飛び降りたデューク兄さまの手が伸びる。差し伸べられるその手を戸惑いなく取った。
途端、叩きつけられる風によろけそうになる。
「ニーナ!」
デューク兄さまがローブの中に私を抱え込む。魔力の性質は髪の色瞳の色に寄せられるために、私とデューク兄さまの魔力は最も親和性が高く、譲渡しやすい。
兄さまが王宮魔法師になるずっと前から、しょっちゅうその背中に背負われて鍛錬に付き合ったのだ。触れた相手に魔力を送るやり方は身に馴染んでいる。
私を抱えたまま、デューク兄さまは馬車の屋根に飛ぶ。そして次の馬車に飛び移り、彩灯に魔法を掛け直す。その繰り返し。
風が逆巻く。雷鳴が近付く。ランタンの炎が踊る。地が揺れる。雨が落ちる。
「精霊の怒り……」
思わず呟いた。言わずにいられないほど、目の前の光景は凄まじかった。
精霊には序列がある。
人間のように曖昧で寛容なそれと違って、精霊界の序列は厳格で、苛烈だ。
私たち人間は色に精霊を宿し儀式を通して精霊の力を借りるが、色の序列を誤れば上位の精霊を下位の精霊だと示したことになってしまう。
今回の怒りはそれだ。
ただ古くさい慣習だけで、自分の序列を守っているだけではない。その順番にも、与えられる名にも、精霊を信仰しその恩恵の中に生きる者にとっては意味があるものなのだ。
実際にその怒りを目の当たりにして、私も初めて実感した。
◆
最後の一台、この国で最も高位の公爵家の馬車が王宮の門を潜るのを確認して、私とデューク兄さまは膝から崩れ落ちた。
「間に、合っ、た……」
あれほど荒れ狂っていた空が地が、大気が、今は嘘のように薙いでいる。
兄さまも私も、風に煽られて雨に濡れて、髪も衣装もぐちゃぐちゃだ。ローブで覆われていた私と違って、デューク兄さまはさらに髪も少し焦げているし、砂埃で肌はすすけているし、散々だ。
「良かった……」
心からそう思って、だけど、気が抜けた瞬間に涙がポロポロと溢れた。
お母様が用意してくれたウィスタリアを表すドレスを着て、綺麗に整えて貰った髪で、夜会に参加したかった。イーサン殿下にエスコートされて、ダンスをして、プロポーズもして貰いたかったのだ。
「ごめんな、ニーナ」
デューク兄さまの声にふるふると首を振る。兄さまが悪いわけじゃない。
やるせない気持ちを切り替えなくてはと、涙を拭って立ち上がったその時、城門から一頭の馬が飛び出した。そのまま真っ直ぐにこちらへ駆けてくる。
「ニーナさん!」
イーサン殿下が馬上から、私の名を呼んだ。
✴︎読んでくださりありがとうございます!
こちら、本日2本目の更新になりますので、「読み飛ばしちゃったじゃん!」という方は本当に申し訳ありません。記憶を一度消して頂き、一話戻って頂けたら幸いです。
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